アーマー・オブ・ファヴニール(技能)
 →悪竜の血鎧


アイスコル(家名)
 セレニケ・アイスコル・ユグドミレニアの家系。比較的古い血筋の黒魔術師の家系で、中世の魔女狩りによってやむを得ず西欧からシベリアに移ったのだが、そのせいで魔術基盤を失い衰退していった。


アインツベルン(家名/魔術師)
 魔術師の家系。錬金術に長けており、冬木の聖杯を造り上げ、冬木市で遠坂、マキリとともに聖杯戦争を創始した。
 第二次聖杯戦争に敗北し、その雪辱のため第三次聖杯戦争では反英雄アンリマユをアヴェンジャーとして召還するか、大聖杯のシステムを悪用してルーラーを召還するかを検討し、後者を採用した。召還された天草四郎時貞には際立った能力はなかったが、他のサーヴァントに対する令呪という圧倒的なアドバンテージを活かして勝ち進んでいった。しかしダーニック・プレストーン・ユグドミレニアが偶然にも大聖杯を発見し、その強奪を目論んだことで聖杯戦争が混乱し、生き残りのサーヴァントは相討ちとなり、アインツベルンのサーヴァントも死亡。遠坂とマキリも撤退し、第三次聖杯戦争は有耶無耶のまま終結した。
 アインツベルンは大聖杯を強奪されてからも聖杯を諦めておらず、新たな聖杯を作り出そうとしているらしい。冬木の大聖杯を失ったことで大きく衰退したもののまだ技術的な優位性は大きく、同じ錬金術師であるムジーク家がアインツベルンに追い付くにはゴルドの後三代続けて奇跡的な天才が生まれなければならないほど飛び抜けている。


アイントプフ(用語)
 ドイツの家庭的なスープ料理。ドイツ風ポトフとも言える。
 スープにヴルスト、ジャガイモ、人参、玉葱、レンズ豆などを入れて煮込んだもので、スープはトマトやコンソメなど何でもよい。


アヴィ・ディケイル(人名/魔術師)
 ユグドミレニアの魔術師。
 専門は召喚術。ミレニア城塞の警備では警備用の低級悪霊のメンテナンスを担当しており、その警戒解除暗号を知っていた。聖杯大戦のサポートのためトゥリファス新市街地区に潜伏していたが、ミレニア城塞の警備情報を知っていたため黒のアサシンに拷問のうえ生きたまま焼かれ、心臓を抜き取られて殺害された。


赤のアーチャー(人名/サーヴァント)
 身長166cm。体重57kg。B78 W59 H75。
 赤の陣営のサーヴァント。赤のライダーと同郷。緑の衣装を纏った野性味溢れる少女。獣の耳と尾を具え、やや時代がかった口調で喋る。真名はギリシャ神話最高の女狩人アタランテ。宝具は『訴状の矢文(ポイボス・カタストロフェ)』と『神罰の野猪(アグリオス・メタモローゼ)』。聖杯に懸ける望みは『この世全ての子供らが愛される世界』。
 英霊としての誇りよりも野生の本能を優先できる狩人。森や大地の匂いが好きで、鉄の匂いが嫌い。大地の感触や匂いを感じ取るため、実体化していることを好む。守護神アルテミスから授かった『天穹の弓(タウロポロス)』という弓を使うが、これ自体は宝具ではない。また『神罰の野猪』を使ってカリュドンの猪に変貌すると、天穹の弓は『闇天の弓』に変化する。彼女の宝具は矢を放つという術理そのものである。
 アーチャーの特性として弓は引き絞る強さで威力が変動するのだが、イデアル森林で黒のセイバーを狙撃した際はAランクを超える物理攻撃力を持っていた。古代ギリシャにおいて無双の脚力を誇っており、『徒競走で己に勝てば添い遂げよう、ただし敗北すれば死を代償とせよ』という条件で掛け比べをし、追い抜いた男たちを悉く射殺したことがある。
 赤のキャスターに唆された赤のバーサーカーがミレニア城塞に向けて進撃した際は赤のライダーとともにそれを追跡した。イデアル森林で赤のライダーとともに黒のセイバーと黒のバーサーカーと戦闘になった際にはいち早く距離を取り、黒のセイバーを狙撃した。その後黒のバーサーカーに追撃された際は自分の矢が黒のバーサーカーに迎撃されていることを見て、すっぱりと黒のバーサーカーとの戦いを切り上げて撤退した。
 『虚栄の空中庭園』でミレニア城塞に攻め込んだ際は『訴状の矢文』で最初の攻撃を放ち、赤のランサーとともに黒のランサーと戦うが、途中で赤のバーサーカーが乱入したためそちらの相手に移行する。そうして戦い続けたため赤のバーサーカーは巨大な怪物にまで膨れ上がったが、そこにルーラーが現れた際にマスターからの指示で撤退した。その後、黒のキャスターに狙いを定めて再出陣する。しかし黒のランサーとダーニック・プレストーン・ユグドミレニアが吸血鬼に成り果てたためルーラーの令呪によって赤のランサー、赤のライダー、黒のアーチャー、黒のキャスターと共闘する。その最中に強制的にマスター替えをされるが、シロウ・コトミネへのマスター替えに同意したわけではなかった。後にシロウの願いを教えられ、聖杯戦争に於いて毒を飲まされるマスターに非があると判断してシロウをマスターとして認めた。
 トゥリファス市街地でのルーラーと黒のアサシンの戦いでは高所から観戦していたが、黒のアサシンが子供を巻き込んだことで彼女らを敵と判断し、六導玲霞を狙撃して殺した。黒のアサシンも別のマスターが現れないとも限らないという判断から射殺したのだが、それによって切り裂きジャックを構成していた怨念をジャックという軛から解き放ってしまい、その怨念に触れたことで強く影響されてしまう。以後、その怨念を守るべき子供であると信じ、それを消滅させたルーラーを激しく憎むようになる。またこの怨念の影響で右腕が黒く変色した。なお怨念それ自体はサーヴァントにとってはほぼ無害なもので、憑依を拒絶することも養分として吸収することもできるのだが、彼女自身がその怨霊の囁きに憐れみを抱いていたのである。
 黒の陣営が『虚栄の空中庭園』に襲撃をかけた際はルーラーの迎撃に出て、憎しみに染まるまでは使えなかった宝具『神罰の野猪(アグリオス・メタモローゼ)』を使用してカリュドンの猪となりルーラーを苦しめる。一度はジャンボジェットから突き落とされるが、『神罰の野猪』の力で腕を翼に作り替えて『虚栄の空中庭園』に戻ってルーラーを追撃する。しかし魔獣に変貌した赤のアーチャーを目撃して追ってきた赤のライダーに割り込まれ、彼とは『闇天の弓』と『宙駆ける星の穂先』で相討ちになりながらも『神罰の野猪』を引き剥がされ、正気に戻って赤のライダーとともに消滅していった。

 クラス別能力は以下の通り。
 対魔力:D…一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化。魔力避けのアミュレット程度。
 単独行動:A…現界の維持、戦闘、宝具の使用まで一切をマスターのバックアップなしにこなせる。ただし宝具の使用など膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。
 保有スキルは以下の通り。
 アルカディア越え:B…敵を含む、フィールド上のあらゆる障害を飛び越えて移動できる。
 追い込みの美学:C…敵に先手を取らせ、その行動を確認してから自分が先回りして行動できる。


赤のアサシン(人名/サーヴァント)
 身長167cm。体重51kg。B89 W58 H87。
 シロウ・コトミネと契約したサーヴァント。真名は世界最古の毒殺者にしてアッシリアの女帝セミラミスで、自軍のサーヴァントに対しては真名を開示している。宝具は『虚栄の空中庭園(ハンギングガーデンズ・オブ・バビロン)』と『驕慢王の美酒(シクラ・ウシュム)』。『虚栄の空中庭園』は現世で製作する必要があるもので、獅子劫界離と面会した時には既に材料が揃っており、三日ほどの儀式を執り行うだけの状態だった。その『虚栄の空中庭園』は黒のセイバーが消滅した頃に完成している。
 どこか退廃的な雰囲気を漂わせる絶世の美女。両手を繋ぐように黒い帯を纏っており、その帯は大きな鋲を手の甲から掌へ貫通させることで手の甲に固定している。肉体に神魚の鱗を出現させて防御することができるが、これは赤のライダーの本気ではない槍の一撃で簡単に砕けてしまう。
 彼女にとって『女』は自分一人だけである。子を孕ませるための雌は必要であるが、女として振る舞い男を自由にしてよいのは自分だけの特権だと考えている。
 魚神デルゲットとシリア人の男との間に生まれた娘。生まれた直後に人との間に生まれた子は恥であると言われて母に捨てられ、父は恥じた母によって殺された。しかし神の血を引くセミラミスは生まれながらに水辺に適応しており、また鳴き声に応じて集まった鳩たちによって育てられた。その10年後に牧人の男に見出されて人間社会に組み込まれたが、その時には既に女を憎み男を嘲るという彼女の内面は完成していた。生前は夫であるニノス王を毒殺しており、これが世界最古の毒殺とされる。
 アサシンとして召還されながらも二重召喚のスキルによってキャスターとしての能力も備えている。シロウとともに己の野望を果たすための策謀を巡らせる。王とは暴虐でなければならないと考えており、王を王とも思わぬ豪放磊落な赤のライダーとは致命的に相性が悪い。赤のセイバーは赤のアサシンに母モルガンと同じ危険な陰謀の匂いを感じている。
 召還された時にシロウの望みを聞かされており、その時ばかりは傀儡を用意してマスターを交換しようとも思ったが、今となってはシロウの望みは自分の望みも同じとして協力を惜しまない。また聖杯大戦の前からシロウの真名を知らされている。願いは女帝として君臨すること。シロウの野望は人類の救済そのものであり、救済の後に望みはないため、救済後の世界で玉座に座るのは赤のアサシンである。とはいえ、救済が成った世界には支配者は不要なため、これはシロウがセミラミスの協力を得るための方便であった。
 『虚栄の空中庭園』はどんな場所にあろうとも常に赤のアサシンの領域として扱われ、この空中庭園に居るならば赤のアサシンのステータス全てが強化され、魔法の域の魔術さえ行使できるようになる。ただし、赤のアサシンはこの空中庭園の外ではほぼ無力である。また空中庭園を動かしている間は操縦に専念するため、直接的な戦闘は行えない。しかし『虚栄の空中庭園』は陣地作成スキルにおける神殿をさらに上回る大宝具であり、ここに身を置いているのならばEXランクの魔術を行使することはできる。
 ジーン・ラム、ロットウェル・ベルジンスキー、ペンテル兄弟、フィーンド・ヴォル・センベルンがサーヴァントを召喚する前に毒を飲ませて正気のまま狂気の世界に誘い、以後軟禁を続けていた。令呪とマスター権をシロウに譲渡させて用済みになってからは万が一正気に戻るかもしれない彼らを殺そうとしていたのだが、頑としてマスター替えを認めない赤のランサーに阻まれて殺すことはできなかった。
 赤の軍勢が『虚栄の空中庭園』でミレニア城塞に攻め寄せた際は空中庭園の操作に専念するため直接的な戦闘はしていないが、竜牙兵と竜翼兵を大量に生み出し、さらに空中庭園に攻めて来た黒のライダーをEXランクの魔術で撃墜した。この神代の魔術は落雷や爆撃機による爆撃に匹敵する。しかし対魔力スキルがEXのルーラーを傷付けることはできない。
 シロウが五人のマスターたちと面会して何かしらの提案をしたときは、その提案が拒否される方に賭けてシロウから古い葡萄酒をせしめた。
 赤のバーサーカーが自爆の一撃を放ってミレニア城塞が半壊すると空中庭園を進めてミレニア城塞の地下に秘匿された大聖杯を空中庭園に落下させることで吊り上げた。
 黒のライダーの戦力では『十と一の黒棺』を2機か3機しか破壊できないと見ていたが、黒のライダーが捨て身で全機破壊したことに苛立ち、昏倒した黒のライダーを手ずから殺そうとするがそこに赤のセイバーの航空攻撃を受けて撤退する。その後王の間で赤のセイバーを迎え撃ち、『驕慢王の美酒』によるヒュドラの毒と召喚術で苦しめるが、獅子劫の血清で復活した赤のセイバーによって致命傷を負って撤退する。
 赤のランサーを打倒したジーク、カウレス、黒のライダーが大聖杯に向かう際にそれを妨害するが、『破却宣言』を持つ黒のライダーに食い止められ、一度は振り切られる。しかしシロウに戦いを挑もうとする黒のライダーに追いつき、シロウに令呪を使わせてその自由を奪う。最期はジークに討たれたシロウと口づけを交してその死を看取り、消滅した。

 クラス別能力は以下の通り。
 気配遮断:C+…サーヴァントとしての気配を絶つ。隠密行動に適している。自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。ただし毒を忍ばせる場合はこの限りではない。
 陣地作成:EX…具体的な材料を集めることで神殿を上回る空中庭園を形成することが可能。
 道具作成:C…魔力を帯びた器具を作成できる。セミラミスは毒薬に特化しており、それ以外を作成することは不可能。
 保有スキルは以下の通り。
 使い魔(鳩):D…契約を必要とせず、思念を送るだけで鳩を使い魔として使役できる。
 二重召喚:B…アサシンとキャスターの両方のクラス別スキルを獲得して現界する。極一部のサーヴァントのみが持つ稀少特性。
 神性:C…シリアの魚神であるデルケットと人間の間の娘。


赤のキャスター(人名/サーヴァント)
 身長180cm。体重75kg。
 シロウ・コトミネらと行動を共にするサーヴァント。シロウのことをマスターと呼ぶ。真名はウィリアム・シェイクスピア。宝具は『開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を(ファースト・フォリオ)』。
 シロウの真名を知らされており、野望やその手法についても予め知らされている。この野望を面白いと評価し、それゆえにつまらないマスターからシロウに鞍替えした。またルーラーの真名も旗を掲げた聖女であることからジャンヌ・ダルクであると見抜いていた。
 戦いも魔術も苦手という、通常の聖杯戦争であればマスターがよほど近接戦闘に優れてでもいない限り早々に敗退するであろうサーヴァントだが、聖杯大戦ではその非常に特異なスキルによって活躍の場は充分に作り出せる。自分が戦闘に於いて弱小であることを認識しているため、自分が戦力に数えられていないことをむしろ歓迎している。キャスターでありながら魔術はほとんど使用できため通常のキャスターとしての活動はしていないが、その分を赤のアサシンが二重召喚で補っている。
 自己保存スキルによってマスターが無事な限りは殆どの危機から逃れることができる。つまり本人は全然戦わないのだが、そのくせハイリスク・ハイリターンな戦術ばかり好む。またエンチャントスキルは基本的にマスターを戦わせる強化能力だが、彼自身は観客として戦闘を見物したり心境をいちいち聞いたりしてマスターを苛立たせる。
 彼用に作られた工房である書斎を持っている。執筆のためにタイプライターやパソコンを用意させたが、いずれもすぐに放り出して結局紙とペンで執筆している。聖杯大戦に関わる全ての人物の本を執筆していた。
 自著を携えており、事ある毎に引用する。彼にとって世界とは驚天動地の物語であり、そういった物語を紡ぐためには多少の欺瞞や唆しも厭わない。要するにトリックスターやトラブルメーカーの類である。壮麗な物語を紡ぐことを人生の目的としており、戦闘面に於いてはマスターの援護が中心となる。頻繁に自著からの引用を口にしては悦に入っている。
 サーヴァントを召喚する事が可能だが、「この庭園の主ならば、まるで問題ありません」という言葉からおそらくは『開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を』の発動が必要と思われる。このサーヴァントはクラスを与えられるわけではなく、単に魂と外見を再現しただけの脆弱な存在にすぎず身体能力ではキャスターのクラスにも劣るが、『開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を』の効果が切れた後も現界し続けることができる。
 シロウ・コトミネと獅子劫界離が面会した頃に赤のバーサーカーを唆してトゥリファスに進撃させた。
 『虚栄の空中庭園』でミレニア城塞に攻め入った際にはシロウにエンチャントで宝具化した刀を与え、共に行動した。直接の戦闘行動はしなかったが、戦闘を切り上げて撤退する際には追撃してくる黒のバーサーカーを食い止めるため『劇団』を使ってヴィクター・フランケンシュタイン博士の幻を見せて足止めした。
 『虚栄の空中庭園』に侵入したルーラーを迎え撃ち、『開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を』で彼女の心を折ろうとする。ジャンヌ・ダルクの死をきっかけに狂ってしまったジル・ド・レェをサーヴァントとして召喚して死そのものを否定するシロウ・コトミネの理想を認めさせかけるが、その頃に竜告令呪を使い切ったジーク=黒のセイバーのステータスが消滅に変更されたことで却って死を無意味にするそれを否定されてしまう。ルーラー、ジークとシロウの戦いを生き延び、崩壊し続ける『虚栄の空中庭園』の中で執筆しながら消滅していった。

 クラス別能力は以下の通り。
 陣地作成:C…魔術師として自らに有利な陣地を作り上げる。しかし彼が作るのは魔術の工房ではなく、物語を紡ぐ書斎である。
 道具作成:-…道具作成スキルは『エンチャント』スキルによって失われている。
 保有スキルは以下の通り。
 エンチャント:A…概念付与。他者や他者が持つ大切な物品に強力な機能を追加する。
 自己保存:B…自身にはまるで戦闘力がない代わりに、マスターが無事な限りは殆どの危機から逃れることができる。


赤のセイバー(人名/サーヴァント)
 身長154cm。体重42kg。B73 W53 H76。
 獅子劫界離と契約したサーヴァント。真名はモードレッド。宝具は『燦然と輝く王剣(クラレント)』と『我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)』、『不貞隠しの兜(シークレット・オブ・ぺディグリー)』。『我が麗しき父への反逆』は『燦然と輝く王剣』の全力解放形態のことである。魔術協会が用意した、ブリテンの円卓の木片を触媒に召還された。
 鎧はフルフェイスの兜が付いた重厚な全身鎧。戦い方は真っ当な騎士のそれではなく、両手剣を片手で使い空いた拳で殴ったり、剣を投擲したりとかなり乱暴。一般人に被害が出ることを嫌っている。騎乗スキルのランクはBだが、正史とは効果のランクが異なるのか正史におけるAランクの効果を有している。運転は非常に荒い。
 傲岸不遜で過剰なまでの自信に満ち溢れた騎士。ステータス隠蔽のため戦闘時は『不貞隠しの兜』で顔を隠している。女と言われると激怒するが、女物の服を着ることには抵抗がない。聖杯に賭ける願いは当初は選定の剣を抜いて王になることだと思っていたが、最終的には父王アーサーの孤独を癒したいという事だった。選定の剣については自分ならば間違いなく抜けると確信している。
 騎士王アルトリア(アーサー)・ペンドラゴンとモルガンの息子、とされるが、アルトリアのクローンであるため女性であり、アルトリアと同等の肉体を持つ。武も政も父と同等にこなしていたが、不義の子という出自を理由に即位を拒まれ、アーサー王の治世は無意味であったと思い知らせるために叛逆した。それだけに円卓の欠片を触媒にして召喚されたことを忌々しく思っている。嫌っている母モルガンと似ているため、赤のアサシンを極度に嫌悪している。
 アーサー王のクローンであるホムンクルスで、人間よりも成長(老化)がかなり早い。かつてはアーサー王を深く尊敬しており、母モルガンから自身がアーサー王のクローンであることを教えられたときはそれを大いに喜んだ。しかしそれをアーサー王に伝えた時に『王位を譲るつもりはないし息子とも認めない』と切り捨てられたことでアーサー王を憎むようになり、後に燦然と輝く王剣を奪って反乱を起こし、カムランの丘でアーサー王に一騎打ちを挑むが聖槍ロンゴミアントで胸を貫かれて死亡した。
 シロウ・コトミネにシギショアラの山上教会に呼び出された際に真名の開示を求められるが、獅子劫と協議の上これを拒否し、以降は他の六組と合流することなく単独行動を取る。この際に顔を合わせた赤のアサシンに母であるモルガンと同じ危険な陰謀の匂いを感じている。
 調査に赴いたシギショアラで黒のアサシンの奇襲を受ける。この時に女性であることを見破られて『解体聖母』を使われそうになるが、視界を奪う『暗黒霧都』を赤雷で吹き飛ばしたことで意図せずそれを防いだ。その後、黒のアーチャーの狙撃を紙一重で回避し、撤退した黒のアサシンに代わり黒のアーチャーと戦う。黒のアーチャーの矢を悉く打ち落として肉薄するが、総合格闘技パンクラチオンで投げ飛ばされ、黒のアーチャーも取り逃がした。
 その後、シボレー・コルベットを運転して赤と黒の陣営が戦っているイデアル森林に突入し、停車した所にいた黒のライダーと戦闘に入る。黒のライダーとの戦闘は終始有利に進めたが、あと一歩というところで黒のバーサーカーの奇襲を受ける。奇襲の効果はほとんど無かったため簡単に返り討ちにして黒のライダーも屠ろうとしたが、さらにアストルフォの剣を持ったジークに一太刀浴びせられたため彼を斬り伏せる。その後、とどめを刺したはずの黒のバーサーカーが『磔刑の雷樹』を発動したため令呪で転移させられるが、雷撃が追尾してきたため深手を負う。改めて黒のライダーと戦おうとしたところ、ジークが蘇生して黒のセイバーに変身したためこれと戦う。
 変身したジークの皮膚が剣を防いだことを何らかの力で防いだのではなく単純に硬かったのだと見切り、獅子劫が提案した『黒のセイバーとの戦いに限り令呪で強化する』という方法に同意する。これは単純に硬いのなら強い一撃を連続して加えれば押し通せると判断してのことだった。宝具の撃ち合いでは競り勝つが殺しきれなかった事に怒り、とどめを刺そうとするも。赤のバーサーカーが接近していることを察知すると霊体化して難を逃れた。その後、武装を解除して黒のライダーらの元に戻り、黒のライダーにジークを殺すよう令呪で命じているセレニケ・アイスコル・ユグドミレニアの首を刎ねて殺した。それから『虚栄の空中庭園』に急ぐと言って消耗した黒のライダーとジークに危害を加えることなくその場を離れ、黒のアーチャーが放った矢を目印に『虚栄の空中庭園』に乗り込んで黒のアーチャーとルーラーと共に脱出した。
 ミレニア城塞に攻め寄せた『王冠・叡智の光』との戦いではルーラーに呼び出され、彼女をうまく言いくるめることで参戦の条件として令呪を一画補充することを認めさせた。戦いではジークが変身した黒のセイバーと共に両足を地面から離されて復元が出来なくなった『王冠・叡智の光』に宝具を放ち、それを打倒した。この際に黒のセイバーの宝具の真名を聞いたにも拘らずすっかり失念しており、後に黒のライダーがうっかりジークフリートの名を出すまで黒のセイバーの真名を知らなかった。
 ブカレストでは偶然にもジークと黒のライダーと合流して、喫茶店で情報交換をしつつ大量の食事を半ば強引に奢らせた。
 『虚栄の空中庭園』に襲撃をかける際にはユグドミレニアとは別行動を取り、獅子劫界離が入手したMiG-21近代化改修型を操縦して乗り込んだ。この途中で黒のライダーを殺そうとしている赤のアサシンを見つけたため、ありったけの兵装を叩き込むとともに斬りかかり、結果的に黒のライダーの命を救った。
 『虚栄の空中庭園』では多くの罠や竜牙兵を退けて玉座の間に辿り着いたが、『驕慢王の美酒』の毒と召喚術に苦しめられる。しかし念話で『死ぬより負ける方が嫌だ』と宣言したことで突入してきた獅子劫にヒュドラの毒の血清を注射されて復活し、赤のアサシンに致命傷を負わせる。その後、ヒュドラ血清によって死亡する獅子劫からマスター替えを提案されるもそれを拒み、アーサー王の最期を視て消滅した。

