アーサー王(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦のカード。
 武:10、防:10。固有能力は自軍の対人攻撃力が3倍になる『騎士王の号令(エクスカリバー)』。


アーシェロット(家名/魔術師)
 植物科に属する。古くからテレビメディアに手を回しており、メイ・リデル・アーシェロットに至ってはリデルリドルの芸名で歌姫として活躍している。
 2003年の時点での当主は流行ものに目がないという事で有名であるため、父親からメイ・リデル・アーシェロットに交代していると思われる。


アーチゾルテ(家名)
 エルメロイの分家。
 もとはかなり下位の家だったが、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトの死後に上位の家が残らず離反したり遠ざかったりしたため、血縁の家でまだ魔術刻印の移植を受けておらず、エルメロイの源流刻印の適応率が突出して高かったライネス・エルメロイ・アーチゾルテが次代のエルメロイ家当主に選ばれた。


アーチボルト(家名)
 Archibald。
 エルメロイ派を擁する魔術師の家系。名門。ケイネス・アーチボルト・エルメロイの代で九代目。ケイネスがエルメロイ学派の当主に就任する前はアーチボルトの他にも有力な派閥があった。
 ケイネスの時代まではエルメロイ学派が運営する鉱石学科の他に、ケイネス個人が降霊科の君主の娘ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリとの結婚を取り付けた事で降霊科の講師の座も得ていた。なお鉱石学科についてはケイネスの死後はメルアステア(メルアステア家そのものか、中立主義のメルアステア派かは不明)に乗っ取られた。


アーチャー(クラス)
 三騎士の一角で弓を主装とする。宝具の強大さが特徴。能力値の大小ではなく、強力な射撃武器や射撃武器に関する特殊能力を持っていることが該当する条件になる。
 クラスの固有能力は“対魔力”と“単独行動”。単独行動のスキルがあるために魔力の供給を断たれてもしばらくは行動可能。


アーチャー(人名/サーヴァント)
 身長187p。体重78s。
 第五回聖杯戦争において遠坂凛が召還した弓兵とは名ばかりのサーヴァント。格闘戦も武器戦闘も対魔術戦も家事手伝いもそつなくこなす。徹底した現実主義者だが忠義者で、妙に子供くさく憎めない性格。隠し事はするが嘘はつかない。皮肉屋だが、それは彼なりのアドバイス。一人称は『私』だが、感情が昂ぶると『オレ』になる。
 真名は衛宮士郎が世界と契約して英雄化した未来の英霊エミヤ。正英雄でも反英雄でもない。凛がランサーに殺された士郎を助けた時に使ったペンダントを最期まで持っていたために、凛が触媒を持っていなかったにもかかわらず召還された。元になった衛宮士郎とはかけ離れた人物。世界に二羽しかいない、種は同じでも違ってしまった存在。衛宮士郎の記憶は既にないが、第五次聖杯戦争においてセイバーを召還したときの光景は覚えている。彼の肌が浅黒いのは、投影魔術を使った反動である。
 召喚された当初は不完全な召喚のため自分の素性や真名についての記憶が曖昧だと言ったのは半分本当で半分嘘である。凛が眠ったあとに現状を把握、状況を推理、推測し、ようやく目的を可能とする機会を得たと確信した。だが『遠坂凛』という名称が磨耗していたため、自分を召喚した少女が遠坂凛であると確信したのは翌朝に彼女が自己紹介した瞬間であった。その直後のアーチャーの言葉は、狂おしいまでの親愛の情がこもった一言だった。
 エミヤが体験した第五次聖杯戦争は正史で描かれる冬木の第五次聖杯戦争と条件がほぼ同じであるが、微妙に異なる。そこで衛宮士郎はセイバーを召喚して戦い、セイバーの心を救えないまでも彼女を理解し、ともに聖杯を破壊して別れた。その後、生き残った凛と協力関係になりロンドンに旅立った。災害時に目の前の数百人の命を救うため、現世で目に見えるだけの命を救うため、死後は英霊としてもっと多くの命を救うために20代後半から30代前半の頃に世界と契約して英雄になった。必死に戦争を終結させたが、味方の裏切りにより戦争の首謀者の汚名を着せられて絞首刑に処される。より多くの人々を救えると信じて英霊になったものの実際は自滅する人間の掃除屋になったに過ぎず、より多くの人間を殺し続けることになってしまった。そして、自らの理想に反して何度も人間の自滅を見せられるうちに狂ってしまった。そのために半ば八つ当たりでかつての自分を殺すことだけを希望にして存在し続けた。
 士郎を殺そうとしたり助けたりと行動が一貫しないのは、どうせ変わらないという虚無感に襲われながらも、もしかしたら違う道があるのではないかという一縷の可能性に縋って苦悩していたから。アーチャーは救われたいわけでも八つ当たりしたいわけでもなく、この世界線で『正義の名のもとに生まれる殺人者』が現れる可能性を自らの手で断つことが今まで奪ってきた者たちへの最低限の贖いだと考えているのである。
 生前体内にあった『全て遠き理想郷』については聖杯戦争が解体された時にセイバーとのラインが切れてイメージが消え、長い放浪生活の中で意味を失い、抜け落ちるようにして大地(星の内海)に還ったので英霊エミヤの体内には存在しない。
 その強さは才能によるものではなく、自分の持っているものをただひたすらに鍛え上げたもの。武器を複製した際に使い手の技量を読み取ることができるため、様々なサーヴァントの宝具と戦闘技能を獲得している。戦いにおいては必勝の策を持って挑む。
 宝具を持たず、強いて言うならば彼の固有結界『無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)』が宝具といえる。これで複製した宝具を『壊れた幻想』としても使う。『約束された勝利の剣』クラスの聖剣は正確に投影できず、それに匹敵するクラスの聖剣を持ち出したとしてもその全性能を引き出す魔力がない。
 彼が得意とする魔術は強化、投影のほか構造把握から派生する解錠、修復がある。初歩の初歩といわれる魔力感知、魔術抵抗も使用できるが、自然干渉からなる攻撃魔術はからきし。魔術師であるうえ三騎士の一角であるにもかかわらず彼の対魔力がDランクと低いのは、現代の英霊であり、魔術や魔法が当たり前だった古代の英霊に比べ魔術との親和性が大きく劣るため。しかしキャスターに施された空間の固定化を力尽くで解くことはできた。
 彼の腰の外套はある聖人の聖骸布で作られており、外敵ではなく外界に対する一級品の守りの概念武装。赤い聖骸布は20歳を過ぎてフリーランスの魔術師として活動し始めた頃にとあるカレー好きの聖職者から譲られた、らしい。使用する黒い弓は投影した偽宝具を効率的に射出できるよう調整を加え続けたもので、エミヤが青年期から使い続けている唯一の彼オリジナルの武器である。なおアーチャーの弓は洋弓で、それを手本に士郎が投影した弓は和弓である。
 彼は単独行動スキルの他に霊核に致命的な損傷を受けても短時間ならば生存が可能な特性がある。凛ルートでアインツベルン城においてギルガメッシュに襲われた際に霊核が半分ほど吹き飛んでおり、その後も現界を続けられたのは意志力による。以後はアインツベルンの森の生き物の生き胆を食らって魔力を補給し、各地に隠した礼装を回収する事で何とか矢を射れるだけの戦闘力を維持していた。しかし白兵戦は不可能な状態だった。
 ガラクタいじりと家事全般が得意で、本人は否定するも家事全般が好き。正義の味方が苦手。遠坂凛、間桐桜、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンが天敵。
 技能:執事があれば間違いなくA+。ランサーが名ウェイターなら、アーチャーは根っからのバトラー(執事)。ランサーにも似たようなところがあるが、ランサーが雑なのに対してアーチャーは神経質なまでに整理整頓する。このあたりも彼等の仲が悪い一因。ゲームに関しては無関心だが、やり始めれば器用にこなしてエンディングまでやり通す。
 なお彼(衛宮士郎)の詠唱である『体は剣で出来ている』の『剣』は『つるぎ』と読む。
 セイバーと戦った場合には、一騎討ちであれば無限の剣製を以ってしてもセイバーを抑えきれるかどうかは不明。戦術においても色濃く性格が出るが、勝敗を決するのは彼らではなくマスターの機転による。
 アサシンと戦った場合には、真っ当な殺し合いならばアーチャーが有利だが、アサシンは防性であるうえ柳洞寺というサーヴァント殺しの地形とキャスターが作り上げた対魔術の防御結界によって魔術、宝具を大幅に削減されるため強力な宝具でなければ致命傷は与えられない。よって戦いは剣技によるところが大きくなるが、地形効果によって狙撃を封じられたアーチャーがやや不利となる。
 ライダーと戦った場合には近距離戦においてはアーチャー有利、遠距離戦においてはライダー有利と彼女との相性はよくなく、ロー・アイアス単体でベルレフォーンを防ぎきれるかどうかが勝敗の分かれ目となる。
 エミヤが生前に経験した聖杯戦争でランサー(クー・フーリン)と因縁ができ、守護者となった後も何度か顔を合わせていて、ランサーに対する苦手意識がある。ランサー側としても戦うたびに嫌な戦法を繰り出すエミヤに対して不快感を抱いている。
 第三次聖杯戦争の再現たる四日間で使用していた釣り道具は、99%カーボン製の高級ロッド、16個のベアリングに電動高速巻上げのリールをはじめ、すべて最先端かつ高級品。総額二十万三千円。リールは連日品切れのフ○セスーパーオートメーション。でもすべて投影による贋作。
 四日間の中では第五次聖杯戦争終結後に遠坂凛との契約が破棄され、現界のための触媒にこそなってもらっているが再契約しておらず、凛からの魔力供給はカットされているということになっており、条件次第で凛の手助けをしている。
 『赤いケータイさん』では取り込んだまま放置されていた洗濯物(下着を含む)を勝手に畳んで仕舞った事に対して怒ったうえ、アーチャーを維持するための魔力をケチった遠坂凛によって赤い携帯電話に封じられる。さらに箪笥の奥に仕舞われていた勝負下着について批評したことで遠坂邸からアーネンエルベまで思い切り放り投げられ、その時のショックで記憶に混乱を来たす。
 その後凛が迎えに来るが、あくまで自分をアーチャーであるとは認めず、加えて凛による経緯の説明によって彼女と行動を共にすることに危険を感じ、同行を拒否。桂木千鍵に捕獲されるが隙を突いて逃れ、固有結界アンリミテッドモバイルワークスに桂木千鍵、日比乃ひびき、遠坂凛の三人を取り込む。その後アンリミテッドモバイルワークスを脱出するために凛らが大暴れしたことで携帯電話に施された封印が解け、元の姿に戻る。なお、記憶は途中から戻っていた。放り込まれた時に割れた窓ガラスは退店時に魔術で修復した。
 TYPE-MOON Fes.では黒桐鮮花とは別口(天使ということなので、おそらくは高校生時代の久遠寺有珠と蒼崎青子)で事件の解決を依頼され、脅迫状の調査をしている鮮花に対し調査を切り上げるよう警告をした。その後、士郎を捕縛したカレン・オルテンシアと黒桐鮮花が退治しているところに現れ、自爆系の使い魔だと思ったロスト・ロビン・ロンドを速やかに射殺した。その後回収されアルクェイド・ブリュンスタッドに放り投げられたハッピーロビンのぬいぐるみストラップに蒼崎青子が魔弾を撃ち込むための信号弾を射ち込んだ。

 クラス別能力は次のとおり。
 対魔力:D…一工程による魔術行使を無効化する。魔力除けのアミュレット程度の対魔力。
 単独行動:B…マスターを失っても二日間現界可能。
 保有スキルは以下のとおり。
 千里眼:C
 魔術:C−…オーソドックスな魔術を習得。
 心眼(真):B…逆転の可能性が1パーセントでもあるならその作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。


アーチャー(人名/サーヴァント)
 第四次聖杯戦争におけるアーチャー。
 →ギルガメッシュ。


アーチャーの腕(用語:Fate)
 第五回聖杯戦争におけるアーチャーの腕。黒い影に襲われて左腕を失った衛宮士郎に、霊核を破壊されたアーチャーが移植させた左腕。
 経験値の塊ではあるが、あまりの経験値の多さに聖骸布を緩めるだけでアーチャーの記憶が流れ込み、衛宮士郎の人格、意識、記憶を破壊する。一度使うと自滅へのスイッチが入り、剣製を使う度にアーチャーの固有結界が押さえきれなくなり、体内で無限の剣製が作られる。その結果は内側から千の剣に串刺しにされる。
 聖骸布を解かずとも士郎本体への影響はあり、肉体は強化され精神もアーチャーの経験に引きずられる。例えば通常なら躊躇するであろう地上20メートルから飛び降りるという行為も、アーチャーならば当たり前にできるためほぼ躊躇なく行ってしまう。
 ちなみに移植時のシーンタイトルは『アーティフィシャル・ファンタズム(人工的な幻想)』。


アーネンエノレベ(地名:狙われたアーネンエルベ)
 アーネンエルベ、ではなく、あーねんえのれべ。
 たった一晩のうちに突然アーネンエルベの向かいにできたメイド喫茶。店舗は外観から構造までアーネンエルベそっくり。オーナーはルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト。厨房はネコアルクが任されているため、メニューは魚一色になっている。
 ランサーが捕縛された後、ルヴィアゼリッタとカレン・オルテンシアはランサーの尋問、ギルガメッシュは外出、ネコアルクはアーネンエルベに向かったため店が完全に放置され、その結果、客がこぞって向かいのアーネンエルベに押し寄せた。


アーネンエルベ(地名)
 ドイツ語で『遺産』を意味する喫茶店。映画館の横にあり、なぜか出入口が二つある。
 都会の隠れ家をイメージしてひっそりとオープンした。マスターのジョージはイタリア料理の達人。他にアルバイト店員の桂木千鍵と日比乃ひびき、ランサーが働いている。
 偽志貴によるとストロベリーパイが逸品らしい。ラズベリー系がおいしい。自慢のメニューはブルーベリーパイ。基本的にジョージが趣味で焼いているシェフの気まぐれパイにハズレはない。
 年中無休で、営業時間は平日が午前9時から午後7時、日曜・祝日が午前10時から午後6時。猫の持ち込みは禁止。テーブル単位での貸切が可能で、貸切料金は半日単位で変わる。支払いにはカードの使用が可能。夏場は海の家、秋口には祭の露店を出している。男性の制服はギャルソン服一式だが、ウェイトレスの制服は半袖ブラウスに膝上丈のスカートとエプロンという冬でも半袖のものしかない。セイバーたちが着用した様々な色のエプロンが保管されており、後に黛まゆ子と栗枝クララが着用した。茶色のエプロンは結城姉妹のための特注品。
 店内は壁や床もドイツを思わせる内装で、照明は薄暗く電灯を極力廃したものだが、アンティークで飾られていて雰囲気は悪くない。混雑していない時なら店内での勉強が可能。ひびきと千鍵は店内でよく宿題をしている。裏に焼却炉がある。
 基本的に客が少ない。桂木千鍵に会うために通う客がいるが、その客は千鍵をツンデレと称する類。ひびきと千鍵はレンにケーキを与えているが、その代金は志貴に払わせている。
 厨房の扉は防音らしい。厨房は一辺が最大3メートル。AATMでは厨房に黒い扉があり、それはグレートキャッツビレッジに通じていたが、GCVごと吹っ飛ばされて残ったのはドアノブだけ。そこのネコ精霊を倒せば倒すほどより強く店に縛り付けられるが、次の店長が来るか閉店時間になれば解放される。
 地下倉庫には店で使うものやジョージ店長が趣味で集めている変なものが納められており、千鍵たちは滅多に入らない。また何部屋もあるらしく、そのうちの一つは地下洞窟に通じている。その地下洞窟の最下層には妄想具現化装置ファーブル・マンタズムが納められており、間桐慎二がそれを使用した後、洞窟はおそらく第七聖典と『約束された勝利の剣』の使用によって崩壊し、入口も開かなくなってしまった。
 AATMでネコアルクらに乗っ取られていたときに出されたメニューには『にゃんこ雑炊』『鮭フレーク』『にぼしステーキドライ風味』『骨の味おせんべい』『にぼしフレーク北海道ミルクづくし』『かつおぶしに似たブラックハーブティー』などといった、明らかに改竄されたものだった。
 後に両儀式が店長になった際には『白玉ぜんざい』『白玉ぜんざい両儀スペシャル』といったごく真っ当なものが出された。
 メニューはコーヒー、紅茶などのドリンクからデザート類、軽食まで取り揃えており、店主こだわりの手作りパイが常連客に好評。一応メニューはあるのだが、作れるものなら何でも作るというスタイル。そのため『韃靼蕎麦茶』『オータムナルダージリンヴィンテージ』、果ては『大ブタチャーシュー追加ヤサイニンニクアブラチョモランマでカラメでほうれん草と生卵つき』というおよそ喫茶店とはかけ離れたメニューも作る。
 明らかになっている普通に注文できるメニューはストロベリーパイ、ブルーベリーのパイ、オレンジのパイ、オレンジとヒマワリのミックスパイ、ミートパイ、ラズベリーのトルテ、特製チーズケーキ、アップルシュトロイゼルクーヘン、クラブサンド、カレー(ポークカレー)、イカリング(カレーのトッピング)、夏野菜サラダ、きのこのパスタ、フィッシュアンドチップス、セットメニュー(Bセット)、3ポンドステーキセット(ランチセット、Fate/zeroフェア限定か?)、キャロットサラダ、津軽ドカ盛りカレーセット(通称シエルスペシャル)、グレープフルーツ、バレンシアオレンジ、ジンジャーエール、オレンジジュース、珈琲、カフェラテ、アイスココア、アイスティー、ユーカリティー、ミルクティー、レモンティー、アールグレイ、煎茶、赤ワイン。コーヒーは普通より熱い。カレーライスは大盛りやトッピングを選択でき、サラダがセットで付属する模様。言峰綺礼によれば麻婆豆腐を含む中華セットがあるらしいが、千鍵はその存在を知らない。一番安いメニューは砂糖水、らしい。
 カレーライスはじっくり煮込んだポークカレーで、かなり人気がある。毎晩ジョージが大鍋一杯に仕込んでいるが、ひびきや千鍵が出勤する頃にはほとんどなくなっている。シエルが称して曰く、カレーを愛する者たちが密かに集う隠れ里、月光華麗村。このカレーは本来一日寝かせて完成するものなのだが、最近は仕込みが追いつかないうえ『最近味落ちたんじゃないですか?』と小言を言われるのでジョージ店長は密かに嘆いているらしい。
 狙われたアーネンエルベでは向かいにできたアーネンエノレベに客を奪われて危機に陥るが、ひびきと千鍵、スナオがメイド服で客寄せや接客をやったことに加えアーネンエノレベが接客担当も厨房担当も誰もいなくなっていたためそちらの客が退去して押し寄せた。その後カレン・オルテンシアとジャイアントアンリによって崩壊の危機に瀕するが、カレイドオレンジとカレイドグリーンの活躍により事なきを得る。
 普段出会えない人間に出会えるという噂がある。また一度入ると店内のものを自由に使うことができるが新たな客が入店しない限り出られないという噂もある。後者の噂についてはシエルが調査に訪れた。
 月姫世界と空の境界世界の接点であり境界。遠野志貴と両儀式、アルクェイド・ブリュンスタッドと蒼崎橙子など、どちらかの世界に深く関わっている人物同士が顔をあわせると矛盾が生じるため、正式な時間軸上の物語では入ることができない。なお複数の作品の登場人物が顔をあわせるときには作中時間のずれなどは解消され、登場した当時の年齢のままである。平行世界が交差する場所として、また眼鏡の男が女の子を連れ込む店として重宝されている。
 複数の場所に出現したり消えたりし、冬木市の場合は冬木大橋の近くに現れる。カレン・オルテンシアは、アーネンエルベはキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグが建てさせた『魔法使いの匣』の一つではないかと考えている。そうだとすれば、この店で起こる不思議な現象にも説明が付く。


