サイエンティフィック・アメリカン
 科学雑誌。


サセックス草稿 Sussex Fragments
 詳細不明。サセックス断章とも。


サセックス断章 Sussex Fragments
 詳細不明。サセックス草稿とも。


サドカイ教徒の勝利 Saducismus Triumphatus
 魔女信仰の擁護者として知られるジョーゼフ・グランヴィル著。一六八一年刊行。
 キングスポートの悪魔崇拝集団の長老が架蔵していた。


サボスのカバラ Cabala of Saboth
 詳細不明。サイモン・マグロアが所蔵していた稀覯書。ギリシア語版が一六八六年に刊行された。


ザントゥー石版 Zanthu Tablets
 →サントゥー粘土版


サントゥー粘土板 Zanthu Tablets
 古代アジアの霊媒師ないし魔術師によって書き残されたものと言われ、1913年に中央アジア奥地のツァン台地北方の巫術師であり僧侶であったサントゥーの墓である石碑遺跡においてハロルド・ハドリー・コープランド教授が発見したもの。
 1916年にコープランド教授自身が翻訳し、手早く簡略化した私家版の小冊子として出版したが、「内容は断片的で不確実な記述のみにとどまり、あらゆる権威的な学問――とくに科学と論理学――を嘲弄するためにもくろまれた欺瞞にすぎない」と断ぜられた。ジャーナリストや聖職者に公然と非難され、最後には公式に発禁処分となった。


ザントゥ銘板 Zanthu Tablets
 →サントゥー粘土版


寺院の殺人
 T・S・エリオット著。


時間の実験
 イギリスの哲学者ジョン・ウィリアム・ダン著。


地獄事典
 コラン・ド・プランシイ著。


死者の書
 エジプトの宗教書。
原題『ル・ヌ・ペルト・エム・フル(日ごとによみがえりくる書)』。
 暗黒のファラオ、ネフレン=カについての記述は抹消されている。


死者の書
 チベットの仏教書。


屍食教典儀 Cultes des Coules
 オーガスト・ダーレスの祖先であるダレット伯爵が著したとされる異端の書物。
 ミスカトニック大学付属図書館をはじめ世界各地に所蔵されている。


失楽園
 堕天使について記述したミルトンの著書。

――次に来たのは、自分の神殿で、盗み出されてそこに置かれていた神の聖櫃のために己の獣の像を傷つけられ、頭と両手を切断されて門閾の上に無残に倒れ伏し、参拝者の心を忸怩たらしめただけでなく、自らもまた深く悲嘆にかきくれたという或る者であった。その名はダゴン、海の怪物、――上半身は人間だが、下半身は魚であった。――


島の神々
 ウィリアム・ラーキンズ著の第三作。未完。


シャガイ(シャッガイ) Shaggai
 作家ロバート・ハリスン・ブレイクが一九三四年から翌年にかけての冬の間に書き上げた短編小説。


ジャスティン・ジェフリーの詩
 狂気の詩人ジャスティン・ジェフリーの詩。一流出版社によって出版されているが書名不詳。11歳のときに書いた詩も収録されている。

夜の帳のかなたには、時間と空間のいかなる深淵がひそんでいるのか。
何物が明滅しつつ動いて、その眺めを損なっているのか。
私はたちすくむ。朦朧と浮かぶ巨大な顔の前に、
狂気をはらんだ無窮の夜に生まれた顔の前に。

古風な家々の燈が、眠そうに鈍くまたたいている、
青春時代を忘れ、目的も見失った村道に。
しかし、音も無く忍び歩いている陰惨に老いた人影は何者なのか、
月が沈んだ頃、古びた路地を通るのは。

太古のおぞましいものが今なおひそむという、
世界の忘れ去られた暗黒の片隅に。
そして、やはりかの門が開く夜があるのだ、
地獄に閉じ込められた亡霊を解き放つために。

立ち入るな。石だらけの砂漠が
異国の秘密を埋蔵している所に。
無気味な夕焼けの空に
悪夢のような巨大な塔がそびえる所に。


ジャリド・フラーの蔵書
 書名不詳。模造革で装丁された薄い冊子で、1916年にサン・フランシスコの印刷所で自費出版されたもの。ザントゥ銘板の推測による不穏な翻訳が含まれている。