 クラス別能力は以下の通り。
 対魔力:B…魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化。大魔術、儀礼呪法等を以ってしても傷つけるのは難しい。
 騎乗:B…幻獣・神獣ランクを除く全ての獣・乗り物を自在に操れる。(通常Bランクは『大抵の乗り物は人並み以上に乗りこなせるが、魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない』とされるが、赤のセイバーはなぜかBランクでありながらAランクの効果を有する)
 保有スキルは以下の通り。
 直感:B…戦闘時に自己に最適な展開を感じ取る能力。未来予知に近く、視覚・聴覚に対する妨害を半減させる。
 魔力放出:A…武器ないし自身に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出して能力を向上させる。かの騎士王と互角に打ち合える実力を持つ。
 戦闘続行:B…往生際が悪い。聖槍で貫かれてもなお諦めず、騎士王に致命傷を与えた。
 カリスマ:C-…軍団を指揮する天性の才能。弾帯先頭において自軍の能力を向上させる。稀有な才能。モードレッドのカリスマは体制に反抗する時にその真価を発揮する。


赤のバーサーカー(人名/サーヴァント)
 身長221cm。体重165kg。
 赤の陣営のサーヴァント。真名はトラキアの剣闘士にして叛逆者の象徴スパルタクス。宝具は『疵獣の咆哮』。武器としてグラディウスを携えている。
 2メートルを超える大男で、一言でいえば筋肉の塊。常に微笑みを湛えている。狂化のランクが評価規格外という特異なもので、会話が可能なせいで意思疎通ができるように思えるが、まるきり相手の話を理解しないため結局意思疎通はできていない。そもそも命令を理解していないため、令呪による命令も二画重ねなければ身体への重圧程度の効果しかない。命令に従うことはほとんどなく、ただ強者を屠る事のみを喜びとする。
 生前はローマの剣闘士奴隷であったが、78人の仲間とともに脱走し、約3000人の追撃部隊を敗走させて各地の奴隷を武装蜂起させた英雄。最後は海賊に裏切られてローマ軍に切り刻まれたが、それまでは連戦連勝であった。すべての圧制者を憎み、強者に闘志を燃やし、何よりも叛逆するために戦う狂戦士。
 戦い方はとにかく力任せに殴り、叩き潰すだけのシンプルなもの。敵の攻撃を避けないため『疵獣の咆哮』の効果によりその力は増していく。
 シロウ・コトミネと獅子劫界離が面会した頃に赤のキャスターに唆されて圧制者(黒のランサーら)がいるトゥリファスのミレニア城塞に向けて進撃を始めるが、イデアル森林で迎撃され、黒のライダーの極刑王と黒のキャスターのゴーレムによって捕獲される。
 赤の勢力が『虚栄の空中庭園』でミレニア城塞に攻め込んだ際に黒のランサーの命で解放され、赤のアーチャーと赤のランサーが黒のランサーと戦っているところに乱入。その後は赤のアーチャーと戦い、『訴状の矢文』を含む無数の攻撃を受けることでその身体に魔力を貯め込んでいった。最終的に小山ほどの巨大な怪物にまで膨れ上がり、剣で砕いた岩石までも魔力で汚染してサーヴァントに傷を負わせるまでになった。
 赤のアーチャーが撤退するとルーラーと対峙していたが、赤のセイバーと黒のセイバーに変身したジークが宝具を撃ち合ったことを察知するとそちらに向かい、自爆の一撃を放って消滅した。その戦果はミレニア城塞を半壊させ、多くのゴーレムとホムンクルス、竜牙兵を吹き飛ばしただけで、サーヴァントやマスターへの被害はなかった。

 クラス別能力は以下の通り。
 狂化:EX…パラメーターをランクアップさせるが、理性の大半を奪われる。狂化していてもスパルタクスとは会話できるが、彼の思考は『常に最も困難な選択をする』に固定されているため、実質的に意思の疎通は不可能。
 保有スキルは以下の通り。
 被虐の誉れ:B…サーヴァントとしてのスパルタクスの肉体を魔術的な手法で治療する場合、それに要する魔力の消費量は通常の1/4で済む。また魔術の行使がなくとも一定時間経過するごとに自動的に傷が治癒していく。


赤のライダー(人名/サーヴァント)
 身長185cm。体重97kg。
 赤の陣営のサーヴァント。赤のアーチャーと同郷。真名は大英雄アキレウス。宝具は『疾風怒濤の不死戦車(トロイアス・トラゴーイディア)』『彗星走法(ドロメウス・コメーテース)』『勇者の不凋花(アンドレアス・アマラントス)』『宙駆ける星の穂先(ディアトレコーン・アステール・ロンケーイ)』と『蒼天囲みし小世界(アキレウス・コスモス)』。武器はトネリコの柄を具えた英雄殺しの槍。乗騎は使用する乗り物はポセイドンから授かった二頭の神馬を含む三頭立ての戦車。聖杯に懸ける望みは『英雄として振る舞う』こと。
 世界的な英雄で、ルーマニアにおける知名度もヴラド三世に匹敵する、まさに破格の英霊。王を王とも思わぬ豪放磊落な性格で、赤のアサシンとは致命的に相性が悪い。王に従う騎士からは最も離れた男で、気に入らなければ王命も公然と無視し、再び武器を取ったのは討たれた友の為だった。
 『勇者の不凋花』の効果によってあらゆる攻撃を無効化する。彼の体に傷を負わせることができるのは神性を持った者の攻撃のみ。敵対的な攻撃によって傷付けることはできないが、友愛を目的とした行動でなら傷付けることは可能。このため自然と赤のライダーと戦うのは黒の陣営で唯一神の血を引く黒のアーチャーとなったのだが、それによって生前に叶わなかった『偉大な師と全力で戦う』事に喜びを見出す。
 自由闊達な性格で、マスターの命令といえども不当な命令には従わない。赤のランサーと並ぶ強靭さを誇り、豊富かつ強力な宝具で圧倒する。槍術にも優れており、ランサーのクラスで召喚されても不思議ではない。その投擲用の長槍は両親の結婚祝いにケイローンが父ペレウスに贈ったもので、槍術の基礎はケイローンが教えた。敵に対してはとことん苛烈だが、味方ないし『良い奴』と認めた者に対してはとことん甘い。シロウの願いを聞かされるも、最後までそれが世界を救済するものであるかどうか悩んでいた。
 赤のキャスターに唆された赤のバーサーカーがミレニア城塞に進撃した際は赤のアーチャーとともにそれを追跡した。イデアル森林で黒のセイバーと黒のバーサーカーと戦った時には乗騎を出さず、たった二騎を相手に使うのは勿体ないと多大な自信を見せた。物理攻撃も通常のサーヴァントの攻撃も通用しない体を持ち、黒のセイバーが宝具を解放させられそうになった際は回避しようとせず、正面からそれを受け止めようとした。しかし黒のアーチャーの矢だけはその体を貫くことができたため、黒のアーチャーを宿敵と見定めて撤退した。
 赤の軍勢が『虚栄の空中庭園』でミレニア城塞に攻め込んだ際は戦車を駆って戦場に突っ込むが、三体のゴーレムによって止められ、黒のアーチャーとの戦いに入る。その最中に黒のアーチャーが師であり親友であるケイローンであることを知り、動揺しながらも正々堂々と戦った。赤のバーサーカーの自爆攻撃の際に一時撤退するが、その後黒のアーチャーとの戦いに再出陣する。しかし黒のランサーとダーニック・プレストーン・ユグドミレニアが吸血鬼に成り果てたためルーラーの令呪によって赤のアーチャー、赤のランサー、黒のアーチャー、黒のキャスターと共闘する。その最中に強制的にマスター替えをされるが、一度も会ったことがなくてもマスターはマスターであるとしてシロウ・コトミネへのマスター替えに同意していなかった。後にシロウの願いを教えられ、マスターとしては認めないまでも敵対しないという態度を取る。退屈ゆえの軽口からシロウと手合わせをすることになり、実力ではもちろん赤のライダーが圧倒していたのだが、それでも諦めずに紙一重で躱しながら立ち向かってくるシロウに感銘を受けてシロウをマスターとして認めるようになった。
 黒の陣営の『虚栄の空中庭園』への攻撃を迎撃する際には『疾風怒濤の不死戦車』を駆って出陣したが、黒のアーチャーにペーダソスを射抜かれ、その後は自身の判断でこれを引っ込めて白兵戦闘に移行、『宙駆ける星の穂先』で闘技場を展開して黒のアーチャーと純粋な殴り合いの勝負をした。その勝負には勝って黒のアーチャーの霊核を砕いたが、『宙駆ける星の穂先』の解除後に『天蠍一射』で踵を射抜かれて不死身の肉体が無効化された。その後、黒のアーチャーとの殴り合いの決闘の条件である約束を果たすために目を覚ました黒のライダーに『蒼天囲みし小世界』を託した。
 その後、カリュドンの猪に変貌した赤のアーチャーを追ってルーラーとの戦いに割って入り、『宙駆ける星の穂先』と『闇天の弓』で相討ちになりながらも『神罰の野猪』を引き剥がし、元に戻った赤のアーチャーとともに消滅していった。

 クラス別能力は以下の通り。
 対魔力:C…一第二節以下の詠唱による魔術を無効化。大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。
 騎乗:A+…獣であるならば幻獣・神獣まで乗りこなせる。ただし竜種は該当しない。
 保有スキルは以下の通り。
 戦闘続行:A…往生際が悪い。弱点であるはずのアキレス腱と心臓を射抜かれてもしばらく戦い続けた。
 勇猛:A+…威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。また格闘ダメージを向上させる効果もある。
 女神の寵愛:B…母である女神テティスからの寵愛を受けている。魔力と幸運を除く全ステータスがランクアップする。
 神性:C…海の女神テティスと人間の英雄ペレウスとの間に生まれた子。


赤のランサー(人名/サーヴァント)
 身長178cm。体重65kg。
 赤の陣営のサーヴァント。真名はマハーバーラタに名を残す、太陽の如く輝く黄金の鎧と神すら滅ぼす槍を身に着けた万夫不当の不死身の英雄カルナ。宝具は『日輪よ、具足となれ(カヴァーチャ&クンダーラ)』と『梵天よ、我を呪え(ブラフマーストラ・クンダーラ)』と『日輪よ、死に随え(ヴァサディ・シャクティ)』。聖杯に懸ける願いは特にない。
 太陽神スーリヤと人間の女性クンティーの間に生まれた。黄金の鎧はスーリヤから息子の証として与えられたもので、肉体と一体化したようになっている。常時展開している『日輪よ、具足となれ』、神槍、魔力放出スキルと、尋常ではない魔力喰らいである。魔力放出スキルは強力であるが、十秒も続ければ並の魔術師ならば指一本動かすことも出来なくなり、一流の魔術師でも自身の魔術を行使できないほどに疲弊するほどの魔力を消費する。むき出しの胸元には赤石が埋め込まれている。彼の槍は穂だけでも1メートルを超える長大なもの。宝具を解放していない、単なる武器としての攻撃であってもAランク相当の物理攻撃力を持っている。『魔力放出』スキルを持つが、赤のセイバーのそれとは違い炎に特化している。つまり魔力を膨大な熱量として放出するスキルである。
 一言でいえば武人で、下された命令がどういう事態に繋がるかについての思考を敢えて忌避しており、マスターの命令であれば逆らうことはない。令呪とマスター権は彼を召喚したマスターからシロウ・コトミネに譲渡されたにもかかわらず、シロウをマスターと認めていない。赤のアサシンが用済みになった5人の元マスターを殺そうとしていることを知っており、『虚栄の空中庭園』を警備する役割を受け入れつつも元マスターらを守護してその命を守り続けていた。
 シロウ・コトミネからトゥリファスに向かうルーラーを抹殺せよとの命令を受け、トランシルヴァニア高速道でルーラーに戦いを挑む。そこにゴルド・ムジーク・ユグドミレニアに率いられた黒のセイバーに割って入られたが、二対一でも構わないという絶大な自信を見せた。
 黒のセイバーとの戦いで再戦を願われたため、聖杯大戦では黒のセイバーとの再戦を望んで戦う。
 『虚栄の空中庭園』でミレニア城塞に攻め込んだ際は赤のアーチャーに先制攻撃を譲る代わりに一番槍を付け、赤のアーチャーとともに黒のランサーと戦う。『極刑王』の杭を三本受けるが、自分の身体に炎を循環させることでそれを焼き払い、黒のランサーに一撃を浴びせて『梵天よ、我を呪え』を発動する機会を窺う。しかし赤のバーサーカーの自爆攻撃によって戦闘は有耶無耶になって一時撤退し、改めて黒のランサーを狙って再出陣する。再戦では舞台を『虚栄の空中庭園』に移したため、知名度による強化を失った黒のランサーを圧倒する。しかし黒のランサーとダーニック・プレストーン・ユグドミレニアが吸血鬼に成り果てたためルーラーの令呪によって赤のアーチャー、赤のライダー、黒のアーチャー、黒のキャスターと共闘する。その最中に強制的にマスター替えをされるが、シロウ・コトミネへのマスター替えに同意したわけではない。あくまで自分のマスターは召還したマスターであり、それに仕える事は変わらないが、聖杯を獲得するという方向性は同じであり、黒のセイバーとの再戦のためもありシロウに協力することを決めた。
 黒の陣営が『虚栄の空中庭園』に攻め込んだ際に、『十と一の黒棺(ティアムトゥム・ウームー)』の破壊を試みる黒のライダーとジークを迎撃に出て、『梵天よ、我を呪え』を発動する。ジークが最初の三分間の変身を終えた時に元のマスターら5人をフィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアに託して脱出させ、改めてジークとの戦いを続けた。この戦いでは『日輪よ、死に随え』を発動してジークが持つ全ての竜告令呪を使わせたが、乱入して来た黒のライダーが持つ『蒼天囲みし小世界』で防がれる。直後にジークの斬撃を躱して背後を取るが、ジークの凡人ゆえの臆病さによる背後への刺突で胸を貫かれて消滅した。

 クラス別能力は以下の通り。
 対魔力:C…一第二節以下の詠唱による魔術を無効化。大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。ただし宝具である鎧の効果を受けている時はこの限りではない。
 保有スキルは以下の通り。
 貧者の見識:A…相手の性格・属性を見抜く眼力。言葉による弁明、欺瞞に騙されない。天涯孤独の身から弱き者の生と価値を問う機会に恵まれたカルナが持つ、相手の本質を掴む力。
 騎乗:A…幻獣・神獣ランクを除く全ての獣、乗り物を自在に操れる。
 無冠の武芸:-様々な理由から他者に認められなかった武具の技量。相手からは剣、槍、騎乗、神性のランクが実際より一段階低く見える。真名が明らかになるとこの効果は消滅する。
 魔力放出(炎):A…武器ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出することによって能力を向上させる。カルナの場合は魔力が燃え盛る炎となって使用武器に宿る。
 神性:A…太陽神スーリヤの息子であり、死後にスーリヤと一体化するカルナは最高の神霊適性を持つ。この神霊適性は神聖がB以下の太陽神系の英霊に対して高い防御力を発揮する。


アキレウス・コスモス(宝具)
 →蒼天囲みし小世界


アグリオス・メタモローゼ(宝具)
 →神罰の野猪


悪竜の血鎧(対人宝具)
 アーマー・オブ・ファヴニール。
 ランクB+。対人宝具。
 黒のセイバーの宝具。悪竜の血を浴びた逸話を具現化した宝具で、Bランク相当の物理攻撃および魔術を無効化し、Aランク以上の攻撃もBランク分の防御数値を差し引いたダメージとして計上する。正当な英雄から宝具を使用された場合はB+相当の防御数値を得る。ただし血を浴びていない背中は防御数値が得られず、隠すことも出来ない。
 ジークフリートはこの宝具を得た代償にサーヴァントのクラス別能力である対魔力スキルを失っている。


アラクネの布(用語/魔術)
 毒物を遮断する魔術礼装。アラクネが織ったタペストリーの断片とも言われるもので、神への捧げ物だけあってある程度の穢れを遮断することができる。
 ケイローン召喚の触媒を探す際に発見されたもので、ミレニア城塞の倉庫に保管されていた。ミレニア城塞が黒のアサシンに襲われた際にジークがこれを持ち出した。


アルカディア越え(技能)
 赤のアーチャー(アタランテ)の技能。
 B:敵を含む、フィールド上のあらゆる障害を飛び越えて移動できる。


アルジュナ(人名)
 古代インドの英雄。『輝く王冠(キリーティ)』『勝利者(ヴィジャヤ)』『富める者(ダナンジャヤ)』など様々な異名を持つ、あらゆる者に愛された男。
 カルナが唯一心をかき乱された男であり、赤のランサーが黒のセイバーとの戦いに拘ったのはジークフリートがアルジュナに似ていたからである。


アルツィア(人名/ホムンクルス)
 ユグドミレニアのホムンクルスの一体。少女型で、魔術に詳しい。
 黒のアサシン討伐に際してルーラーと黒のライダーの組に付けられた。


アルマ・ペトレシア(人名)
 ルーラーが投宿した教会のシスター。トゥリファスで生まれ育った。
 ユグドミレニア一族を見張る任務を帯びた聖堂教会の監視者。平常時はシスターとしての務めを果たし、ユグドミレニアに動きがあれば報告するという監視任務を20年間続けている。
 ルーラーが教会を訪ねて来た時はユグドミレニアの魔術師かと思ったが、それと教会は救いを求める者には門を開くという事は別であるとしてルーラーを泊めた。その後、それがルーラーとして召還されたジャンヌ・ダルクであるという連絡が届いた。
 イデアル森林での戦いの翌日、自分が聖堂教会の監視者であることをルーラーに明かした。


暗黒霧都(結界宝具)
 The Mist。
 黒のアサシンの宝具。ランクC。結界宝具。
 霧の結界を張る結界宝具。産業革命の後の1950年代、ロンドンを襲った膨大な煤煙によって引き起こされた硫酸の霧による大災害を再現する宝具。骨董品のようなランタンから発生させるのだが、魔力によって発生させた硫酸の霧(スモッグ)自体が宝具である。このスモッグには指向性があり、霧の中にいる誰に効果を与え、誰に効果を与えないかは宝具の使用者が選択できる。
 強酸性のスモッグであり、呼吸するだけで肺を焼き、目を開くだけで眼球を爛れさせる。魔術師ならばダメージを受け続け、一般人ならば数ターン以内に死亡する。サーヴァントならばダメージを受けないが、敏捷がワンランク低下する。霧によって方向感覚が失われるため、脱出にはBランク以上の直感、あるいは何らかの魔術行使が必要になる。概念的なものであるため、風で吹き飛ばすことはできない。常識外れの対魔力スキルを持つルーラー(ジャンヌ・ダルク)に対しては視界を遮るだけで敏捷のランクダウンさえ与えられない。


アンタレス・スナイプ(宝具)
 →天蠍一射


闇天の弓(宝具)
 タウロポロス。
 赤のアーチャー(アタランテ)の宝具『天穹の弓』が、赤のアーチャーがカリュドンの猪に変貌する事で変化したもの。


アンドレアス・アマラントス(対人宝具)
 →勇者の不凋花


アンリ・コアンダ国際空港(地名)
 ルーマニアの首都ブカレストにある空港。旧称はオトペニ空港だが、2004年5月にルーマニア出身の技術者アンリ・コアンダにちなんで現在の名称に改められた。
 黒の陣営がここから飛行機を使って『虚栄の空中庭園』への攻撃に出発した。その際には12時間ほどユグドミレニアの貸し切りにしたのだが、これにかかった費用はフィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアが考案した魔術礼装5つ分だった。



  


イデアル森林(地名)
 トゥリファス東部に広がる森林。



  


ヴァサディ・シャクティ(宝具)
 →日輪よ、死に随え


ヴォールメン・ハイドラグラム(用語/魔術)
 →月霊髄液


ウツボ(用語/魔術)
 赤のアサシンが召喚する魔獣。魚の女神デルゲットを母に持つセミラミスにしか召喚できない古代種の神魚。


虚ろなる生者の嘆き(技能)
 サーヴァントのスキル。
 D:黒のバーサーカー。狂化時に高まる、いつ果てるとも知れない甲高い絶叫。敵味方を問わず思考力を奪い、抵抗力のない者は恐慌を来して呼吸不能になる。


右腕・悪逆捕食(対人宝具)
 ライトハンド・イヴィルイーター。
 天草四郎時貞の宝具となった右腕。未来視など戦闘面に於ける補助を担う。ランクD対人宝具。レンジ1。最大捕捉1。
 苦難の道を歩む信徒たちに希望を抱かせるために奇跡を起こし続けた天草四郎時貞の右腕が宝具と化したもの。あらゆる魔術基盤に接続し、いかなる魔術も行使可能にする万能鍵。『左腕・天恵基盤』と同じく本来は天草四郎時貞が持つことのなかった力であるが、それを奇跡という形で顕現させるもの。あらゆる場面で万能ではあるが、通常のサーヴァントとして召還された場合は決め手に欠ける。
 右腕は『心眼(真)』に類似した能力を発揮し、洗礼詠唱を強化する。


右腕・零次集束(用語)
 ライトハンド・ビッグクランチ。
 シロウ・コトミネがルーラーの『紅蓮の聖女』に対抗するために採った手段。
 ありったけの魔力を右腕に注ぎ込み、その魔力を爆発ではなく集束させることでブラックホールの様にするもの。



  


英雄殺しの槍(武装)
 赤のライダーの武器。シンプルかつ堅牢な作りで投擲用らしい。宝具かどうかは不明だが、一撃で心臓を穿ち、一撃で頭蓋を貫通するらしい。


エインスカヤ(家名/魔術師)
 ユグドミレニアに組み込まれた魔術師の家系。集団術式を行使する一派。ツークツワンクという9人(あるいは10人)の魔術師から成る暗殺部隊を持つ。


エルメロイ(家名/魔術師)
 ライネス・エルメロイ・アーチゾルデの家系。
 ソフィアリ家とは表面上は穏健な関係を築いているが、隙あらば互いの足を引っ張り合っている。特にライネス・エルメロイ・アーチゾルテはエルメロイ家が窮地に陥った際にソフィアリ家が助けなかったことで恨んでいる。


エルメロイの姫君(人名/魔術師)
 →ライネス・エルメロイ・アーチゾルテ


エンチャント(技能)
 赤のキャスター(ウィリアム・シェイクスピア)の固有スキル。
 概念付与。何でもない物について記述することで、その記述通りの力を付与するスキル。要するに手っ取り早く概念武装を作り出すということ。このスキルによってシロウ・コトミネの刀はCランクの宝具に相当する力を得ている。

 A:赤のキャスター



  