アームストロング船長(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦のカード。
 固有能力は全体攻撃能力『偉大なる一歩』。


I○M(組織:MELTY BLOOD)
 おそらくインダストリアル・ライト・アンド・マジックのこと。ハリウッド在住のジョージから連絡を求められたネコカオスが口走った。


アイオニオン・ヘタイロイ(対軍宝具:Zero)
 →王の軍勢。


相川(人名:Fate)
 穂群原学園2年C組の生徒。『くん』付けであることから男子と思われる。


合田教会(地名:魔法使いの夜)
 駅から離れた場所のオフィス街と住宅地の狭間、三咲市一の総合病院の横に建つ教会。古くからあり、1980年前後に改装された。田舎町には充分すぎる規模を誇る大教会だが、1980年代後半ごろには規模に対して人数が少なかった。たまに嫌な噂が流れる。
 1988年当時の主任司祭は文柄詠梨で、周瀬律架と周瀬唯架が働いている。なお唯架はシスターだが、律架はシスターではない。
 三咲市の福祉事業と密接な関係があり、1988年頃には結婚式にも手を出しており、運営はそれなりに順調。しかし文柄詠梨は頻繁に外出し、周瀬律架はボイコットし、奉仕の生徒が減少して実質的な労働力が周瀬唯架のみという人手不足に悩まされていた。
 魔術協会の支部であると同時に聖堂教会の支部でもある。魔術協会にも聖堂教会にも属さない蒼崎青子や久遠寺有珠に力を貸すのは彼女らが土地の管理者であるからで、管理者が代われば協力は打ち切る。蒼崎青子の父と祖父は合田教会とは長い付き合いで、青子も小学生の頃は毎日手伝いをしていた。しかし高校時代の青子はその過去を改竄したいほど嫌っていた。
 シスターの周瀬唯架は聖堂教会の代行者。
 ボランティアには謝礼が支払われる。


愛のエプロン対決(用語)
 二度目のアーネンエルベの海の家で、一度目に売れ線だった闇ナベ風タバスコソバが売れなかったことを受けて催されたイベント。
 二人一組で現地調達した材料を使った料理を作り、斬新なものが海の家のメニューに採用されるというもの。審査員は須方スナオで、参加者は結城姉妹、桂木千鍵と栗枝クララ、日比乃ひびきと黛まゆ子。
 結城姉妹は二人の褐色の肌に因んだイカスミフロート、千鍵とクララは千鍵の料理にイカスミフロートをぶちまけたもの、ひびきとまゆ子はごく普通の焼きそばを作った。最初の二品がゲテモノだったため普通の焼きそばの評価が相対的に高くなり、お蔭で焼きそばが大いに売れた。


愛の黒子(技能:Zero)
 第四次聖杯戦争におけるランサーのスキル。
 C…魔力を帯びた黒子による異性の魅惑。ディルムッドと対峙した女性は彼に対する強烈な恋愛感情を抱く。対魔力スキルで回避可能。


愛は霧のかなたに(用語)
 1988年公開の映画。原題Gorillas in the Mist。
 衛宮士郎らが二年生の年の11月頃にリバイバル上映されていた。


i-pob(用語:氷室の天地)
 携帯音楽プレーヤー。藤村組が出した縁日の型抜き屋の景品にあった。


四十物(人名:Fate)
 あいもの。穂群原学園2年C組の生徒。『さん』付けであることから女子と思われる。


アイリスフィール・フォン・アインツベルン(人名/ホムンクルス:Zero)
 Irisviel von Einzbern(またはIlrisviel von Einzbern)。
 身長158cm。体重52kg。2月1日生まれ。B85 W56 H84。
 アインツベルンに鋳造されたホムンクルス。ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルンの同型機の一人でユスティーツァ後期型という分類。究極のホムンクルスの母体となるべく設計されたホムンクルス。衛宮切嗣の妻にしてイリヤスフィールの母。アインツベルンの歴代のホムンクルスの中で唯一自らの母胎から継嗣を産み出した。切嗣には『アイリ』と呼ばれていた。衛宮切嗣とイリヤスフィール・フォン・アインツベルンが好きで節約と交通安全が苦手。言峰綺礼が天敵。
 完成時から人体として備わっているべき全ての機能と常人を遥かに凌駕する魔術回路を具え、初期設定として規格化された略式魔術刻印を焼き込まれている。完成当初は情動が極めて希薄であった。
 アイリスフィールは鋳造後にイリヤスフィール受胎の計画が発案されたため、イリヤスフィールの出産のみならず育成という本来とは違う役割を兼任させられることとなったが、これは設計段階から用途を特定されたアインツベルンのホムンクルスとしては特例である。この特例は乳母役のホムンクルスを新造するより効率的であろうというユーブスタクハイト・フォン・アインツベルンの判断。これによってアイリスフィールはホムンクルスでありながら人間の女性と同様に子を産み育てるという母親としての経験を積むこととなり、これが彼女の情操面においてユーブスタクハイトが予想だにしなかった影響を及ぼすことになる。
 他のアインツベルン製ホムンクルスと比べても9年の長きに亘り人間と交渉し、多彩で変則的な精神活動を行った個体は過去に例がない。換言すれば、彼女ほど人間同等の扱いを受け人間的な情緒を身に付けたホムンクルスはアインツベルンにおいて初だった。元来心身の機能では人間を凌駕する存在であるだけに、異例の成長を遂げた後もその精神構造は破綻せず、ついには一般的な人間と何ら遜色のない自意識と感情を備えるに至った。
 とはいえホムンクルスとして生まれつき持ち合わせている知識と理性がアインツベルン千年の結晶であるのに対し、情動面を育んだ人生経験はたったの9年に過ぎず、結果として彼女は貴婦人の風雅と幼児的な稚気を兼ね備えるお姫様となった。
 彼女が継承する伝来の魔術は物質の練成と創製、その応用。魔術師としての位階は衛宮切嗣よりも高位。彼女の武器は細く長い柔軟な針金。これは錬金術による即席ホムンクルスで、様々な形状に変化しながら敵を襲い、あるいは捕獲する。ホムンクルスである彼女にとって、自身の領域である魔法陣の中で休息をとることが唯一の休息。魔力供給さえあれば食事は必要ない。
 起動後に最終的に犠牲になる聖杯の器に人間の肉体と人格を与えるという方法に不快感を抱いた切嗣により、最低限の自衛手段(戦闘能力)さえ具えていないと評される。これは彼女を守るための方便であったが、ユーブスタクハイトはアイリスフィールを吹雪の森の中に全裸で放置し独力で生存させるという過酷な方法で彼女の性能を証明しようとする。この際は死にかけて気を失っているところを切嗣に救助され、生きることに喜びを感じ、それを損なうものに対して怒り、抵抗することが闘争の根幹であると教えられた。この際に初めてアイリスフィールと名乗った。
 以後、様々なことを学習し、情緒も豊かになっていった。この教育の最中、切嗣は彼女がそう判断するならアインツベルンから逃がして当たり前の人生を送らせると提案した。しかしこの時既にアイリスフィールは既に愛によって戦うことを決めており、その愛の源として切嗣を見定めていた。後に未来がなければ愛がないという旨の発言をした切嗣に対し、ならば新しい未来、つまり二人の子を作ろうと提案し、イリヤスフィールが生まれることになる。
 第四次聖杯戦争のため冬木市に赴くまで、アインツベルンの城(建物ではなく、敷地のこと)を出たことがなかった。第四次聖杯戦争の際には切嗣の故郷に行けるということでとても楽しみにしていた。
 来日前は現代日本では洋装が一般的であることを知らず、日本に溶け込むための衣装として数代前の当主が入手してアインツベルン城で保管されていた煌びやかな和服を着用しようとしていたが、切嗣に誤解を解かれそれを諦める。それでも自分の装いは自分で選びたいとして、切嗣が久宇舞弥に調達させた日本のファッション誌を参考にした。セイバーの装いについては、セイバーが城の保管庫にあるドレスを女性らしく発育していない身体に合わないとして嫌がり、ファッション誌に掲載されていた露出の多い衣装も恥ずかしいと嫌がったため、男装を仕立てさせたものと思われる。なおこの仕立師には以前切嗣の礼装(魔術礼装ではなく服装)を仕立てさせたが、アイリスフィールの趣味で色々と装飾を加えられていたため切嗣は着用を拒否している。
 第四次聖杯戦争においてはセイバーとサーヴァントシステムによらない、騎士道に基づく主従契約を交わして仮の主人となった。そのときにはセイバーが霊体化できないのをいいことに男装をさせたのだが、それはアイリスフィールの趣味。来日に際してはボラーレ・イタリア航空のドイツ発チャーター便を使用した。アイリスフィールとセイバーの主従は派手に動いて敵を引き付けるための囮の役割を担っていた。衛宮切嗣がセイバーを召喚したあと、その触媒であった『全て遠き理想郷』は彼女を偽マスターとして前線に立たせるための保険として彼女の体内に封入されていた。アサシン、キャスター、ランサーが脱落してから遠坂時臣に持ちかけられた休戦協定に『ライダーとウェイバー・ベルベットの潜伏先の情報提供』と『言峰綺礼の国外退去』という条件で同意する。
 第四次聖杯戦争の聖杯の器であり、サーヴァントが消えるたびに彼女の人間としての機能が圧迫されていく。しかし切嗣が彼女の中に全て遠き理想郷を埋め込んだおかげでセイバーが側にいるときのみ比較的人間の機能が保全されていた。なお彼女はこのことをセイバーに伝えなかった。しかしキャスター、アサシン、ライダーが脱落してからは聖杯としての機能に圧迫されて人間としての機能がほぼ失われてしまい、魔法陣の中で横たわって話す程度しかできなくなる。その後、別れを告げに来た切嗣に自身に封入されていた全て遠き理想郷を託した。なお、聖杯の器といってもより洗練されたイリヤスフィールと違いただ器を内臓に溶け込ませただけだった。
 切嗣の理想に賛同し、そのために我が身を犠牲にすることを肯定していたが、その理想を真実理解していたわけではなかった。本当はただ愛しい人と共に歩みたいと思っていたのだが、ただ夫のために死ぬ女よりも同じ理想のために死ぬ女の方が切嗣にとって重荷にならないと判断してそう振舞っていたのだ。しかし彼女自身切嗣とセイバーが勝ち残って戦いの終焉をもたらすことを望んでおり、対してアインツベルンの悲願である第三魔法の達成はさほど望んではいなかった。
 久宇舞弥の護衛のもと衛宮邸の土蔵に隠れていたが、ライダーを装ったバーサーカーに攫われ、冬木市民会館で言峰綺礼に殺された。その後は聖杯の中身がアイリスフィールの人格を纏い、切嗣と対話した。
 堂々とメルセデス・ベンツ300SLクーペを乗り回していたが、交通法規を知っていたかどうかは怪しい。なにしろ赤信号で“減速する”くらいだった。


アインス(人名:Talk.)
 埋葬機関のメンバー。
 アインナッシュの掃討任務に就いたシエルの手助けと監視に派遣される予定だったが、力不足と見たメレム・ソロモンに食われ、かわりにメレムがシエルの手助けに行った。
 五十過ぎだったらしい。


アインツさん家のイリヤさん。(用語)
 タイアップ企画だったのか、アニメ化も決定していた模様。
 穂群原学園小等部に通う、ドイツからやってきた女の子イリヤとセラお母さん、リズお姉ちゃんの家族のお話と思われる。第一話ではイリヤがカレイドルビーの犠牲者として事件に巻き込まれる。


アインツベルン(家名)
 Einzbern。
 聖杯戦争を始めた三つの家の一つ。本家はドイツのとある川の近くの山岳地帯に所在し、分家はない。魔術特性は力の流動、転移。伝来の魔術は物質の練成と創製で、貴金属の形態操作では他の追従を許さない。
 脳への情報を違うものから送ることで感覚や意識を別のものに移すことができるが、転移を得意とするアインツベルンや遠坂でさえ成功率が低すぎて攻撃には使わない。また、本体に刺激があたえられると肉体に意識が呼び戻される。
 第三魔法へのサンプルとして魂の出力装置(ホムンクルス)を鋳造し、データを取った後は廃棄するか、性能が良ければセラやリーゼリットらのようにメイドとして再利用する。
 アインツベルンにも治癒魔術はあるが、これも大元は錬金術であるため怪我人の肉体を再生するのではなく、魔力によって練成した新たな組織を移植して馴染ませるというものであるため、被術者の負担が非常に大きい。ホムンクルスの補修ならば問題ないが、これを人間の治療に応用するのは現代医学に例えると臓器移植も同然の大手術である。
 ラインの黄金の伝承に長けており、聖杯の器となる模造品を作り上げる。彼らが生み出したホムンクルスは失敗作であろうとも凡百の魔術師よりも手ごわい。だが彼ら自身は錬金術に特化するあまり、戦闘魔術の運用を不得手とすることで知られている。これが第三次聖杯戦争までのアインツベルンのマスターが緒戦で脱落した理由である。
 アインツベルンの術式では魔術が散逸しやすいらしく、工房を設置する建物は土か石で密閉された建物が望ましい。
 住処が冬山の城なので、城の中で花を育てる伝統はない。彼らの領地はワインを作れる気候ではないが、城には魔術用の素材を調達するためのアルコール醸造所がある。またスピリッツは自前で醸造しているらしい。タルボ農園のアーリーオータムナルのダージリンはアインツベルンの当主や懇意の間柄、年来の客人にしか淹れない特別な茶。
 第四回聖杯戦争では外部から衛宮切嗣をマスターとして雇い、アーサー王を召還する触媒としてコーンウォールで発掘した聖剣の鞘を与えた。彼には一族に迎え入れてまで期待をかけたが最後の最後で裏切られ、聖杯を破壊された。
 色々と裏切られてきた結果、第五次聖杯戦争の頃には『命令を忠実に実行する忠犬』であるバーサーカーこそが最強と思い込んでおり、その考えがヘラクレスをバーサーカーとして召還させた。
 聖杯戦争による事故で失われた物品の補償にはアインツベルンの資金が充当される。
 第五次聖杯戦争の失敗を受けて第三魔法の成就を諦め、以後はホムンクルスの鋳造は行われず、大聖杯も放置されることになる。


アインツベルン城(地名)
 冬木市の郊外、アインツベルンの森の中心に建つアインツベルンの別荘の城。彼らの国から丸ごと運んできたもので、アインツベルンのマスターが聖杯戦争の際に利用する。イリヤスフィール・フォン・アインツベルンの工房でもある。上から見るとコの字型に建っている。
 内装はとんでもなく絢爛豪華。城の守りは完璧で、侵入者が近づけばイリヤスフィールの命により霊的防壁が起動する。完璧な対霊加工が施されており、アインツベルンの森にいる霊は入れないようになっている。
 公には存在していないとされているが、森で遭難した人間が偶然に城内まで迷い込んだことがあるようだ。
 十年前から使用されていないが、ロビーの左奥の通路から行ける地下にワインセラーがある。城の中で中庭が一番寒く、そこの管理はセラがしている。中庭にはイリヤの希望に沿って花壇が設けられている。ここは聖杯戦争のための出城であり、質素なものらしい。
 ウインチェスター事件のせいで大変なことになり、大掛かりな修繕をした。ウインチェスター事件で遠坂凛が目茶目茶にしたのは三階で、修繕が終わった十月になっても三階は危険。


アインツベルン城(地名)
 冬木市の別荘ではなく、本国のアインツベルンの本拠地。衛宮切嗣は第四次聖杯戦争に際してここの礼拝堂でセイバーを召喚した。


アインツベルンのホムンクルス(用語)
 アインツベルンに鋳造され、使役されるホムンクルス。リーズリットやセラと同型のホムンクルスで、何十人もいる。基本的に人間扱いされず、自由に喋ることも許されない。ただ黙々と作業をするだけの存在。同型であるリーズリットとセラの体格が大きく違うことから、外見的には完全に同一と言うわけではないらしい。
 基本的には設計段階から用途を特定され、肉体も精神もその目的に最適化された状態で産み落とされる。
 アインツベルンのホムンクルスの中でイリヤスフィール・フォン・アインツベルンと言葉を交わす事が許されているのはリーズリットとセラの二人だけ。


アインツベルンの森(地名)
 冬木市郊外の未開拓の森、というよりも山々。冬木市市街地から直線距離にして西へ30kmあまりの地点にある。深山町から車で一時間ほど国道を走り、そこから雑木林の中を約1q歩いてようやく入口に辿り着く。
 登録上の名義は実体があるかどうかも定かでない外資系企業の私有地となっている。地主であるアインツベルンが開発を拒否しているため、樹海と化している。この中心にアインツベルン城が建っている。
 遠坂の直轄地に拠点を置くのを潔しとしなかったユーブスタクハイト・フォン・アインツベルンが第三次聖杯戦争の前夜、冬木に最寄の霊脈を土地ごと購入したもの。それを丸ごと結界として外界から隔離し、アインツベルンの地元から支城の一つを移築した。これに伴う折衝や隠蔽工作には遠坂家が奔走した。
 空を覆い尽くすほどの木々が陽射しを遮り、森の中は数十メートル先も見通せない。内部には木々が開けた直径40メートルほどの広場や廃墟がある。
 そこには巨大な侵入者識別用の結界が張り巡らされており、気配と魔力を遮断しない限り容易に発見される。その結界に触れたときの侵入者への反応はイリヤスフィール・フォン・アインツベルンの思い通りにできるようだ。またさらに奥に入ると味方の戦闘を支援するエリア・エフェクトを発動できる。
 いろいろと怪談があるらしいが、城を目指して森に入ると旧帝国軍の亡霊が現れて侵入者を戦場に送り出し、幾つかの試練を乗り越えた勇者だけが幻の城で一泊できるうえメイド姉妹に介抱されるという新説が加わった。


アインナッシュ(人名/死徒)
 Einnashe。
 初代アインナッシュ。魔術師上がりの死徒。八百年前にアルクェイド・ブリュンスタッドによって倒された。
 催眠の達人で記憶の改竄に近く、意識させて改竄する。その催眠にはアルクェイド・ブリュンスタッドですら『アインナッシュなどという死徒はいない』と騙された。アルクェイドはこれを倒すために無意識にして思い出せなくする魔術師と手を組み、固有結界の使い方を忘れさせて倒した。また、アルクェイドはその魔術師から協力の交換条件としてレンを預かった。
 とにかく慎重で、少しでも彼のことを知ったものは記憶を書き換えられていた。
 その放置された死体から流れる血を吸った吸血植物が二代目アインナッシュであるが、代替わりをしていたことは知られていなかった。