ジャリド・フラーの日記、一九二九年
 1929年に死亡ないし失踪したジャリド・フラーの日記。本やノートではなく、フールスキャップ用紙の束。エイボンの書、ネクロノミコン、ミスカトニック大学の若い学者ウィルマースの書簡などが引用されている。


修道士の驚異の書
 詳細不明。


シュメール遺跡の発掘
 ロイド著。



 書名不詳。ウィチャリイ医師が閉店していたはずの古書店の小男から贈与された大きな本。分厚く、四隅は金属で補強され、馴染みのない黒い布で装丁され、紙自体も弾力のある奇妙なものが使われている。
 第二十三星雲の惑星ヴォーアルの都ブールムのカトゥールーンの手稿にカトゥールーンの親友トラヴィールの序文を加えて製本したもの。角ばった奇異な文字で記されているが、眺めていると文字が蠢いて判読できるようになる。
 学者であったカトゥールーンが数学と邪悪な呪文とによって異次元への扉を開き、時間の概念さえ持たない『外界のものども(彼のものども)』のもとに玩具として留め置かれ、その間にさまざまな秘密を学んだ。外界のものどもにとっては原子の一つでしかないこの宇宙に戻されるときに決して秘密を漏らしてはならぬと禁じられたが、数年の後にカトゥールーンはその学んだ知識を書き記すことに決め、そして約定通りに外界のものどもによって奇怪にも殺された。この書はカトゥールーンの死体の周りに産卵していた手稿を拾い集め、すべてを読んだトラヴィールが序文を加えて製本したものである。
 これを読めばカトゥールーンとクトゥルーの結びつきや、ツァトゥグア、ナイアルラトホテップ、ハスター、ミ=ゴ、チャウグナル・ファウグン、ベヘモスについてのことが知れ、『闇に囁くもの』と話すことができるようになり、『星辰からの召喚者』の秘密が明らかになり、『外界のものども』と結託しているティンダロスの猟犬について学べ、そのほか様々なものについて詳細を知ることができる。
 これを読んだ者は外界のものどもによって書の守護者となされ、光の力を超越する闇の力を与えられ、惑星の間を、小宇宙の間を移行することができるようになり、死ぬことはなくなる。この運命から逃れ得る手段はただ一つ、次の書の守護者に書を読ませることのみである。序文のみを読んだ場合にあっては書に囚われることはない。


象形文字の基礎
 詳細不明。


勝利する大蛇
 エドガー・アラン・ポウ著。


書簡集
 ラヴクラフトの書簡集。


ジョン・ダルハウジの報告書
 マニトバ州ナビサ・キャンプ臨時駐屯地カナダ北西部騎馬警官隊分遣隊長ジョン・ダルハウジの1931年10月31日付報告書。同年3月7日にナビサ・キャンプで失踪し、10月17日にその北方4マイルの雪中にて死体が発見されたロバート・ノリスの奇妙な事件についての最終報告。
 スティルウォーター村の集団失踪を調査していたノリスの報告書が主体となっており、ダルハウジによるノリス失踪及び死体発見の報告ならびにその真相のほのめかしが付されている。


シリアおよび聖地の旅
 ブルクハルト著。


死霊秘法 Necronomicon
 ネクロノミコンの異称。


深海祭祀書 Unter-Zee Kulten
 ウンダーゼー・クルテン。ドイツで書かれた海の魔物にかかわる奇書。


深海に棲む者
 ガストン・ル・フェ著。


深海の驚異
 リンケージ著。

 七千万年前に絶滅したと考えられていたシーラカンスの発見により、我々は水棲動物の地質年代的分布についての見方を新たにしなければならない……。


深海の住人たち
 →深海に棲む者


真正魔術
 セオフィリス・ウェン著。
 悪魔学の百科全書といえるものであり、ありとあらゆる禁制の秘教的事柄に関する博学な学識が随所に見られる。魔法と憑依、吸血鬼や屍食鬼の伝説、鬼神論、魔女崇拝、不気味な偶像、全燔祭の儀式、言語に絶する行い、原始の闇の神々に対する恐るべき満月の供犠に関し解説している。
 文章は概して独断的で自身に満ち、自負と尊大さを示している。