追い込みの美学(技能)
 赤のアーチャー(アタランテ)の技能。

 C:敵に先手を取らせ、その行動を確認してから自分が先回りして行動できる。


王冠・叡智の光(対軍宝具)
 ゴーレム・ケテルマルクト。
 ランクA+。対軍宝具。
 黒のキャスターが生前に作ること叶わなかった未完成の宝具。至高のゴーレム、つまり神が作った原初の人間アダムの再現。体長15メートルほどのゴーレム。一度召還(起動)すると無尽蔵に魔力を求め続ける大喰らいであるため、黒の陣営はこれに魔力を供給するための炉心を造ろうとしていた。
 コンセプトは最も原典に忠実なゴーレム。つまり原初の人間アダムの再臨である。
 素材は高額ではあるもののどれもありきたりなものだが、生き続けている自然の材料が多い。これの具体的な姿について、黒のキャスターはロシェ・フレイン・ユグドミレニアに訊ねられても明確な返答を避けていた。完成したこれは木石と土と人体で創造された人工物であるが、自然の雄大さを取り込んだような美しさを持ち、見る者に神々しさを感じさせる。
 黒のキャスターとロシェは通常のゴーレムを鋳造する傍ら、イデアル森林の最北端の湖でこれを造っていた。黒のセイバーが脱落した時点ではほぼ完成していたが、最後の素材となる炉心、つまり一級の魔術師が必要だった。炉心の性能がそのまま宝具の力に反映されるため、炉心となる魔術師は百年級の魔術刻印を継承している程度の実力が必要であり、そのレベルの魔術師というと黒の陣営にはマスターとなった七人と後にジークと名乗るホムンクルスしかいなかった。そのため、黒のセイバーを失ったゴルド・ムジーク・ユグドミレニアが炉心の最有力候補とされた。しかし黒のキャスターがシロウ・コトミネにマスターを変更したため、最も相性の良いロシェが炉心として使用された。なお、炉心がなければ起動しても製造された湖から出ることができない。
 これの正体は自律式固有結界である。これに踏みしめられた大地には草木が生い茂り、空気には甘い蜜のような香りが漂い、それを呼吸すれば幸福感に満たされる。鳥獣は誘われて集まり、『王冠・叡智の光』に触れて純粋なエネルギーとして吸収される。つまり、ただ存在するだけで世界をエデンの園に塗り替える、ゴーレムの形をした固有結界なのである。そして世界が楽園に塗り替えられれば塗り替えられるだけ、世界からの祝福が増していき、『王冠・叡智の光』の力も増していく。また自律しているため、術者である黒のキャスターを倒しても停止しない。
 楽園では血を流す者は存在しないため、傷を負っても即座に復元され、傷は最初からなかったことになる。ただし大地からの祝福は両足の裏から流れ込むため、両足が地面から離れると損傷の復元ができなくなる。吸収した者の知識を引き継ぐことができる。武器は黒曜石の剣。
 炉心は心臓部分にある。『王冠・叡智の光』は人間やゴーレムよりもサーヴァントに近い存在であるため、弱点は心臓と頭部にある霊核である。しかし強力な復元能力を封じつつ二か所にある霊核を同時に破壊するというのは非常に困難なことである。
 ルーラーが攻撃を凌いで隙を作り、黒のアーチャーの射撃と黒のライダーの『触れれば転倒!』で両足を地面から離され、赤のセイバーとジークが変身した黒のセイバーの宝具によって打ち倒された。


黄金律(技能)
 黒のセイバーの固有スキル。
 人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。ジークフリートはニーベルンゲンの財宝によって金銭に困らない人生を約束されているが、このスキルによって幸運がランクダウンしている。


乙女の貞節(対人宝具)
 ブライダル・チェスト。
 ランクC。対人宝具。黒のバーサーカーの宝具。
 樹枝状の放電を纏う戦槌であるが、打撃武器としての用途は副次的なものにすぎない。先端の球体は黒のバーサーカーの心臓そのものであり、戦闘時以外も肌身離さず所持している。尾部のフィンと本隊側部のフィンによって電流の供給が行われる。自分や周囲から漏れる魔力を効率よく回収し蓄積するため、周囲に余剰の魔力が豊富に発生し続ける戦闘時はガルバニズム(ガルバーニの電気のこと)と併せて疑似的に『第二種永久機関』の動作をする。そうして溜め込まれた魔力は心臓を通してバーサーカーの魔術回路に流れ込み、疑似的な魔力放出さえ可能とする。必殺の武器ではないが、黒のバーサーカーは魔力を吸収することで半永久的に戦い続けることができる。



  


カール・レクサーム(人名/魔術師)
 ユグドミレニアの魔術師。
 黒魔術が専門で、住居の地下室で魔術を実践していた。聖杯大戦のサポートのためトゥリファス新市街地区に潜伏していたが、黒のアサシンに頸動脈を切断されて殺害された。


開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を(宝具)
 ファースト・フォリオ。
 赤のキャスター(シェイクスピア)の宝具。シェイクスピアが生前に書くことが叶わなかった書物。彼の死後に発表された戯曲集『最初の一冊』と同名。
 世界を改変する宝具であるが、世界そのものを改変するのではなく脚本を生み出して対象に物語を強制させる舞台宝具。精神に影響する宝具であり、肉体的な影響を与えることはできない。赤のキャスターはナレーションや登場人物の口を借りて対象者に語りかけることができる。


解体聖母(宝具)
 Maria the Ripper。
 黒のアサシンの宝具。ランクD〜B。対人宝具。
 通常はランクDの4本のナイフだが、条件を揃える事で当時ロンドンの貧民街に8万人いたという娼婦達が生活のために切り捨てた子供たちの怨念が上乗せされ、凶悪な効果を発揮する。
 条件とは『夜である』『対象が女性(雌)である』『霧が出ている』の三つで、これを全て揃ったときに宝具を使用すると対象の身体の中身を問答無用で体外に弾き出し、解体された死体にする。条件が揃っていない場合は単純なダメージを与えるのみだが、条件が一つ揃うごとに威力は増していく。
 解体聖母の本質は数千数万の胎児の怨念による呪いである。この宝具はナイフによる攻撃ではなく呪いであるため、遠距離でも使用可能。これは殺人現場の再現であり、犠牲者は解体され、臓器を奪われ、血液を喪失させられ、結果的に死亡する。まず殺人があって、次に死亡し、その後に理屈が遅れてやってくるのだから、迎撃も回避も抵抗も無意味である。この効果を防ぐには物理的な防御力ではなく呪いへの耐性が必要となる。


怪力(技能)
 一時的に筋力を増幅させる能力。stay nightでは魔物、魔獣のみが持つ攻撃特性とされている。
 C-:黒のライダー。筋力を1ランク向上させることが可能。ただしこのスキルを発動している場合は1ターンごとにダメージを負う。


カヴァーチャ&クンダーラ(宝具)
 →日輪よ、具足となれ


カウレス・フォルヴェッジ・ユグドミレニア(人名/魔術師)
 Caules Forvedge Yggdmillennia。
 身長172cm。体重63kg。血液型A型。3月23日生まれ。18歳。
 ユグドミレニア一族の魔術師で、フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアの弟。黒のバーサーカーのマスター。
 魔術系統は召喚術。優秀な姉フィオレと比較して才能面で劣る凡庸な魔術師。魔術回路の質・量及びそれに伴う魔力貯蔵量は、カウレスがポリタンクとしたらフィオレは石油コンビナートと評されるほど圧倒的な差がある。召還術者として残留思念の再生もできるのだが、残留思念との同調と痛覚遮断のバランスを取る事が上手ではない。自身が戦う場合は低級の悪霊や獣を召喚する魔道具、豹の使い魔、体内に潜り込んで激痛を与えるミミズなどを用いる。
 科学では起しえない不条理な現象を掴むという魔術自体は好きなのだが、かといって魔術に一生を捧げて人間らしさとかけ離れた魔術師になろうとは思っていない。しがない魔術師として一生を終えるか、別の道に進むか悩んでいた。しかしそこに聖杯大戦の話が降って湧き、当初はフィオレのバックアップを命じられていたのだが、ルーマニアを訪れた途端に令呪の兆しが顕れてしまい、渋々マスターの役目を受け入れる。
 聖杯に懸ける願いは一応の所は根源の渦に至るというものだが、他の願いがあるような気もしている。
 情報化社会においては魔術師もそれに対応せねばならないと考えており、自室にコンピュータを導入してネットワークを利用している。
 幼い頃に父が拾ってきた野良犬が魔術の教材であることを見抜いていたが、犬をペットとして可愛がっていたフィオレには伝えられなかった。また教材であると見抜いていたため、それが教材として使われて惨死した時もフィオレのような衝撃は受けなかった。
 フィオレの知己のフリーランスの魔術師から買い取ったフランケンシュタインの設計図と『理想の人間』という文字が書かれた古い紙を触媒に黒のバーサーカーを召還する。
 フィオレがシギショアラに向かった直後に電子メールでシギショアラに詰めていた魔術協会の魔術師たちが次々と殺害されているという情報を得て、黒のアサシンが黒と赤の両陣営と対立していた場合には三つ巴の状況になると推察し、黒のバーサーカーをミレニア城塞の守りのために残して単独でフィオレの支援に向かった。シギショアラでは窮地に陥っていたフィオレを見事に救出し、ともに撤退することに成功した。
 赤の軍勢が『虚栄の空中庭園』で攻め寄せた際には使い魔を通じて遠巻きに戦いを見守り、黒のバーサーカーが赤のキャスターの『劇団』によって狂乱したのを見るや令呪を使って冷静さを取り戻させた。その後、第二の令呪でブーストをかけた黒のバーサーカーに赤のセイバーを奇襲させる。その後、胸を貫かれた黒のバーサーカーが自ら『磔刑の雷樹』を発動することを望んだため、それを第三の令呪でバックアップした。この時、黒のバーサーカーに愛着を持っていたカウレスは深く悲しみ、赤のセイバーが令呪で転移して仕留めきれなかったことを知ると黒のバーサーカーを無駄死にさせてしまったと悔やんだ。
 イデアル森林での戦いの後、黒のアーチャーへの魔力供給をフィオレと分担するように経路を繋いだ。黒のアサシン討伐に際しては黒のアーチャーと一緒にトゥリファス旧市街地区の消息を絶った魔術師の家を捜索した。その際に拷問された魔術師とされていない魔術師の差異からの推理とアヴィ・ディケイルが殺害された時の残留思念の再生によって黒のアサシンが警備をすり抜けてミレニア城塞に侵入したことを見抜いた。
 大聖杯を奪った『虚栄の空中庭園』に襲撃をかける際には計画段階では参加希望をフィオレに拒絶されていたが、ユグドミレニアの魔術師を降りる事を決めたフィオレに代わって魔術師として生きることを決意する。それに伴い、襲撃の前にフィオレからフォルヴェッジの魔術刻印の7割を一度に移殖された。その際にルーラーから聖骸布を譲渡された。襲撃に際してはジャンボジェットではなくフィオレと共に小型のジェット機を使用して『虚栄の空中庭園』に潜入した。赤のランサーに本来の赤のマスター5人を保護するよう頼まれた際はフィオレにその役目を託し、自分は残ってジークと赤のランサーの戦いを見届けた。この戦いの後、竜告令呪を使い切ったジークに聖骸布を譲渡した。
 ジークとともに大聖杯に至り、そこでジークとシロウ・コトミネの戦いを見届ける。この際にジークの中に黒のバーサーカーを見た。その後、ヒポグリフに同乗して『虚栄の空中庭園』を脱出した。
 戦後処理は一族の長であり優秀な魔術師であったダーニックの命令に逆らえなかったという事にして全ての責任をダーニックに押し付け、ユグドミレニアが積み上げてきた研究成果や特許などをほぼ全て譲渡する形で賠償に充てた。ユグドミレニアの解散後は体のいい人質のような形で魔術協会に戻った。


疵獣の咆哮(対人宝具)
 クライング・ウォーモンガー。
 赤のバーサーカーの宝具。ランクA、対人(自身)宝具。
 常時発動型で、敵から受けたダメージの一部を魔力に変換して体内に蓄積し、能力をブーストし、さらには最終的に自爆攻撃として一気に解き放つ宝具。要するに傷を負えば負うほどに力が強くなり、最後に自爆するというもの。作用は自分自身にかかるため対人宝具であるが、加害範囲から言えば実質的に対軍宝具であり大量破壊も可能。
 傷を無効化するのではなく、単純に耐えて再生する。その再生する際に過剰に再生するためか、強力なサーヴァントと戦った場合はダメージを受けるごとに奇形化していく。


カズィクル・ベイ(宝具)
 →極刑王


株式会社赤上ファイナンス(組織)
 新宿、あるいはその近傍に所在すると思われる闇金融業者。雑居ビルの4階をワンフロアまるまる使用している。
 この会社が掲載された雑誌の記事を六導玲霞がたまたま読んだため、アサシンの食事のために暗黒霧都を用いて一人残らず殺しつくされた。


神の杖(用語)
 黒の陣営が『虚栄の空中庭園』を襲撃する計画を話し合っていた際にルーラーが出した兵器の一つ。
 人工衛星から目標に対して非常に重い金属棒を投下し、ロケットブースターでの加速も併せてその運動エネルギーで目標を破壊するもの。威力は核弾頭にも匹敵するとされる。
 2015年現在でも米空軍が開発しているという噂があるだけの、あくまでも都市伝説やアイデア程度の兵器である。充分な破壊力を発揮するだけの金属棒を衛星軌道上に投入するためのコストが膨大になる事や、充分な破壊力を持たせるための速度にまで加速させると金属棒が断熱圧縮によって融解してしまう事から現実的ではない。また、宇宙の平和利用の原則から逸脱している。


ガムブラザーズ(俗称)
 →結合した双子


カリスマ(技能)
 軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において自軍の能力を向上させる。稀有な才能。
 C:ルーラー(ジャンヌ・ダルク)。戦場で旗を掲げて突撃に参加するジャンヌの姿は兵士の士気を極限まで高め、軍を一体のものとする。彼女はカリスマのおかげで根拠のない啓示スキルの内容を他者に信じさせることができる。
 C-:ルーラー(天草四郎時貞)。国家を運営することはできないが、志を共にする仲間達とは死を厭わない強固な繋がりを持つ。彼はカリスマのおかげで根拠のない啓示スキルの内容を他者に信じさせることができる。
 C-:赤のセイバー。


カリュドンの猪(用語)
 赤のアーチャーが『神罰の野猪(アグリオス・メタモローゼ)』によって変貌したもの。『神罰の野猪』の元になった魔獣の事でもある。その魔獣は元はただの猪に過ぎなかったのだが、アルテミスに布(後に『神罰の野猪』となるものであろう)をかけられたことで魔獣と化した。
 神代から存在した魔獣、しかもアルテミスの使いであるため、霊格は幻獣に匹敵すると思われる。
 これに変貌するとアーチャーであってアーチャーでない存在となり、ルーラーの真名看破スキルでも真名以外は表示不可となる。『神罰の野猪』の発動条件が憎悪を抱くことであり、この宝具を発動する事でさらに憎悪が増幅されるためまともな理性は失われる。また人体に不可能な動作を無理矢理行うようになるため、変貌した赤のアーチャーは常に激痛に襲われている。



  


騎乗(技能)
 乗り物に乗る技能。機械仕掛けの乗り物にも効果を発揮する。多くの場合はクラス別能力として保有するが、赤のランサーは自らのスキルとして保有する。赤のセイバーの騎乗スキルのランクはBであるが、正史とはランクによる効果が違うのか正史におけるAランクの効果を有している。
 A+:獣であるならば幻獣・神獣まで乗りこなせる。ただし竜種は該当しない。
 A:幻獣・神獣ランクを除く全ての獣、乗り物を自在に操れる。
 B:大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、ペガサス、グリフォン、竜種といった魔獣・聖獣ランクの幻想種は御することができない。


吸血鬼(用語)
 『鮮血の伝承』を発動した黒のランサーとダーニック・プレストーン・ユグドミレニアが混じりあって生まれた怪物。
 黒のランサーがダーニックに令呪で『鮮血の伝承』の発動を命じられ、第二の令呪で大聖杯を手に入れるまで生き続けろと命じられ、第三の令呪でダーニックの存在を魂に刻み付けることを命じられた事で吸血鬼ドラキュラとダーニックが混じりあった怪物に成り果てた。聖杯に懸ける願いも魔術師ダーニックとしての根源に至る事やヴラド三世としての吸血鬼ドラキュラの伝承の抹消ではなく、己の肉体の増殖、増強、補填になっている。
 これは吸血鬼とはいうもののいわゆる死徒ではなく、人々の空想にのみ存在する吸血鬼ドラキュラのことである。そのため、サーヴァントの弱点である心臓を貫いても殺すことはできない。自分が誰かという事さえも消えてゆくという強烈な苦痛に苛まれながらも、第二の令呪のために生きながらえている。
 黒のランサーの英雄としての側面が失われると同時に槍は消滅し、人間の領主としての通常のスキルや宝具は封印されているが、膂力のみでサーヴァントを殴り飛ばせるほどの身体能力の大幅増幅、動物や霧への変身能力、吸血によって仲間を増やす能力、治癒能力、魅了の魔眼といった特殊能力と、陽光や聖印に弱いといった弱点を得ている。なお極刑王は封印されているものの、杭をマントの内側から召還して投擲することならば可能。
 彼の吸血行為は加害行為ではなく仲間を増やすことを目的とした友愛行動であるため、赤のライダーにも通用する。
 ルーラーと彼女の令呪によって共闘を命じられた赤のアーチャー、赤のランサー、赤のライダー、黒のアーチャー、黒のキャスターに阻まれながらも大聖杯を得ようとそれが格納されたミレニア城塞の地下に辿り着くが、そこで待ち構えていたシロウ・コトミネの洗礼詠唱によって消滅した。


狂化(技能)
 バーサーカーのクラス別技能。理性と引き換えにパラメータをランクアップさせる。
 EX:赤のバーサーカー。パラメータを向上させるが、理性の大半を奪われる。
 D:黒のバーサーカー。筋力と耐久のパラメータを向上させるが、言語能力が単純になり複雑な思考を長時間続けることが困難になる。


教会(地名)
 ルーラーが投宿した教会。木造の小さな教会で、聖杯大戦の五年前にラクスター神父が死去したため、シスターのアルマ・ペトレシアが一人で預かっている。


恐慌呼び起こせし魔笛(対軍宝具)
 ラ・ブラック・ルナ。
 黒のライダーの宝具。ランクC。対軍宝具。
 黒のライダーが普段腰に下げている角笛で、使用する際にはアストルフォを囲うほどの大きさに巨大化する。竜の咆哮や神馬の嘶きにも似た魔音を発する。『音を聞いた妖鳥たちは恐怖で逃げだした』という伝承を持つ宝具だが、実際には無数の竜翼兵を一発で霧消させる純粋な広域破壊兵器である。レンジ内に存在するものに爆音の衝撃を叩き付ける。対象のHPがダメージ以下だった場合は塵になって四散する。善の魔女ロゲスティラがアストルフォに与え、ハルピュイアの大群を追い払うのに使用された。


驕慢王の美酒(宝具)
 シクラ・ウシュム。
 赤のアサシン(セミラミス)の宝具。
 『虚栄の空中庭園』の王の間にいる限り、赤のアサシンはあらゆる毒に耐性を持ち、あらゆる毒を大気中に作り出す事が出来る。この毒は赤のアサシンが魔術で生み出すあらゆるものに含まれる。赤のセイバーを迎え撃った際は本来は黒のアーチャーに対して用意していたヒュドラの毒を使用した。
 赤のセイバーが王の間に到達するだいぶ前から発動していたことから、あらゆる毒を『即座に』作り出すものではなく、毒の生成には多少の時間がかかるものと思われる。


虚栄の空中庭園(対界宝具)
 ハンギングガーデンズ・オブ・バビロン。
 赤のアサシンの宝具。ランクEX、対界宝具。
 バビロンの空中庭園。規則正しく並べられた緑豊かな浮島と大理石の床と柱で構成された巨大な建築物。あらゆる種の植物が絡みついている。庭園というよりは要塞、要塞というよりは巨大な飛行兵器を思わせるもので、実際にこれは浮遊要塞である。これの建造にはシロウ・コトミネの要望も組み込まれている。この中には赤のサーヴァントの私室もそれぞれ用意されている。
 陣地作成スキルにおける神殿をさらに上回る大宝具。空中庭園を宝具として所有する英霊は少なくともジャンヌ・ダルクの知識ではネブカドネザル二世とセミラミスしかいない。
 宝具でありながら魔力による顕現は不可能で、現世の物質による建造が必要。建材はセミラミスが生きていた土地(現在のイラクの首都バグダッド近郊の遺跡)の土、木材、石材、鉱物、植物、水でなければならない。それらを一定量集積して組み上げることでようやく発動準備が整い、このあと赤のアサシンによる長時間の儀式を執り行って初めて宝具として完成する。発動準備からの必要日数は最低でも三日程度。
 宝具を建造せねばならないという特異さは、この空中庭園を生前の彼女が建造したものではなく、彼女の死後に古い伝承が混同されて後付けの幻想として付与された神秘であるため。故に『虚栄』である。
 この空中庭園が空を飛ぶのは『逆しまである』という概念によるもので、植物は下に向かって生長し、水は下から上に流れ天井に溜まる。また下にあるものをこの空中庭園に『落下』させることで吊り上げることができる。
 この空中庭園はどんな場所にあろうとも常に赤のアサシンの領域として扱われ、知名度は最高クラスに向上する。この空中庭園に居るならば赤のアサシンのステータス全てが強化され、攻撃にも有利な補正が加わるため魔法の域の魔術さえ行使できるようになる。ただし、赤のアサシンはこの空中庭園の外ではほぼ無力である。これを動かしている間、赤のアサシンは操縦に専念するため直接戦うことはできなくなる。しかし神殿を上回る大宝具であるこの庭園に身を置いているのならばEXランクの魔術を行使することができる。さらにこの中では赤のアサシンの支配力とシロウ・コトミネが解析した令呪システムに対する理解によって発動された他者の令呪さえキャンセルする事が出来る。
 内部は空間が歪曲されており、外見よりもずっと広い。赤のアサシンの意思で内部構造を組み替えることができる。地上転送用の部屋があり、そこでは魔力を注ぐだけで魔法に近い大魔術である瞬間移動を発動できる。防御兵装として『十と一の黒棺(ティアムトゥム・ウームー)』が備え付けてある。


極刑王(宝具)
 カズィクル・ベイ。
 黒のランサーの宝具。ランクB。対軍宝具。
 空間から大量の杭を出現させ、敵を串刺しにするもの。固有スキル『護国の鬼将』によって領主が支配する領地に作り替えた土地でなければ使用できない。攻撃範囲は半径1kmに及ぶ。厳密には杭そのものではなく、『突き立てられた杭』が宝具である。この無数の杭を目視した敵には精神的な圧迫感も与える。
 杭の宝具であるが、単体ならばさほどの威力もなく速度も遅い。しかし展開できる杭の総数は二万に及び、この数こそが最大の特徴である。二万という数量は、二万のオスマントルコ兵を串刺しにしたという出来事を再現するものである。なお二万本というのは発動時における最大数であり、それしか杭を生み出せないわけではなく、魔力が続くのならば再生産される。
 黒のランサーが手にした槍(杭ではない)が敵に一撃を与える度に『串刺しにした』という概念が生まれ、その敵の心臓を起点に外側に向けて杭が出現する。またこの攻撃には距離の制限はなく、黒のランサーの『領土』内ならばどこであっても発動できるようである。


霧夜の殺人(技能)
 黒のアサシンのスキル。
 暗殺者ではなく殺人鬼であるという特性上、加害者である彼女は被害者である相手に対して無条件で先手を取れる。ただし常に先手を取れるのは夜間のみで、昼の場合は幸運判定が必要。この技能によって攻撃態勢に入ると大幅にランクダウンするという気配遮断スキルの欠点を補い、完璧な奇襲が可能となる。


銀蜥蜴(俗称)
 シルバーリザード。
 ロットウェル・ベルジンスキーの通称。



  