アインナッシュ(幻想種・死徒:Talk.)
 Einnashe。
 死徒二十七祖の7位。腑海林、思考林と呼ばれる。幻想種に近く、意思を持つ一つの森。森に生きる者はシュバルツバルトの魔物と呼ぶ。月姫本編の翌年(2002年)に発生したのはドイツ。この時はシエルが討伐に、遠野志貴が実を採りに赴いた。
 八百年前にアルクェイド・ブリュンスタッドによって倒された初代アインナッシュの死体から流れる血を吸った吸血植物が幻想種化したもの。
 その周囲に吸血植物にした木々が集まり、意思を持つ直径50キロほどの一つの森を形成している。約五十年に一度目覚めて森ごと移動しながら生物の血を吸う。活動期間中は全ての植物に血液が流れ、森全体が赤黒く点滅する。その血液は吸血したもののみならず、木々の内からも生じる。この森の中では全ての植物が意思を持って襲い掛かってくるので、教会ですら粛清はできない。またマナがすべてアインナッシュに独占されているため、魔術協会も放置している。活動期間に数百人の血を吸い、活動期間を終えると冬眠に入る。
 あまりに巨大な事と大気中のマナを完全に支配下においている事で、森が初代アインナッシュの固有結界だと思われていた。
 数百年に一度、森の中心、アインナッシュの王座にたった一つだけ真紅の実が生る。これはアインナッシュが吸った血が凝固したもので、食べると仮初めの不老不死を得ることが出来、真祖ならば吸血衝動を抑えられる。アインナッシュの実を食べた者はいないが、爛熟した実から落ちた血の雫から発生したアインナッシュの仔が存在するために不老不死の伝説が浸透している。
 シエルについて中に入ったメレム・ソロモンの右足の魔獣を倒した。
 少なくとも2003年の時点では代替わりが知られておらず、魔術師たちのほか代行者であったカラボー・フランプトンも腑海林アインナッシュは同じ名前の上級死徒が操る固有結界であると認識していた。


アインナッシュの仔(用語:事件簿)
 腑海林アインナッシュの爛熟した実から落ちた血の雫の一部が種となり、しばらく地中で眠った後に親とは違った進化を選んだもの。親のアインナッシュと同じように突然現れる森だが、一度きりで蓄えた魔力をすべて使い果たすらしく、同じ仔は二度現れた例がないとされている。発生時間も個体差はあるものの親に比べれば短い。
 2003年に魔眼蒐集列車が遭遇したものは氷雪の進化を選んだもの。これと遭遇したことで魔眼蒐集列車は霊脈を見失って一時立ち往生した。実際には自然発生したものではなく、種を手に入れていたドクター・ハートレスが霊脈を歪めるために魔眼蒐集列車の近傍に配置したもので、最初の遭遇から脱した後に回収され、ドクター・ハートレスの正体が暴かれた後に再度使用された。


アヴァロン(用語)
 神話において常春の国や林檎の島と呼ばれた小世界。世界の内側にありながら外側にあり、同じ座標、同じ空間にありながら数次元上にずれた位相に存在する。魔力が非常に濃く、アーサー王時代の人間であれば息を吸っただけで死亡する。この島に果てはないが、それでも端に近付けば現実のブリテン島のような不毛の地に変わって行く。
 マーリンは女性問題からアヴァロンに逃げ込み、彼に恨みを持つ女性が仕掛けた罠にかかって小さな塔に閉じ込められた。


アヴァロン(結界宝具:Fate)
 →全て遠き理想郷


アヴェスター(宝具)
 遍く示し記す万象。起きた出来事をひとりでに記録する補助タイプの宝具。タイプライターが自動化した程度のもので戦闘にはまるで役に立たない。その利点は言葉にならない感情や本人も気付いていない感情までも言葉として記録できること。
 すべてを正しく記録した経典(アヴェスタ)の名に相応しい誰も傷つけない宝具。アンリ・マユはこれから名前を削除されたことで秩序から自由になっている。


アヴェンジャー(武装)
 死徒二十七祖の十八位エンハウンスが使う魔剣。君主から譲り受けた(奪い取った)。


アヴェンジャー(クラス/サーヴァント:Fate)
 復讐者。第三次聖杯戦争における第八のクラス。第三回聖杯戦争でアインツベルンがルールを破って召還した、喚んではいけなかった反英雄アンリ・マユ。
 敗北した英霊は人格をなくして万能の魔力として聖杯に取り込まれるのだが、アンリ・マユは周りが願って創り上げられたためにアンリ・マユであり続け、聖杯がその願いを受諾してしまった。結果、この世全ての悪としてのアンリ・マユが形になろうとしている、つまり第三魔法の成功例になりつつある。またそのために聖杯は悪性の力の渦になった。黒い影の本体。
 正体はゾロアスター教の小さな村落(小さいながらも完成した世界)で世界中の人間の善性を証明するために、アンリ・マユの名を着せられて世界中の罪悪を背負わされた青年。
 英霊として扱われるがその力は本来の青年のものであり、第三回聖杯戦争でも序盤で敗北して聖杯に取り込まれた。その後は上記の理由から人が願ったとおり、『人間の願いをかなえる悪魔』に成長した。


アヴェンジャー(人名/サーヴァント:hollow)
 無限の残骸(アンリミテッド・レイズ・デッド)。怨天大聖アンリマユ。
 全身の紋様は『この世全ての悪』を現す呪い。それは時代・時間によって変動していくものなので、シンボルたる『アンリマユ』以外の模様は変化する。
 属性は虚無。第三次聖杯戦争の再現たる四日間の中でバゼット・フラガ・マクレミッツと契約したサーヴァント。もとはアインツベルンのサーヴァントだが、能力がただの青年のものであったため第三次聖杯戦争の四日目にあっけなく倒された。彼が五日目以降を知らないことが必ず四日目が終わると一日目に戻る原因。
 周りから呼ばれていた名(つまり真名)は『アンリマユ』。英霊としての格は低い。シルエットは衛宮士郎に酷似するが、バゼットと反英雄以外には現実感のないのっぺらぼうの影にしか見えない。ライダーが怪物に裏返りかけていたときには見えていたが、英霊に戻ったら見えなくなった。なお後日談。ではカレンにも見えていたようだが、なにぶん後日談。はFate版げっちゃであるので本当のところはわからない。
 生前は魔術も神秘も知らぬ一般人だったが、偶像として選ばれてその一生を魔として扱われた。
 最弱であるが、彼が娯楽と捉える殺害に関しては圧倒的な欲求を持ち、人間が相手ならば最強であると言う。バゼットに関しては人間として見ないことで殺害の対象から外している。
 殺人の質では最高だと自負するが、速さでなら犬と蜘蛛に譲ると話す。犬とは犬の姿をした死徒二十七祖の一位プライミッツ・マーダー、蜘蛛とは蜘蛛に酷似した姿を持つ死徒二十七祖の五位にしてアリストテレスタイプ・マアキュリーのORTであろうか。
 己の欲望には忠実に、他人の欲望には徹底抗戦という、自己快楽を最優先に考える性格。ひたすら受動的で面倒くさがり。口調はおどけ、おちゃらけている。おかしいことは笑い、悲しいことも笑う性格破綻者。この性格も『この世すべての悪』から分かれたものではなく、『無が取り憑いた人間』、つまり外見と共に衛宮士郎をモデルに形作ったもの。彼があそこまで人に親身になったのも士郎に反感を覚えた(魅せられた)から。しかし彼が奉られた所から見続けた風景は憶えており、美しいと感じていた。
 昼間は調子が出ず、夜でないと戦えない。昼はマスターに守ってもらわないと簡単に殺されるほど弱い。しかし防戦は非常にうまい。武器はいびつな大小二振りの短剣。ソードブレイカーであるそれを逆手に持ち、パワーが弱いため手数とスピードで戦う。その短剣の名は刃を絡めるための左歯噛咬(タルウィ)、敵の身を断つ右歯噛咬(ザリチェ)。
 モデルとなった衛宮士郎と同じく、錠前や簡単な機械をトレースして操作することができる。が、それなりに時間がかかるため、痺れを切らしたバゼットがぶち壊すという強攻策に出ることが多い。
 バゼットがこれと契約している限り第三次聖杯戦争の再現たる四日間を繰り返し、死亡するか四日目が終わると一日目に戻る。それには代償は必要ないが、バゼットはアンリマユの記憶を通るのでかなりの苦痛を伴う。この効果はバゼットの今わの願いの『死にたくない』を聖杯であるアンリマユが叶えたもの。本人の肉体を仮死状態にして保存し、魂を一人歩きさせて現実を舞台にした四日間を回し続けるものである。
 この四日間にしてもいずれすべての可能性を見てしまうことができ、すべてを見たときに四日間は終わり、アヴェンジャーは無に還る。バゼットが死亡するか四日間を終わらせることができないと知性をなくし、黒い獣(骸)になる。
 宝具は『遍く示し記す万象』(アヴェスター)の偽物である『偽り写し記す万象(ヴェルグ・アヴェスター)』。
 彼の本名であるが、彼がアンリマユとして祭り上げられた時点で呪術的に剥奪されてしまい、もはやこの世のどこにもその記録はない。名前を『遍く写し記す万象』から除外されたことで秩序からは自由になったが、それでも英霊と呼ばれるには力不足だった。アインツベルンのサーヴァントだった頃は宝具も使えなかった。
 後日談。では衛宮士郎がバゼットとカレン・オルテンシアによってアヴェンジャーの扮装をさせられた。


アウロフィゼターの刺身(用語:AATM)
 アーネンエルベでステンノとエウリュアレが注文したメニューだが、明らかにアーネンエルベ本来のメニューではないだろう。材料も作ったのもネロ・カオス。


蒼崎(家名)
 日本屈指の歪芯霊脈を管理する魔術師の一族。魔術師の世界における厄介ごとの代名詞。属性は風。復元が得意分野。魔術協会からは異端とされてきた。名門であるという記述と名門ではないという記述がある。
 蒼崎の実家は久遠寺邸から4駅分下った、三咲市の端の山奥にある。最寄駅は秋古城。財力は一般家庭と同程度で、住宅も一般的な一戸建て。
 古い家系であり、今代で6代目。3代目が大天才で『道』を掘り当て、そのために蒼崎の当主は高い確率で『魔法使い』を継承する。今代の後継者は不吉とされる姉妹で後継者争いの結果妹が魔法使いを継承し、姉は魔術協会に加入するも封印指定を受けて脱退した。妹も現在は脱退してフリーランス。
 なおその三代目、青子と橙子の祖父は怪物と称されるほどだったが、青子からは『偏屈で長生きしてるダメじじい』くらいにしか思われていなかった。三代目は出入りしていた文柄詠梨に殺されたのだが、魔法使いの夜の発表前は蒼崎の遺産を青子に譲ったために橙子に殺されたとされていた。
 偉大な三代目も子供や弟子には恵まれず、蒼崎の人間は年々魔術回路が失われており、青子の両親に至ってはほぼ無しだった。そこで名門・蒼崎の歴史は終わるかと思われたが、その両親は魔術回路を20ほど持った神童を授かった。蒼崎橙子である。
 橙子は魔術師として山奥にある祖父の工房で、青子は両親の家で育てられた。だが青子の16歳の誕生日、つまり橙子が18歳(魔法使いの夜発表前は橙子は青子の2歳年上とされていた)のときに突如後継者が青子に変更された。この記述も魔法使いの夜で微妙に改められ、家と祖父の工房が隣接していると明かされて姉妹は二人とも実家で育ったことになっている。また後継者が変更されたタイミングも青子の16歳の誕生日から青子が中学を卒業した日に改められている。
 第五回聖杯戦争が行われている2004年には姉は行方をくらましている最中、妹は全国行脚の最中だった。
 妹は壊すことしか能がないが、姉は何かと芸達者。