 是等七ツノ不吉ノ祈祷タル呪文ノ内、三ツハ加護ノタメ、三ツハ汝ガ仇ノ剿滅ノタメナリ。然レド、イトモ怪奇ナル第七ノ呪文ニ就キテハ、左ノ如ク戒メン。汝モシイト恐ロシキ悪霊ニ見エント欲セズンバ、最後ノ呪文ヲ唱フ可カラズ。悪魔ノ血染メノ祭壇ニテソノ呪文ヲ唱ヘズンバ、悪霊ノ現ハレズト言ヘド、用心ス可シ。斯ク戒ムルハ、さらせんノ魔術師まる・らざるナル者、戯ニソノ恐ル可キ呪文ヲ唱ヘシガ、悪霊現ハレタリ――然レド血染メノ供物無キヲ見テ、怒リ、魔術師ヲ八ツ裂キニシタルガ故ナリ。嬰児乃至ハ処女ノ生血ナレバ無上ナレドモ、健ヤカナル牛羊獣ノ類モ可ナルト言ハレン。然レド、血ヲ取ル時、獣ハ死ニタルモノナル可カラズ。然モ無クバ、悪霊ノ恐ル可キ怒リヲ招カン。良キ生贄ナレバ、悪霊汝ニ魔力ヲ授ケ、汝ハ富ミ栄エテ、隣人ノ上ニ立タン


神秘大宇宙 Mysterious Unseen Universe
 アール著。


侵略者の書 Book of Invaders
 アイルランドに侵攻したギリシア人の歴史を綴った書だというが、詳細は不明。


水神クタアト Cthaat Aquadingen
 無名氏の手になる悍しい書物。クトゥルーやオトゥームなど水の旧支配者を召喚する呪文や召喚儀式を集成した伝説の書。世界に三冊しか現存しないという。一冊はタイタス・クロウが所蔵し、もう二冊は大英博物館に所蔵されているがほとんどの場合は閲覧できない。一冊をエイマリー・ウェンディー‐スミスが所蔵していたというが、彼のコテージが崩壊してからの行方は不明。
 〈ナイハーゴの葬送歌〉に関する記述、〈旧神の印〉の創り方についての教示、サトラッタ秘術にまつわる解説、短い一章を割いての〈夢においてクトゥルーに語りかける〉方法、ツァトゥグアの儀式にかかわる四ページに及ぶ詳説などがある。
 この書物によれば、旧神が旧支配者に科した戒めとは肉体的精神的なインプラントであるとされている。
 人間の皮膚で装丁されており、雨が近づくと汗をかく。

〈主たる神〉の多くにより行われし理、此の時も彼の時も如何の時も、〈光の道〉をなすものなり。またあらゆる時と空と地において、〈大いなる総て〉に資するものなり。されど翻意ある〈黒き神〉、〈主たる神〉の意を軽んじ、その無限の生を阻む――絶えざる〈黒き道〉の冥きにおいて。さればその罪により、時と空の諸処に追いやらる。なれど〈黒き神〉、追われしのちも〈主たる神〉に挑まんとす。しかれば〈光の道〉を歩む者ら、〈黒き神〉をなべての智の外へ堕とさんと欲し、〈光の道〉の怒りと戒めをそのものらの魂に負わさんとす。よってそのものらの軀に幾代となく続く烙印を捺す。印は劫罰となりて、親より子へ子より孫へと久遠に伝わる。あるいは途上で縛め崩ると見せ、星に囚わるもの星間に囚わるもの時空に囚わるものすべてを偽りによりて導く――〈闇の道〉の最奥の闇へ。かくて〈大いなる総て〉は集いて一となり、アザトース来たりて黄金の栄えを得、無限の生再び始まらん……

すべての忌まわしきものの――また未来におけるさらに悪しきものの――父にして母(シュブ=二グラスについて)

起て!
名状し難きものどもよ
汝の時機に
汝の選民は
汝の呪文と魔力もて
汝の妖夢と魅惑もて
汝の到来を知らん
我らの主、ク・リトル・リトルの騎士、
翠緑の淵にまどろみし
オトゥームの愛のために
汝の快楽を求めん……


水棲動物 Hydrophinnae
 ハイドロフィネ。ガントレイが著した海の魔物への言及を含む書物。


随想二十一篇
 紀元一世紀、ローマ皇帝ウェスパシアヌスの治世中に著された、軍の高官だった貴族ウィテリウス・プリスクスの著書。
 オカルトを扱った書物で、ローマのきわめつけの放蕩者でさえ嫌悪する、忌まわしいものを経験したと主張した。この書は発禁処分にされプリスクスの名は初期共和国にまで遡る記録から抹消されて、プリスクス家は召使いや奴隷もろとも全員が殺された。プリスクス本人はエジプト副知事時代に交わった深きものどもに変じた。