クー・フーリン(人名)
 英霊の一柱。母国限定であるが、城そのものを宝具として保有する。


クサントス(用語)
 赤のライダーの宝具『疾風怒濤の不死戦車』を曳く三頭の軍馬のうちの一頭。バリオスと共にポセイドンから賜った不死身の神馬である。
 さる女神から与えられた能力で人語を解し、喋ることができる。ただし性格は悪い。


クライング・ウォーモンガー(宝具)
 →疵獣の咆哮


クラレント(対人宝具)
 →燦然と輝く王剣


クラレント・ブラッドアーサー(対軍宝具)
 →我が麗しき父への叛逆


紅蓮の聖女(特攻宝具)
 ラ・ピュセル。
 ルーラー(ジャンヌ・ダルク)の宝具。発現前のランクはC、発現後のランクはEX。レンジ及び最大捕捉は不明。
 『主よ、この身を委ねます』という辞世の句を発動の呪文として炎を発現させる宝具。生前に一度も使う事が無かった聖カトリーヌの剣。ジャンヌ・ダルクの火刑を攻撃的に解釈した概念結晶武装。固有結界の亜種であり、心象風景を剣として結晶化したもの。この剣は英霊ジャンヌ・ダルクそのものであり、宝具を発動させると戦闘後にジャンヌは消滅する。


黒のアーチャー(人名/サーヴァント)
 身長179cm。体重81kg。
 フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアと契約したサーヴァント。穏やかな知識人であると同時に卓越した武人でもある。弓兵でありながら、世界最古の総合格闘技パンクラチオンを修めている。真名はケンタウロス族随一の賢者ケイローン。宝具は『天蠍一射(アンタレス・スナイプ)』。先端が青黒く変色した古びた矢を触媒に召還された。
 馬に化身した大地と農耕の神クロノスを父に、女神ピュリラーを母に持つケイローンは本来、完全な神霊である。しかしケンタウロス族の争いに巻き込まれた際にヘラクレスが放ったヒュドラの毒矢を受け、不死であるため死ぬに死ねず、毒の苦痛から逃れるためゼウスに頼んで不死性をプロメテウスに譲り渡して死んだ。こうして不死性を失うと同時に完全なる神性を失って英霊として召還される存在になったのである。そのため神性のランクは大幅にランクダウンしてCランクになっている。
 サーヴァントとして召還された容姿は普通の青年だが、これは本来のケンタウロスの姿では一目で真名を看破されてしまうため、一部ステータスの低下を承知の上で人間の姿を取っている。ただしこのステータス低下は弓を扱う分には特に影響はない。無論、可能か不可能かで言うのならば本来のケンタウロスの姿で召還されることは可能。
 彼の眼は『王冠・叡智の光』の内部構造の解析さえ可能とする。
 聖杯に懸ける希望はプロメテウスに預けた『不死』の特性を返してもらうこと。クロノスは馬に化けてピュリラーと交わり、ピュリラーは半人半馬のケイローンを見て嘆き、菩提樹に姿を変えた。ケイローンの両親はもとより彼に愛情を注いではいなかったのだが、それでも彼にとって不死性は両親との血の繋がりの証なのである。
 赤のライダーは弟子であるためその真名をいち早く見破っており、『神性』スキルを持つ彼の攻撃は神性スキルを持たない者の攻撃を無効化する赤のライダーに傷を与えることができる。そのため、聖杯大戦の序盤から赤のライダーの相手を進んで務めている。
 マスターのフィオレは女性でありプライバシーは尊重されるべきという考えから、控えている時は乞われない限りフィオレの私室の前で霊体化している。サーヴァントとしてフィオレに忠を尽くし、軍師としての助言もする。武人であるとともに教師でもあり、相手によって教え方を変えて対応する。死に物狂いの努力を魔術師たちからは当たり前のこととされてしまったフィオレに対しては優しく、短命であるため怠けている余裕のないホムンクルス(後のジーク)に対しては厳しく、というように。
 黒のライダーに頼まれて逃げ出したホムンクルスの診療をし、彼の寿命は長くて三年程度だと見立てた。それからホムンクルスを匿うために自室を提供し、残りの命をどう生きていくのか考えるようホムンクルスに指示した。
 イデアル森林で黒のセイバーと黒のバーサーカーが赤のアーチャーと赤のライダーと戦った際には黒のセイバーが令呪によって宝具を解放させられそうになっていることをダーニック・プレストーン・ユグドミレニアに急報して止めさせ、ミレニア城塞からの遠距離射撃で赤のライダーを狙撃して撤退に追い込んだほか、黒のバーサーカーに向けて射られる赤のアーチャーの矢を矢で迎撃するという途方もない技を見せた。
 ダーニックの命により黒のアサシンと黒のセイバー及び獅子劫界離がともに向かったシギショアラに向かう。シギショアラでは赤のセイバーと黒のアサシンが戦っているところを時計塔から狙撃するが、赤のセイバーが紙一重で回避したため双方のサーヴァントを仕留めるには至らなかった。その後は赤のセイバーとの戦闘に入る。矢が悉く打ち落とされて接近を許すが、一撃を肩口に受けながらも総合格闘技パンクラチオンで赤のセイバーを投げ飛ばし、その隙に撤退した。
 赤の軍勢が『虚栄の空中庭園』でミレニア城塞に攻めて来た際は黒のライダーとともに編成したホムンクルスの軍勢の指揮に当たった。赤のライダーが攻めてくると地の利を利用して巧みに戦場の中心から外れるよう誘導し、赤のライダーの真名がアキレウスであるという事を知っているアドバンテージを活かして戦闘を有利に進めていく。赤のバーサーカーの自爆攻撃の際に一度撤退するが、『虚栄の空中庭園』で赤のライダーと再戦する。しかし黒のランサーとダーニック・プレストーン・ユグドミレニアが吸血鬼に変貌し、赤のライダーの血を吸おうとした時は赤のライダーを蹴り飛ばしてそれを救った。その後はルーラーの令呪によって赤のアーチャー、赤のランサー、赤のライダー、黒のキャスターと共闘する。
 その後は大聖杯と共に『虚栄の空中庭園』に乗り込み、そこでシロウ・コトミネへのマスター替えを受諾した黒のキャスターの目的を見抜いて怒り、『虚栄の空中庭園』を追撃する赤のセイバーへの目印となる矢を放つ。寝返った黒のキャスターや赤のサーヴァントたちによってルーラー諸共に殺されそうになるが、目論見通り乱入した赤のセイバーとルーラーと共に脱出した。
 ミレニア城塞に攻め寄せた『王冠・叡智の光』との戦いではルーラーが作り出した隙を二本の矢で確立させ、黒のライダーが確実に『触れれば転倒!』で攻撃できるように筋道を立てた。フィオレが黒の陣営の盟主になると、カウレスに対してフィオレは人を殺した後平気でいられるのか、その意味でユグドミレニア一族の長として相応しいのか、という疑問を呈した。
 黒のアサシン討伐に際してはカウレスと一緒にトゥリファス旧市街地区の消息を絶った魔術師の家を捜索した。そこでカウレスが黒のアサシンの目的がミレニア城塞への侵入であると見抜くと霊体化して城塞に急行し、黒のアサシンに殺されそうになっていたフィオレを救出した。
 トゥリファス市街でのルーラーと黒のアサシンの戦いでは黒のアサシンと、黒のアサシンの怨念に取り憑かれた赤のアーチャー狙撃することでルーラーを援護する。
 『虚栄の空中庭園』に攻撃をかける前に、ルーラーと共にフィオレからカウレスへの魔術刻印の移植に立ち会った。
 赤のライダーと戦う場合の勝率は、自分の足場が不利ではなく、赤のライダーが戦車を使わないという条件のもとでも7:3で黒のアーチャーの不利と見ていた。
 『虚栄の空中庭園』に攻撃をかけた際は赤のライダーの『疾風怒濤の不死戦車』を曳くペーダソスを射抜き、ジャンボジェットの上での白兵戦闘に持ち込んだ。おそらく『決闘の後でジークを助けてほしい』というような約束を条件にした『宙駆ける星の穂先』の闘技場での殴り合いでは赤のライダーと互角の戦いを繰り広げるも、赤のライダーの拳で霊核を破壊されて敗北。しかし『宙駆ける星の穂先』が解除された直後に既に準備が終わっていた『天蠍一射』で赤のライダーの踵を射抜いて消滅した。

 クラス別能力は以下の通り。
 対魔力:B…魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化。大魔術、儀礼呪法等を以ってしても傷つけるのは難しい。
 単独行動:A…現界の維持、戦闘、宝具の使用まで一切をマスターのバックアップなしにこなせる。ただし宝具の使用など膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。
 保有スキルは以下の通り。
 千里眼:B+…心眼(真)との兼ね合いによっては限定的な未来視も可能とする。
 心眼(真):A
 神性:C…大地の神と妖精との間に生まれた存在であるが、死の直前にその身を人間へと貶めているため、大幅にランクダウンしている。
 神授の智慧:A+…英雄独自のものを除くほぼすべてのスキルにB〜Aランクの習熟度を発揮できる。またマスターの同意があれば他サーヴァントにスキルを授けることも可能。


黒のアサシン(サーヴァント)
 身長150cm。体重45kg。B69 W49 H71。
 相良豹馬に召喚され、六導玲霞と契約した暗殺者のサーヴァント。真名はジャック・ザ・リッパー(切り裂きジャック)。宝具は『解体聖母(Maria the Ripper)』と『暗黒霧都(The Mist)』。属性は混沌・悪。六本のナイフを腰に装備するほか、太股のポーチのようなところに黒いメスなどを収納している。
 肌の露出が多い衣装を纏った、短めの銀髪にアイスブルーの瞳の少女。彼女たちを堕胎したのが医者であるため、医者が世界一嫌い。性格は純粋にして残酷。理性はあるが精神的に破綻している。あどけない口調ながら頭の回転は速い。他者の悪意に対しては残酷に応じるが、好意には脆い。露出度の高い衣装を着ているが恥ずかしがりで、昼間は出歩こうとしない。母親に対する強烈な憧れを持っている。黒のアサシンではあるが、黒と赤のどちらの陣営とも敵対しており、全てのサーヴァントを皆殺しにしようとしている。
 本来はロンドンで召還されるべき存在だがロンドンは時計塔の膝元であるため、ジャック・ザ・リッパーにとって霊脈の相性がいい新宿で召還された。人血で描いた魔法陣のみを用いた一度目の儀式での召喚は失敗し、人血の魔法陣に加えて触媒であるナイフによる六導玲霞の殺害を加えた二度目の儀式で召喚に成功した。しかし召喚成功の直前に豹馬の呼びかけよりも玲霞の『死にたくない』という願いに強く惹かれ、玲霞のサーヴァントとして現界する。玲霞のことは『マスター』と『おかあさん』が重なったような不思議な発音で呼ぶ。これは玲霞に限ったことではなく、マスターが女性の場合は問答無用で『おかあさん』と呼ぶ。
 召喚と六導玲霞との出会いは上記の短編として発表された通りのことが起きているが、短編では第四次聖杯戦争に言及されているため完全に同じというわけではない。
 魔術師ではない玲霞からの魔力供給は望めないため、人の魂を食らうことで魔力を補給する。それも彼女の属性が混沌・悪であるため、同質の魂、つまり悪人の魂のほうが美味で消化がいい。また魂を食うだけでなく、美味とは感じないが血も吸うことができる。そのため、吸血種の定義に合致する。マスターからの魔力供給が得られないことはつまり継続的に人の心臓を食らって魔力を補給しなければならないという事であり、極めて不利な点であるが、それよりも玲霞との繋がりを重視しているためマスター替えは考えていない。
 正体は数万以上の堕胎された胎児たちの怨念で、強烈な胎内回帰願望を持つ。生まれながら殺人に特化したような怨霊集合体である彼女にとって、殺人は存在理由であり生存動機である。玲霞の『死にたくない』という願望はアサシンが召喚されて命を救われた時点で叶っていたのだが、玲霞はアサシンの胎内回帰願望を叶えるために聖杯戦争への参加を承諾する。
 かつて、いつしか人の形を取った彼女は何も分からないままイーストエンドを徘徊し、ある日出会った女性に「おかあさん」と呼びかけた。しかし女性に酷く罵倒されたため、その女性を殺害し臓物を引き出した。その臓物が愛情のように暖かかったため、次々と女性を殺害していく。そうするうちにジャック・ザ・リッパーと呼ばれることになる。そうして数人の女性を殺した後、事件が魔性の者の犯行であると気付いた魔術師によって始末され、ジャック・ザ・リッパーは死亡した。しかしジャック・ザ・リッパーの犯行が途絶えた後もその名は恐怖とともに残り、死後も与えられ続けた恐怖によってジャック・ザ・リッパーは連続殺人鬼の反英雄として生まれることになる。
 日本では食事のために株式会社赤上ファイナンスを暗黒霧都で襲い、一人残らず殺し尽くした。ルーマニアに渡ってからはブカレストからシギショアラに向けて大量殺人を犯しつつ北上していった。この大量殺人の犠牲者のほとんどは一般人だが、魔力補給に適した魔術師も多く含まれている。
 シギショアラで魔術師を大量に殺して心臓を食らって魔力を補給していたが、獅子劫界離と赤のセイバーがそれを調べに来ると玲霞を残して単独で戦いを挑む。この際に『暗黒霧都』を使って奇襲をかけるが、獅子劫はともかくとして赤のセイバーにはほとんど効果がなく、獅子劫の暗殺は失敗した。その後の赤のセイバーとの戦いで、赤のセイバーが腹立ちまぎれに発した『殺人鬼』という言葉に反応して自らの真名を開示した。もっとも情報抹消スキルによって赤のセイバーの記憶には残っていない。またこの戦いの最中に赤のセイバーが女性であることを見抜き、『解体聖母』を使おうとするも赤のセイバーが赤雷で霧を吹き飛ばしたために失敗。黒のアーチャーの狙撃を受けて撤退した。
 イデアル森林で赤と黒の陣営が戦っているところにひっそりと侵入し、暗黒霧都を使ってホムンクルス達を屠っていった。
 トゥリファスに潜伏していたユグドミレニアの魔術師たちを殺して心臓を奪うとともに、ミレニア城塞の警備を担当していた魔術師からは警戒解除暗号を聞き出し、それを使ってミレニア城塞を襲った。この際には『暗黒霧都』で城塞を覆ったうえでフィオレの暗殺を試みたため、ホムンクルスが一名犠牲になった。この襲撃では一度はフィオレを追い詰めたものの、フィオレの抵抗と黒のアーチャーの救援が間に合ったことであっさりと撤退している。その後、玲霞の提案でトゥリファスの街全体を『暗黒霧都』で包み込む。
 ルーラーとジークを襲撃した際はただの少女に悪霊を憑依させて操り、ルーラーに対し『解体聖母』と少女に隠し持たせていたメスの同時攻撃を加えた。しかし破格の対魔力と『我が神はここにありて』によって充分な効果を発揮できなかった。その後は大勢の悪霊を憑依させた子供と投擲メスでルーラーとジークに攻撃を仕掛け、あと少しでジークを殺すところまで追いつめたが、黒のアーチャーの射撃によって重傷を負う。その後、追い詰められて洗礼詠唱によって昇華されそうになった時に令呪で転移させられ、直後に赤のアーチャーに狙撃された玲霞から『私がいなくても』『あなたは大丈夫』という令呪をかけられる。直後に赤のアーチャーに射殺されたが、それによって黒のアサシンを構成していた怨念が切り裂きジャックという軛から解き放たれた。怨念の大半はルーラーによって本人たちも納得した上で消滅させられたが、一部が赤のアーチャーに取り憑くことで残った。
 なお切り裂きジャックを構成していた怨念・怨霊それ自体は非常に弱いもので、サーヴァントならば憑依を拒絶することも養分として吸収することもできる。人間に憑依した場合でも趣味嗜好を殺人にするくらいである。

 クラス別能力は以下の通り。
 気配遮断:A+…サーヴァントとしての気配を絶つ。完全に気配を絶てば発見することは不可能に近い。自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちるが、この欠点は『霧夜の殺人』によって補われるため完璧な奇襲が可能。
 保有スキルは以下の通り。
 霧夜の殺人:A…暗殺者ではなく殺人鬼であるという特性上、加害者である彼女は被害者である相手に対して常に先手を取れる。ただし常に先手を取れるのは夜間のみ。
 精神汚染:C…精神干渉系の魔術を中確率で遮断する。
 情報抹消:B…対戦が終了した瞬間に目撃者と対戦相手の記憶から彼女の能力・真名・外見的特徴などの情報が消失する。
 外科手術:E…血まみれのメスを使用してマスター及び自己の治療が可能。見た目は保証されないが、とりあえず何とかなる。


黒のキャスター(人名/サーヴァント)
 身長161cm。体重52kg。
 ロシェ・フレイン・ユグドミレニアと契約したサーヴァント。真名はスペインの詩人・哲学者であるアヴィケブロン(ソロモン・イブン・ガビーロール)。宝具は『王冠・叡智の光(ゴーレム・ケテルマルクト)』。青いマントとボディスーツ、無貌の仮面を身に着けている。仮面を着けているのは人間と深く関わることを避けるため。
 人間嫌いの厭世家で、特に子供が苦手。皮膚病を患っている。生前は病弱だったこともあり、他の人間とはほとんど没交渉で家事のためにメイド用のゴーレムを作ったほどだった。彼がゴーレムを作った理由は人間嫌いの孤独ゆえの手慰みであり、最終的にはアダムの模倣を目指すようになったがその夢が叶うことはなかった。
 願いは『王冠・叡智の光』の完成。これは単に宝具として起動させるだけではなく、至高のゴーレム、つまり人々を再びエデンの園へと導く偉大な王(原初の人間アダム)として完成させることである。そのため、聖杯大戦の勝利そのものには興味がない。
 直截的な戦闘能力は低いが、稀代のゴーレム使いであり、聖杯大戦において歩兵を増やす役割を負っている。黒のランサーとほぼ同時期に召還され、以降はロシェとともにミレニア城塞の中に設けられた工房でゴーレムの生産に明け暮れている。『陣地作成』スキルで形成された工房はゴーレムの建造に最適化された一種の製造工場であり、防御こそ並以下だが一日に三十体のペースでゴーレムを建造できる。このゴーレムは現代の魔術師が一年掛かって一体造り上げられるかどうかというほど高い能力を持っている。また、ホムンクルスの魔術回路を組み込んで魔術を行使できるようにしたゴーレムの製造を試みている。
 キャスターのクラス別能力として陣地作成と道具作成を保有しているが、アヴィケブロン自身がゴーレムの鋳造に特化しているため、それぞれゴーレム鋳造の『工場』とゴーレムの作製となっている。黒のキャスターがその力を結集させて造り上げた選りすぐりのゴーレムを直接操作すれば、そのゴーレムは一級のサーヴァントと比肩しうるほどの機敏かつ精緻な動きを見せる。
 彼自身は華やかな功績を打ち立てたわけでも、芸術品を世に残したわけでもなく、古代ギリシャやアラビア、ユダヤの学問をヨーロッパに紹介したに過ぎない。しかしルネッサンスの起点となったひとりであり、カバラという概念、即ち魔術基盤を生み出した、世界と魔術師の歴史に多大な影響を与えた紛れもない英雄である。
 マスターであるロシェからは先生と呼ばれて尊敬されており、黒のキャスターもロシェを生徒のように指導している。
 聖杯大戦に際してはトゥリファスやその近郊の監視を担当していた。
 黒のセイバーを失ったゴルド・ムジーク・ユグドミレニアから令呪を移植し、捕獲した赤のバーサーカーのマスター権を得た。
 赤の軍勢が『虚栄の空中庭園』でミレニア城塞に攻め込んだ際は後方でゴーレムの指揮を執るとともに赤のバーサーカーを解放した。その後赤のバーサーカーが自爆攻撃をした後は『虚栄の空中庭園』で赤のアーチャーとの戦闘に入るが、黒のランサーとダーニック・プレストーン・ユグドミレニアが吸血鬼に成り果てたためルーラーの令呪によって赤のアーチャー、赤のランサー、赤のライダー、黒のアーチャーと共闘する。その後は大聖杯と共に『虚栄の空中庭園』に乗り込み、そこでシロウ・コトミネへのマスター替えの提案を受諾する。マスター替えの条件は元マスターとなるロシェに危害を加えず、自分に一任せよというものだったが、これは自分を召還したマスター、つまり自分と最も相性の良い魔術師であるロシェを炉心として『王冠・叡智の光』を完成させるためだった。
 赤のセイバー、黒のアーチャー、ルーラーが『虚栄の空中庭園』を脱出した直後、『王冠・叡智の光』を完成させ至高の存在であることを証明するため、単独で追撃する。その途上でロシェに念話で炉心を持って来るよう命じ、素直に炉心を持ってきたロシェを起動した『王冠・叡智の光』に放り込んで完成を果たした。『王冠・叡智の光』と共にミレニア城塞に攻め寄せ、そこで自ら『王冠・叡智の光』に溶け込んでいった。

 クラス別能力は以下の通り。
 陣地作成:B…工房の形成が可能。アヴィケブロンの場合はゴーレムの鋳造に一点特化した『工場』の形成が可能。
 道具作成:B+…キャスターのスキルはゴーレムに特化しているため、それ以外は何も作る事は出来ない。
 固有スキルは以下の通り。
 数秘術:B…ノタリコンによる短縮詠唱と組み合わせることで複数のゴーレムに複数のコマンドを一瞬で打ち込むことが可能。


黒のセイバー(人名/サーヴァント)
 身長190cm。体重80kg。
 ゴルド・ムジーク・ユグドミレニアと契約したサーヴァント。真名はジークフリート。宝具はニーベルンゲン族の聖剣『幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)』と『悪竜の血鎧(アーマー・オブ・ファヴニール)』。血に染まった菩提樹の葉を触媒に召還された。
 聖剣を携えた威風堂々たる騎士。生前に果たせなかった願望を抱いて聖杯大戦に臨むが、小心者のマスターによって不本意な束縛を余儀なくされる。
 『悪竜の血鎧』によりBランク以下の攻撃を無効化でき、それを超えるランクの攻撃はダメージを軽減する。この能力によって不死身の体を得たが、あらゆる攻撃が自分には通じなくなったため、彼にとっての闘争はただ無造作に敵を屠るだけの作業になっていた。しかし赤のランサーとの戦闘では傷を負ったことで戦いの喜悦を覚えた。
 生前は求められれば誰のどんな願いであっても叶え、求められなければ見捨てるというさながら願望機のような生き方をしていた。こうした生き方をしていたのは、全てを抱え込むことはできないので『求められたら応じる』というただ一事のみを決めていたから。戦いと勝利を重ね、人々の願いを叶え続けて、いつしか自分には自身の理想がない事に気付き空虚感を感じていたが、最期までそれを埋めることはできなかった。
 そして王女の名誉を傷つけたことで争いが起きることを予測した彼は友であるハーゲンに自分を殺すよう頼んだ。ハーゲンはジークフリートの弱点を探し出し、卑怯を承知で策を練り、ジークフリートが水を飲む隙にその背を狙って彼を殺した。彼は望み通りに死を迎えたが、その意図に反して彼の妻は復讐に駆られ、多くの男たちが死ぬ事になってしまった。彼は死の間際に自分自身がやりたいこと、つまりもし第二の生があるのならば正義の味方になりたいとはっきりと望んだ。
 ゴルドとともに赤のランサーに襲撃されたルーラーに助太刀に入り、赤のランサーと一対一で戦う。しかし実力が拮抗していたため夜が明けてしまい、双方撤退した。
 イデアル森林で黒のバーサーカーとともに赤のアーチャーと赤のライダーと交戦した際はミレニア城塞の一室に籠って指示を出していたゴルドにより、確実に敵を倒せるという場面でもないのに令呪によって宝具を使わされそうになる。だが赤のアーチャーからの緊急連絡を受けて駆け付けたダーニック・プレストーン・ユグドミレニアによって、真名を明かしてしまうよりはましだという判断のもと二画目の令呪で宝具の使用を中止させられた。
 その後ダーニックの命でゴルドとともに逃げたホムンクルスの奪還に向かうが、黒のライダーの説得により英雄としての誇りが目覚め、ホムンクルスを殺しかけていたゴルドを殴り倒し、瀕死のホムンクルスに自ら抉り出した心臓を与えて消滅した。彼が消滅してからも黒のセイバーのパラメータは瀕死の状態で残っていたが、赤のセイバーに斬り伏せられたジークが蘇生して変身した時にパラメータ上では健常な状態に復帰した。これは黒のセイバーの心臓を移植されたジークが黒のセイバーを憑依させたため、一時的に黒のセイバーが復帰したと看做されたことによる。