蒼崎青子(人名/魔法使い・魔術師)
 7月7日生まれ。A型。身長160p。体重50s。B88 W56 H84。1988年当時は身長163cm、体重51kg(この身長の差異は変化したのではなく、魔法使いの夜に合わせて設定が変更されたもの)。
 現存する五人の魔法使いの一人。第五魔法の使い手で第四の魔法使い。消費/消滅の理を担う最新の魔法使い。ただしトラウマによって魔法の行使をしたがらない。第五法の到達者。『相続遺産・蒼崎家の魔術刻印』を所持している。終末に立ち会うことのない放浪者。フリーランスの魔術師。誤差を改竄する者。ロンドンの問題児。蒼崎橙子の4歳下(魔法使いの夜の発表前までは2歳下だった)の妹。魔法使いの夜以前の絵では赤髪だが、実際は黒髪。
 大それたことはしていないが、『可能である』ことが既に脅威なので煙たがられている。霊長の守護のため、際限のない生存を望む。極度の放任主義。格闘技好き。魔法使いであるのは『辿り着いてしまった』からだが、辿り着いた青子自身、そこが何処なのか、何なのかわからなかった。魔術協会から『青』の称号を与えられている。戦闘においては魔術の他にカカト落しやボディブローなどの体術も使う。魔術協会ではマジックガンナー、ミスブルーと呼ばれている。
 オシリスの砂によるタタリの再演のような、タイムスリップもどきのトリックは効かない。ミハイル・ロア・バルダムヨォンに対して「貴方がこの先も生き続けるならいつかどこかで出会っているかもしれない」と言った事から、時間を超越していると思われる(魔法使い全般についてだろう)。
 極めて自己中心的ながら、務めて公正であろうとする気質の持ち主。怒りであれ喜びであれ、感情が昂ぶると口調が可愛らしくなる。人の好き嫌いは人並みにあるが、それと敵と見なすかは別で、嫌いな人でも敵と見なさなかったり、好きな人を敵と見なしたりということがある。敵と見なす基準は『自分の感情を乱す者』である。周瀬唯架とは非常に仲が悪い。
 遠野志貴に接するときは気さくなお姉さんだが、基本的には他人と深くかかわらないスタンスをとっている。賢者としての青子、暴れん坊としての青子。そのどちらも本当の青子で、普段はこの中間の人となりをしている。冷めた感じで強きを認め弱きに呆れながらも無視しきれない正義感を持つ。天然であり自覚はない。本当はひどいひと。
 高校時代は活発でリーダーシップに溢れていたが、中学時代は淑やかな大和撫子だった。これについて青子自身は『高校から人生仕切り直したようなもの』と言っている。中学時代の制服はセーラー服だった。
 学生時代は恋愛関係には非常にドライで、少なくとも1989年3月までは男女交際をしたことはなかった。その後も恋愛観は極めてクールで、所詮他人と自分は別物なのだから自分の感情が確かなら相手の感情など知る必要がない、とまで悟りきっている。のだが、根はロマンチストなので少しだけ愛し愛される関係に憧れているらしい。家庭には振り返らない人間と思われがちだが、これで案外子煩悩とか。
 久遠寺有珠とは同居人で相棒だったが、これはあくまで利害が一致しているため。本来の関係は家柄によるものであるが、味方というよりは敵に近い。
 青子という名前にコンプレックスを持っている(アオアオと続く名前が嫌い)でフルネームを呼ぶと怒るらしいが、青いものが好き。地下鉄の通過音に安らぎを感じる。忠犬が好きであり嫌い。出前が好き。久遠寺邸で食事を作るときは材料を買ってきて煮るだけの鍋物が多い。食費のことを考えずに食事を作るため、月末になると食費が底を尽いて昼食を槻司鳶丸にたかることがあった。姉ともども焼肉大帝都での大食い記録保持者。
 どうやら蒼崎橙子が一人だけイメチェン(劇場版に合わせたキャラクターデザインの変更)したことが気に入らない様子。
 魔術系統は数秘紋による魔力加工、変換、出力と魔法・青。魔術回路の質はC、量はE。魔術回路の編成は正常で極めてシンプル。魔術回路の規模は有珠よりも小さいが、回路の回転の速さ、耐久構造、魔力の質、燃費の良さが並はずれている。ノタリコンを基本とした魔術行使、無限回転と恐れられる高速詠唱を得意とする。彼女の魔術行使は強いのではなく恐ろしく速いもので、蒼崎家に生まれなければ天才的な射撃手として名を馳せただろうと有珠は認めている。最大射程はよくて600メートルほど。回転を速めることが専門だが止めることは専門外。
 魔術師としては半人前だが、体内の魔力の燃費効率が普通の100倍ほどよい。魔術特性は『物を壊す』ことにのみ特化しており、破壊に関してのみ稀代の魔女、人間ミサイルランチャーと呼ばれている。反面、治療・創造・修復といった魔術の腕前は並以下。多様性、万能性は低いが一点突破的な戦況ならば他の追随を許さない破壊の魔女。スターマイン、スターボゥという彼女の魔術は肘から魔力を撃ち出して拳を通過した時点で魔術式を完成させるというもので、格闘系の魔術師といえる。魔術師としては珍しく、触媒によるバックアップを好まない。
 ごく平均的なサーヴァントと一対一でなら対等に戦うことができる。なおアルクェイド・ブリュンスタッドと戦った場合には3:7で不利だが、アルクェイドは青子にしてほしくないことがあるので敬遠している。
 彼女は魔術回路こそあるものの魔術師としてはごく平均的な性能として生まれた。そのため魔術関連のことはすべて神童と謳われた姉の橙子に任せて、魔術とは無関係に温かな両親に愛されて成長していった。
 1978年に周瀬律架が変身術を使って姉の唯架と弟の律架という一人二役で内偵任務に訪れた際に、家庭教師になった青年の律架に対して恋心を抱く。それについて姉の唯架に相談し、律架の任務最終日に蒼崎邸の縁側で青年の律架に青子なりの愛の告白をした。しかしまさにその時に通りかかった橙子によって律架の変身術が解かれ、青子の初恋は終わった。
 魔法使いの夜の8年前の冬に、エンジンベルトに巻き込まれた猫の親子を助けるために祖父を頼り、祖父はその願いを叶えたが、結局猫を助けないことを選んだ。この10分間の記憶は魔法・青の性質により残っていないが、この時に「影」(おそらくは魔法使いを殺すという赤い影)が生まれた。
 中学を卒業した日(魔法使いの夜の発表前は16歳の誕生日だった)に突如橙子に替わって蒼崎の後継者にされて問答無用で魔術師の世界に引き込まれ、高校入学と同時に祖父から魔術刻印を継承した。なお、怪物と呼ばれる祖父を特別恐れておらず、仮にも魔法を汲み上げた大師父を『偏屈で長生きしてるダメじじい』くらいにしか思っていなかった。
 16歳のときに街の霊脈管理を任され、ちょこちょこと現れる外敵を迎撃していた。それは忙しい毎日だったが、文句を言いつつも楽しんでいた。ある時期までは魔術のみによるスタイルを重視していたが、新たな同居人が転がり込んできてからは格闘技に嵌り、白兵戦を前提とした魔術スタイルに切り替えた。
 魔法使いの夜の当時(1988年)は17歳。蒼崎橙子の4歳年下(魔法使いの夜の発表前は2歳年下の設定だった)の妹。才能は姉の橙子に比べて大きく劣る。この当時の魔術師としての実力は、久遠寺有珠と戦った場合の勝ち目はほぼ皆無という程度。ただし魔力を流動させるだけの単純な魔術式ならばわずか二年の実践で有珠を上回っている。少なくとも学生時代は使い魔を造る技量がなく、髪も瞬間的な術の強化にしか使えなかった。学生時代は魔術協会との繋がりはあるがフリーだった。
 高校二年生の時点では基本的な回路の接続と魔力を加工して弾くこと、つまり魔術回路を銃身として魔力を放つごく単純な魔術師である魔弾くらいしか使えなかった。また精度もかなり悪く、標的まで5mほどの距離から撃っても20cmほど外してしまっていた。右腕にある魔術刻印は普段は塗り薬で隠している。
 魔法使いの夜の当時は私立三咲高等学校の2年A組に在籍し、生徒会長を務めていた。役職は不明ながら、一年生の頃も生徒会役員を務めていた(美濃禎常が2年生で応援団長になり、その時に青子が生徒会長に就任したばかりという事なのでおそらくは1年生から生徒会長だった)。高校時代は教師とは冷徹であるべきであるという持論を持っていた。学力は高い方ではなかった。しかし渠裸大学の学生からレポートの代筆(というか丸写し)のアルバイトを引き受けてもいた。なおこのアルバイトを行うため、冬季特別清掃班の監督を槻司鳶丸に任せていた。
 青子が生徒会長になってから生徒のアルバイト先や親しい友人宅への移動時間およびその優先順位を調べ上げた機密ファイルが作成された。このファイルはもともと青子だけが利用できるものとして作成されたようだが、三咲中央公園における青子と人形との戦闘を三咲高等学校の男子生徒に目撃されたことでその生徒を見つけ出す目的で槻司鳶丸に利用させた。
 万事そつなくこなすが、使いどころを誤ると一転して学校を震わす嵐となり、大抵その場に居合わせた教師が責任を取る破目になる。生徒からも、騒いでいた教室でも青子が現れるだけで一瞬にして威儀を正して静まるほど恐れられている。生徒達の間ではいつも機嫌が悪いというのが通説になっていたが、これは単に彼女が言い訳をしたがらない性格であるためいつも何かに怒っているように見えるだけである。しかし、無害な何かに反感を覚えるということがあるのは事実。ただ、こういう時の怒りは歳相応の可愛らしいもの。
 音楽好きで中学卒業後は上京して国立大学を目指しながら毎日ライヴハウスをはしごするという野望があったが、橙子が抜け駆けをしたせいで潰えた。とはいえ音楽好きは変わらず、私立三咲高等学校の生徒会長に就任してからもたびたび天城浜のスタジアムにライヴツアーを観に行っていた。16歳で久遠寺邸に引っ越した。メイ・リデル・アーシェロットとはあまり仲が良くないが、リデルリドルのファンではある。高校時代の生活費は実家から月額三万円を送ってもらっていた。
 高校二年生の創立記念日は休日であったため、その明け方まで有珠に貰った見張り塔について何らかの作業を行っていた。それから眠りに就いたのだが朝8時ごろに電話で学校に呼び出され、山城和樹教諭に静希草十郎の案内を任された。草十郎に対しては初対面から訳もなく反感を覚えていた。なお、見張り塔は自己流アレンジを施したためか壊れるどころか跡形もなくなっていた。
 三咲中央公園で人形と魔術で戦った際にそれを三咲高等学校の男子生徒に目撃される。このときに結界の感覚を握っていたのは青子だが、どういうわけか結界に侵入されたことを感じなかった。なお、この戦闘で使用した魔術はもともと術式が公園に刻まれていたもので、青子が行ったのはそこに魔力を注ぎ込むことだけだった。
 後の調査でロビン・ロスト・ロンドが後を辿れなかったことで男子生徒が魔術師や魔術で操られていたという可能性は消えている。魔術の隠匿のためその目撃者を始末しなければならず、翌日に改めて有珠からその覚悟があるかと訊ねられて「やるしかないだろうね」と返答する。その後、有珠から収納の小瓶を譲渡された。目撃者を始末するに当たり、騙し討ちは気に入らないとして正面から理由を告げて殺すことにした。その更に翌日、鳶丸に依頼しておいた調査の結果と草十郎だけがその調査に含まれなかったことから目撃者が草十郎であることに行き着く。
 草十郎を呼び出すために使ったのは直接投函したと思しき手紙。これは草十郎が読んだあと、自動的に燃えてなくなった。草十郎を呼び出した待ち合わせ場所はやしろぎブレッド&キッツィーランドのキッツィーミステリーツアー城一階ロビーだが、実際は草十郎がキッツィーミステリーツアー城に入った後で自分が入り、退路を断つつもりだった。しかし城に入る前に隠れているところを草十郎に見つかったため、城の前で攻撃を仕掛けた。
 草十郎を城の二階に追い詰めたが、今にも魔力弾を撃とうという時に橙子の人形に攻撃され、魔術回路を乱されたためにスナップを撃つことができなくなり、草十郎とともに城内を逃げることになる。逃げている間に草十郎と話をし、自分と草十郎の認識の違いを知ったことで別の解決方法があったのではないかと思うようになる。
 そこで草十郎を隠し通路から逃がし、自分一人で人形と対峙する事を選ぶ。これは草十郎を逃がそうとしたこともあるが、障害物のない屋外に出たら勝ち目がないと判断してのことである。しかし入口が封鎖されていたために戻ってきた草十郎に窮地を救われ、人形を倒すことに協力するから代わりに見逃してくれという取引を持ちかけられてこれを承諾。
 共闘の役割は草十郎が人形をひきつけ、青子がその間に地下の柱を破壊して城自体を崩壊させるというもの。しかし草十郎が役割を果たそうとしたところで人形は六足形態になり、地下の青子の方に向かってしまった。そこで青子は建物を崩壊させる術式を起動し、そのうえで人形と真正面から戦ってこれを破壊した。
 囮の役目は果たせなかったものの、脱出の際に完全に破壊されていなかった人形に襲われたときに助けてくれたことを勘案し、草十郎を見逃すことにした。しかしそこに有珠が現れ、青子が殺さないならと草十郎にフォークを放つ。しかし青子がそのフォークをあくまで弾くつもりであったのだが破壊してしまい、有珠と戦うことになる。
 草十郎とともに有珠が使用した月の油の領域から脱出を試みるが、その領域の果て、外界との境界はスナーク化された領域のマナを使ったうえで青子が身動きできなくなるほどの全力を出さなければ破壊できないほど厳重に隔てられていた。そこで二人がともに生還することを諦め、自分の意地を通すために全力で境界を破壊し、草十郎だけを生還させると決めた。しかし『青子が好きだから一緒に逃げよう』という草十郎の説得により、この捨て身の方法を撤回した。その時に月の油の正体を草十郎から教えられたが、それを叩くには50メートルほど遠すぎるため、草十郎に一時的に恐怖心を消す暗示をかけたうえで自分の髪を一房与え、高いところからそれを投げろと指示する。
 大詠唱による直流数紋の魔弾を月の油に放つが、直前に気付かれて巨大な氷塊によって防がれ、交流数紋に切り替える。それでも押し切られそうになった時に魔法を使うよう促す赤い影を感じるが、そもそも魔法の有効な利用法が思いつかなかったこともありその誘惑を跳ね除ける。そして使える魔力量自体は同等なのに競り負けたのは単純に魔力の吸引と砲身の規模、つまり青子という出力装置そのものに差があったと分析し、魔力を吸引する術式と魔力を加工して青子に注入する術式の二つを最大展開して対抗。収斂投射で氷塊ごと撃ち抜いて勝利した。
 指一本動かせないほど疲弊したところで月の油の最後の反撃を受けそうになるが、人形が忍び寄っていたことに気付いた草十郎に救われる。そして『一日だけ見逃す』という約束を撤回して命を狙わないと宣言。その時に鳶丸から伝えられた『草十郎は青子のことが好き』という言葉を意識して『あなたが私に惚れていても期待しないで』と言うが、草十郎が抱いているのは恋愛感情としての『好き』ではなかったため拍子抜けし、草十郎をぶん殴って気絶させた。その後、気絶した草十郎に礼を言い、収納の小瓶を使って閉じ込めた。
 その後草十郎を久遠寺邸に運び、彼が眠っている間に有珠と話し合って、草十郎の扱いについては本人が決めるまで保留にすると合意している。この際にガンドとスクラッチ・ダンプティの呪いを解呪しているが、青子単独では解呪できなかった。青子と有珠が合意した『保留』という草十郎の扱いは、草十郎の生殺与奪権を青子と有珠が握ったうえで、青子が忘却のルーンを習得するまで久遠寺邸で同居・監視下に置くというもの。つまり命を取るかわりに記憶を消して口封じをするということ。
 この同居における草十郎の自由に関する匙加減は有珠に任されている。この同居生活を始めてから草十郎のことを『静希君』ではなく『草十郎』と呼ぶようになった。また同居を始めるに当たり草十郎に魔術師についての簡単なレクチャーをしている。以後、有珠から草十郎を守るという必要に迫られて草十郎と一緒に登下校したり、徹夜で試験勉強をしたりと交流が増えてかなり打ち解ける。しかし、いずれ記憶を消すのだから楽しい記憶だったら困るという彼女なりの思いやりから草十郎を酷使することがよくある。
 12月半ば頃に草十郎に飲ませる錠剤を作るのが面倒だからと冗談半分で緊箍児と同様の効果を持つ白い首輪を草十郎に贈った。
 カーモネーギー事件では草十郎が『ほんものの光』に入会して悪徳商法の片棒を担いでいると思い込み、鳶丸と芳助、金鹿、美濃、青山、山城、その他応援団20人程、さらに周瀬唯架を動員して『ほんものの光』を潰し、被害者の会から謝礼を貰った。その謝礼は有珠が先走って注文した出前の支払いに充てられた。この武勇伝はその日のうちに尾鰭がついて近所に広まっている。
 12月22日に草十郎に有珠と二人でチュラーミニ水族館に行くよう仕向けられたときは素直にそれに従い、楽しんだ。帰りの地下鉄駅で人形に襲撃された際はキッツィーランドの雪辱戦とばかりに戦うつもりだったが、機嫌を損ねた有珠が濃霧の怪物を使って人形を破壊した。その残骸が17世紀以降に作られた新しいもので、内部術式が三咲町の結界と酷似していることから、人形を繰り出して三咲町を襲っている敵が蒼崎橙子であると断定した。
 12月24日を決戦の日と見定め、有珠からプロイキッシャーを一体借り受けて最高の魔力提供を誇る陶川の支点を守りに赴いたがルゥ・ベオウルフに敗北し、その事実だけを報せる電話を久遠寺邸に入れ、合田教会に保護された。この時シックス・スィング・チョコレイトのおかげで失血死は免れたが、まず首を折られて全身を噛まれ、右の腿が無くなるほどの重傷を負った。
 完膚なきまでの敗北で結界も橙子の手に落ちたが、25日の朝に目を覚ますと結界の所有権の書き換えが終わるまでに再戦を期す。その時の草十郎との会話でルゥ=ベオウルフの住処が三咲高校の旧校舎であることを知る。その際の戦術は有珠がルゥ=ベオウルフを引き付け、その間に鏡のバックアップを受けた青子が橙子を奇襲する算段だった。しかし橙子が先に姿を現したため正面から四小節の魔弾を撃ち、それを凌がれたため敗北を悟り、有珠を逃がすため犠牲になることを選んだ。ルゥが先に有珠を襲ったため格闘戦を仕掛けるが、右足を潰され胸に強烈な拳打を受けて重傷を負った。
 旧校舎に駆け付けた草十郎がルゥを打倒したが、直後に草十郎が橙子に殺害され、これまで拒んでいた魔法の行使を決意。草十郎を5分間巻き戻して死を回避させ、同時に草十郎から幼年期の時間を10年分借り受けて自分に上乗せした。これによって10年分の経験を上乗せした27歳の赤い髪の青子になって橙子と戦う。27歳の青子は魔術の発動ではなく魔術回路の起動だけで強い音が聞こえるほどになり、魔弾は発動さえ目視できない速度で20発叩き込み、ルーンが意味を持つ前に言葉の力だけで打ち消し、橙子の工房である旧校舎をトラップごとたやすく破壊するほど。その力で橙子を圧倒し、殺そうとするが、駆け付けた草十郎に止められた。
 そのため橙子を殺さず、祖父に突き出す事もせず、魔術協会に届けを出すこともしないが、かわりに三崎市に入ったらマダガスカルガエルになる呪いをかけて放逐した。この呪いは返そう(解除しよう)にもかけた本人である『27歳の青子』がまだいないため、10年は返しようがない。
 なお草十郎の死の直前の5分間を無かった事にするためにそのためのエネルギーを未来から持ってきたので、この行動によって宇宙の熱的死(滅び)を助長することになった。これについての解決策については全く考えていないが、自分が何とかすると宣言している。また魔法を使った際に根源に触れたのだが、それについては全然分からなかったと発言している。
 1988年の大晦日は両親に呼ばれたことと祖父から草十郎を連れて来いと命じられたことから、草十郎と一緒に二年ぶりの実家に帰った。この時は祖父によって草十郎と自分の記憶が消されるものと考えており、そのためもあって草十郎から過去の山での暮らしについて聞いた。しかし祖父は記憶を消すのは青子の役目だとして草十郎の記憶を消さなかった。その後、忘却のルーンについて記載されている魔導書が久遠寺邸の図書室に隠されているのを見つけたものの、それを再び棚の上に隠したため草十郎の記憶を消すつもりはないと思われる。
 1989年の学園祭ではなぜか酔って上機嫌になり、バニーガールの格好をした。その時に撮られた写真は久万梨金鹿がパスケースに入れて携帯している。
 1989年秋に久遠寺邸で土桔由里彦の誕生会を行った際には、あまりにも酷い死に方をした橙子の死体を自室で発見したため、それが身内の恥だと感じて死体を隠していた。しかしそれを周瀬律架に見つけられたためスイーツハーツの有力候補と看做されて地下室に幽閉されることになった。しかし朝までに『やっぱりっていうな』という血文字を遺して死亡した。
 蒼崎の後継者になってからはトランク一つで西へ東への根無し草人生。遠野志貴と出会ったのは偶然。持ち歩いている大きなトランクには大した物は入っておらず、パスポートとヘッドフォン、伸びきったカセットと一昔前のウォークマンくらいのもの。
 遠野志貴に(橙子からかっぱらって作った)魔眼殺しを与えた。またそのときの『奇怪な眼を持っていても心まで奇怪になることはない』という教えが志貴の人格を形作ったともいえる。そのため彼女は志貴の恩師的存在であり、志貴は『先生』という呼称を彼女にしか使わない。
 幻影の夏の際には遠野秋葉から謝礼をもらっている。オシリスの砂による幻影の夏の再演の際には謝礼をもらうことができず、弱小組織の下請けで路銀を稼ぐことになるが、その依頼とは南米のアリマゴ島での封印指定の探索である。
 TYPE-MOON Fes.では高校生時代の状態で間接的に登場する。久遠寺有珠とともにロスト・ロビン・ロンドの計画を察知し、アーチャーに解決を依頼した。最終的にアルクェイド・ブリュンスタッドによって放り投げられたハッピーロビンのぬいぐるみストラップを魔弾で爆破処分した。
 2014年の数年前に時計塔を訪れた際には封印指定執行部を損壊させている。
 2014年にフラロウスから『私は既に命を断った。私は殺されるだろうから、後処理に来てほしい』という不可解な手紙を受け取り、夏にフラロウスを訪ねてレフ・ウヴァルと会った。以後はフラロウスが誰かに殺されないよう見張っていたが、冬にレフとライノール・グシオンが争ったためフラロウスは死亡してしまう。その後、フラロウスの葬儀の際に橙子と再会し、フラロウスの死の真相を推理したあと二人で食事に向かった。


蒼崎青子の祖父(人名)
 蒼崎の3代目当主。蒼崎青子と橙子の祖父。怪物と呼ばれるほどの大天才であり、彼が『道』を掘り当てたために蒼崎の当主は高い確率で『魔法使い』を継承する。工房は山奥の蒼崎邸のそばの洞穴に構えている。
 三咲市にあった根源への入り口を発見して第五魔法を作り上げたが、その後で『魔法さえ成立したのなら根源への路は消えるべきだ』として路を閉ざした。以後はより強力な後継ぎが誕生するまで根源の解析を許さず、後継者に魔法は譲っても根源への路は閉ざしたままだった。長く残るために自我を失った魔法使いであり、その時自分にできる事なら何でも叶える。
 偉大な三代目も子供や弟子には恵まれなかった。蒼崎の人間は年々魔術回路が失われており、息子に至ってはほぼ無しで本人も魔術の継承を拒否した。そこで名門・蒼崎の歴史は終わるかと思われたが、その魔術の継承を拒んだ息子は魔術回路を20ほど持った神童を授かった。蒼崎橙子である。しかし橙子が家を出ることも青子が家を継ぐことも読んだ上で二人を育てた。
 1988年当時はすでに引退しており、陶川で青子の両親と一緒に住んでいた。彼は怪物と称されるほどだったが、青子からは『偏屈で長生きしてるダメじじい』くらいにしか思われず、しかも蒼崎の遺産を青子に譲ったことで橙子に殺されてしまった(遺産を青子に譲った時点で殺害されたのは魔法使いの夜発表以前に公開されていた設定)。のだが、青子が高校二年生の夏に久遠寺有珠が便りを受け取っている。存命か死亡かで言えば存命のようだが、在り方は肉体というよりも霊体に近い。1988年12月の橙子による三咲町襲撃に先立って、真っ先に橙子によって動きを封じられ、『城』で郵便ポスト程度の大きさの領域に閉じ込められていた。その後は25日まで幽閉されていたが、橙子が魔法の行使を決意した青子に全力を振り向けるために結界を解除したため自由になった。
 青子に対しては根源に関する知識や所感は一切漏らしてはならないと言いつけている。
 霊的進化論の二次創作を著しており、それを久遠寺有珠が読んでいた。


蒼崎青子の父(人名)
 陶川の地主。
 魔術回路はほとんどない。高校一年生の時に後の伴侶となる女性と出会い、その日のうちに父と直談判して魔術師の後継者になることを拒否した。その際に子供に後継者の番が回ると言われたが、子供が家業を選ぶのなら親として応援すると言った。
 橙子が生まれる前から『100年に一人の逸材である』という祝福を魔術協会から受けた際にはあっさりとそれを受け入れたうえで、その才能を生かす環境を用意することの困難さを少し嘆いた。
 1988年当時は陶川で妻とともに引退した青子の祖父と一緒に暮らしている。