崇高なるアメリカのキリスト教徒
 アメリカにおけるキリスト者の偉業とも。コットン・マザー牧師著。


数秘術
 グロスマン著。一七七六年にウィーンで刊行された。

二十二は王の数なり! 22は大いなる者の数なれば、栄えある言葉のうちでのみ語られるべし。大いなる知と力を持ち、みなに敬われ慕われる者なれば――また魔術を知る者なれば! さよう、この者こそは魔術師の王なり。されど警告一つあり。世に昼と夜があるがごとく、魔術にも二種あり――白と黒との!


スシアナとバビロニア
 レヤード著。


西欧における魔女信仰 Witch-Cult in Western Europe
 西ヨーロッパの魔女儀式とも。英国の歴史民俗学者マーガレット・マレー女史が一九二一年に刊行した古典的研究書。
 魔女信仰がキリスト教以前の土着信仰の残滓であるという仮説を提示し、大きな議論を巻き起こした。


精神寄生体 THE MIND PARASITES
 マインド・パラサイト。ギルバート・オースティン教授の様々な原稿、録音テープ、対話記録を合成して文章にしたもの。二〇〇七年にオースティン教授が失踪した後ほどなくして初版が出版された。ただしそれは現行のものの半分くらいの大きさで、主にスペンサー大佐の要請によってつけられた注釈とロンドン大学図書館に保管されている十二XM号の録音テープからなっていた。
 二〇一二年に出た版では二〇〇四年一月十四日にレスリー・パーヴィジョンが速記した対話の写しとオースティンが『歴史評論』に書いた論文二つ、彼がカレル・ヴァイスマンの『歴史的回想録』につけた序文の要旨が挿入された。
 二〇一四年に出た版では旧版を全て改め、シルヴィア夫人の手にあったが現在は世界史料保管所に保管されているマーティナス・ファイルから新規の資料を追加したもの。


精神的飢餓状態における動物の色彩感覚
 カレル・ヴァイスマン博士著。原稿で、出版されていない。


聖なるエジプト
 ヒエロン・アイギュプトン。ペルガモンの羊皮紙にギリシア語で記されている。パピルス巻子もある。


セヴァン谷の伝説と慣習 Legendry and Customs of the Severn Valley
 ヒル著。セヴァン谷の郷土史。


世界の実相 Image du Monde
 ゴーティエ・ド・メッツ著。読む者を発狂せしめる冒涜的内容に満ちているという。


石碑の民(石碑の人びと) The People of the Monolith
 狂気の天才詩人ジャスティン・ジョフリイの詩。
 ハンガリー旅行中、シュトレゴイカバールで目にした黒い石に触発されて書かれた。

太古の民 碑に戒めを刻みたり
冥界の力を用うる者
おのずからに災禍を降らしめ
弔わんとて弔わるることなかれと……(以上、第二節)

おお 女王よ 生きながら廟に閉ざされ
その玉座 もはや呪われることもなからん

女王の秘密 ピラミッドの下に埋められ
沙漠の砂 跡形もなく覆いつくさん

〈鏡〉もともに葬られ
深き夜に異界よりの〈魔〉を映さん

かくて〈魔〉とともに囚われ
女王 怒りのうちに――死なん!


セラエノ断章 Celaeno Fragments
 原本は壊れた石版らしく、ミスカトニック大学付属図書館にラバン・シュリュズベリイ博士の手によって書かれた鍵のついた二つ折り本が所蔵されている。
 旧神や旧支配者の秘密が記されている禁断の書。

〈旧神〉の黄金の蜂蜜酒は、それを飲む者を時空の束縛から解き放ち、時空の旅を可能にさせる。また感覚を鋭敏にし、常に覚醒と夢の境にとどまらせる……


象牙の書 Liber Ivonis
 エイボンの書の異称。


ゾハール Zohar
 ゾハールの書、光輝の書とも。カバラの経典。
 十三世紀後半にスペインで書かれた、約二十巻からなる大冊。


ソフィストの生涯 Vitae Sophistrarum
 エウナピウス著。




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