 クラス別能力は以下の通り。
 対魔力:- …『悪竜の血鎧』を得た代償に失われている。
 騎乗:B…大抵の乗り物は人並み以上に乗りこなせるが、魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。
 保有スキルは以下の通り。
 黄金律:C-…人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。ニーベルンゲンの財宝により金銭に困らない人生を約束されているが、幸運がランクダウンしている。


黒のセイバー(人名/サーヴァント)
 黒のセイバーの心臓を移植されたジークが竜告令呪によって自分の肉体にジークフリートを憑依させて変身させたもの。ステータスや剣技などは本来の黒のセイバーと同じ。一画の竜告令呪で変身できる時間は180秒間。


黒のバーサーカー(人名/サーヴァント)
 身長172cm。体重48kg。11月の物寂しい夜に生まれた。B74 W53 H71。
 カウレス・フォルヴェッジ・ユグドミレニアと契約したサーヴァント。真名はフランケンシュタイン(フランケンシュタインの怪物)。フランケンシュタインの設計図と『理想の人間』という文字が書かれた古い紙を触媒に召還された。宝具は『乙女の貞節(ブライダル・チェスト)』と『磔刑の雷樹(ブラステッド・ツリー)』。
 容姿は白いドレスを着たか細い少女で、身体は継ぎ接ぎの生体部品とケーブルなどの無機物で構成されている。巨大な戦鎚を携えている。フランケンシュタインの怪物は2メートルを超える大男であったはずが、なぜか可憐な少女の姿で召還された。この原因は不明で、彼女は怪物の花嫁の方ではなくれっきとした怪物本人である。聖杯に懸ける願いは自分と同じ存在(ヴィクター・フランケンシュタインが作り出した人造人間)の伴侶を得ること、らしい。好んで実体化して城の中を徘徊している。大抵はカウレスの後ろに付いて離れようとしなかったが、ミレニア城塞の中庭での花摘みの時だけは独自に行動していた。
 狂化のランクはかなり低く、言葉を発することはできないものの高度な思考能力を有しており、敵味方の区別がつくほか簡単なコミュニケーションならばできる。神秘として新しいためか、狂化してもステータス的には目立つところがない。しかし彼女の真価はその固有スキルにある。周囲の余剰魔力を吸収する宝具『乙女の貞節』によってほぼ永久機関的に戦い続けることができる。彼女は第二種永久機関を疑似的に再現しており、周囲の残存魔力を吸収して稼働するため、マスターから魔力を供給する必要はほとんどない。なお『乙女の貞節』による魔力吸収とホムンクルスからの魔力供給をカットした状態では、メイスを数回振っただけでカウレスが眩暈に襲われるほどの魔力を消費する。
 もともと広く知られているように男性としてではなく、原初の人間(アダム)ではなく完璧な乙女(イヴ)を目指して作られた。しかしフランケンシュタイン博士が望む通りに出来なかったため、博士は失望し、酒に溺れた。そんな博士を慰めようとするたびに彼女は殴る蹴るの暴行を受けた。そこで彼を慰める方法を探すために屋敷の外に出た時に鮮やかな色を見て、中でも彼女に噛み付いた犬の血や臓物を殊更に美しいと感じた。そこでそれを持ち帰ったところ、博士は彼女を失敗作どころか狂った怪物であると断じて逃亡してしまった。だからこそ彼女は理性を持とうと決め、まともな人間には伴侶がいることから夫を求めた。伴侶は人間の男を何人か攫ってみたもののうまくいかなかったため、博士に原初の人間を作るよう頼んだのだが、博士はそれを拒否してただ逃亡を続けた。怪物は博士を追い、博士の家族を殺し、終いには博士とともに業火に身を投じた。
 全リミッターを解除して最大威力で『磔刑の雷樹』を放った場合、黒のバーサーカーは機能を停止する、つまり死亡する。これはヴィクター・フランケンシュタインが残した設計図に記載されているものである。機能停止を避けるためリミッターを解除せずに『磔刑の雷樹』を放つこともできるが、この場合は格段に威力が落ち、良くてC、悪くてDランク相当になる。
 ダーニック・プレストーン・ユグドミレニアはカウレスと黒のバーサーカーにはさほど期待しておらず、令呪を用いてうまく運用すれば混乱の内に戦果を挙げることも可能だろう、と考えている程度。
 イデアル森林で黒のセイバーとともに赤のアーチャーと赤のライダーと交戦した際は攻撃が通用しない赤のライダーに苦戦したが、黒のアーチャーの矢によって赤のライダーが体勢を崩した隙に赤のアーチャーを追撃した。
 赤の軍勢が『虚栄の空中庭園』でミレニア城塞に攻め寄せて来た際はイデアル森林でシロウ・コトミネと戦った。撤退するシロウを追撃する際に赤のキャスターの『劇団』によってフランケンシュタイン博士の幻を見せられて狂乱し、シロウを取り逃がし、カウレスに令呪を使われて冷静さを取り戻した。その後は第二の令呪でブーストをかけられて黒のライダーと戦っている赤のセイバーに奇襲をかけるが大して効果はなく、逆に切り伏せられて霊核に直結した胸を貫かれる。しかしそれでも消滅せず、自ら『磔刑の雷樹』を発動することを選択し、カウレスのバックアップを受けて赤のセイバー諸共に自爆して消滅した。その最期に一言だけ言葉を発した。

 クラス別能力は以下の通り。
 狂化:D…筋力と耐久のパラメータを向上させるが、言語能力が単純になり複雑な思考を長時間続けることが困難になる。
 保有スキルは以下の通り。
 虚ろなる生者の嘆き:D…狂化時に高まる、いつ果てるとも知れない甲高い絶叫。敵味方を問わず思考力を奪い、抵抗力のない者は恐慌を来して呼吸不能になる。


黒のライダー(人名/サーヴァント)
 身長164cm。体重56kg。B71 W59 H73。
 セレニケ・アイスコル・ユグドミレニアと契約したサーヴァント。真名はシャルルマーニュ十二勇士の一人アストルフォ。ガラス瓶を触媒に召還された。宝具は『恐慌呼び起こせし魔笛(ラ・ブラック・ルナ)』、『破却宣言(キャッサー・デ・ロジェスティラ)』、『触れれば転倒!(トラップ・オブ・アルガリア)』、『この世ならざる幻馬(ヒポグリフ)』。聖杯に懸ける望みは特になく、精々が第二の生を楽しむために受肉してみようかという程度。
 容姿は派手に着飾った中性的な少年。好奇心が強く、理性が蒸発していると言われるほど能天気かつ陽気で考えなしの性格で、サーヴァントの真名をうっかり漏らしてしまうことがある。自身の良心と願望に従って行動し、それを悔いることは決してない。霊体化はしたがらず、セレニケの制止を振り切ってよくトゥリファスの城下に遊びに出掛けている。名うての色男として知られているが、それはつまり好きな時に好きな女を口説けたという事であり、一人の女に強引に迫られるのは好きではない。
 『破却宣言』の効果によって自身のステータスを隠蔽しており、ランクやスキルといった基本情報は参照できるが特に性別は完全に塗り潰されている。この隠蔽効果はルーラーのクラスに対しても有効であるため、ルーラーは裸体を見るまで黒のライダーが女性だと思い込んでいた。ちなみに男性であるにもかかわらずなぜかスリーサイズが公開されている。またルーラーがジークに対して『黒のライダーを女性としてどう思うか』と問うた時にジークは男性であると否定せず、女性として魅力的だと返答している。
 所有する宝具『破却宣言』は真名を完全に忘却しているが、所持しているだけで効果があるため彼自身特にそれを問題とは思っていなかった。この真名を思い出す条件は『月の出ない夜であること』。これはアストルフォが月で自分の理性を見つけた、つまり月がない夜であれば理性はアストルフォ本人に具わっているからである。そのため、月が輝くほどに理性が消えて無鉄砲になれるが、新月では理性を取り戻すため恐怖心さえ抱く。
 世界を飛び回って様々な伝説を打ち立てた冒険者で、その成果として角笛や本、ヒポグリフ、黄金に輝く馬上槍などの様々な魔術礼装を得た。そのため所有する宝具の数が多い。ステータスは他のサーヴァントよりやや劣っているが、これらの多彩な宝具でそれを補っている。
 対魔力が高く、一画ならば令呪に耐えることができる。
 自分たちに魔力を供給するためのホムンクルスの状況にあまりいい感情を抱いていないようで、水槽の中のホムンクルスを見て痛切な表情を浮かべていた。ゴーレムの素材に使用されそうになったホムンクルスが逃げたしたのを見つけた時は一切の躊躇なく助け、黒のアーチャーの部屋で匿った。その後、赤のバーサーカーが攻めて来た際の混乱に乗じてホムンクルスをミレニア城塞から連れ出した。
 ホムンクルスを追うゴルド・ムジーク・ユグドミレニアと黒のセイバーに追い付かれると、ゴルドの命じるままに自分を拘束する黒のセイバーに英雄の誇りを思い出せと説得する。ホムンクルスが黒のセイバーの心臓を与えられて蘇生すると、彼に佩用していた剣を与えて自分の人生を生きるように促して聖杯大戦を離れさせた。その後は気絶したままのゴルドを連れてミレニア城塞に帰還したが、顛末をあまりに正直に報告したため黒のランサーの怒りを買い、両手両足に杭を打たれたうえ流体式のゴーレムで動きを封じられ、地下牢に幽閉されることになる。しかし自分の感想さえ交えた正直な報告をしていながらも、黒の陣営を二つに割ることは得策ではないと冷静な判断を下し、黒のアーチャーがジークの脱走に一枚噛んでいたことは秘したままにしていた。その後、訪ねて来たルーラーに黒のセイバーの最期とその心臓を与えられたジークの行方を離した。
 赤の軍勢が『虚栄の空中庭園』でミレニア城塞に攻め込んだ際に黒のランサーの命で解放され、序盤は黒のアーチャーとともに編成されたホムンクルスの軍勢の指揮に当たった。ヒポグリフに騎乗して『虚栄の空中庭園』に攻め寄せ、『恐怖呼び起こせし魔笛』で竜翼兵を一掃するが、『魔術万能攻略書』を過信するあまりその守りを超えるEXランクのキャスターの魔術を受けて撃墜された。それからそこに現れた赤のセイバーと話すが、赤のセイバーが黒のセイバーを馬鹿にする発言をしたために怒り、自分が負けると判っていながらも戦うことを決意した。戦いでは終始不利だったが、黒のバーサーカーとジークの奇襲により窮地を脱する。しかしジークが斬り伏せられたため普段とは打って変わって激昂する。黒のセイバーに変身したジークが赤のセイバーに敗北し、自爆寸前の赤のセイバーが迫っている状況でもジークがこれ以上傷付くのは見たくないと言って撤退を拒否し、ジークとともにルーラーの『我が神はここにありて』で守られた。
 戦闘が終わったあと、度重なる命令無視に怒り狂ったセレニケにより『ジークを殺せ』という令呪をかけられる。一画は耐えたものの二画目を使われそうになったところ、赤のセイバーがセレニケの首を刎ねてそれを阻止したためジークを殺さずに済んだ。またそれによってマスターを失ったため、ジークの提案でマスターをジークに変更した。その後、ミレニア城塞に戻った際にはゴルドに対して最初に黒のセイバーの発言を禁じた事の不明を指摘し、それを認めさせた。
 ミレニア城塞に攻め寄せた『王冠・叡智の光』との戦いではルーラーと黒のアーチャーが作り出した隙を突き、『触れれば転倒!』で攻撃することで『王冠・叡智の光』の両足を地面から離れさせて復元を妨げる役を負った。
 ブカレストでは偶然にも赤のセイバーと合流し、情報交換をした。『虚栄の空中庭園』に襲撃をかける際にはジークと同じ飛行機に乗り、ジークと別れてからは重傷を負いながらもヒポグリフの突撃で『十と一の黒棺』を全て破壊した。その直後に昏倒しているところを赤のアサシンに殺されそうになるが、赤のセイバーが誘導爆弾で赤のアサシンを攻撃したため難を逃れた。その後に赤のライダーから『蒼天囲みし小世界(アキレウス・コスモス)』を譲渡され、それを使用して赤のランサーの『日輪よ、死に随え(ヴァサディ・シャクティ)』を防いでジークを守った。
 ジークと赤のランサーの戦いの後は赤のアサシンの妨害を食い止めるためにジークとカウレスと別れる。ルーラーが『紅蓮の聖女』を使用した後でシロウ・コトミネに戦いを挑もうとするが、赤のアサシンに拘束されてその後のジークとシロウの戦いを見守ることになる。戦いの後はジークが竜種になって大聖杯を世界の裏側に持ち去るという案に反対するが押し切られ、ジークを見送る。
 戦いの後もジークとの因果線が切れていないため消滅する事なく、世界を巡る旅に出た。

 クラス別能力は以下の通り。
 対魔力:A…通常はDランクだが、宝具である『魔術万能攻略書』によって大きく向上している。
 騎乗:A+…獣であるならば幻獣・神獣まで乗りこなせる。ただし竜種は該当しない。
 保有スキルは以下の通り。
 理性蒸発:D…あらゆる秘密を堪えることができない、もはや呪いの類。このスキルは「直感」を兼ねており、自身にとって最適な展開をある程度感じ取ることが可能。
 怪力:C-…筋力を1ランク向上させることが可能。ただしこのスキルを発動している場合は1ターンごとにダメージを負う。
 単独行動:B…マスターを失っても二日間現界可能。


黒のランサー(人名/サーヴァント)
 身長191cm。体重86kg。11月10日生まれ。
 ダーニック・プレストーン・ユグドミレニアと契約したサーヴァント。真名はヴラド三世。宝具は『極刑王(カズィクル・ベイ)』と『鮮血の伝承(レジェンド・オブ・ドラキュリア)』。聖杯に懸ける願いは、自分とは全く関係がないにもかかわらず被せられた吸血鬼ドラキュラという汚名を雪ぐこと。
 黒のセイバー、黒のアーチャー、黒のライダー、黒のバーサーカー、赤のセイバーが召喚される二か月前に召還され、固有スキル『護国の鬼将』でトゥリファスとその周辺を領主が支配する土地に変貌させていった。この領土内では黒のランサーは全ステータスがランクアップし、宝具『極刑王』の使用が可能になる。
 聖杯大戦の舞台となったのがヴラド三世に対する信仰心さえあるルーマニアのトランシルヴァニア地方であるため、限りなく全盛期に近い存在となっている。ただし逆にルーマニア以外ではヴラド三世は血に飢えた吸血鬼として知られているため、吸血鬼ドラキュラとしての知名度はヴラド三世という英霊の本来の力を制限するマイナスの効果を生み出す。ルーマニアでの圧倒的な知名度を活かし、戦略の要として扱われる。
 基本的には人格者だが、一旦敵と看做した者には苛烈に対処する。敬虔なキリスト教徒であり、強い信仰心を持っているため、唯一絶対の神や信仰を揶揄されると強い怒りを覚える。また異教徒の降伏は許さない。ダーニックには領主として遇されているが、同時に自分がサーヴァントでありダーニックがマスターであることも弁えている。
 『鮮血の伝承』は自身を伝説にのみ謳われた吸血鬼に変貌させる宝具。この宝具を発動した場合、人間の領主である串刺し公の宝具『極刑王』は封印されるが、吸血鬼という存在の様々な能力、つまり吸血によって仲間を増やすこと、身体能力、様々な変身能力を与えられる。しかし黒のランサーの望みが吸血鬼ドラキュラの伝承の抹消であるため、『鮮血の伝承』の使用は死んでも拒否し、令呪で命じられればダーニックを殺すと警告している。
 槍兵でありながら宝具は槍ではなく、『極刑王』で無数の杭を生み出して敵を串刺しにして戦う。もっとも槍を振るわないわけではない。
 黒のライダーから黒のセイバーが消滅した顛末の報告を受けて激昂し、黒のライダーの幽閉を命じた。その後黒のセイバーについて尋ねるために訪問してきたルーラーに対面し、彼が自決したことを説明したうえでその脱落が無意味だったため戦力が補充されてしかるべきであるとしてルーラーを黒の陣営に引き込もうとするが、そもそも聖杯に懸ける望みがない事を条件に召還されているルーラーには通じず、拒否された。
 赤の軍勢が『虚栄の空中庭園』でミレニア城塞に攻め寄せた際は自ら戦場を駆け、赤のランサーと戦った。赤のランサーに『極刑王』の杭を三本突き立てるが、自らを炎で焼くことで杭を焼き払われ、一転して窮地に陥るが、赤のバーサーカーが自爆の一撃を放ったことで戦闘は有耶無耶になった。その後の再戦ではルーマニアではなくセミラミスの領土である空中庭園に舞台を移したためそれまでの力が出せず、赤のランサーに圧倒され、自分の死は黒の陣営の敗北であると理解しつつも死を覚悟する。しかしダーニックに令呪で『鮮血の伝承』の発動を命じられ、第二の令呪で大聖杯を手に入れるまで生き続けろと命じられ、ダーニックを殺すもその直前に第三の令呪でダーニックの存在を魂に刻み付けることを命じられる。結果として吸血鬼ドラキュラとダーニックが混じりあった怪物に成り果てた。

 クラス別能力は以下の通り。
 対魔力:B…魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化。大魔術、儀礼呪法等を以ってしても傷つけるのは難しい。
 保有スキルは以下の通り。
 護国の鬼将:EX



  


啓示(技能)
 直感と同等のスキル。直感は戦闘における第六巻だが、啓示は目標の達成に関する事象全て(例えば旅の途中で最適の道を選ぶ、など)に適応する。
 A:ジャンヌ・ダルク及び天草四郎時貞。根拠がないと本人には思えるため他者にうまく説明できない。


ケイネス・アーチボルト・エルメロイ(魔術師)
 生死を含め詳細不明。


外科手術(技能)
 サーヴァントの技能。外科治療の技能で、自身とマスターの治療ができる。
 E…血まみれのメスを使用してマスター及び自己の治療が可能。見た目は保証されないが、とりあえず何とかなる。


劇団(用語)
 詳細不明。
 赤のキャスターの魔術、またはスキル、あるいは宝具。
 人形を用いて対象に幻を見せるもの。


結合した双子(俗称)
 ガムブラザーズ。
 ペンテル兄弟の通称。


月霊髄液(用語/魔術)
 ヴォールメン・ハイドラグラム。
 ライネス・エルメロイ・アーチゾルテが連れている水銀でできた魔術礼装。自律型女中ゴーレム。自由に形状を変化させることができるため、万能鍵として使うことも出来る。
 ある程度の自我はあるようで、鑑賞した映画の影響を受けている。フラットとは友人であるらしい。


気配遮断(技能)
 気配を絶つ技能。要するに魔力の塊であるサーヴァントからの魔力の放射を徹底的に抑えることで気配を消すというもの。アサシンのクラス別能力。自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。
 A+:サーヴァントとしての気配を絶つ。完全に気配を絶った場合、サーヴァントでさえアサシンがそこにいるのか、移動しているのか、そもそも既にいないのかさえ察知することは不可能に近い。ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。
 C+:赤のアサシン。攻撃態勢に移るとランクが大きく下がるのは通常と同じだが、毒を忍ばせる場合にはこの限りではない。
 D:サーヴァントとしての気配を絶つ。


幻想大剣・天魔失墜(対軍宝具)
 バルムンク。
 黒のセイバーの宝具。ランクA+。対軍宝具。
 重厚かつ華麗な大剣で、刃の色は黄金。柄の青い宝玉には神代の魔力(真エーテル)が貯蔵・保管されており、これを解放すると黄昏色の剣気を放つ。竜殺しを達成した呪いの聖剣。原典である魔剣グラムの属性も併せ持っており、手にした者によって聖剣と魔剣の属性が変化する。竜種の血を引く者には追加ダメージを与える。
 効果は黒のセイバーを中心にした半円状に黄昏の波を放ち、一帯を殲滅するもの。



  


轟然の鉛腕(用語/魔術)
 ザトゥルン。
 フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアの接続強化型魔術礼装の腕の一つ。
 戦闘時はフィオレの右脚を代行する。へら状に変形し、魔術師の心臓の爆発を抑え込むほどの強度を持つ。


ゴーレム(用語)
 黒のキャスターとロシェ・フレイン・ユグドミレニアが生産したゴーレム。
 カバラの術式で構築された従僕人形。素材は石や青銅で、人間とは程遠い形状をしている。大中小に分類される。これらはサーヴァントに敵うべくもないが、足止めには有効であるし、キャスターやアサシンといった近接戦闘が苦手なサーヴァント相手ならばあるいは倒せる可能性がある。
 黒のキャスターの工房で一日に三十体のペースで建造されている。性能的には現代の魔術師が一年がかりで一体造り上げられるかどうか、というほど優れている。素材は、内臓に宝石、皮膚に羊皮紙が用いられている。こういった素材が古いほど完成するゴーレムの性能は増し、800年以上昔の羊皮紙を用いるのなら熟練の魔術師の一人や二人を屠る程度の性能になる。なお、羊皮紙にはコマンドが記入される。
 ゴーレムを中継地点として活用する黒のキャスターの遠見の魔術は、通常の魔術師のそれを遥かに凌駕する遠距離まで及ぶ。またこれらを用いて石牢を作り出し、極刑王にかかった黒のバーサーカーを捕獲した。
 ロシェと黒のキャスターはホムンクルスの魔術回路を組み込んだ、魔術を行使するゴーレムの製造を試みている。


ゴーレム・ケテルマルクト(対軍宝具)
 →王冠・叡智の光


護国の鬼将(技能)
 黒のランサー(ヴラド三世)の固有スキル。ランクはEX。
 予め地脈を確保しておくことにより、特定の範囲を黒のランサーの領土に作り替える。この領土内での戦闘では王であるヴラド三世はバーサーカーのAランク狂化に匹敵するほどの高い戦闘力ボーナスを得る。
 『極刑王』はこの領土の中でのみ使用可能な宝具。


言峰(人名)
 言峰璃正の息子。シロウ・コトミネの義兄に当たる。シロウとは大した交流はない。


言峰璃正(人名)
 第三次聖杯戦争を生き残った監督官。第三次聖杯戦争終結の時点でアインツベルンが召喚したルーラーの真名が天草四郎時貞であることを知っており、彼は列福さえされていないが聖人として敬っていた。
 第三次聖杯戦争終結後、生き残った天草四郎時貞を養子にして確かな身分を与え、彼が世界を旅するための資金を提供した。後にシロウ・コトミネが第八秘蹟会に所属し、聖杯大戦の監督官になったのも言峰璃正の伝手。
 聖杯大戦の時点では既に死亡している。