蒼崎橙子(人名/魔術師)
 8月8日生まれ。身長165cm。体重52kg。(身長・体重は魔法使いの夜当時のもの)
 蒼崎青子の4歳年上(魔法使いの夜の発表前は2歳年上の設定だった)の姉。青子との関係は最悪。蒼崎が生んだ天才。空の境界の当時(1999年ごろ)は二十代後半の卓越した人形師で専攻魔術はルーン。魔術の師はイノライ・バリュエレータ・アトロホルム。
 工房・伽藍の堂のオーナー。礼園女学院のOG。黒桐鮮花の師匠。スピード狂。クールに見えて実は怒りっぽく、我慢をしない人。新しもの好きで興味があるものをいじりまわしてはしゃいだりする。その昔、美少年を囲っていたらしい。本気の恋慕はしたことがない。ただ三咲町にいた頃には一人、わりと本気の候補がいたらしい。愛煙家で、煙草は一日一箱くらい吸う。英国に建っていた頃の久遠寺邸を訪れたことがある。
 魔術師としての階位は冠位。魔術協会では創造科を含む複数の学科を渡り歩いたが、特定の派閥に所属する事はなかった。魔術協会ではルーン魔術の再生(共通ルーン24文字の魔術的再生と原初のルーン数文字の解析)と人体模造の概念の再生を成し遂げた。魔術協会への入学後数年で封印指定を受けたが、それは双貌塔イゼルマの事件(2003年)の数年前に秘儀裁示局・天文台カリオンの大事変に伴って解除されている。本人は『青』の称号が欲しかったが、魔術協会から『赤』(どんな『赤』かはわからない。少なくとも原色の赤ではない)の称号を与えられている。『傷んだ赤色』と呼ばれることを嫌い、そう呼んだ者は学院時代から例外なくブチ殺している。なおweb公開版では『傷んだ赤色』に『スカー・レッド』とルビが振られている。
 魔術師というよりは研究者で、戦いに向いた人間ではない。合理的でむごたらしい仕打ちができるくせに他人への思いやりを持ち、残酷なくせに冷酷ではない。魔術師にしては珍しく電子機器を使う事に躊躇いがない。これは彼女に言わせれば外付けの端末で用が足りるならその処理に使っていた魔術回路を別の用途に回すことができ、今まであった機能を捨てる代わりに新しい能力を獲得するという事。
 魔術系統はルーン、人体工学、建築魔術全般。魔術回路の質はEX、量はB+、編成は正常。魔術回路の数は平均的な20ほどだが、精密さで他を圧倒する美しいもの。生まれ持った魔眼、世界の機微を感じ取る五感、自らの特異性を削ることなく摂理に適合する知性と非の打ち所のない才能の塊。平均的な量でしかなかった魔術回路以外の才能で優れた魔術師となった。魔術師としての能力はトップランク。他の魔術師のように現代社会に寄り添う必要はない、と純粋培養で育てられた『魔法使いの卵』だった。
 橙子の左目は生まれ持った行動を封じる魅了の魔眼で、発動すると瞳が青いカメラの絞りの様になる。この魔眼は後天的に魔眼の中に魔眼を作り、内部を合せ鏡にすることでその効果を無限に高めている。この魔眼の発動は一度目を閉じてから開くだけでよい。視力は非常に良かったが、祖父のもとで修行している間に低下している。
 生まれる前から『100年に一度の逸材である』という祝福を受けるほどの才能にあふれた天才。しかし天才であってもその才能は蒼崎の後継者には不要なものだったため青子に後継者の座を奪われ、愛用していた眼鏡を壊して出奔した。この当時は長髪だったが、ルゥ・ベオウルフとの契約に使ったため三咲町に戻った時はショートヘアにしていた。
 ルーン魔術を専攻していたが、その腕前はさほど強くはなく、空の境界の時点での単純な戦闘力は黒桐鮮花に劣る。彼女の本領は人形造りとちょっとした生体改造である。『魔術師が最強である必要はなく、最強のものを作り出せばよい』という理論に基づき、戦闘は彼女が作り上げた使い魔に任せている。その使い魔はオレンジ色の鞄の幻灯機械によって生み出される影の猫と、匣じみた大きな鞄の黒い怪物。なおその理論はアトラスの錬金術師とまったく同じものである。1988年末に三咲町を訪れた時に着用していたコートは防護のルーンをかけた魔術礼装。
 二小節以上の魔術を習得できず、一工程のルーンのみを使う。蒼崎の魔術刻印は譲られなかったが、自分を殺しに来た多くの魔術師から魔術刻印を引き剥がして奪い、中空に固定することで使用している。この魔術刻印は通常のそれと比べて魔術の起動までの手順が一つ増えるが、その家系の魔術師でなければ使用できない魔術刻印をノーリスクで使用できるという極めて有用なものである。なおその魔術刻印の持ち主が死亡すると起動できなくなるため、持ち主である魔術師は生かされている。
 多くの魔術特許を持ち、1988年当時の月収は1万ポンドを超えていた。箒を使った飛行の推進方法のアンカーアトラクションアセンションを立案している。これには著作権が設定されており、トーコトラベルと通称される。
 人体を通して根源の渦に到達するための研究過程で自分とまったく同じものを作り上げ、『まったく同じならば自分ではなくても問題ない』という考えからそのとき生きている橙子が死ぬとストックされていた橙子にスウィッチする。そうして目覚めた橙子は、目的を達成してから自分をもとにして人形を作り再び眠りに就く。
 起動中の人形から次の人形への移行は一眠りして目覚めるくらいスムーズ。前作の人形が壊れた経緯の引継ぎについては距離に関係しており、近ければ近いほどその経緯を引き継ぐが、遠くなるとその分の記憶のブランクができる。起動した人形はまず自分の人形を作ってから活動を始めるが、小川マンションでコルネリウス・アルバに殺された後はこのルールを破って即座にアルバを殺しに行った。なお、橙子人形は世界各地に保管されている。
 眼鏡をかける→はずす、で性格を意図的にスウィッチする。眼鏡をかけたときは主観的で人情家。眼鏡をかけていないときは客観的で酷薄。どちらが作為的でない蒼崎橙子なのかはもはや本人にもよくわからないらしいが、どちらにしても根はロマンチスト。なお、眼鏡をかけている時の温和な人格の方が本来のものである。
 自分の名前が嫌いなのに必ずオレンジ色の装飾品を一つ身につける習性がある。同人版、新書版では胸は小ぶりだったが、文庫版及び劇場版では『女性らしい胸』になっている。
 本業は人形の製作だが、建築なども手がける。依頼を受けることはせずに直接依頼人に売り込み、全額前金で受け取ってから製作を開始する。ただし、『できればよい』という人なので資材調達などの細かな仕事はしない。製作した人形を売ることは基本的にないようだが、橙子が無一文になって「あー、ビール飲みてぇー」という気分になったら二束三文で売り払ってしまうこともある。
 医療、建築、ビジネス、物知り系の様々な資格を持っているが、『証拠に成り下がった資格はただの紙切れ』という考えから捏造したものらしい。
 愛車はモーリス・マイナー1000、アストンマーティン、ハーレー・ダビッドソン、200ccのバイクなど。観布子市にあった伽藍の堂の地下ガレージには四輪が4台、二輪が2台、レシプロ機が1機置いてあった。
 パチンコが得意で、蒼崎家を出奔する前も社木駅前のパチンコ店の馴染みだった。食事に対するこだわりはない。エンターテイメントのすべてが詰まっているとしてホラーを好む。音楽の趣味はプログレ派を自称しているが、スイーツハーツでの死に様を見れば実は演歌を好むと思われる。兄弟子である文柄詠梨は初恋の相手であったが1988年当時には激しく敵視しており、互いに手の内を知り尽くしている。
 戦闘には利益を求める性格のため、対立した魔術師であっても彼らが有益な素材を提供するならば命までは奪わない。むしろ無理やり命を助けさえするため、ロンドンの橙子の工房には術式提供者用・慰安施設なるものができてしまった。
 遠野志貴の魔眼殺しはもともとこの人のものであり、青子に強奪されて志貴用に作り直された。お気に入りの魔眼殺しを強奪された腹いせに、青子名義で魔術協会から金を引き出して買い物にいそしんでいる。こんなことをしたら居所がばれてしまうが、自己保身より青子への嫌がらせのほうが優先順位が高いらしい。それ以前に昔から青子の持ち物を奪っては破壊するのが趣味だった。
 魔法使いの夜発表以前の設定では、彼女は7歳で自ら蒼崎の後継者となることを選び、魔法使いの後継者として両親と妹とは離れて山奥にある祖父の工房で育てられ、そのため18歳まで学校に行ったことがないとされていた。旧設定では青子とはちょくちょく会っていたが、基本的には世間知らずの天才少女だった。それでも世捨て人のようなところはなく、有り余る魔術の才能、祖父の許で暮らしているという条件でありながら落ち着きのあるいい姉だった。
 魔法使いの夜で改められた設定では蒼崎邸と祖父の工房は隣接しているため、普通に家で育てられ、学校にも通っている。14歳まで2年間を英国のとある学院に留学しており、帰国してからは地元の礼園女学院に進学して3年間を過ごす。
 蒼崎の魔法を受け継ぐため、大魔術の起動に偏った教育、修練を積んでいた。本人としてはそういった世界を動かすものではなく、もっと細やかな世界に残るものを作り上げることが好きなのだが、それは我慢していた。特別な子供である橙子から見ても怪物である祖父を怖れながらも尊敬しており、反面、一般人として気ままに生きている青子には複雑な姉妹愛を持っていた。なお祖父の期待に応えようとするあまり視力が落ち始めていたが、せっかくの魔眼も魔法に比べれば取るに足らぬものであるため視力の低下は秘密にしていた。
 幼時から魔術師の逸材として協会も注目していたが、彼らにとってもやはり魔法使いの跡取りという事実の方が大きかった。齢十歳にして多くの名門魔術師たちが訪れ、これを当然のように受け流した橙子の姿に、「ついに本物が現れた」とますます将来を期待された。だがどれほどの風説が流れても、近い将来に同胞となるであろう他の『魔法使い』たちは一人として彼女の前に現れることはなかった。この意味を薄々感付きながらも、決定的な答えが突きつけられる時まで『周囲が望む天才』であり続けた。
 礼園女学院在学時は明朗活発、成績優秀、難事件をさらっと解決しアメリカンジョークもさらっとこなす寄宿舎の三大スターの一人として楽しく女子高生をやっていた。その頃はウインクでハリケーンが起き、ネクストサークルに立つだけでピッチャーが失禁し、全盛期には寝起きに眼鏡をかけただけで関西にいる磨伸映一郎が死亡することもあった。
 その後、青子が中学校を卒業した日(旧設定では青子が16歳になった日)に突如青子が後継者となることになった。蒼崎の遺産を妹に横取りされたショックで師である祖父を殺し、修行時代に知り合った魔術師たちを頼って魔術協会に鞍替えした。人為的な二重人格者になったのはこの頃である。
 魔術協会では多くの負債を抱える代償を支払って時計塔に所属したが、わずか二年で負債を返済。魔術協会では失われた原初のルーンを復元・分生させている。これはルーン石と呼ばれ、刻まれたルーンを一千万規模にまで膨張させる水晶の膜である。協会では専用の使い魔を持っていた。その後20代でマスタークラスになった。
 魔術協会への入学から数年後、封印指定を受けるとすぐさま工房を引き払って協会から行方をくらました。彼女はまったく同じもの(人体)を作る最高位の人形遣いであるが、それは魔術が全盛を誇った中世において下された『人間を超える人型は造れても、決して人間と同じモノは作れない』という絶対の法則を覆すもの。封印指定の理由はその『まったく同じ人体を作る』という事である。
 荒耶宗蓮とは師を同じくした学徒であり、同郷ゆえに気が合ったという事ではなく、志が似ていたために意見交換をするようになったという関係。コルネリウス・アルバともそれなりに親交はあったらしい。
 1986年に北欧の人狼一族からルゥ・ベオウルフを洞から出す権利を高額で買い取り、それまで長かった髪を使って『魔法の相手をさせる』という条件でベオと契約を結んだ。1987年頃からベオを連れて世界を巡る旅に出た。その旅で巡ったのは北欧の魔眼収集列車、北海の巨大古代種、バミューダの帰らずの海、西欧諸国の神代同盟など。これらをあるいは倒し、あるいは交渉したらしい。1987年頃の旅で魔眼蒐集列車と出会った際には魔眼オークションを台無しにしている。1988年には既に後年と同じように『鞄』を用いている。
 1988年11月の終わりから、青子から物質的なものも精神的なものも、あらゆる権利を奪って踏みにじる事を目的として三咲町に攻撃を仕掛けていた。この襲撃に先立ち、祖父を『城』で郵便ポスト程度の大きさの領域に封じ込めている。襲撃は外部の魔術師を装ったもので、蒼崎の魔術師であるためか、結界の構造の死角を突いたためか、侵入者に対する警報の結界にかかることなく、時間をかけて土地の力を利用する結界の五つの支点を壊していった。また何度か人形を送り込んで青子と有珠と戦わせてもいた。この侵攻に際して、時計塔で得た三年間の成果を協会に売り渡している。
 この侵攻に備えて私立三咲高等学校の第一校舎を仮の工房として改造したのだが、この改造のためにコンテナ三台分の資材をヘリコプターを使って空輸したため軍資金が尽きてしまった。なお工房に一日一個ずつ侵入者用のトラップを仕掛けることを日課にしていた。
 ヘリのチャーターなどで軍資金が尽きたため、社木駅前のパチンコ店でフィーバーした。静希草十郎はこれを見て、夜中に公園で人を焼き殺した(実際は人形を魔術で焼いた)青子だと勘違いして逃げだした。
 12月22日、草十郎が一人で留守番をしていた時に眼鏡をかけた優しい人格で久遠寺邸に青子を訪ね、不在と知ると上り込んで草十郎に紅茶を淹れさせて歓談した。この時は二人の帰路に30体の人形を置き、自分が久遠寺邸にいる間の足止めをしていた。1時間ほど草十郎と話して彼を気に入り、眼鏡が壊れて冷淡な人格になっても直感では草十郎をさっさと殺すべきだと感じていながらも命を助けたうえ、自分の物になれと誘いまでした。しかしそれを断られたため、草十郎も青子の物だと認識し、青子のセーブルのティーカップを持ったまま久遠寺邸を去った。
 12月24日に社木の公園で久遠寺有珠と戦う。この時は予め公園の地表に夥しい数の太陽のルーンを形状記憶ルーンとして刻んで有珠の魔術を封じたが、ロスト・ロビン・ロンドの身代わりと橋の巨人によって打ち負かされた。しかしルゥ・ベオウルフに橋の巨人を打倒させ、有珠に致命傷を与えしめた。狙いは青子だけであるため命までは取らなかったが、傷の復元も住んでおらず歩くこともままならない有珠に魔力を流せば体内で暴発する特製のナナカマドの毒を飲ませた上で無数の野犬が集まった公園に放置した。その後、有珠が久遠寺邸に電話をかけた数分後に久遠寺邸に電話をかけ、草十郎にもうすぐで有珠が野犬に食い殺されると教えた。
 それとほぼ同時に陶川の青子もベオを使って散々に痛めつけ、ついに五つの支点の全てを破壊した。橙子の目的は霊脈の奥にあるものなので、そもそも結界を張り直すつもりはなかった。
 青子との再戦では二小節以上の魔術を使えない橙子には防ぎようがない四小節の大魔術を受けるが、他の魔術師から引き剥がした魔術刻印を使ってそれを凌ぎ切った。その後、ルゥに青子と有珠を襲わせるが駆け付けた草十郎によってルゥが打倒されたため、ルーン魔術で草十郎の肉体を切断して殺害。改めて青子との戦闘を開始し、これに全力を振り向けるために祖父を幽閉していた結界を解除した。魔法を使った青子に対して勝利のルーンで障壁を組むも、魔弾であっさりと打ち破られ、工房である旧校舎に逃げ込んだ。トラップやルーン石を片っ端から使用して逃走するも、青子の魔弾に打ち砕かれて満身創痍の重傷を負った。本来ならば殺されるはずであったが、草十郎が青子を止めたため殺されず、しかも祖父に突き出されも魔術協会への届けも出されないが代わりに三崎市に入ったらマダガスカルガエルになる呪いをかけられて放逐された。この呪いは返そう(解除しよう)にもかけた本人である『27歳の青子』がまだいないため、10年は返しようがなかった。なお、この戦いの後で『魔法の相手をさせる』という条件を違えてしまったという理由で、自分からルゥとの契約を絶った。その後、呪いをかけられた肉体を捨てることで呪いをクリアしている。
 青子との戦いの最中に状況を冷静に分析し、第五魔法の正体を知った。
 戦いの後は草十郎と連絡を取っており、通常の電話回線ではなく魔術線を使った通話をしていた。その時に名乗っていたのは『ガランノドー(伽藍の堂)出張店』。1989年3月にその回線を使って草十郎から青子の恋愛について訊ねられ、青子は初恋の人に手ひどく裏切られたために恋愛を嫌っていると教えた。
 1989年秋の久遠寺邸での誕生会に招待され、訪れている。騒動が始まる前に久万梨金鹿にヒントを与えるが、青子の部屋で黄金のマイクを持ち一升瓶を抱えた至福の表情で死亡する。これを見つけた青子は死に様があまりにも酷く、身内の恥だと感じて橙子の死体を隠していた。
 1995年9月頃は日本中で居心地のいいアジトを探していた。
 1997年に旅先でちょっとした猟奇事件に巻き込まれたときに鮮花と出会い、正体がばれてしまった。
 黒桐鮮花が叔父の家にいた頃には既に面識があった。というのも、鮮花がまだ叔父の家で暮らしていたときにおかしな事件があり、それを解決したのが橙子で巻き込まれつつも協力したのが鮮花。しかしその兄である幹也が工房・伽藍の堂を訪れたときは鮮花の兄であることを知らなかった。
 両儀式にいわば仕事の下請けをさせることがあるが、この際の報酬は一時的にせよ式の殺人衝動を解消できること。しかし実際には式が満足できる報酬を得られていないため、その代わりに義手を強化したり珍しい刃物を与えたりしている。
 黒桐幹也と両儀式の恋路を見守っているのはある意味では暇つぶし。単純に面白がっているのと、式と幹也が迎えているであろう『自分のあり方としての山場』を既に卒業した者として後輩に最低限手を貸しているという状態。そのため殺人考察(後)(1999年2月)で式と幹也が答えを見つけたあと、あっさりと消えている。姿を消した後も、鮮花にはペーパーで課題を出したりその気があるならと弟子を派遣したりする。
 2003年頃に使っていた使い魔はゼンマイと歯車と糸で作った人形だった。これは第四次聖杯戦争で針金で使い魔を作った魔術師(アイリスフィール・フォン・アインツベルン)がいたと聞いたことで作ったものだが、凝り性なため必要最小限のものだけで作る単一機能の使い魔は造っていて楽しくなかった。
 2003年頃の魔術の腕は、その後時計塔で幾らか磨き直したとはいえ魔法使いの夜当時(1988年)と比べればかなり雑なものになっている。これは腕が衰えたのではなく、魔術の根本である執念が薄れたため。ただしルーン文字にルーン文字を創らせるという境地に至っている。
 バリュエレータの分家であるイゼルマ家の食客に近く、宿泊は通常の客人同様に陽の塔であるが、月の塔に工房も用意されている。
 肉体が人形で、その内側に魔物を住まわせているという噂はそれなりに広まっており、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトも知っていた。また既に本当の意味でのオリジナルの橙子は既に存在しないという情報も、より眉唾の噂としてではあるが広まっている。
 ケイネス・エルメロイ・アーチボルトには「ちょっとした仕事」を受けたことがあると発言しており、これは第四次聖杯戦争中にケイネスの義腕を用立てた事と思われる。なおこの支払いはケイネスからではなく、ウェイバー・ベルベットから受けている。
 バイロン・バリュエレータ・イゼルマの黄金姫と白銀姫のお披露目に参加した。実はそれ以前に黄金姫ディアドラ・バリュエレータ・イゼルマを死亡させてしまったバイロンに依頼され、メイドのカリーナをディアドラの姿に整形する仕事を受けていたのだが、これについてはマイオ・ブリシサン・クライネルスの薬で記憶を消す事も依頼に含まれていたらしく本人は覚えていなかった。カリーナの整形についてはバイロンが用意した素材だけでは満足できる仕上がりにできなかったため、報酬として要求したファヴニールの血を浴びた菩提樹の歯を灰にして使用した。これによりカリーナの出来栄えは素晴らしいものとなり、白銀姫と鏡合わせとなることもあって根源に繋がりかねないほどだった。
 アトラム・ガリアスタの襲撃とスヴィン・グラシュエート及びフラット・エスカルドスの参戦を受け、レジーナに依頼された通りエルメロイ教室の排除に動く。その際にルーン魔術でスヴィンを捕縛し、映写機の猫が打破されたため直接出向いてフラットを倒す。その後、グレイに対しては匣の中身を僅かに見せる事で牽制して霊感をジャックし、昏倒させた。なおこの際にアッドの中身が何であるかを薄々ではあるらしいが察していた。
 ロード・エルメロイU世による一連の事件の推測を聞く席で、マイオが作った記憶阻害薬に混入されていた毒薬が発動させられ、致命的な傷を受ける。それによって以前の反省(空の境界で荒耶宗蓮にやられた事と思われる)から肉体の方に入れていた匣の魔物が発動する。これはカウンターとして縛っているため、手出しをしなければ加害者以外は襲わない。この時に出現した魔物はロード・エルメロイU世の機転により匣を投げ込まれた事で自滅したようだが、それによって橙子の肉体がどうなったかは不明。持っていた煙草については魔物が現れる直前にロード・エルメロイU世に預けられた。
 Fate桜トゥルーエンドで破壊された士郎の肉体になった素体は彼女が過去に作ったもの。魔力の通りが悪い、というのは士郎のほうが彼女よりも魔術回路が多いことが関係していると思われる。
 TYPE-MOON Fes.では会場を木端微塵にするという差出人不明の脅迫状が届いたため、鮮花をFes.に送り出す。この時は工房・伽藍の堂の主、黒桐鮮花の師の姿だったが、青子は高校生の状態だった。
 2014年にフラロウスから『私は既に命を断った。私は殺されるだろうから、後処理に来てほしい』という不可解な手紙を受け取り、秋にフラロウスを訪ねてライノール・グシオンと会った。その際にいずれフラロウスが死ぬことを予測していた。その後、フラロウスの葬儀の際に橙子と再会し、フラロウスの死の真相を推理したあと二人で食事に向かった。なお青子が夏にフラロウスを訪れたのに対し橙子が秋になったのは、おそらく時計塔からの追っ手を振り切って海路でこっそりイギリスに入ったためと思われる。イギリス上陸後はコブラを言い値で購入して乗り回していた。また、この時は長髪のウィッグで変装していた。また、2014年の数年前にフラロウスと会った時には髪は長かったが、2014年にライノールと会った時はまたショートヘアになっていた。


蒼崎の結界(用語/魔術:魔法使いの夜)
 三咲市には蒼崎の祖先によって市内には外部からの来訪者を監視するための魔力・魔術の動きを測定する大結界と、市内5か所に刻まれた支点によってそのサークルの内側を守り、人為的に大源の流れを変えてその終点を久遠寺邸にする為の結界が張られている。後者の結界の支点は久遠寺邸を中心にして陶川、鈴穂、社木と他1か所から成る。この支点が全て退去させられた場合、蒼崎の管理者という事実はただの肩書に成り下がることになる。100年近く破られたことがなかったが、1988年12月24日の時点では5つの支点のうち3つが破壊され、24日の深夜の戦いで残る陶川と社木の支点も奪われた。


青山(人名:魔法使いの夜)
 1988年当時の私立三咲高等学校の生徒。カーモネーギー事件では被害者の会の仕切りを任された。


赤い影(用語)
 新たに魔法を宿した者を殺すという存在。


赤いケータイさん(用語)
 『赤いケータイさん』でアーチャーが封じられた携帯電話。この筐体自体はキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ御手製。
 →アーチャー


朱い月(のブリュンスタッド)(人名/真祖・死徒・アリストテレス)
 Brunestud。
 死徒二十七祖の三位。現在空席。アルティミットワン。タイプ・ムーン。
 月のアリストテレス。おそらく男性。最初の真祖。何もなくなった月を見捨て、美しい世界を手に入れようとして地球に来た。魔術と魔法の違いをよく知っておらず、そのためキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグに殺された。だが単に殺されただけではなく、ゼルレッチの血を吸い死徒にした。
 これの消滅後はこれの能力に近い個体にのみブリュンスタッドの称号が贈られるが、その名を冠する真祖は長い歴史の中でもアルクェイドとアルトルージュの二体だけとされる。
 ガイアにもアラヤにも属さない自分がいずれ滅ぼされると予見しており、なおかつ永遠を求めたために、自分(朱い月)を内包し地球のシステムに属する後継者を作ろうとした。結果、真祖が誕生したが、生まれてきたのは自分の劣性コピーばかりであり、満足のいく器ではなかった。また後継者が生まれる前にゼルレッチに殺された。だが殺されたものの、この世界に“自らを潜在させる真祖という種”が生まれる固有結界を残した。その真祖の深層意識に潜在する行動理念のことを『朱い月』と呼ぶことがある。
 死徒二十七祖も同じく永遠を求めるものの集まりだったようだ。
 朱い月と同域の後継が誕生した場合にのみ朱い月が憑依し、覚醒したときに地球のシステムに属する朱い月となる。アルクェイドとアルトルージュが満足のいく後継者候補。
 現在はアルクェイド・ブリュンスタッドの中に潜在し、夢の中でミハイル・ロア・バルダムヨォンと共融した遠野志貴と出会っている。
 メルティブラッドアクトレスアゲインカレントコードでは一晩だけ目覚め、戯れに戦った。
 滅びに向かっている現状を見て、誰かに滅ぼされるなら先に自分が滅ぼしてしまおうと思って夜明け前に再び眠りに就く前に地球の自転を止めようとした。しかしあと一歩というところで目覚めたアルクェイド・ブリュンスタッドによって阻止された。
 一応、世界を滅ぼすのはやりすぎだとは思っていた。


アガシオン(用語)
 →使い魔


アカシック・レコード(概念)
 アカシャの記録。世界の過去、現在、未来が記録されたもの。根源の渦の一部に付加された機能。
 サンスクリット語のアカシャ(原物質・空)から。


アカシャ(用語)
 アーカーシャとも。サンスクリット語で『空』『虚』あるいは『原物質』を表す言葉。万物の根源。輝くもの。


アカシャの蛇(俗称:月姫)
 死徒二十七祖の番外位、転生無限者ミハイル・ロア・バルダムヨォンの俗称。単に『蛇』とも。
 蛇は転生・無限・永遠の象徴であり、蛇のように執念深いことから、転生し生き続ける彼を死徒たちがこう名づけた。もとからロアは錬金術をかじっていたので、相応しいといえる。


赤ずきん(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが二年生の頃の文化祭の2年A組の出し物の一つ、最強偉人にラインナップされた。
 必殺技は『オオカミさん』。これは野生の狼に生きたまま食い殺されてもその腹から出されれば即座に復活できる驚異の肉体再生能力である。


赤羽(人名)
 静希草十郎らの同級生。冬季特別清掃班に指名されて参加するが、活動中に焼き芋をしていた。


秋古城(地名:魔法使いの夜)
 あきこしろ。
 蒼崎邸の最寄り駅。久遠寺邸から見て四駅分下った駅。地域としては陶川に所在し、周囲には小麦畑が広がっている。1989年当時はこの近辺に中学校が二校あった。


アクア・ヴィタエ(用語:MBAA)
 →賢者の石


悪性情報(用語)
 タタリ発生の条件となる、閉じたコミュニティで流布される共有常識。
 匿名性の告発、蓋然性のない証言、浸透性の優れた流行といったものを利用して成長してゆく。状況によって様々な形に変化するが、その中心たる核には何もない。タタリが正体不在と呼ばれるのはこのためである。
 ワラキアの夜が扱う『バッドニュース』、吸血鬼シオンが扱う『テラーニュース』はこれを魔力によって具現化したもの。より高度な利用法に悪質なコピーを捏造して操るものがあり、こちらはワラキアの夜が扱うものを『レプリカントコーディネイター』、吸血鬼シオンが扱うものを『レプリカントコンダクター』と称する。


芥川龍之介(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦のカード。
 固有能力は『ドッペルゲンガー分身』。


悪徳議員(人名:氷室の天地)
 衛宮士郎らが2年生の頃に在職した冬木市議会議員。冬木市長氷室道雪と対立していた。
 汚職によって得た不正プール金を隠そうと慌てて山中に捨てたが、校内マラソン大会で走っていた蒔寺楓が崖から転落してそれを発見。これが証拠となり逮捕された。


悪魔(用語)
 第六架空要素。人間の願いによって生み出され、人間の願いによって呼び出される受動的なモノ。モノの想念が集まってカタチをなした実像幻想。実体化には『人々が創造したカタチ』が必要。真性悪魔ではなく『個体名』になるもののこと。
 名前をつけてしまうと本当に自由になってしまうため、悪魔を安易に名付けてはならないという決まりがある。
 結果はどうあれ、人の苦悩を理解し取りのぞこうとするもので、見ようによっては人間の味方。


悪魔(用語:氷室の天地)
 蒔寺楓が氷室鐘に教えようとした折り紙の題名。


悪魔憑き(用語)
 西洋に知れる霊障のひとつで、日本でいうところの狐憑きや犬神憑きに近い。人間に人間ではない『何か』が取り憑き、その内面から崩壊させてゆくという呪術、呪いの親戚。日本の憑き物が呪う側の意志に基づいた行動であるのに対し、西洋の『呪い』は交通事故のような意志を持たない現象。
 症状は広すぎて系統化できないが、大抵は『悪魔』と呼ばれる概念によって発生する。悪魔は人知の及ばぬ理由・基準のもとに善良な人間に取り憑く。温床は健全な肉体。
 取り憑かれた者の初期症状は精神を病み、直接的な暴力ではなく理性の皮を脱ぎ捨てることによって道徳、神の教えを罵倒し、家族や隣人を脅かす。
 重度の悪魔憑きは取り憑いたものがカタチのない己を人体で再現しようと試みるため、精神面のみならず肉体面さえ変化させる。変化は通常からは考えられない人体運営から始まり、肉体の一部が変質する段階まである。変化は取り憑いたモノの階級によって定められ、強い魔ほど人からかけ離れた変質をする。
 だが人体で魔の再現は不可能であり、悪魔に取り憑かれた者は奇怪な変形を強制され当然のように命を落とす。しかし稀にそれに耐え切り、魂という設計図を食われながらも食らい付いたモノを利用して生き延びる異端も存在する。
 悪魔憑きはラップ音やポルターガイストなどの周囲への干渉から取り憑いた人体への干渉などの霊障を引き起こす。伝染はしないのだが、魔に憑かれた人間に近付いただけで同じ霊障を起こしてしまう人間もいる。
 また周囲に肉体的ではなく精神的に周囲の人間に伝播し、精神を醜悪に変えてしまう。
 悪魔祓いが祓えるのは成体になる前の悪魔だけであり、成体となった悪魔は代行者が払う。


悪魔祓い(用語/組織)
 エクソシスト。教区の司教から代行を許された特別な司祭。彼らには育ちきった悪魔を祓うことはできず、育ちきる前に発見して祓うのみ。魔を容認し、これを一時的に退ける聖職者。彼らが訪れる町は人の世界から逸脱している。
 カレン・オルテンシアの師はとりわけ厳しい方、つまり偽者の悪魔憑きや流行病のような怪物ではなく完全に『成った』ものを相手にしていた。熟練の悪魔祓いにとっても魔の判別は常に綱渡りである。真性の悪魔祓いには二度は耐えられないとされている。
 なお、育ちきった悪魔を倒すことができるのは代行者(エクスキューター)。ただ一人、ミスター・ダウンだけが成体となった悪魔憑きを祓った。


悪魔文化部(用語/組織)
 穂群原学園に存在する文化部のうち7つの総称。ヘビメタ部、酪農部、考古学研、地理研、物理部、生物部、天文部の7つだが、酪農部は穂群原学園に存在しないため蒔寺楓が適当にでっち上げたものと思われる。


悪魔を哀れむ歌(用語:the dark six)
 Sympathy for the Devil。
 ミスター・ダウンが駈る、総重量35tを超える大陸横断大型車両。要は巨大トレーラー。


アグラヴェイン(人名:GoA)
 円卓の騎士の一人。ウーサー・ペンドラゴンの血を引くモルガンの子。アルトリアが女性であることを知っていた。
 感情を表に出さない冷静な騎士で、眉一つ動かさずに兵を死地に送り込む事から煙たがられているが、私生活に一点の不純もないため誰も強く抗議できない。前線に立つことは少ないが、いざ戦場に出ればどのような強敵を相手にしても無傷で生還する事から傷知らずのアグラヴェインとも呼ばれる。マーリンは彼を「陰気で亡霊みたい」「神経質」「権威にまったく関心がない秘書官の化身みたいな男」と評していた。
 ランスロットに殺された。


悪霊ガザミィ(俗称:魔術師)
 ロンドン塔の地下に幽閉されている一人の魔術師の通称。それほど危険な人物ではないが、魔術師たちにとってこれほど厄介な魔術特性を持った者はいないとされている。


アクロスティック化(魔術:魔法使いの夜)
 久遠寺有珠の魔眼であるスクリプス・ハンプティの効果。
 アクロスティックとは頭文字を繋げることで別の文になる、という仕掛けで、要するに『縦読み』のようなものである。
 魔力消費が大きいため、ディドルディドルが働いていなければアクロスティック化はできない。


浅神(家名:月姫)
 あさかみ。
 巫淨、両儀、七夜と並ぶ退魔の一族。分家に浅上がある。
 退魔の一族としての能力は不明。
 捕獲した混血を守り神として飼育ないし配合していくうちに血が薄れ、最後には自分たちもほとんど混血になっていた。


浅上(家名)
 あさがみ。
 浅神の分家。


浅上女学院(地名)
 私立浅上女学院。浅上が創始した女学院で、創立後五十年を数える。遠野秋葉が通っている。遠野の屋敷からは隣県にあり、車で一時間もかかる。1999年末(おそらく年末から年始にかけて)に寄宿舎を改装した。
 小・中・高・大学のエスカレーター式のお嬢様学校。原則全寮制で一度入学すると外出も満足にさせてもらえず、情報面でも外界と隔離されている。寄宿舎の正門には『この門をくぐるもの、一切の青春を捨てよ』との卒業生による落書きがある。遠野秋葉は志貴が帰ってくるまでは寄宿舎で生活していたが、志貴が帰ってきたので無理を通して特例として実家からの登校を許可されている。
 厳しい管理主義がしかれており、部活動をしている者は午後六時、していない者は午後五時には宿舎に帰っていなければならない。六時半になると廊下に並んで食堂に移動し、私語厳禁の食事をする。それが終わってから学年ごとの入浴時間になり、交友室(生徒が自由に使える大部屋で、お茶会やお喋りはここで行うことになっている)が開放される。交友室には管理人である職員がいて、彼女に断ってお茶やお菓子を調達する。その数に制限はないが、周りの目があるのであまりくつろげず、使用するのは中等部か高等部でも一年生くらい。私物の持ち込みが禁止されているが、上級生は隠れて自室でお茶会をしている。勉強が目的ならば午後十一時まで部屋の電気をつけていられる。
 寄宿舎内にはグループが出来ており、週に一回そのトップが集まる特殊なお茶会がある。グループ同士は仲が悪く、どこにつくかで学園生活が変わる。宿舎は三人部屋だが、特例としてグループのトップは一人部屋。部屋に暖房はない。
 生徒会役員は学園で、寄宿舎では自治会が幅を利かせるのが伝統で、互いに反目しあっているが、現在は副生徒会長の遠野秋葉と自治会長の環による融和が図られている。
 寄宿舎の空き部屋にある壊れた赤電話から死者の声が聞こえる、校舎の展望台、首吊りの鐘、動く庭園、裏庭にあるポストに宛名を書かず、唯一つの願いを書いた手紙を投函すると七日後に大切なものと引き換えに願いがかなう、標本室にホルマリン漬けの胎児がいる、などといった七不思議がある。四条つかさはその中の裏庭のポストの話を信じてノイローゼに陥った。その「紫の私書箱」は、手紙が戻ってくると出した者が死ぬらしい。
 『紫の私書箱』は元々は学園側が用意したアンケート箱で、一般郵便物と区別するために紫の封筒を使っていた。
 第二図書室はもと倉庫なので生徒受けが悪い。


浅葱(家名:魔法使いの夜)
 蒼崎家の親戚。1988年の時点では蒼崎とは仲が悪い。
 1988年末に蒼崎橙子がこの家を訪れている。


アサシン(クラス/サーヴァント:Fate)
 暗殺者。姿と気配を消して隠密行動に徹するクラス。
 選ばれるために必要な条件は“気配遮断”のスキルを持つことのみで、アサシンというクラスそのものがアサシン召還の触媒となる。ハサン・サッバーハという群体の中から誰か一人が選ばれる。宝具名はいずれのハサンであろうとすべて『ザバーニーヤ』。
 暗殺者であるため誰一人として華々しい伝説を持たず、能力値は低い。クラス固有の能力は“気配遮断”。個々の能力値の高さではなく、そのスキルのみで戦っていく。マスターを失っても40時間ほどは現世にとどまれる。


アサシン(人名/サーヴァント)
 第五次聖杯戦争におけるアサシン。
 →佐々木小次郎。


アサシン(人名/サーヴァント:hollow)
 おそらく第三次聖杯戦争に参加したサーヴァント。第三次聖杯戦争の再現たる四日間の中でバゼット・フラガ・マクレミッツと戦った。真名は無論『ハサン・サッバーハ』。
 大人の膝ほどもない小人で、マスターが操る自律人形にまぎれて攻撃する。武器は毒針、宝具は『空想電脳(ザバーニーヤ)』。


アサシン(人名/サーヴァント:Zero)
 第四次聖杯戦争において言峰綺礼が召喚し、契約したサーヴァント。真名はもちろんハサン・サッバーハ。中でも『百の貌のハサン』である。宝具は『妄想幻像』。多種多様な特技を持つ。噂話とディスカッションが好きで仲間はずれが苦手。ギルガメッシュが天敵。
 個であるはずのサーヴァントであるが、群体として現界する能力を持つ。その理由は、彼(あるいは彼女)が生前、患っていた多重人格障害を逆手にとって活用することで正体不明の暗殺者として活躍していたから。
 生前は肉体という縛りがあったため場合によって人格が交代していたが、サーヴァントとして現れた場合には肉体のくびきを脱して分断された魂の全てが別個の実体化を果たしている。とはいえ備えている霊力が一体分であることに変わりはなく、現界する人数が増えれば増えるほどに一体ごとの能力は低下する。分割された個々の能力はきわめて低く、サーヴァントとして通用する最低レベルしかない。
 各々の別人格は得手不得手もまちまちで、中には功を焦って命令無視する者や不意討ちで失敗する者なども含まれる。彼らの個性を全て把握し、適材適所を考えて計画的に運用した場合には絶大な脅威となるサーヴァントだが、マスターの綺礼に本気で勝ちを狙う意志がなかったためにひたすら諜報活動に徹することになる。
 実は聖杯を求める秘めたる想いは持ち合わせており、戦いが佳境を越えたら綺礼や遠坂時臣を出し抜いて聖杯を横取りする心算だった。聖杯にかける願いは『統合された完璧な人格』。
 彼らのうちザイードと呼ばれる一体は言峰綺礼が敗退したと装うためギルガメッシュに倒され、残るすべてのアサシンもアインツベルン城で行われていたセイバー、ギルガメッシュ、ライダーの三者による酒宴を襲撃した際にライダーによってことごとく倒された。
 生前の肉体自体は凡庸だったが多重人格による多彩な能力のため、他の代のハサン・サッバーハとは異なり『ザバーニーヤ』なる肉体改造をすることは一切なかった。『彼』という記述から生前は(というより肉体は)男性だったと思われる。
 『犠牲を厭わず勝利せよ』という言峰の令呪を受け、アインツベルン城で催されていた聖杯問答に乱入するが、ライダーの『王の軍勢』によってことごとく倒されつくした。

 クラス別能力は以下の通り。
 気配遮断:A+…完全に気配を断てば発見することは不可能に近い。ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。
 保有スキルは以下の通り。
 蔵知の司書:C…多重人格による記憶の分散処理。LUC判定に成功すると過去に知覚した知識、情報を、たとえ認識していなかった場合でも明確に記憶に再現できる。
 専科百般:A+…多重人格の恣意的な切り替えによる専門スキルの使い分け。戦術、学術、隠密術、暗殺術、詐術、話術、その他総数32種類に及ぶ専業スキルについてBクラス以上の習熟度を発揮できる。