この世ならざる幻馬(対軍宝具)
 ヒポグリフ。
 ランクB+。対軍宝具。
 グリフォンと雌馬の間に産み落とされた、上半身がグリフォンで下半身が馬という本来は有り得ない存在の幻獣(魔獣という記述もある)。空を飛ぶことができる。神代の獣であるグリフォンよりランクは劣るが、その突進による粉砕攻撃はAランクの物理攻撃に匹敵する。
 グリフォンとグリフォンが餌として食う雌馬の間に生まれた獣であるため、存在自体がひどく曖昧である。真名を発動する事でその曖昧さはさらに高まり、この幻獣は非実在の存在であるという認識が高まっていく。それはつまりこの次元からの昇華、存在の抹消を意味するのだが、騎手が現実の存在であるため、ヒポグリフが消えようとする度に騎手が存在を引っ張り上げることで次元の跳躍が可能となる。ただし幻獣としてのランクは父親であるグリフォンより低い。
 魔力消費は召還して騎乗するまでならばホムンクルス一体でも充分に賄えるが、真名を解放するとAランク宝具を常時全力で解放しているに匹敵するものになる。しかも一度放てば魔力消費はそれっきりというわけではなく、ヒポグリフを展開し続ける限り魔力を消費し続けるという非常に燃費の悪いもの。
 赤の軍勢が『虚栄の空中庭園』でミレニア城塞に攻め寄せた際に召還されて空中庭園に行くために使われたが、赤のアサシンの大魔術を受けて負傷した。


ゴルド・ムジーク・ユグドミレニア(人名/魔術師)
 Gordes Musik Yggdmillennia。
 身長168cm。体重98kg。血液型AB型。1月1日生まれ。36歳。
 ユグドミレニア一族の魔術師。黒のセイバーのマスター。扱う魔術は錬金術。敗戦処理が得意。
 ユグドミレニア一族に吸収されながらもいまだ己の血筋に固執する傲慢な男。衰退したムジーク家にあって久しぶりに誕生した一級の魔術師。その実力と、両親からムジーク家がいかに優れた錬金術の大家であったかを教え込まれたため、現実と夢想の区別がつかない『名門であった』というプライドが肥大化してしまった。しかしやはり実力は確かなもので、魔力の経路の分割、つまりマスター以外からサーヴァントへの魔力供給を提案して実際にそれを実現している。この功績もあり、彼の傲慢さはある程度目を瞑られている。
 かつてはアインツベルン家に追い付け追い越せと頑張っていたが、様々な巡り合わせが悪く零落している。息子がおり、聖杯大戦が終わったら魔術刻印の段階的な移植に入る予定。知己であったアインツベルンの錬金術を応用して聖杯大戦に勝利するための策を編み出す。
 アインツベルンのホムンクルスには聖杯の器としての機能を組み込むことが可能であることに気付いていたが、ダーニックに要求されたホムンクルスにはその機能は不要だったので組み込んでいない。しかしサーヴァントの様な膨大な魂を受け入れるだけの余剰がないというだけで、構造的には聖杯の器になり得る設計はされている。
 血に染まった菩提樹の葉を触媒に黒のセイバーを召還する。しかし黒のセイバーには致命的な弱点があるため、それを明かさないよう触媒はケースに入れたまま召還し、ダーニックと黒のランサーを除くユグドミレニア一族に対してもその真名を明かさなかった。また黒のセイバーを単なる駒として考えているため、真名を察知されることを防ぐ目的と併せて許可なく口を開くことを禁じた。これはサーヴァントとの相互理解の放棄と同義であり、それが仇になって黒のセイバーに背かれた。
 赤のランサーがルーラーを襲撃したところに助太刀し、赤のランサーをルーラーと協力して倒すとともにルーラーを黒の陣営に取り込もうとしたが、ルーラーに協力も助力もにべもなく拒否される。結果、赤のランサーと黒のセイバーが一対一で戦うことになったが実力が拮抗していたため夜が明けてしまい、双方撤退することになった。
 イデアル森林で黒のセイバーと黒のバーサーカーが赤のアーチャーと赤のライダーと交戦した際はミレニア城塞の一室に籠って黒のセイバーに指示を出していた。しかしサーヴァントとの信頼関係を築くことを放棄したうえ黒のセイバーが苦戦するのを見て焦燥が募り、確実に敵を倒せるという場面でもないのに令呪によって宝具を使わせるという軽挙に出る。だが赤のアーチャーからの緊急連絡を受けて駆け付けたダーニック・プレストーン・ユグドミレニアによって真名を明かしてしまうよりはましだという判断のもと二画目の令呪を用いて宝具の使用を中止させられた。
 その後、ダーニックから逃げたホムンクルスの奪還を命じられるが、発見した抵抗されて逆上し、殺しそうになる。だが黒のライダーの説得を受けた黒のセイバーにより殴り倒され、気絶したまま黒のライダーによってミレニア城塞に運ばれた。その後の黒のランサーによる事情聴取を不遜な態度で乗り切り、もはやマスターとしての用無しであると判断されて黒のキャスターの宝具『王冠・叡智の光』の炉心にされることが決定した。なお炉心としては及第点ではあるが、黒のキャスターとしては不満が残るもの。しかし黒のキャスターが裏切り、ロシェ・フレイン・ユグドミレニアが炉心にされたため炉心にされることはなかった。
 ミレニア城塞に戻ってから、ゴルド自身は黒のセイバーを失った理由から目を背け続けて酒に溺れていた。この後、一画残っていた令呪は黒のキャスターに転写された。
 イデアル森林の戦いの後、黒のセイバーに対して口を開くなと命じた事の不明を黒のライダーから指摘され、それを認めた。その後は錬金術師としての手腕を発揮し、負傷したホムンクルスや魔力抽出槽から出されたホムンクルスの手当てに回った。これはホムンクルスへの愛情などではなく、ホムンクルスの専門家としてホムンクルス達が自分たちで施していた処置の方法がまるでなっていないことを見るに見かねたためであった。
 黒の陣営が『虚栄の空中庭園』に攻撃を仕掛ける際には、留守番とユグドミレニアが生き残るための交渉のため、ユグドミレニアの魔術師としてはただ一人ミレニア城塞に残った。聖杯大戦終結後は息子の再教育に乗り出すとのこと。


ゴルド・ムジーク・ユグドミレニアの息子(人名/魔術師)
 息子を道具として見ているゴルドと同じく、この息子も父を道具としか見ていない。捻くれ、醒めきった、ゴルドによく似た目をしている。



  


相良豹馬(人名/魔術師)
 さがら ひょうま。
 日本出身のユグドミレニア一族の魔術師。ヒカルという源氏名を使うホストでもある。住居は新宿にあるマンションの9階903号室。六導玲霞とは複数回性的接触を持っている。
 彼の一族は暗示や潜伏といった地味な力に特化しており、他の魔術師からはネズミと嘲られていた。彼自身の力量も二流である。魔術系統は日本式の呪術系統と西洋魔術が混合された、生贄を利用するもの。人命を代償に建築物や人命そのものの安全を確立させる搾取型の防護魔術である。暗示や潜伏に特化しているというのはパイロット版の記述で、搾取型の防護魔術というのは作品完結後に発表された短編の記述である。
 ジャック・ザ・リッパーを召喚するならばロンドンが最適だが、ロンドンは魔術協会の膝元であるため、わざわざジャック・ザ・リッパーと相性の良い新宿で召喚を試みた。黒のアサシンを召喚するために雑居ビルの屋上でかの連続殺人鬼が愛用したという六本の業物(完結後に発表された短編では単に『切り裂きジャックが実際に使用したと魔術師間で流通していたナイフ』とされている)と人血で描いた魔法陣を用いて召喚の儀式を行ったが、失敗。そこで彼が新宿に潜り込むために暗示を掛けて利用していた六導玲霞を殺害することで儀式を補強しようと試みる。その試みは成功したのだが、黒のアサシンが召喚される直前に豹馬の呼びかけよりも玲霞の『生きたい』という切実な願いに強く反応し、令呪こそ豹馬に宿ったままであったが、アサシンは玲霞のサーヴァントとして現界するに至った。
 黒のアサシンの態度に危険を感じて令呪によって自害を命じようとするが、黒のアサシンによって下顎を切り落とすことによる発話機能の除去、つまり呪文の詠唱を必要とする令呪の発動を初めとした魔術行使の不可能化が為され、令呪を剥ぎ取られる。その後、六導玲霞によって聖杯大戦について知っている事を洗いざらい吐かされ、六導玲霞にナイフで心臓を貫かれて死亡した。死の直前に六導玲霞という怪物を世に解き放ったという事実に奇妙な充実感を抱いていた。死体はツークツワンクの襲撃に際して王の意識を乱すために腹の中に携帯電話を仕込まれた。
 パイロット版では玲霞ではなく黒のアサシンに殺されており、亡骸は完全に乾涸びて落ち葉の山のようになっておりゴミ袋に詰められて処分されたとされていたが、短編では亡骸は乾涸びていなかった。
 なお、彼が聖杯戦争の仕組みに逆らってアサシンのサーヴァントとしてジャック・ザ・リッパーを召喚しようとしたのは、彼のサーヴァントとして相応しいのはアサシンであるが、仕組み通りにハサン・サッバーハを召喚してはアサシンであることを知られた時点で対策が立てられてしまうためである。


ザトゥルン(用語/魔術)
 →轟然の鉛腕


The Mist(宝具)
 →暗黒霧都


サルマーレ(用語)
 アルマ・ペトレシアがルーラーに振る舞った料理。挽肉や玉葱などをザワークラウトで包み、トマト味のスープなどで煮て焼いたルーマニアの家庭料理。


左腕・天恵基盤(対人宝具)
 レフトハンド・キサナドゥマトリクス。
 天草四郎時貞の宝具となった左腕。自身に対する補強を担う。この宝具には不老の力がある。ランクD対人宝具。レンジ1。最大捕捉1。
 苦難の道を歩む信徒たちに希望を抱かせるために奇跡を起こし続けた天草四郎時貞の右腕が宝具と化したもの。あらゆる魔術基盤に接続し、いかなる魔術も行使可能にする万能鍵。『右腕・悪逆捕食』と同じく本来は天草四郎時貞が持つことのなかった力であるが、それを奇跡という形で顕現させるもの。あらゆる場面で万能ではあるが、通常のサーヴァントとして召還された場合は決め手に欠ける。
 左腕は『心眼(偽)』に類似した能力を発揮し、洗礼詠唱を強化する。


山上教会(地名)
 シギショアラにある教会。正式には聖ニコラウス教会という。建設当初はカトリック教会だったが、1547年にプロテスタントの一派であるルーテル派の教会堂となった。
 シロウ・コトミネが拠点にしている。


燦然と輝く王剣(対人宝具)
 クラレント。
 赤のセイバーの宝具。ランクC、対人宝具。
 もとはアーサー王が入手して武器庫に保管していた王位継承を示す剣。華麗な装飾を施した白銀の剣。『いかなる銀よりも眩い』とされ、『勝利すべき黄金の剣』に勝るとも劣らぬ価値を持つ宝剣。この剣が司るのは王の遺稿を増して王の戦いに祝福を与える『増幅』。
 これは王たる者のみが持つべき剣であり、それ以外の者の所有を拒むのだが、モードレッドは了承なくこれを強奪したために本来よりもランクが下がって切れ味も劣っている。
 これの全力解放形態は『我が麗しき父への反逆(クラレント・ブラッドアーサー)』として別個の宝具として扱われる。


残留思念の再生(用語/魔術)
 召喚術の一種で、その場にかつて存在したものの思念を再生する魔術。
 さほど難しい術ではなく、悪霊や低級魔獣の召喚などと比べれば取るに足らないもの。残留思念を再生する際に多少なりとも当時の状況に同調することになるのだが、腕の良い魔術師ならば同調と痛覚遮断のバランスを調整することができる。それができない場合は犠牲者の苦痛を全てとは言わないまでもかなりの割合で受け止めねばならず、ショック死することもある。



  


ジーク(人名/ホムンクルス)
 身長165cm。体重53kg。(左記の身長、体重は黒のセイバーの心臓を取り込む前のもの)
 ユグドミレニアのサーヴァントに魔力を供給するためにアインツベルンの技術で鋳造されたホムンクルスの一体。一流の魔術回路を持っているが、生まれついての失敗作。黒のアーチャーの見立てでは生きていられるのはあと三年ほど。炉心に使える可能性がある。
 彼の魔術は接触した材質を調査・分析・同調し、それらを全て逆転させ、掌から放出した魔力を変質させることで対象物に最適な破壊を行うもの。接触して材質を解析しなければならないため射程はほぼゼロだが、威力は絶大。ただしこの魔術の特性上、組成を吟味した後でその組成そのものを変更された場合はただの小規模な爆発でしかない。
 生まれつき味覚が極度に薄いため、食事に興味がない。生きるという経験に乏しいため、怠惰と努力の区別さえついていない。そのため、黒のアーチャーに歩く練習をせよと指示された時は疲れ果てて一歩も動けなくなるまで歩き続けた。
 黒のセイバーの心臓を取り込むまで声を発することにさえ苦痛が伴い、魔術の詠唱を除いて言葉によるコミュニケーションをしていたかは不明だが、黒のライダーと黒のアーチャーとは意思疎通ができていた。
 元はサーヴァントに魔力を供給するためのホムンクルスだったが、ロシェ・フレイン・ユグドミレニアと黒のキャスターによって魔術を行使するゴーレムの素材として『使用』されそうになった際に逃げ出す。それからしばらくは黒のライダーと黒のアーチャーに匿われ、赤のバーサーカーが攻めてきた後の混乱に乗じて黒のライダーとともにミレニア城塞から脱出する。しかしゴルド・ムジーク・ユグドミレニアに発見されて連れ戻されそうになって抵抗するが、それに逆上したゴルドから暴行を受けて心臓が破裂し、死亡しかける。だが黒のライダーの必死の説得に心打たれた黒のセイバーが自分の心臓を与えたため蘇生した。これにより体格が大きくなり、運動や魔術の行使に耐えるばかりか常人を超える強靭な肉体に変化するとともに、明確に言葉を使ったコミュニケーションを行うようになる。
 蘇生してから黒のライダーに促されて黒のセイバーの真名であるジークフリートにあやかった『ジーク』を己の名に定め、黒のライダーが佩用していた剣を与えられて聖杯大戦から離れ、一人の人間として生きるため近隣の村に向かう。その村の近くでルーラーと出会い、彼女との会話の中で『仲間のホムンクルス達を救いたい』という願いを明確にし、以後はルーラーの提案に従い彼女と行動を共にする。その後は近在の農家セルジュの家で食事と寝床を提供してもらい、仲間のホムンクルス達を説得するためにルーラーとともにミレニア城塞に戻る。その途上、イデアル森林で赤と黒の陣営が戦っているところに出くわし、後方で待機しているホムンクルスにミレニア城塞にいるホムンクルス達の解放を頼むため、ルーラーと別行動を取る。
 戦いの中で後方支援をしていたホムンクルスたちに『自分たちホムンクルスを救え』と伝え、その後は黒のライダーを探しに行く。黒のライダーが赤のセイバーに仕留められそうになっている所に行き会い、赤のセイバーに一太刀浴びせたが斬り伏せられる。傷は心臓まで至っていたが、その後に黒のバーサーカーが発動した『磔刑の雷樹』の雷撃の余波を受けて蘇生、左手の甲に三画の竜告令呪を得て黒のセイバーに変身し、赤のセイバーと戦う。宝具の撃ち合いで競り負けて重傷を負うが、赤のバーサーカーが接近したことを察知した赤のセイバーが撤退し、赤のバーサーカーの自爆からルーラーの『我が神はここにありて』で守られて一命を取り留めた。
 戦闘が終わってから、そこに現れたセレニケが黒のライダーに『ジークを殺せ』という令呪をかけたためセレニケを殺そうとするが黒魔術の罠と呪いの古釘で動きを封じられ、何とか左手で抜剣して切りつけるもセレニケにかすり傷を負わせ激高させる結果に終わった。セレニケが赤のセイバーに殺された後、マスターを失った黒のライダーのマスターになる契約を交わした。その後はセレニケの令呪の効果が切れるのを待つ黒のライダーと一旦別れ、ホムンクルス達に自立する意思があるかを質しにミレニア城塞に向かった。
 なおジークフリートに変身して以降は夢でファヴニールと戦い続けていた。
 ミレニア城塞では健常なまま生き残ったホムンクルス達を率い、負傷したホムンクルスの救護に当たった。そこでフィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアから黒の陣営に加わるよう要請され、マスターになったこととルーラーが召還されたこと(世界が崩壊しかねない可能性があること)を理由に受諾し戦いに身を投じた。
 ミレニア城塞に攻め寄せた『王冠・叡智の光』との戦いではルーラーに参戦を要請され、赤のセイバーと共に両足を地面から離されて復元が出来なくなった『王冠・叡智の光』に宝具を放ち、それを打倒した。この後、残り一画となった竜告令呪を補充するために黒のセイバーへの二画の令呪をジークに譲渡した。この際に通常の令呪とは異なる竜告令呪に不安を覚え、最期の一画は絶対に使わないよう釘を刺した。この夜の就寝中にジークフリートのファヴニール退治を夢に見たのだが、ジークとルーラー、黒のアーチャーによってこれは単なる夢ではなく竜告令呪を使ったことでジークフリートの心臓が内側からジークを侵食しているためであると推測された。
 トゥールと手合わせをしていた時にミレニア城塞が『暗黒霧都』を展開した黒のアサシンに襲われたため、アラクネの布で呼吸を確保してホムンクルス達の救助に当たった。しかし一名のホムンクルスが死亡してしまったため強い怒りを覚え、撤退しようとする黒のアサシンに一撃を加えた。その後の黒のアサシン対策の会議では自ら囮になる事を買って出て、ルーラーと二人で囮役を務める事になった。囮になっている時にトゥリファスの街自体が『暗黒霧都』に包まれ、その最中に一般市民に化けた六導玲霞を助けようとして彼女に心臓を三発銃撃されるが、魔力を精製するだけで何とか耐え、玲霞がとどめを刺すために放った銃弾は魔術で防いだ。その後はルーラーと合流して黒のアサシンを追うが、赤のアーチャーによって解き放たれてしまった切り裂きジャックを構成する怨念に巻き込まれ、地獄を体験する。その戦いの後、黒のアーチャーにその地獄や人間というものについて相談する。
 ブカレストでは偶然にも赤のセイバーと合流して、情報交換をするとともに半ば強引に食事を奢らされた。
 『虚栄の空中庭園』を襲撃した際には黒のライダーと行動を共にしていたが、『十と一の黒棺』を破壊する黒のライダーと別れて赤のランサーと戦う。一度目の変身が解けた際に赤の陣営の本来のマスター5人をフィオレに託して避難させ、場所を改めて戦いを続けた。この時は『日輪よ、死に随え』を受け、またジャンヌに会いたい一心で竜告令呪をすべて使い切り、『蒼天囲みし小世界』を携えて介入した黒のライダーに助けられる。その直後に斬り合いとなって斬撃を躱した赤のランサーに背後を取られるが、凡人ゆえの臆病さによって背後に刺突を繰り出して赤のランサーの胸を貫いて倒した。この時に竜告令呪を使い切ったことで肉体的、精神的に不安を覚えるが、カウレスから譲渡された聖骸布を着用したことで多少は和らいだ。なお、竜告令呪を使い切った際に黒のセイバーのステータスは死亡に切り替わっており、それ以後は魔術を使用しなくてもサーヴァントと並走できる身体能力を獲得している。
 ジークと再会したことで心を持ち直したルーラーが『紅蓮の聖女』を使用したがシロウ・コトミネを倒しきれなかったため、聖杯を賭けてシロウに戦いを挑む。この時には『アクセルを踏む』ことで魔術回路の回転がサーヴァントなみに速くなり、材質解析から破壊までも一瞬で行えるまでになる。そして魔力も『磔刑の雷樹』の影響を受けてフランケンシュタイン化していたため、第二種永久機関となった心臓で周囲に満ちた魔力残滓を利用できるようになっていた。剣戟では不利であったが、敢えて全魔力で防御した心臓を狙わせることで隙を作り、フランケンシュタイン化の影響で使えるようになった『磔刑の雷樹』で自爆攻撃を仕掛けた。この『磔刑の雷樹』はあくまで真似事のため、自爆であってもジークは死亡しなかった。
 全人類に対して第三魔法を成就するため稼働し続ける大聖杯をどうにかするため、五画の竜告令呪の代償と大量の残存魔力、第二種永久機関、そして大聖杯そのもので竜種に変貌し、大聖杯を世界の裏側に運び去った。
 その後、世界の裏側でジャンヌを待ち続け、どれほどの時間が経ったのかは不明だが再会し、竜の姿から人の姿に戻って二人で歩み始めた。


ジークの剣(武装)
 ジークがミレニア城塞から逃げる際に黒のライダーから譲渡された剣。特に宝具ではない。
 本来は持ち主である黒のライダーしか魔力で編んで具現化することはできないのだが、黒のライダー自身の意思で譲渡したことやジークがサーヴァントに近い存在になったことでジークの意思で魔術回路を励起するのと同じ要領で具現化できるようになった。
 シロウ・コトミネとの戦いの最中に折れた。


シークレット・オブ・ぺディグリー(宝具)
 →不貞隠しの兜


ジーン・ラム(人名/魔術師)
 通称『疾風車輪』。
 魔術協会によって聖杯大戦に派遣された魔術師。戦闘に特化している。獅子劫界離と一緒に仕事をしたことがある。
 サーヴァントを召喚する前に赤のアサシンによって毒を飲まされ、正気のまま狂気の世界にいざなわれた。その後サーヴァントを召喚したが他の赤のマスターたちと共にシロウ・コトミネに軟禁されており、赤の陣営が勝利したという虚偽の報告を信じ込まされて令呪とマスター権をシロウ・コトミネに譲渡させられた。
 しかし赤のランサーだけは頑としてマスター替えに同意しなかったため、もし元のマスターが正気に戻って命じればその瞬間に赤のランサーが裏切るという危険性が残っていた。そのためある時点から赤のアサシンは用済みになった5人の元マスターを殺そうとしていたのだが、赤のランサーが守護していたために命を奪われることはなかった。その後、黒の陣営が『虚栄の空中庭園』に攻め込んだ際に赤のランサーによって救助され、転移魔術によってフィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアと他の赤のマスターらと共に地上に脱出させられた。
 彼ら赤のマスター5名のうち一名(一級講師であるフィーンド・ヴォル・センベルンか)が魔術協会時代のエースと目されており、堂々と出陣した彼が聖杯大戦に参加する前に敗退していたという汚点は彼の家にとって恥ずかしい事であったため、戦争そのものを無かった事にしてほしいという提案があった。
 Fate/strange Fakeでロード・エルメロイU世の弟子とされるオルグ・ラムとの関係は不明(そもそも世界が別である)。


シェイクスピア大全集(用語)
 赤のキャスターが携えるハードカバーの本。召還されてから購入したもの。


シギショアラ(地名)
 トゥリファスに最も近く、尚且つユグドミレニア一族やそのサーヴァントから気配を察知されない境界線に位置する都市。12世紀にザクセン人の入植によって形成された。
 シロウ・コトミネはこの都市にある山上教会を拠点にしている。


シクラ・ウシュム(宝具)
 →驕慢王の美酒


自己保存(技能)
 サーヴァントの技能。赤のキャスター(シェイクスピア)が保有する。
 B…赤のキャスター。自身にはまるで戦闘力がない代わりに、マスターが無事な限りは殆どの危機から逃れることができる。


獅子劫(家名/魔術師)
 獅子劫界離の家系。
 獅子劫界離の数代前にヨーロッパから日本に流れ着いた魔術師の一族で、獅子劫という家名は日本に移住した際に付けたもの。魔術が盛んでない極東の出身ながら、界離の代で7代を重ねる。
 日本に移住した際に住み着いたのは一年中雪か雨が降っているような陰湿な土地だった。日本に移住した時には魔術刻印が消失しかけており、子供たちの魔術回路も乏しく、しかも魔術基盤がある土地から離れる事は致命的であり、その後一代も経たないうちに魔術師としては成立しないほどの衰退が始まった。没落し、知己の魔術師たちから見放された獅子劫の当時の当主はそこで悪霊めいた何某かのモノ(界離はメフィストフェレスと例えていたが、どんなものと契約したのか、どんな内容の契約だったのかは知らなかった)と『繁栄は請け合うが、所詮前借だからいずれ刹那ですべてが途絶える』という内容の呪術的な契約を交わし、それによって全盛期を上回る復権を果たした。かつて研究していた魔術の殆どが忘却され、死霊魔術を修得することにはなったものの、魔術刻印は復活し、魔術回路も質・量ともに向上し、獅子劫家は極東における魔術師の大家として蘇った。ただしこの契約には『数代先での断絶』という大きな代償があった。
 契約の代償による断絶は界離の代で発動し、界離は絶対に子供が作れなくなった。これについては養子を貰えばよいと考えていた獅子劫家だが、燈貴の伝手で貰ってきた養子に界離の魔術刻印を移植したところ、その魔術刻印から致死性の毒が滲み出して養子は死亡してしまった。獅子劫の魔術刻印は界離の体に完全に適応しており、他の肉体に移植されると独が発生するようになっていたのだ。つまり契約の代償は単純な不妊ではなく、魔術師としての獅子劫家(獅子劫の魔術の成果)の完全な断絶という事である。
 聖杯大戦で獅子劫界離が戦死したことで断絶したと思われる。


獅子劫界離(人名/魔術師)
 ししごう かいり。
 身長182cm。体重97kg。血液型B型。4月14日生まれ。
 赤のセイバーのマスター。獅子劫家の7代目当主。ユグドミレニア一族に対抗するため魔術協会に雇われたフリーランスの死霊術師。午前二時が最も波長の合う時間。魔獣から剥いだ皮で作った一工程程度の魔術をほぼ無効化する効果がある黒いジャケットを着ている。自動車泥棒の技術を持っている。
 魔術師としての腕前は一流で戦闘に向いた魔術を使うが、それでもゴーレムを相手にするには少し威力が足りない。魔術師としては珍しく、銃器を使用する。使うのはメーカー不明のソウドオフした水平二連ショットガン。飛行の魔術は苦手。自分が強面であることを気にしている。
 獅子劫一族の子の最高傑作であり、父を超えて魔術の更なる秘奥に到達すると目されていた。かつて時計塔で学んでおり、高く評価された父と同じく時計塔の研究者の道に進むものと思われていた。結婚歴はあるが、妻とは界離に呪いが発動したことで既に離縁している。一族の呪いがあるため、まず子を為せるかどうかの確認のために精通の後すぐに妻を娶らされた。しかし、子は生まれるものの必ずすぐ死んだ。どんな薬や魔術を使ってもそれは変わらなかった。
 時計塔で3年も学ばないうちに数代前の当主が契約した代償である断絶の呪いが発動し、子を設けることも養子に魔術刻印を移植することも出来ないと判明する。その後は獅子劫家の存続を諦め、時計塔を休学するとともに家を出て、戦場で死体をあさりつつ異端の魔術師を討伐する魔術使いの賞金稼ぎになった。それから10年もすると彼の名はアンダーグラウンドの魔術師の間にも知れ渡るようになった。
 獅子劫家は栄華を味わったのだからそれでいいと考えていたのだが、聖杯戦争に出会い、聖杯の力ならば魔術刻印の毒を消し、自分の子を設けることも出来るようになると思い、ロッコ・ベルフェバンに招聘されて聖杯大戦に参加した。とはいえ、根本的なところではその養子の犠牲という『忘れてはならないもの』を意味があるものにしたいからこそ聖杯を求めている。聖杯に懸ける願いはおそらく養子の蘇生。
 聖杯大戦に参加するに当たり前金としてロッコ・ベルフェバンの私室にあったヒュドラの幼体のホルマリン漬けを偽物だと言われながらも本物と見抜いて貰い受けている。魔術協会が用意した円卓の欠片を触媒に、ブカレストのスタヴロポレオス教会の墓地で赤のセイバーを召還する。
 本格的な戦闘が始まる前にシロウ・コトミネにシギショアラの山上教会に呼び出され、黒の陣営のサーヴァントの大まかな情報の提供を受ける。その際に共同戦線を張る以上は必要なことであると赤のセイバーの真名の開示を求められるが、それを拒否し、他の六組とは別に単独行動を取る。その後トゥリファスに移動してカタコンベに工房を構え、戦いに備えてヒュドラの幼体のホルマリン漬けを礼装に加工する。また赤のアサシンが毒の女王セミラミスであり、黒のアーチャーがケイローンであることを知ってから念のためにヒュドラの毒の血清を作っていた。
 シギショアラに詰めていた魔術協会の魔術師たちが次々と殺害されているという報を受け、トゥリファスからシギショアラに一旦撤退してそちらを調べる。この際には他人が宿泊していたホテルの一室を暗示を使って乗っ取っていた。夜間に赤のセイバーとともにシギショアラの街を見廻っている時に黒のアサシンの『暗黒霧都』を使った奇襲を受けるが、赤のセイバーによって防がれる。その後は魔猿の手首を使って手早く人避けの結界を張り、赤のセイバーが黒のアーチャーに狙撃されてからは赤のセイバーに黒のアーチャーを任せて自分はフィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアを相手にする。魔術師の心臓と魔弾、加えて自動車の突撃でフィオレを追い詰めるが、カウレス・フォルヴェッジ・ユグドミレニアの介入で仕留め損なった。
 その後、赤のセイバーとともにシボレー・コルベットを駆ってイデアル森林での戦闘に加わったが、さすがに直接戦闘はせず壊れかけのコルベットに乗って主戦場を離れ、隠れながらバックアップをする。赤のセイバーが黒のバーサーカーが『磔刑の雷樹』を発動すると令呪を使って赤のセイバーを安全な場所まで転移させる。しかし『磔刑の雷樹』もまた令呪のバックアップを受けていたため雷撃が赤のセイバーを追尾してダメージを受けている。その後の変身したジークとの戦闘では黒のセイバーとの戦いに限り令呪で赤のセイバーを強化するという方法で二画目の令呪を消費した。
 赤のセイバーが『虚栄の空中庭園』を襲撃してルーラーと黒のアーチャーを救出した際は一緒に建物内に乗り込みこそしなかったものの姿を隠して脱出を援護していた。そこでシロウが第三次聖杯戦争のルーラーであることとシロウがサーヴァントのマスターになっていることを知り、黒の陣営と手を組むという判断を下した。『王冠・叡智の光』との戦いでは赤のセイバーの交渉により、参戦の代償としてルーラーから令呪を一画譲渡された。なお、この戦いの際に黒のセイバーが使った宝具の真名から黒のセイバーがジークフリートであることを見抜いていた。
 黒の陣営と協力することを決めた後もミレニア城塞には逗留せず、カタコンベを拠点として使い続けた。これは行動を共にすることでユグドミレニアへの信頼を見せ、その結果として最終的には聖杯を巡って戦わなければならない獅子劫らへの信頼を失わせないようにという配慮と、当然ながらユグドミレニアを出し抜いて聖杯を獲得するためである。
 『虚栄の空中庭園』に襲撃をかける際にはユグドミレニアとは別行動を取り、魔術協会の伝手を通して入手したMiG-21近代化改修型に魔術的な改修を加えたものを赤のセイバーに操縦させ、途中でベイルアウトすることで『虚栄の空中庭園』に潜入した。赤のアサシンと対峙した際には赤のセイバーの咄嗟の判断で危ういところで『驕慢王の美酒』の影響範囲である王の間から蹴り出されて事無きを得たが、梟の眼球と視覚を接続したことでこの因果線を侵食されて右目を失う。その後、念話で赤のセイバーが『死ぬよりも負けることが嫌だ』と言ったことを受けて、自身にヒュドラの毒の血清を投与して王の間に突入し、赤のセイバーに血清を注射して復活させ、令呪で『今度こそ王を討て』と命じて赤のアサシンに致命傷を負わせる。しかし血清によって即死は免れたものの、強すぎる血清によってしばらく後に死亡した。


獅子劫界離の煙草(用語)
 獅子劫界離が吸う煙草。銘柄は不明。台湾製の非常に稀少なものだが、味は酷い。
 獅子劫はこれを一箱、とある魔術師から譲ってもらったのだが、それは奇跡に等しいという。
 なお、蒼崎橙子は台湾製の稀少だが味が酷い煙草『煙龍』を愛飲している。


獅子劫界離の妻(人名/魔術師)
 魔術師の一族の娘で、界離との魔術的な相性は最高だった。聖杯大戦の時点では既に離縁している。
 界離に呪いが発現して生まれる子が必ずすぐ死ぬという事が分かってから『妻の一族も事此処に至って獅子劫一族の失墜を悟り、速やかに手を引くことにした』という記述から、おそらくその時点で離縁されたものと思われる。


獅子劫燈貴(人名/魔術師)
 ししごう とうき。
 獅子劫界離の親で獅子劫家6代目当主。彼の論文は時計塔で高く評価された。
 界離の養子が死んでからも継承者を作ることを諦めず、家を出た界離に魔術師を差し向けて魔術刻印を奪おうとしたことがある。


獅子劫界離の母(人名)
 生死不明。
 教育に口を出すことはなく、界離にとってはどうでもいい存在だった。


獅子劫界離の養子(人名/魔術師)
 獅子劫界離の遠縁にあたる少女。界離の事をお兄様と呼んで慕っていた。
 獅子劫と相性が良いため、獅子劫の魔術刻印を継承する(つまり界離の養子となる)ために選ばれた。「お兄様と同じ魔術師になれるのですね」という言葉から、おそらく元は魔術師ではなかったと思われる。体が弱く、雨や雪が降るたびに体調を崩していた。
 獅子劫の魔術刻印の移植をした時にその刻印が放出する毒素によって死亡。遺骸は土地の汚染を防ぐため荼毘に付された。


疾風車輪(俗称)
 ジーン・ラムの通称。


疾風怒濤の不死戦車(対軍宝具)
 トロイアス・トラゴーイディア。
 赤のライダーの宝具。ランクA、対軍宝具。
 赤のライダーが駆るポセイドンから賜った三頭立ての戦車。これを曳く三頭の軍馬のうち一頭はエーエティオンを落とした際に略奪した普通の名馬ペーダソスだが、残る二頭はポセイドンから賜った不死身の神馬クサントスとバリオスである。
 神速を以て戦場を蹂躙する。速度の向上に比例して追加ダメージを与えることができ、最高速度ではさながら疾走する巨大な芝刈り機となる。
 黒の陣営の『虚栄の空中庭園』への攻撃を迎撃する際にこれに乗って出陣したが、黒のアーチャーにペーダソスを消失させられ、直後に赤のライダー自身の判断で使用を中止された。


シボレー・コルベット(用語)
 獅子劫界離と赤のセイバーがイデアル森林の戦闘に加わる際に使用した自動車。赤のセイバーの運転でボロボロになったが、赤のセイバーが黒のライダーとの戦闘を始めてから獅子劫が無理矢理運転していった。
 アメリカのゼネラル・モーターズのシボレーブランドで販売されるスポーツカー。強力なエンジンを搭載した2シーターで、フロントエンジン・リアドライブを最初期から現代に至るまで貫いている。


ジャンボジェット(用語)
 アメリカのボーイング社が開発・製造する四発のジェット航空機B747の通称。
 1969年2月の初飛行からエアバスA380の登場までは世界一巨大な旅客機で、この大きな輸送能力は航空運賃を低減させ、それまでは一般庶民にとっては高根の花だった海外旅行を可能にした機体として知られる。製造機数が多く、2014年6月28日にはシリーズの通算1500機目がルフトハンザ・ドイツ航空に引き渡された。
 747-300型までが747クラシックと呼ばれ、747-400以降は新技術を投入した新世代型となっている。2015年現在、最新モデルの747-8のみが製造されている。
 『虚栄の空中庭園』に襲撃をかけるためにフィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアが中古機を10機購入し、ロシェ・フレイン・ユグドミレニアが遺したゴーレムに操縦技術をインストールして操縦させた。おそらく全機撃墜されたものと思われる。

 747-100
 初期型。1970年1月にパンアメリカン航空のニューヨーク-ロンドン線に就航し、以後多くの航空会社に就航した。

 747-SP
 747-100の短胴型。重量低減によって航続距離の増大を図ったもので、モーメントアーム減少による舵の効きを補うため水平尾翼と垂直尾翼が大型化されている。

 747SR-100
 日本市場専用に747-100をベースに開発された短距離路線用モデル。

 747-100B/SUD
 747-300の機体に747-100BのエンジンJT9D-7Aを搭載したモデル。日本航空が発注した2機のみが製造された。

 747-200B
 747-100の構造を強化した性能向上型。

 747-200F
 1969年にルフトハンザ航空の発注により開発された貨物型。

 747-200C
 貨物、旅客、貨物旅客混合型として運用できるコンパーチブル機。

 747-300
 747-200の二階部分を延長したモデル。

 747-300SR
 747-300をベースに構造補強を加えたモデル。製造機数は日本航空が導入した4機のみ。

 747-400
 747ファミリーの新世代型。外見はウイングレットが追加されたくらいしか目立った変更点はないが、アビオニクス、エンジン、客室内装備、主翼に変更が加えられている。コクピットが電子化され、航空機関士を廃して正副のパイロットのみでの運航が可能となった。日本の政府専用機もこのモデルである。

 747-400M
 747-400の貨客混載モデル。

 747-400D
 747-400の日本国内専用モデル。通常の747-400と違い、ウイングレットは装備されていない。新造機19機と747-400からの改造機2機の合計21機が製造された。

 747-400F
 747-400の貨物機型。アッパーデッキが短い。

 747-400ER
 747-400の航続距離延伸型。胴体や主翼が構造強化され、エンジンも強化されている。製造機数はカンタス航空が発注した6機のみ。

 747-400ERF
 エールフランスの発注で747-400ERをベースに開発された貨物機型。

 747-400BCF
 747-400及び747-400Mの中古機を改造した貨物機型。BCFはBoeing Converted Freighterの略で、ボーイングによる改造を表している。

 747-400BDSF
 747-400BCFと同じく旅客機を貨物機に改造したモデル。イスラエル航空工業(旧ベデク社)が独自に提供する改造プログラム。

 747-400LCF
 747-400の中古機を改造した特殊大型貨物機。LCFはLarge Cargo Freighterの略で、ドリームリフターの愛称でも知られる。機体の所有者はボーイング社で、世界各国で製造されるB787シリーズの部品をワシントン州エバレット工場に輸送するために使用されている。2015年現在、4機体制で運航されている。日本では787の主翼を製造する三菱重工業名古屋工場がある中部国際空港に頻繁に飛来している。
 機首、主翼、尾部にほとんど変更がないが胴体が大きく拡大されており、特異な外見を示している。また試験飛行中にフラッターが発生したためウイングレットは撤去されている。

 747-8IC
 747-400の後継モデル。主翼端がそれまでのウイングレットからレイクド・ウイングチップに変更され、胴体が5.7m延長されている。主翼が一新されたことでフライ・バイ・ワイヤが採用されたが、尾翼は747-400と同じ物なのでフライ・バイ・ワイヤではない。

 747-8F
 747-8の貨物機型。アッパーデッキが短い。


十と一の黒棺(用語/魔術)
 ティアムトゥム・ウームー。
 『虚栄の空中庭園』に具わる11の防衛機構。伝説の怪物ティアマットが産み落としたといわれる十一頭の獣に準えて創造された。外見は全長20メートルを超える漆黒のプレートで、庭園の周囲に配置されている。Aランクを上回る対軍級の光弾を撃ち出す。
 黒のライダーの攻撃で全て破壊された。


守護の錫腕(用語/魔術)
 ユーピター。
 フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアの接続強化型魔術礼装の腕の一つ。
 亜音速で飛ぶ銃弾を摘み取るほどの精密且つ機敏な動きが可能。


狩猟に特化した魔術師たち(組織/魔術師)
 魔術協会からの離反を表明したユグドミレニア一族を襲撃するため、魔術協会が差し向けた50人の魔術師たち。
 黒のランサーの極刑王によって49人が殺害された。残った1人はミレニア城塞の地下に設置された大聖杯に至り、大聖杯の予備システムの起動に成功。しかし拷問を受けてユグドミレニア一族のメッセージを延々と繰り返すだけの状態にされて帰り着いた。生き残った魔術師は治療に成功して深い眠りに就いたが、脳の洗浄に半年はかかる。


小聖杯(用語)
 敗退したサーヴァントの魂を無色の魔力として貯蔵し、7騎分溜まった時点でそれを種火に大聖杯を起動するもの。単に聖杯と言った場合はこれを指すことが多い。
 聖杯大戦の小聖杯は大聖杯が起動しないように穴が穿たれ、『虚栄の空中庭園』の上下の概念が失せた小部屋に封印されている。


情報抹消(技能)
 サーヴァントの技能。黒のアサシンが保有している。
 B…黒のアサシン。対戦が終了した瞬間に目撃者と対戦相手の記憶から彼女の能力・真名・外見的特徴などの情報が消失する。対戦が白昼堂々であっても、カメラなどの機械的な記録であっても効果は変わらない。これに対抗するには現場に残された証拠から論理と分析によって正体を導かなければならない。


ショットガン(武装)
 獅子劫界離が使用するショットガン。
 メーカー不明の水平二連式で、ストックとバレルをソウドオフしてある。ソウドオフすると通常ならば散弾がばらけるのが早くなって近距離での威力は増す(逆に集弾性が悪くなる)が、獅子劫は通常の弾薬ではなく魔弾を使うためこの特性は特に関係がない。


死霊魔術(用語/魔術)
 ネクロマンシー。
 獅子劫界離が扱う魔術。
 屍を様々に加工して利用するもの。中でも獅子劫は特に戦闘に特化した死霊魔術師である。
 死霊魔術師にとって大量の死体は必要不可欠であり、それが最も効率的に手に入るのは墓地でも死体置き場でもなく戦場である。そのため、一流の死霊魔術師は戦場に赴くことになる。


シルヴェルト・コッチェフ(人名/魔術師)
 ユグドミレニアの魔術師。
 聖杯大戦のサポートのためトゥリファス新市街地区に潜伏していたが、ミレニア城塞の警備情報を知っていたため黒のアサシンに拷問のうえで殺害された。


ジル・ド・レェ(人名/サーヴァント)
 赤のキャスターによってサーヴァントとして召喚された。
 ジャンヌ・ダルクの死によって狂ってしまったジル・ド・レェと対話させることで死を否定するシロウ・コトミネの理想に屈服させることが目的だった。しかしジークと再会して心を持ち直したルーラーに説かれて改心し、ルーラーに託された聖旗で彼女が『紅蓮の聖女』を発動する間の護りを受け持ち、『紅蓮の聖女』の炎を見て消滅した。


シルバーリザード(俗称)
 →銀蜥蜴


シロウ・コトミネ(人名)
 身長169cm。体重59kg。
 聖堂教会から派遣された赤側のマスターにして、聖杯大戦の監督役である神父。赤のアサシンのマスター。赤い聖骸布を纏っている。執政者の思考には慣れている。元は黒髪に白い肌だったが、中東で赤のアサシンを召喚する触媒を探していた際に白髪に褐色の肌という容貌になった。負傷などを除くサーヴァントの容姿の一時的な変化は一度霊体化して再度実体化する事でリセットされるが、シロウ・コトミネは受肉しているためそれができなかったものと思われる。
 冬木で行われた第三次聖杯戦争で召還されたルーラーのサーヴァントであり、真名は天草四郎時貞。宝具は『右腕・悪逆捕食(ライトハンド・イヴィルイーター)』と『左腕・天恵基盤(レフトハンド・キサナドゥマトリクス)』。愛刀は三池典太。彼の人類救済とは、第三魔法を普遍化し全人類の魂を物質化すること。『できないことはない』大聖杯にも実現不可能な願望があるため、それを正すために大聖杯そのものに介入して実現可能にしようとする。
 天草四郎時貞は生まれついての魔術使いであり、生前に彼が起こした奇跡とはその両腕で土地に刻まれた魔術基盤に接続し、あらゆる魔術を無意識に行使する事だった。その能力が宝具になったのが『右腕・悪逆捕食』と『左腕・天恵基盤』である。この宝具は大聖杯に介入する事さえ可能。魔術回路はスイッチを入れれば固定した臓器となるものだが、彼の魔術回路は秒単位で変質し続け、時には本数さえ増減している。
 島原の乱において奇跡的に一揆勢が勝利を得てしまい、そのために一揆勢は撫で斬りにされた。数万の一揆勢の命を奪ったのは敵ではなく自分であると自らを責め、次こそはありとあらゆる障碍、敵、艱難辛苦を排除して、万人が善性で万人が完璧な世界、あらゆる悪が駆逐された真なる世界、この世全ての善を手に入れると誓った。これこそがシロウの聖杯に懸ける願いであるが、シロウの望みは人類の救済のみであるため、そこから先は何も望んでいない。よって、救済が成った世界で玉座に座るのは赤のアサシンことセミラミスである、としていたが、全人類が不老不死となった世界では支配者は不要であるため、実際はこれはセミラミスを計画に乗せるための方便だった。
 第三次聖杯戦争でアインツベルンによってルーラーのサーヴァントとして召還され、他のサーヴァントに対する令呪というアドバンテージを活かして勝ち進むも大聖杯がダーニック・プレストーン・ユグドミレニアに奪われたため勝者にはなれなかった。その際に大聖杯に触れて受肉したため、マスターが死亡しても現界を続けられた。戦後は監督官だった言峰璃正の養子になって身分を確かなものとし、その資金提供を受けて世界を旅し、後には言峰の伝手であらゆる聖杯戦争を監督する第八秘蹟会に所属した。さらに後には言峰璃正の伝手で聖杯大戦の監督官になる。大聖杯の情報は聖杯を捨てた遠坂と零落したマキリから金で買った。
 もともと戦闘力も魔術も目立って強力ではなく、マスター不在の状態ではごく普通の人間程度の能力しかない。受肉した状態で老化しないのは彼の宝具の効果による。洗礼詠唱以外の魔術は学んだことがない。剣術の腕前は並だが黒鍵の威力は破格。ルーラーのサーヴァントに与えられる特権もあり、本格的な戦闘が始まる前に黒の陣営のサーヴァントの動向や大まかなステータスを把握している。聖杯大戦においてルーラーを最も警戒しており、断固として潰さねばならないと考えている。
 聖杯大戦では共同戦線を張る以上は必要なことであるとして、獅子劫界離に赤のセイバーの真名の開示を要求するが、拒否される。赤のセイバーの『不貞隠しの兜』の効果は『真名看破』に対しても有効であるため、赤のセイバーの真名を看破したのは大聖杯を強奪した後、赤のセイバーが兜を外した状態で『虚栄の空中庭園』を襲撃した時である。
 サーヴァントを使役する役を他の五人のマスターから代行しており、そのマスターたちを一室に収容している。マスターたちには紅茶を供して持て成しているが、シロウ自身は飲み慣れていないと言って一口も飲まない。サーヴァントの使役を代行しているマスターたちへの戦況報告は実情と大きく異なっており、まだ本格的な戦闘が起こってもいない時点でも敵サーヴァントは五騎が討たれ、味方は七騎すべてが健在であると報告していた。使役を代行しているサーヴァントたちへの命令は本来のマスターを通して行っている。赤のサーヴァントたちは自身のマスターに直接会ったことはなく、その仲介人と自称するシロウとしか会っていない。
 後に五人のマスターに聖杯大戦は赤の陣営の勝利に終わったと虚偽の報告をし、彼らから赤のセイバー以外の赤のサーヴァントのマスター権の委譲を受け、18画の令呪を得る。従ってシロウは赤のセイバーを除く赤のサーヴァント全員のマスターになったのだが、魔力供給については大聖杯と接続しているため問題なく行えている。大聖杯と接続したのは第三次聖杯大戦の時かミレニア城塞から大聖杯を強奪した時かは不明だが、「大聖杯が接続した現状では取るに足らない」と発言しているため、おそらくは前者と思われる。
 『虚栄の空中庭園』でミレニア城塞を攻めた際は赤のキャスターのエンチャントで宝具化させた刀と黒鍵を携えて自ら戦場に赴き、黒のバーサーカーと互角に戦った。しかしルーラーが自分の許に向かっていることを察知し、戦闘を切り上げて空中庭園に撤退する。ジークが黒のセイバーに変身した後、赤の本来のマスターたちからのマスター権の委譲儀式を立て続けに行い、サーヴァントらが吸血鬼と化した黒のランサーとダーニック・プレストーン・ユグドミレニアを相手に共闘している時に一斉にマスター変更をした。その後、大聖杯が格納されたミレニア城塞の地下で吸血鬼を迎え撃ち、洗礼詠唱で消滅させた。
 黒の陣営の攻撃に備えて全ての赤のサーヴァントに令呪を二画使用し、ルーラー(ジャンヌ・ダルク)からの令呪に対する抵抗力を向上させた。また黒の陣営が『虚栄の空中庭園』に襲撃をかけた夜に大聖杯に介入したのだが、その直前に赤のキャスターが悲劇を描きたくなることを予想して、令呪を使って自分に関して悲劇を書くなと命じた。
 赤のサーヴァントたちが時間を稼いでいる間に『右腕・悪逆捕食』と『左腕・天恵基盤』によって大聖杯のシステムに介入し、全人類に対する第三魔法の成就を可能とする。この介入を終えて外界に戻った際には短髪に神父服という以前の格好から、結い上げた長髪に陣羽織と裁付袴という豪奢な格好に変わっていた。
 ルーラーとの戦いでは『紅蓮の聖女』に対抗するために右腕をブラックホールの様にする『右腕・零次集束』を用い、大聖杯の八割以上を破壊されたものの競り勝った。この際に右腕を切り離す前にその機能を左腕に縮小・転写したため、性能こそ落ちるものの右腕と同じ機能を左腕で実現している。その後、ルーラーを失った怨みを抱くジークと戦い、隻腕でありながら戦いを優位に進めるもジークがフランケンシュタイン化したことで使えるようになった『磔刑の雷樹』を受けて敗北。赤のアサシンに救出され、第三魔法成就後の世界には支配者など不要であるにもかかわらず赤のアサシンを女帝にすると約束していたことを詫び、赤のアサシンと口づけを交して死亡した。