アサシン仮面(人名:スターリット・マーマレード)
 桂木千鳥が仮装して加々美崎高校を訪れた際に名乗った名前。変装はアサシンのサーヴァントを思わせる髑髏の仮面を着けただけ。


アサシンのマスター(人名/魔術師:hollow)
 氏名不詳。おそらく第三次聖杯戦争に参加したマスター。第三次聖杯戦争の再現たる四日間の中でバゼット・フラガ・マクレミッツと戦った。
 優れた人形遣いで、手足となる自律人形(オートマタ)を何体も従えている。それらは精密な殺人機巧を備えたフランス人形。


アサシンを召還するはずだったマスター(人名)
 詳細不明。
 第五次聖杯戦争においてアサシンを召還するはずだったが、召還の前にキャスターに発見されて殺された。


AJIOH(用語:氷室の天地)
 氷室鐘らが修学旅行で訪れた科学未来館に展示されていたロボット。アシモに髪と髭を生やしたような外見をしており、『ウマイ』という声を発する。


芦家(人名:月姫)
 七夜志貴が遠野四季に殺されたときに入院した病院の脳外科医。


亜種聖杯(用語/魔術:事件簿)
 2003年11月までにドクター・ハートレスがイギリスに作り上げた亜種聖杯。
 同一の霊脈(霊脈自体は各地を巡り、冬木の大聖杯がある極東にも続いている)上に魔眼蒐集列車と腑海林アインナッシュの仔を配置して歪みを生じさせ、それを近隣の土地を開発する事で調えて作った。願望機には至れず、ただ英霊をサーヴァントとして召喚する事だけができる。またサーヴァントを召還するといっても冬木の大聖杯をハックしたわけではないので同じクラスで召喚する事はできず、冬木の聖杯戦争にはないエクストラクラスを用意する必要がある。


亜人(用語)
 幻想種の分類の一つ。
 妖精や巨人といったものが亜人のカテゴリに含まれる。


小豆洗い(用語:氷室の天地)
 ほぼ日本全国に分布する妖怪。基本的には小豆を洗う音を立てるだけだが、長野県佐久地方や新潟県三条市では歌を歌い、広島県東部では『いっしょう、にしょう、ごしょう、ごしょう』という音を川獺が立てて惑わすという。
 蒔寺楓と氷室鐘は水辺で小豆を洗っているだけで無害と言ったが、実際には各地に危害を加える小豆洗いの伝承もある。例えば長野県の小豆洗いは小豆を洗いながら『小豆磨ぎやしょか人取って食いやしょか、しょきしょき』と歌っていて、その歌が小豆を洗う所で途切れれば何事もないが人を取って食らう所で途切れると人を食うという。
 正体については自然音とされる。民俗学的には祝祭日や神祭用の特別な食品で、祭礼の前に守られる厳粛な物忌みの趣旨が忘れ去られ、恐ろしいものが出る期間と思われるようになったことによる産物という説がある。柳田国男は水辺に集まる動物が忙しなく土砂を掻く音がその正体かもしれないとしている。


アステア(用語)
 →考古学科


アストレイ三人娘(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが二年生の頃の球技大会における氷室鐘、沙条綾香、美綴綾子による2年A組セパタクローチームの名称案。


アゾット剣(武装)
 魔術協会では一般的な礼装。成人の儀に師や両親から贈られる記念品の性格もある。
 魔術使用時に用いる道具の一種であり、短剣の形をしているものの刃物としての使用を目的とせず、所持者の魔力を増幅し、魔術の補助・強化を目的とする魔杖。魔法陣の形成や固体化した神秘への介入に使われる。パラケルススのものがオリジナル。
 遠坂凛のアゾット剣は遠坂家伝来の宝石細工で、魔力を充填しておけば礼装としても使える。もとは遠坂時臣が国外に退去する(と思い込んでいた)言峰綺礼に遠坂の魔道を修め、見習いの課程を終えた証として贈ったもの。その直後に綺礼はこれで時臣を刺殺した。第四次聖杯戦争の半年後に行われた時臣の葬儀のあと、悪辣な皮肉を込めて綺礼から遠坂凛に贈られた。


化野菱理(人名/魔術師:事件簿)
 あだしの ひしり。
 時計塔の法政科に所属する女性魔術師。友禅の振袖を着用している。かけている眼鏡は魔眼殺し。
 ノーリッジ卿の養子の一人で、同じくノーリッジ卿の養子であるドクター・ハートレスは義理の兄にあたる。ただし、法政科に所属するに当たりノーリッジとの縁は切っている。法政科に属したのは1996年より後。
 ゲリュオン・アッシュボーンの遺産管理人に指定され、法政科から剥離城アドラに派遣されてアッシュボーンの遺産相続を管理する。与えられた天使名はHachasiah。その後、二日目の夜中にハイネ・イスタリが大広間で天使の像が掲げた件に貫かれた彼女の死体を発見した。この死体は天使名ハハシアに対応する両目を抉られており、魔術刻印と思しき背中も大きく剥ぎ取られていた。死体はその後、剥離城アドラの前庭からやや離れた空き地に葬られた。
 しかし化野菱理の死体は偽物であり、時計塔に帰還したロード・エルメロイU世と再会している。
 ロード・エルメロイU世は天使名の仕掛けを作ったのは彼女であると推測した。
 2003年11月末頃の魔眼オークションに法政科ではなく個人的な用向きで参加した。その際は同伴者はおらず単独だった。トリシャ・フェローズの死後、ジャンマリオ・スピネッラにオークションまでの協力を依頼された。魔眼蒐集列車の中では特に目立った動きはしていなかったが、オルガマリー・アースミレイト・アニムスフィアがトリシャ・フェローズの首を発見した際にそれを回収して保管し、グレイが列車に追いついた直後に探偵の真似事をすると称して事件の謎解きを行った。これは魔眼蒐集列車の同意を得たもので乗客たちの同席が強制されたが、あくまで法政科の立場での謎解きであり、法政科によって隠蔽されていた7年前の連続殺人事件の犯人がカラボー・フランプトンであるとだけ断じて処理するという政治劇でしかなかった。その後、同行しているカウレス・フォルヴェッジが偽物であると気付いたロード・エルメロイU世の要請を受け、ドクター・ハートレスの捕縛に協力する。また同時にロード・エルメロイU世の依頼により、オークションとその後の経緯を逐一カラボーに伝えていた。


アタックライド(用語:氷室の天地)
 後藤劾以が何らかの本の影響を受けることのイメージ。登場人物になりきるゴトウライドとは異なり、こちらは登場人物の攻撃をトレースする。
 トリックスターという創造を担う秘石を内蔵した次元転換解放機ディケイドライバーで2次元に封じられている本のエネルギーを3次元に解放し、自身に投影することで登場人物の技を使用する。……わけではなく、単に後藤自身の極めて影響を受けやすい性格によるものである。


アタランテー(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦のカード。
 武:2、防:4。固有能力は自軍の全体速度が2倍になる『徒歩競争』。


アッシュボーン(家名/魔術師:事件簿)
 ゲリュオン・アッシュボーンの家系。
 決して表沙汰にはしていなかったが、損傷した魔術刻印の修復ができると言われており、密かに修復師と呼ばれ続けてきた。
 (おそらく2003年に)当主のゲリュオン・アッシュボーンが死亡し、直接の血縁がなかったとの事なので断絶したものと思われる。


アッシュボーンの獣(用語:事件簿)
 剥離城アドラに潜む獣。蝶魔術を応用した魔術刻印の貯蔵庫。
 魔術刻印を停止させる咆哮を放つことができるが、これは剥離城アドラによって増幅されなければ魔術師を気絶させるほどの威力もない。ただし非常に強く発せられた場合は魔術刻印を持たない者に対しては精神に直接影響を及ぼす効果を持つ。
 初戦ではハイネ・イスタリに後れを取ったが、二戦目では力を増してハイネを殺害した。後にルヴィアゼリッタが剥離城アドラの工房としての機能を奪おうとして防衛機構が発動した際に現れ、クラウンを襲ってロザリンド・イスタリを攫った。
 時任次郎坊清玄とグレイが戦った際には次郎坊を『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』からかばったために完全に右半身を蒸発させられた。その直後にロード・エルメロイU世に呪いの咆哮を放ち、絶命した。その後、オルロック・シザームンドの蝶魔術によるものか、人の姿に戻った。
 これは死亡したゲリュオン・アッシュボーンの妻を材料に蝶魔術を応用して作られたもの。
 アッシュボーンの獣が問いかける『天使の名』とは招待客に割り振られたものではなく、剥離城アドラの天使名であるAladiahである。アドラは堕天使Adramelecの略であり、これをADR、ADM、ADLなどに略し、ノタリコンの逆の手法で該当する天使を探すとシェムハムフォラエに当てはまる天使はAladiahとなる。


アッド(用語/礼装・宝具:事件簿)
 グレイが持つ魔術礼装。『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』の疑似人格で、『最果てにて輝ける槍』の神秘が失われないようにするための封印型魔術礼装。基本的に毒舌と罵倒しか吐かない。
 疑似人格はもともと半ば休眠していたが、双貌塔イゼルマの事件の10年前にグレイが急速に変貌を遂げると、かつての主とグレイの適合率が規定値以上に高まったため明確に呼び起された。グレイにとっては生まれてすぐ目にした相手で、最初の友達であり、受け継いでから十年ほどが経過している。
 普段は多くの部品が組み合わさった直方体で、目と口が彫刻されている。グレイは鳥籠のような檻に入れてマントの右腕のあたりに固定して隠し持っている。この籠は普通に見ればマントの中に自然に収まるようなサイズではないが、収納してしまえば外見からでは籠を隠しているようには見えなくなる。魔術的な隠匿ではないらしいが、本当に手品のようなからくりだけで隠匿しているかは不明。
 周囲に存在する魔力を吸収する能力を持っている。魔力の吸収は魔力が定着している自動人形などに対しては単に使い手の能力を高めるだけだが、対霊戦闘ならばそれだけで相手に大きな被害を与える。
 戦闘においては限定解除する事で檻が変形・展開して死神の鎌などの形態に変形する。死神の鎌は内側の魔力を流用する事で部分的に宝具に匹敵する性能を実現しており、限定形態の中で二番目に高い攻撃力を誇る。大盾は高い防御力の他に吸収した魔力を炎と共に放射する効果があるが、魔力放射は発動までにやや時間がかかる。破城槌は瞬間的に魔力を放出する事で一気に加速し大きな破壊力を得るもので、英霊のスキルとしてもランクDに相当する。
 魔力を規定値以上食わせることで収集させて封印を解除し、聖槍ロンゴミニアドの姿を現す。


アトゴウラ(用語)
 四枝の浅瀬。赤枝の騎士に伝わる一騎討ちの大禁戒。四隅にそれぞれアルギズ、ナウシズ、アンサズ、イングズを刻むというもので、この陣を布いた戦士に敗走は許されず、この陣を見た戦士に退却は許されない。


アドミラブル大戦略W(用語:Zero)
 第四次聖杯戦争におけるライダーが購入したTシャツにプリントされていたゲームソフトのタイトル。ハードは家庭用ゲーム機らしい。第四次聖杯戦争中に発売され、ライダーは初回限定版を購入した。
 第二次世界大戦を舞台に枢軸国を操って連合国と戦う超人気ウォーゲームのシリーズ第4作。副題は『ポルシェ博士の憂鬱』。
 既にルールの複雑さや難易度において進化の袋小路にあった前作を、さらに参加国、追加ステージ、追加マップで拡張。トリープフリューゲルや報復兵器V3号、クローン総統といった錚々たる追加ユニットによってもはやウォーゲームの域に留まらないカオスの坩堝と化した名状しがたいゲームバランスを誇る。
 今も一部マニアの間で根強い人気を誇っている。
 なお、後年ロード・エルメロイU世が着用していたTシャツにも『大戦略』とプリントされている。


後より出でて先に断つもの(用語:hollow)
 アンサラー。バゼット・フラガ・マクレミッツが使用する宝具フラガラックの二つ名。発動の前にこれを詠唱する。


アトラシア(用語)
 →アトラスの名


アトラス院(組織)
 アトラス学院、アトラス協会、巨人の穴倉ともいう。
 時計塔、彷徨海と並ぶ魔術協会三大部門の一つである蓄積と計測の院。あらゆる面で外部と隔離された『生きた奈落』。エジプトのアトラス山脈にある魔術師・錬金術師の協会。中世から主流となった現代錬金術とは異なる、魔術の祖、世界の理を解明する錬金術師の集まり。会長の言語そのものには絶対的命令権があるという。
 三大部門といえば聞こえはいいが、実際は独立した閉鎖的な頭脳集団である。時計塔との交流は希薄になっているが、要請があれば魔術師を含む人材を貸し出すこともある。稀に他協会や聖堂教会からの要請で錬金術師を貸し出すこともある。そのためには過去アトラス院が発行した“契約書”が必要となる。七枚しか発行していないこの契約書を回収することがアトラス院の当面の目的。
 魔術協会の他の部門に比しても徹底した秘密主義のため詳細は不明。紀元前から存在している。アトラス院の唯一の規則は『自己の研究成果は自己にのみ公開する』こと。ほかに絶対というわけではないが『アトラスから出ることは違反』という不文律がある。
 アトラス院に所属するには最低3つの分割思考と高速思考が必要とされる。分割思考は5つで天才といわれ、過去の会長では最高8つという者もいた。まず高速思考と分割思考を体得し、その後に変換式や加速式といった錬金術を修得する。
 アトラスの錬金術師は端的に言えば『技術屋』『兵器鍛造屋』である。かつては未来を予測して誰にでも平等な世界を運営しようとしていたが、はじめに見たものが滅びであり、現在はひたすらに新しいものを研究・開発している。初代の院長が辿り着いてしまった滅びという『終末』を否定するための兵器を造っているが、対抗策を取れば取るほど滅びは凄まじくなるために未来永劫に兵器を作り上げ、廃棄し続けるといわれている。その性格から、魔術師からは武器職人扱いされている。『アトラスの封を解くな。世界を七度滅ぼすぞ』とはプラハの錬金術師の言。世界を救うために作り上げた兵器は、更に惨たらしく星を焼く道具に過ぎなかったわけである。金(ゴールド)を使って兵器を作っているという噂が流れている。
 アトラス院が研究しているのは西洋魔術に傾倒した錬金術(ありがちな物質の変換)とは別物の、『事象の変換』である。万物、物質の流転は共通のテーマだがアトラスの錬金術師はミハイル・ロア・バルダムヨォンを軽視している。同じく錬金術を研究しているプラハ協会とは致命的に仲が悪く、魔術協会の心臓部である時計塔からも煙たがられている。
 ゴドーワード・メイデイこと玄霧皐月も在籍した。


アトラスの名(用語)
 アトラシア。アトラス協会会長、および次期会長候補に与えられる称号。
 得る条件はただ1つ、『不可能を可能にする』こと。


アトラスの錬金術師(用語)
 アトラス院に所属する錬金術師のこと。
 その全員が高速思考と分割思考を体得していることからもわかるように、人体を演算装置として用いる術に特化している。肉体に対する考え方も独特で、脳が身体をコントロールするのではなく脳をよりよく機能させるために肉体があると考えている。
 単純に演算能力の怪物を生み出すだけならば技術者になればいい。彼らにとって人体とは『肉体・精神・魂の三位含めて計算、実践、成長するに優れた個体』なのである。
 彼らには魔術師にとって明確な機能の証明となる魔術回路が少なく、単体では自然干渉系の魔術はまったく使えないのだが、彼らはそれをよしとしている。曰く、『最強である必要はない。最強であるものを作ればいいだけなのだから』。


アトラム・ガリアスタ(人名/魔術師)
 アニメ版UBWにおいてキャスターのマスターとなった魔術師。かなりの富豪。爵位を持っているが、金で買ったものである。拠点では大勢の女性を侍らせている。
 単独での魔術師としての力量はかなり低く、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトを100+α(特殊魔術礼装分)、コルネリウス・アルバを100、第五次聖杯戦争当時の遠坂凛を20〜30、衛宮士郎を10〜20とすると20程度。ただし魔術のみに依存しない戦闘技能はかなり高い。代償を用いて魔力を生み出す魔術系統。要するに生贄を用いた原始的な呪いであるが、アトラムはこれを効率的に行うシステムを構築していた。このシステムでは通常ならば作成に一か月はかかる掌大のマナの結晶を生み出すために六人の子供を溶解して使用する事で一瞬で作り終えるが、彼が召喚した神代の魔術師であるキャスターならば詠唱も代償もなく一瞬でその数倍の大きさのものを作ることが可能。
 戦闘においては原始電池を用いた電撃を使う。スヴィン・グラシュエートの見立てではこの術式は魔術としては二流だが、戦闘に用いるには一流。
 2003年には間近に迫った第五次聖杯戦争で英霊ジークフリートを召喚するため、ファヴニールの血を受けた菩提樹の葉を求めてオークションに参加した。しかし蒼崎橙子への報酬としてそれを必要としていたバイロン・バリュエレータ・イゼルマに競り負けたため、黄金姫と白銀姫のお披露目の際に三十人以上の手勢を引き連れて襲撃し、実力で奪い取ろうとした。なお、イゼルマの本家であり三大貴族の一角バリュエレータの当主であるイノライ・バリュエレータ・アトロホルムは長年足踏みしていたイゼルマがなぜ突然成果を出したのかを調べるためにアトラムを泳がせており、この武力介入には干渉しないという約束を結んでいた。
 蒼崎橙子の助力も得てスヴィン・グラシュエートを捕縛したが、ロード・エルメロイU世らによる黄金姫の投影によって天候魔術が霧散させられる。その後、ロード・エルメロイU世によってアトラムが求める聖遺物の所在についての推理が当たっていたらスヴィンを返還し、外れていたら征服王イスカンダルの聖遺物を譲渡するという条件のもとディアドラの死からの一連の事件の真相を聞かされた。ロード・エルメロイU世による一連の事件の解体の後にマイオによって引き起こされた橙子の魔物との戦いでは特に何もせず見物していたが、最終的にロード・エルメロイU世の交渉で見物料として防御術式を使用した。
 その後、ロード・エルメロイU世の事を気に入って頻繁に訪問しては色々と自慢していた。
 聖杯戦争のために巨額を投じていたが、財力ではなく魔術師として他の魔術師を圧倒する用意があると自信を持っていた。生贄に用いる子供はよそで大量に購入したものを冬木に持ち込んでいた。
 魔術協会枠を買い取って第五次聖杯戦争に参加する。サーヴァントは触媒となる菩提樹の葉が永遠に失われたため、竜殺しのジークフリードが駄目ならば竜を使役する魔女を、と考えてメディアを召喚するが、メディアの宝具は竜ではなく彼女の在り方を具現化した概念宝具『破戒すべき全ての符』であると知ってからは露骨に彼女を見下している。なお、キャスターには聖杯を求める目的を『魔術世界の発展と穏やかな未来』と言っていたが本心かどうかは不明。
 生贄を用いてマナの結晶を作り出す事をキャスターに自慢するが、逆に魔術師としての次元の違いを見せつけられ、さらにキャスターから見れば非効率な命の浪費でしかない工房の停止を進言されたため、令呪で『私には宝具を使うな』と命じ、殴りつけた。
 その後、冬木教会を訪れて言峰綺礼にキャスターに対する不満を並べ立て、新たなサーヴァントとの再契約を要請するとともにランサーのマスター(この時点で既に言峰に代わっていた)にキャスターを始末することを要請する証文を渡すよう依頼した。この謀略から帰ると工房はキャスターに破壊されており、柳洞寺に工房を移す事を進言されたが、これを拒否して二画の令呪を用いて『自害せよ』と命じた。しかしこの時既にキャスターは自分に対して『破戒すべき全ての符』を使用してアトラムとの契約を絶っており、アトラムはマスター権を失うと同時にキャスターの魔術で殺された。