 クラス別能力は以下の通り。
 対魔力:A…セイバーの対魔力を持つ。教会の秘蹟には対応しない。
 真名看破:B…ルーラーとして召喚されると、直接遭遇したすべてのサーヴァントの真名及びステータス情報が自動的に明かされる。ただし隠蔽能力を持つサーヴァントに対しては幸運値の判定が必要。
 神明裁決:-…今回の聖杯戦争の参加者ではないため、このスキルは失われている。
 固有スキルは以下の通り。
 啓示:A…直感と同等のスキル。直感は戦闘における第六巻だが、啓示は目標の達成に関する事象全てに適応する。根拠がないと本人には思えるため他者にうまく説明できない。
 カリスマ:C-…国家を運営することはできないが、志を共にする仲間達とは死を厭わない強固な繋がりを持つ。彼はカリスマのおかげで根拠のない啓示スキルの内容を他者に信じさせることができる。
 洗礼詠唱:B+…教会流に形式を変化させた魔術。霊体に対して絶大な効果を及ぼす。保有する二つの宝具と連動させることによってサーヴァントすらも昇華可能。


真エーテル(用語/魔術)
 神代の魔力。詳細不明。
 英霊ジークフリートの宝具『幻想大剣・天魔失墜』の柄にはめ込まれた青い宝玉に貯蔵・保管されている。
 月姫やFateと同じ世界の未来の出来事であると思われる『鋼の大地』には真エーテルがジン、第五架空要素、宇宙塵といった名称で登場しているが、関連は不明。


心眼(真)(技能)
 修行・鍛錬によって培った洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、活路を見出す“戦闘論理”。
 A:黒のアーチャー。


神授の智慧(技能)
 黒のアーチャーの技能。ギリシャ神話の神から与えられた賢者としての様々な智慧。
 A+:英雄独自のものを除くほぼすべてのスキルにB〜Aランクの習熟度を発揮できる。またマスターの同意があれば他サーヴァントにスキルを授けることも可能。


神性(技能)
 神霊適性を持つかどうか。高いほどより物質的な神霊との混血とされ、英霊自身の魔物、魔獣としてのランクが上がるたびに減少していく。また本人が神を嫌うことでも減少する。
 A:カルナ
 C:ケイローン、アキレウス、セミラミス


陣地作成(技能)
 キャスターのクラス特有能力。魔術師として自らに有利な陣地を作り上げる技能。いかなる地形条件においても最善の効果を発揮する工房を最短期間で作成できるこのスキルによって、キャスターは防戦においては全サーヴァント中最強のアドバンテージを誇る。
 EX:赤のアサシン。現世にある特定の材料を集めることで『神殿』を上回る『空中庭園』を形成できる。
 B:黒のキャスター。工房ではなくゴーレムの鋳造に一点特化した『工場』を形成できる。
 C:赤のキャスター。工房ではなく物語を紡ぐ『書斎』を形成できる。


神罰の野猪(宝具)
 アグリオス・メタモローゼ。
 赤のアーチャーの宝具。
 オリュンポス12神のうち唯一生贄を捧げられなかった事に怒ったアルテミスが差し向けたカリュドンの魔獣の皮(あるいはアルテミスが猪を魔獣に変貌させるために被せた布)。これをメレアグロスから譲られた際に凄絶な殺し合いが起こったため、アタランテはこれを恋をしてはならないという啓示と受け取っていた。
 この宝具はアタランテが憎しみを抱くことで行使可能となり、この皮を纏う事でアタランテはカリュドンの魔獣に変貌する。使用すると狂化することでサーヴァントとしての力を限界まで引き出す事が出来るが、同時にある程度の理性も残る。この理性が残るという性質が『神罰の野猪』本来のものか、使用したのがアタランテであるためかは不明。
 赤のライダーによって赤のアーチャーから引き剥がされると消滅した。


真名看破(技能)
 ルーラーのクラス別能力。サーヴァントの真名やステータスを看破する能力。
 B:ジャンヌ・ダルクおよび天草四郎時貞。ルーラーとして召喚されると、直接遭遇したすべてのサーヴァントの真名及びステータス情報が自動的に明かされる。ただし隠蔽能力を持つサーヴァントに対しては幸運値の判定が必要。


神明裁決(技能)
 ルーラーのクラス別能力。ルーラーのクラスの最高特権。聖杯戦争に参加した全サーヴァントに対して令呪の行使が可能。このスキルはその聖杯戦争に参加したルーラーに与えられるものであるため、第三次聖杯戦争の参加者であるシロウ・コトミネの神明裁決スキルは聖杯大戦では失われている。
 A:ジャンヌ・ダルク。聖杯戦争に参加した全サーヴァントに対して各二回の令呪行使が可能。ただし他のサーヴァント用の令呪を転用することはできない。



  


彗星走法(対人宝具)
 ドロメウス・コメーテース。
 赤のライダーの宝具。ランクA+、対人(自身)宝具。
 『疾風怒濤の不死戦車』から降りることで起動する常時発動型の宝具。あらゆる時代のあらゆる英霊の中で最も迅いという伝説が具現化したもの。
 広大な戦場を一呼吸で駆け抜け、フィールド上に障害物があっても速度は鈍らない。戦車から降りるため弱点であるアキレス腱を露出しなければならないが、アキレウスの速度を捉え切れる英霊は少ない。


数秘術(技能)
 黒のキャスター(アヴィケブロン)の固有スキル。
 魔術系統の一つ、カバラ。これとノタリコンによる短縮詠唱を組み合わせることで、複数のゴーレムに複数のコマンドを一瞬で打ち込むことが可能となる。
 B:黒のキャスター(アヴィケブロン)。


スタヴロポレオス教会(地名)
 ルーマニアのブカレストにある教会。1724年創立。
 獅子劫界離はスタヴロポレオス教会が管理する墓地で赤のセイバーを召還した。



  


聖骸布(用語)
 ルーラー(ジャンヌ・ダルク)が所有していた聖骸布。肉体的な守護・自動治癒のほか、呪いや毒といった穢れに対する耐性もある。
 いざという時のために温存されていたが、フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアからカウレス・フォルヴェッジ・ユグドミレニアに魔術刻印が移植された際にカウレスに譲渡された。その後、竜告令呪を使い切ったジークに譲渡された。


聖人(技能)
 聖人として認定された者である事を表すスキル。聖人の能力はサーヴァントとして召喚された時に『秘蹟の効果上昇』『HP自動回復』『カリスマを1ランクアップ』『聖骸布の作成が可能』から一つが選択される。
 B:ジャンヌ・ダルク。ジャンヌ・ダルクの場合は聖骸布の作製が選択された。


精神汚染(技能)
 精神が錯乱しているため、他の精神干渉系魔術をランクに応じてシャットアウトする。ただし同ランクの精神汚染がない人物とは意思疎通が成立しない。
 C…黒のアサシン。精神干渉系魔術を中確率でシャットアウトする。


聖堂教会(組織)
 冬木の聖杯戦争においては公平な審判のため聖堂教会の介入を必要としたが、聖杯大戦においては魔術協会とそれに対抗する勢力の抗争に過ぎないため本来的には聖堂教会の監督官は不要である。であるにも拘らず監督役兼赤のマスターの一人としてシロウ・コトミネ神父が参加したのは、ユグドミレニア一族に肩入れをされたくないという魔術協会側の思惑と、魔術協会への牽制という聖堂教会側の思惑が一致したからにすぎない。


聖杯戦争(用語)
 冬木の聖杯戦争、および冬木の第三次聖杯戦争によって拡散した冬木の聖杯戦争のシステムを用いた亜種の聖杯戦争のこと。
 ほとんどが小規模で、召還する英霊も多くて五体。儀式を成立させたとしても万能の願望を叶えるには至らない。また、根源の渦に至る孔を穿つという冬木の聖杯戦争の本来の目的は知られていないためコピーされておらず、全ての願いを叶えるという表向きの目的だけが模倣されている。
 冬木の聖杯戦争の情報が拡散したため、英雄王、騎士王、征服王などの有名どころの英霊の触媒が各地で行方不明になっている。
 あらゆる亜種の聖杯戦争も魔術師側の『聖堂教会に対して秘匿するよりも情報を公開した方がいい』という判断から冬木の聖杯戦争と同じく聖堂教会が絡んでおり、第八秘蹟会にはその情報が集まっている。
 なお、オリジナルである冬木の聖杯戦争は第三次聖杯戦争の折にその要である大聖杯がダーニック・プレストーン・ユグドミレニアによって強奪されたため、それ以降は発生していない。


聖杯大戦(用語)
 冬木の第三次聖杯戦争の60年後、ミレニア城塞に移設された大聖杯を象徴として魔術協会からの離反を宣言したユグドミレニア一族とそれを認めない魔術協会による、聖杯戦争のシステムを用いた抗争。ミレニア城塞があるルーマニアのトランシルヴァニア地方の都市トゥリファスが主な戦場となる。これに先立ち、三流魔術師がマスターに選ばれることがないようルーマニアには魔術師の渡航規制が敷かれた。
 本来個別の勢力となるべき七騎のサーヴァントがユグドミレニア一族に独占されて一勢力に統一されてしまったため、起動した予備システムによりさらに七騎のサーヴァントの召喚が可能となった。ユグドミレニア陣営を黒、魔術協会の陣営を赤と称する。さらに本来なら八騎目のサーヴァントとして召還されるルーラーまでもが十五騎目のサーヴァントとして召還されるという異常事態になっている。またサーヴァントの数が倍になっているためマスター一人あたりへの聖杯からのバックアップが弱くなっており、サーヴァントの召喚が難しくなっている。
 ミレニア城塞に設置されていた大聖杯は赤の陣営に強奪され、シロウ・コトミネによって第三魔法を全人類に対して実行するために起動するが、シロウを打倒し竜種に変貌したジークが世界の裏側に持ち去ったため影響はなかった。
 最終的に魔術協会が派遣した赤の陣営の本来のマスター5名はカウレス・フォルヴェッジ・ユグドミレニアとフィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアによって救出され、残る獅子劫界離とシロウ・コトミネは死亡。黒の陣営ではカウレス、フィオレ、ゴルド・ムジーク・ユグドミレニアが生き残り、他に竜種に変貌したジークが世界の裏側に移動したものの存命、そのサーヴァントである黒のライダーも唯一消滅していない。
 ユグドミレニアは長であったダーニック・プレストーン・ユグドミレニアに全ての責任を押し付け、ユグドミレニアが積み上げてきた研究成果や特許などをほぼ全て魔術協会に譲渡する事で賠償に充てた。またカウレスらに救出された赤の陣営の本来の5名のマスターのうち一名が魔術協会時代のエースと目されていた人物だったため、彼の家から聖杯大戦自体を無かった事にしてほしいという提案があった。さすがにこれは受け入れられなかったが、弱小魔術師の連帯であったユグドミレニアは強制的に解散され、もとの単立の弱小魔術師一族に戻された。
 なお時代背景は第三次聖杯戦争の60年後という事で正史を基準にすれば1990年代と思われるが、2004年に改称されたアンリ・コアンダ国際空港の名前や2009年に発売されたライノという拳銃が登場していること、正史の第四次聖杯戦争当時に19歳だったウェイバー・ベルベットが既にロード・エルメロイU世になっていることから、正史では1930年代に行われた第三次聖杯戦争(及び第二次世界大戦)は正史よりも10〜20年程度後に行われ、聖杯大戦も2009年以降に行われたか、あるいはそれ以後の様々な出来事や人物の誕生が正史よりも早まっている可能性がある。


接続強化型魔術礼装(用語/魔術)
 ブロンズリンク・マニピュレーター。
 金属製の義肢。フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアが作成するこれは三流魔術師でも一流を仕留めるに足る威力を持つ。
 平常時はフィオレが背負う二本の義手のようなものだが、戦闘時はそれぞれが二本に分割されて個々に特化した性能を持つ義肢になる。それぞれの義肢は『守護の錫腕(ユーピター)』『戦火の鉄腕(マルス)』『轟然の鉛腕(ザトゥルン)』といった名称がある。フィオレの命令で動くが、危機的状況では自動で動く。
 アップデートをしつつ複数製作しているようで、最新のものは使用しない時はケースに入れて保管しているのに対し、旧式のものは剥き出しのまま工房に保管している。黒のアサシンに襲撃された時に旧式のものを使用した際に『戦火の鉄腕』を使用しているため、最新のものと旧式のものの構成は同じであると思われる。


セルジュ(人名)
 ルーラーとジークがトゥリファスの近くの村で出会った農家の老人。息子がいるが、既に独立しており、一人で暮らしている。
 空腹で動けなくなったルーラーとジークを自宅に招き、食事と寝床、さらに二人が出立する際に弁当を与えた。ルーラーとジークを着の身着のままで駆け落ちした恋人だと思い込んでいた。


セルジュの息子(人名)
 独立しており、外国で働いている。


セレニケ・アイスコル・ユグドミレニア(人名/魔術師)
 Celenike Icecolle Yggdmillennia。
 身長168cm。体重53kg。B86 W59 H88。血液型AB。12月11日生まれ。
 ユグドミレニア一族の魔術師。黒のライダーのマスター。扱う魔術は黒魔術で、他者の呪殺を生業としている。容姿は清廉だが、生贄を捧げるために人や獣を切り裂き、臓物に接吻するせいか、血腥さを漂わせている。アイスコル家に産まれた久しぶりの子として溺愛され、徹底的に黒魔術を教え込まれた。そのため魔術に関すること以外の我慢は彼女にとって拷問に等しい。ユグドミレニア一族随一の執念深さを持つ。コンピュータネットワークを通じて行う呪術の研究を行っているため、魔術師としては珍しくコンピュータなどの情報技術に詳しい。
 黒魔術に必要な殺戮や生贄に苦痛を与えることに当たっては鉄の理性で感情を抑え込み、冷静にあらゆる残虐な儀式をやってのける。もっとも、この際に抑える感情は嫌悪感ではなく嗜虐の愉悦であるのだが。その分、魔術を行っていない時の彼女は有り余る情欲を徹底的に吐き出しており、一夜を共にして無事だった男は一人としていない。
 ガラス瓶を触媒に黒のライダーを召還した。霊体化を嫌う黒のライダーのために一室を用意させた。しかし黒のライダーへの執着が強く、一時間に一度は呼び出している。毎日黒のライダーを嬲っているのだが、正常な状態で愛することはなく、縛ったり舐めたりと倒錯的な方法である。聖杯大戦が決着するまでは魔術師として黒のライダーを使役しなければならないので自重しているが、それが終われば令呪を使って汚し、犯し、恥辱に塗れさせるつもりでいる。愛情なる感情は理解の範疇外にあるが、黒のライダーの愛情が後にジークと呼ばれるホムンクルスに与えられたことを知り、ジークを根絶せねばならない忌々しい害虫のように思う。こうした鬱憤は使用人として働くホムンクルスを惨殺することで晴らしている。
 黒の陣営に属してはいるが、我欲を優先している。聖杯に懸ける願いは特になく、黒のライダーと愛し合えれば(というか犯せれば)それでいい。勝利した後で三画の令呪を使って黒のライダーを死ぬまで犯すつもりでいた。
 イデアル森林での戦いでは他のマスターらと一緒にミレニア城塞で観戦していた。大聖杯が強奪され、戦闘が終結した後、度重なる命令無視に業を煮やしてついに令呪を用いてまで黒のライダーが最も苦しむ結末を与えることを決意する。令呪で黒のライダーにジークを殺すよう命じるが黒のライダーが抵抗したため、二画目の令呪を使おうとしたところで赤のセイバーに首を刎ねられて死亡した。


戦火の鉄腕(用語/魔術)
 マルス。
 フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアの接続強化型魔術礼装の腕の一つ。
 光弾を放って攻撃する。


鮮血の伝承(宝具)
 レジェンド・オブ・ドラキュリア。
 黒のランサーの宝具。ランクA+。対人(自身)宝具。
 自身を後世の伝説にのみ謳われた吸血鬼ドラキュラ像を具現化させ、自身を吸血鬼に変貌させる。この吸血鬼とはいわゆる死徒ではなく、人々の空想にのみ存在するステロタイプな吸血鬼ドラキュラのことである。
 この宝具を発動してドラキュラ伯爵となったヴラド三世は通常のスキルや宝具を封印されるが、吸血鬼としての単純な膂力でサーヴァントを殴り飛ばすほどの身体能力の大幅増幅、吸血によって仲間を増やすこと、動物や霧への変身能力、治癒能力、魅了の魔眼といった特殊能力と、陽光や聖印に弱いといった弱点を得る。また極刑王は封印されるものの、マントの内側から杭を召喚して投擲することは可能。


戦闘続行(技能)
 生還能力。サーヴァントの技能。
 正史の第五次聖杯戦争におけるランサーの戦闘続行スキルは往生際の悪さを、同じくバーサーカーの戦闘続行スキルは死亡しにくさを表す。聖杯大戦における赤のセイバーや赤のライダーの戦闘続行スキルは往生際の悪さを表す。
 A:赤のライダー。瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。
 B:赤のセイバー。聖槍ロンゴミアントで貫かれても諦めず、騎士王に致命傷を与えた。


千里眼(技能)
 サーヴァントの能力。視力の良さ。遠方の標的の補足、動体視力の向上。
 アーチャーのクラスに必須の視覚能力。視覚による偵察の他、弓を使った際の命中精度にも影響する。
 B+:心眼(真)との兼ね合いによっては限定的な未来視も可能とする。


洗礼詠唱(技能)
 サーヴァントのスキル。教会流に形式を変化させた魔術。霊体に対して絶大な効果を及ぼす。
 B+:ルーラー(天草四郎時貞)。保有する二つの宝具と連動させることによってサーヴァントすらも昇華可能。



  


訴状の矢文(宝具)
 ポイボス・カタストロフェ。
 ランクB、対軍宝具。
 赤のアーチャーの宝具。矢を弓に番えて放つという術理そのものが宝具になったもの。
 守護神アルテミスから授かった『天穹の弓(タウロポロス)』によってアポロンとアルテミスに加護を求める矢文(合計二本)を空に向けて放ち、次のターンに無数の光の矢が降り注いで全体攻撃を行う。この攻撃は範囲を指定することも可能。これは太陽神であり弓矢の神であるアポロンと月の女神であり狩猟の神であるアルテミスに加護を求め、二柱の神は加護の代償として災厄、つまり敵方の生贄を求めるというものである。


蒼天囲みし小世界(宝具)
 アキレウス・コスモス。
 赤のライダー(アキレウス)の宝具。精緻な意匠が施された大盾。アキレウスが生きた世界そのものであり、神がいなくとも世界は続くという理屈で対神宝具をも防ぐことができる。
 黒のアーチャーと赤のライダーの約束によって黒のライダーに譲渡され、ジークと戦う赤のランサーの『日輪よ、死に随え』を防ぐために使われ、砕け散った。


ソフィアリ(家名/魔術師)
 ブラム・ヌァザレ・ソフィアリの家系。
 エルメロイ家とは表面上は穏健な関係を築いているが、隙あらば互いの足を引っ張り合っている。特にライネス・エルメロイ・アーチゾルテはエルメロイ家が窮地に陥った際にソフィアリ家が助けなかったことで恨んでいる。
 聖杯戦争で苦汁を舐めたことがあるらしい。


宙駆ける星の穂先(宝具)
 ディアトレコーン・アステール・ロンケーイ。
 赤のライダーの宝具。
 突き立てた槍を中心に、神性、幸運など、あらゆる補正を無効化する闘技場を作り出す。この効果は相手のみならず、使い手であるアキレウスにも適用される。これは女神の加護を得ているアキレウスと戦うと罰が当たると言って逃げ回っていた大英雄ヘクトールと一対一で公平に戦う為に編み出した技である。
 固有結界に似た魔術だが、固有結界が世界そのものを塗り替えるのに対しこちらは本来の世界の上に積み重ねるように形成される。



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