アトラム・ガリアスタの父(人名/事件簿)
 おそらくアトラムの先代のガリアスタ家当主。魔術協会での爵位を持っていたが、魔術世界には踏み込まなかった。魔術を継承しつつも魔術を時代遅れとして重要視しなかったと思われる。


アトラムの生贄(人名:アニメ版UBW)
 アトラムが第五次聖杯戦争に参加するにあたって持ち込んだ生贄用の子供。冬木市の住民ではなく、余所で購入したもの。
 アトラムのデモンストレーションのために少なくとも6人使用されている。アトラムの工房を非効率だと断じたキャスターが工房を解体する際に残っていた50人ほどを独断で解放した。


アトラムの工房(地名:アニメ版UBW)
 アトラム・ガリアスタが第五次聖杯戦争に参加するにあたって設置した工房。おそらく冬木市に存在する。
 詠唱を短縮するためアトラムが特別に設計したもので、生贄の子供たちを大量に保管しておくことができる。
 後にキャスターによって解体され、生贄も解放された。


アトロホルム(家名/魔術師:事件簿)
 バリュエレータの本家。2003年頃の当主はイノライ・バリュエレータ・アトロホルム。


アニムスフィア(家名/魔術師:事件簿)
 天体科の君主の家系。貴族主義派閥に属している。星の運行以外に興味を持たず、山に籠っている。


アハト(俗称:Zero)
 ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルンのこと。アインツベルンの八代目当主であることから。


アバドンフォース(用語:MELTY BLOOD・ネコアルク)
 グレートキャッツビレッジ唯一の軍事機能。ネコアルクが召喚するネコアルクたちのこと。エリートネコ部隊。新しくなったMELTY BLOOD Act Cadenzaで垣間見られる怪現象。
 野生をたぎらせ、優れた身体能力と知性を抑えられない選ばれたネコアルクたちによる自衛部隊。選ばれた者はネコアルクたちから羨望を込めてアバドン☆ベレーと呼ばれる。ただしネコアルクですらネコアルクを制御できない。
 一匹のネコアルクは百匹のアバドンフォースを召喚できる。夏場のアレと同じく、ネコを一匹見たら百匹いると思え。
 地上を埋め尽くすエリートネコ部隊を前にした兵士たちは「キャット! ファック! キャット! ここは地獄だネコッタレ!」と神に祈りを捧げながらネコたちに蹂躙されていった。
 グレートキャッツビレッジに有間都古が侵入した際には真っ先に無条件降伏し、「フクロにするのはリーダーだけにしてくれ」と一億総土下座した。
 最近は更なる暗黒混沌部隊が組織されたらしい。


アバドン☆ベレー(用語:ネコアルク)
 アバドンフォースの中でも選ばれたネコアルク。他のネコアルクから羨望を込めてこう呼ばれる。


アベレージ・ワン(称号)
 五大元素使い。魔術協会において、属性が五大元素の者をこう称する。


天城浜(地名:魔法使いの夜)
 あまぎはま。
 三咲市またはその近辺にある地名。ここにスタジアムがある。静希草十郎がここにある食品工場の深夜パートに入ったことがある。


遍く示し記す万象(宝具)
 アヴェスター。起きた出来事をひとりでに記録する補助タイプの宝具。タイプライターが自動化した程度のもので戦闘にはまるで役に立たない。その利点は言葉にならない感情や本人も気付いていない感情までも言葉として記録できること。
 すべてを正しく記録した経典(アヴェスタ)の名に相応しい誰も傷つけない宝具。アンリ・マユはこれから名前を削除されたことで秩序から自由になっている。


AYA(人名:氷室の天地)
 英雄史大戦における美綴綾子のユーザー名。アイコンは握り拳。


阿頼耶識(概念)
 アラヤ識。ヒトの普遍的無意識領域のこと。総てのヒトがこれと繋がっている。
 コレから生じる抑止力を『アラヤの怪物』と呼び、コレは霊長全体への危害が及ぶのを阻止しようとする。たとえ英雄でも霊長全体に有害と判断された場合は抹殺される。間接的に働く場合は特定の人間を強力に後押しする。近代ではジャンヌ・ダルクがアラヤに後押しされたらしい。
 これと契約することで支援を得て人間の規格を外れた力を持つ英雄になることができるが、死後は抑止力として永遠に使役される英霊(守護者)に成ってしまう。


荒耶宗蓮(人名/魔術師:空の境界)
 あらや そうれん。
 身長183cm。体重90kg。
 外見は四十代後半だが、二百年以上を生きる元台密の僧。魔術師としての能力は穴だらけだが、自己の強さは何者をも凌駕している。苦悩が刻まれた貌と魔術師にあるまじき強靭な肉体が、対峙した者に嘔吐感に似た重圧を与える。左腕(左手という記述もある)に仏舎利を埋め込んでいる。魔術回路は30ほど。長く生きすぎてもはや一つの概念になっている。防御力ならば(おそらくTYPE-MOONのキャラクターのなかで)トップクラス。起源は“静止”。
 魔術師としては平凡だが、結界作りに関しては屈指の冴えを見せる。特殊な才能を持たない彼は、歳月と信念を積み重ねて自己を完成させ、一流の結界師になった。三重の静止の結界を常に『連れて』いる。結界の呼称はそれぞれ『不倶、金剛、蛇蝎、戴天、頂経、王顕』であり、平面と立体に張り巡らされている。その結界の名は『六道境界』。
 かつて時計塔に所属していた。蒼崎橙子とは師を同じくした学徒であり、同郷ゆえに気が合ったという事ではなく、志が似ていたために意見交換をするようになったという関係。
 ヒトの意味を検分するためにヒトの魂を通して根源の渦を目指した。また、何度も運命を繰り返せば変化が起きるかもしれないと思い、小川マンションを一日で生と死のループを繰り返す異界にした。荒耶が求めた根源とは、つまり歴史の終末、人間の価値を記したものである。
 両儀式にぶつけるため、巫条霧絵に二重存在を与え、浅上藤乃の背骨のヒビのみを治療し、白純里緒の起源を覚醒させた。巫条霧絵の治療費を出していたのも荒耶。霧絵は荒耶を父の知り合いだと思っていたが、それは霧絵の医療費を肩代わりし続けるための建前に過ぎない。観布病院に勤務していた頃は多少の社交性があったらしい。勤務セクションは心療内科。
 1996年2月に両儀式に殺されかけた黒桐幹也を助けた。
 何度も自身の身体のスペアを作り、破壊されるたびに交換してきた。最終的には根源に至るハードウェアである両儀式の肉体を奪おうとした。小川マンション(奉納殿六十四層)は本来、そのためのものである。
 最期は小川マンションで両儀式の肉体を奪おうとしたが、式に殺された。
 かつては人を救わんとあちこちの戦場を駆け回っていたが、やがて自分には誰も救えないということに行き当たり、救えないならばせめてその死を明確に記録しようと死の蒐集を始めた。
 ネコカオスとはペンフレンド。AATMではネコカオスにアーネンエルベの店長を任されたが、あまりに料理は下手であったのでキレた両儀式に殺された。


アラヤの怪物(用語)
 阿頼耶識から生じる抑止力。霊長の抑止力。守護者。英霊のこと。
 人間という種を存続させるために、その破滅を防ぐ。だが人間は自滅によって滅ぶため、破滅の原因となる場所に呼び出され、その場にいる人間を一人残らず殺すことで人間全体を救う。対象がたとえ英雄でも例外ではない。
 人間全体が生み出すコレは、星さえも食い潰して人間の世を存続させようとする。カウンターガーディアンであり、既に発生した事態に対してのみ発動する。世界を滅ぼす要因が発生した瞬間に出現してこの要因を抹消する。
 抑止力自体はカタチのない力の渦で、絶対に勝利できるよう抹消すべき対象を上回るように規模を変えて出現する。大抵は抑止力によって後押しされた『一般人』が滅びの要因を排除し、結果として『英雄』として扱われる。アラヤ側の抑止力によって英雄になった人間は、その死後はアラヤに組み込まれる。
 無意識から生じたものであるために発生しても誰の眼にもとまらず、誰にも意識されることはない。
 Fateの桜ルートでは間桐桜が黒化し、『この世全ての悪』の母体となるが、あの時点ではまだアラヤの怪物は発生していないらしい。もっとも。アラヤの怪物が発生したかどうかは水掛け論になりかねないという。


アリゲーターガー(用語:氷室の天地)
 北米原産の大型淡水魚。通常は淡水域や汽水域に生息するが、海水域に生息することもある。肉食性。頭部の形状はワニに酷似する。
 バブル期に放流されたため、円蔵山の池にも生息する。


有坂(地名:魔法使いの夜)
 三咲町から地下鉄で六駅と快速で三駅離れた街。政令によって一から開発された、大型デパートや各種専門店、多目的ホールなどを具えた県内有数の近代都市。


有坂駅(地名:魔法使いの夜)
 三咲町から地下鉄で六駅と快速で三駅離れた駅。


有里(人名:魔法使いの夜)
 1988年の時点で私立三咲高等学校2年C組に所属する静希草十郎のクラスメイト。


アリス(人名:魔法使いの夜)
 英国時代の久遠寺有珠の友人。名前が同じことが縁でよく遊んでいたが、長続きしなかった。


アリストテレスの鉱物書(用語:事件簿)
 実在の書物。
 現存するものはアリストテレスが著したギリシャ語原本ではなく、シリア人によるアラビア語写本に加筆されたものとされている。
 様々な鉱物の中から選ばれた72種の鉱物について記されており、単に鉱物や薬剤としての効能を説明するのみならずパワーストーンの源流ともなった。


アリスマーダー(用語:魔法使いの夜)
 詳細不明。久遠寺有珠の使い魔の一つか。


有間(家名)
 遠野志貴が9歳から預けられた遠野家の分家で、遠野としての血が最も薄く、能力を持たない。華道の家元で教室をやっている。なぜか剣道の道場まである。牛乳は宅配。おそらく高校の所在地から見て隣街にある。
 父は文臣、母は啓子、長女は都古。


有間啓子(人名)
 有間文臣の妻で都古の母。


アリマゴ島(地名:Zero)
 衛宮矩賢が研究のために隠棲していた島。入り江に30戸余りの漁村があるだけで、ジャングルの最奥に衛宮邸があった。島全体に自動車は四台しかなかった。
 矩賢の試薬が漏れ出したために島の住人全員が死徒となってしまい、魔術協会と聖堂教会によって殲滅された。
 オシリスの砂による幻影の夏の再演の後、蒼崎青子が路銀を稼ぐためにこの島での封印指定の探索の仕事を請ける。
 アリマゴとは蟹の意。大昔にはこの島は神に供物を捧げる場であり、病気の母に食べさせるために供物に手を付けた少女が祟りに遭って沢蟹に姿を変えられた。それ以降、この島で獲れる蟹を食べるとどんな病気も治癒するようになり、少女の母もそれで回復した、という伝説がある。なおその神を祀ってあった社は既に無く(というかもともと存在したかも不明)、噂ではジャングルの奥の衛宮邸の辺りにあったとされていた。


有間文臣(人名)
 有間啓子の夫で都古の父。


有間都古(人名)
 5月4日生まれ。血液型O型。身長131p。体重35s。B60 W46 H62。
 自己流なんちゃって八極拳の使い手。小学生六年生。喜怒哀楽が激しい。ほとんど一目惚れ状態だったらしく、志貴をお兄ちゃんと(心の中で)慕うがどう接していいかわからない状態でぐるぐるしていた。それから志貴は数年で遠野の屋敷に帰ってしまったため、まともに話したことは一度もなかった。
 好きな相手の前では混乱してしまう性格で、志貴の前では緊張のあまりうまく喋れず、また志貴の声も聞こえなくなり、緊張が極限に達したときにもっぱら攻撃という愛情表現をする。時折むー、と不機嫌そう(周囲からはそう見える)に唸ったあげく志貴の鳩尾に頭突きを食らわせて笑いながら去っていくという奇行が日常となった。志貴が遠野の屋敷に帰ってから少しは話せるようになった模様。
 有間の家にある使われていない道場で日々拳法の鍛錬をしているが、腕前は子供の遊びの域を出ない。MELTY BLOODではタタリの影響で本物の八極拳使いになってしまい、本人は大喜びしていた。
 ネコアルクには将来楽しみなライバルとして認識されている。
 中学は浅上女学院に入学する予定だが、本人にそのつもりはない。
 四年後には三咲町の市立高校に通うごく普通の学生となる。子供の頃から趣味で続けてきた拳法がちょっと特別だが、空を飛んだりビームを撃ったりはできない。その頃には本人もよく覚えていないのだが、幼い頃にいなくなった『お兄ちゃん』をなんとなく探している。
 女の子というより男の子な嗜好・外見で、男子に混じってスポーツに夢中になっている。女の子っぽくないのは『お兄ちゃんは悪い魔女に連れて行かれたんだ』と覚えているため。これがトラウマとなっていまいち恋愛の話に興味がもてない。
 スポーツ全般が得意だが、有り余る才能とガッツをスーパー合気道部で浪費している。中学からは裏の空き地に棲んでいるパンダに弟子入りしているとか。
 下校中に二人の魔法少女の戦いに巻き込まれ、あまりのウザさに崩拳を一発くれて撃退。それまで負け知らずだった不思議系魔法少女と軍事系魔法少女は都古の強さに驚愕し、「し、新ジャンルの魔法少女―――!」と勝手に誤認。以後、『属性(ジャンル)/一撃必殺』系魔法少女に登録されてしまう。
 高校のクラスは一年B組。スーパー合気道部と秘境料理研究会に所属する。恋愛相談と年上の女性が苦手。好きな食べ物は中華まんといつかどこかで食べた真っ赤なマーボー、苦手な食べ物はサプリメントといつかどこかで食べた真っ赤なサンドイッチ。趣味は野球、サッカー、コンフー。将来の夢はおいしい中華料理のお店を開くこと。尊敬する人はパンダ師匠。


アル・カポネ(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦のカード。
 固有能力は全体攻撃能力『血のバレンタイン』。


アルキメデス(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦のカード。
 武:1、防:1。固有能力は『憎しみの光』。巨大な凹面鏡でローマ軍艦を焼き払ったという伝承からと思われる。


アルクェイドのマンション(地名)
 アルクェイド・ブリュンスタッドが住むマンション。1フロアに5部屋ある。アルクェイドは6階をフロアごと借り上げ、その3号室に住んでいる。


アルクェイド・ブリュンスタッド(人名/真祖)
 Arcueid Brunestud。
 12世紀の12月25日生まれ(誕生月日は自称で、12月25日なのは特に意味があってのことではなく、ただの偶然)。血液型不明。身長167cm。体重52s。B88 W55 H85。Eカップ。好きな歌はナーヴ・カッツェの『クレイジードリーム』。
 真祖の姫君。堕ちて魔王となった真祖を狩るために12世紀ごろに生み出された。ほかの真祖と違い、秘密の多い人の手で完全な無から創り出された。長く生き過ぎたために限界以上に吸血衝動が蓄積しているが、血は絶対に吸わない。
 最高の素体であり朱い月を内包するため、堕ちた場合は朱い月の再来になってしまう。故にそれを恐れる真祖たちによって魔王を狩ることのみに運用され、それ以外のことは一切せず(させてもらえず)に、魔王を狩り終えたら記憶を消されて眠りについていた。魔王を狩り終えた後は死徒も狩り出すように命じられた。だが初めての吸血衝動に苦しんでいるところをミハイル・ロア・バルダムヨォンの姦計にかかって知らずに血を飲んでしまい、暴走。細々と生き残っていた真祖たちの大半を消滅させてしまい、固有結界である千年城ブリュンスタッドに自らを封じた。以後、怨敵ロアが転生するたびに城から出てロアを処刑してゆくのみの存在となった。
 元は長髪だったが、アルトルージュとの戦いの折に奪われた。それを取り戻さないかぎり伸びることはない。
 遠野志貴と出会うまでは無意味なことなので言葉を発しなかった(実際は少なくとも幼い頃にゼルレッチと会話している)。また感情を使用しない存在だったが、志貴との出会い(殺害)によってその在り方から大きく外れていく。一度壊された機械が、組み立て直したときに違った機能を持ってしまったようなものである。そのため高貴で白が似合う吸血姫のはずがお気軽お天気吸血姫になる。以後、天真爛漫に街を闊歩するお姫さまと化したが、怖いときはやっぱり怖い。楽観的なようで根は悲観的なので滅多に怒らないのが救いか。
 性格は自由奔放だが器用で、きちんと空気を読める。怖いものは自由にならない『時間』。休日はずっとゴロゴロしている。突発的にわけのわからない行動をするが理屈に弱い。無条件で懐くメレム・ソロモンが苦手。物語はひたすら爆破するアクション物が好き。真祖は死徒狩りをするもの……なのだが、路地裏同盟のシオン・エルトナム・アトラシアや弓塚さつきとは仲がいい。三咲町ではマンションの6階をフロアごと借りてその3号室に住んでいる。普段は親しみのこもった口調だが、千年城ブリュンスタッドにいるときは王族口調になる。
 深層意識に『朱い月』という行動原理があり、ごく稀に表層に現れる。アルクェイドの夢に迷い込んだ志貴が出会ったものや二十七祖との対面で現れたのがそれである。暴走したときのものは単純に彼女自身が暴走しただけなので朱い月とは違う。
 戦闘能力としては出力30%時で平均的なサーヴァント四人分、ネコアルク換算で二匹分。個体面の能力はほぼサーヴァントと同格で、通常時の個体能力はサーヴァント約二体分。蒼崎青子と戦った場合は7:3でアルクェイドに有利だが、青子にやってほしくないことをやられるかもしれないので敬遠している。蒼崎青子の魔弾(TYPE-MOON Fes.でハッピーロビンのぬいぐるみストラップを爆破処分したものよりも威力が高いもの)を見たことがある。オシリスの砂による三咲町の二度目のタタリの際に手合わせするまで蒼崎青子に勝ったことはない。志貴に殺されて破損した状態のアルクェイドはロアの十七番目の転生体でも打倒し得るが、朱い月が現れれば魔術回路をすべて防御に回したところでロアは数秒程しか持たない。
 彼女は星からの無限のバックアップを持つが、同時に星からの絶対命令により相手よりもやや上の出力しか許されない。この『相手』というのは相手の『個体能力』のことである。シンプルイズベストであるためオールラウンダーであり、総じて勝率が高い。
 しかしどうしても苦手な相手は存在する。それは本人の能力はアルクェイドと同格でも武装がとんでもなく多く、用途も多岐にわたる場合などである。例を挙げるならばギルガメッシュ。彼は個体能力ではなく『火力』がサーヴァント五体分以上である。
 ルーンやカバラなどの秘術には抗体耐性ができているためアルクェイドに効果がない。抗体耐性ができていない、つまり経験したことのない魔術は日本の古神道や南米の秘宝くらいのもの。環境破壊系の爆発には弱い。
 月姫、Fate、空の境界、DDDの中で(サーヴァントを除き)最強。なおORTは『単純に実力でいえば』最強とのことなので、様々な特殊能力を含めてのことと思われる。
 長生きだが実質活動時間は1年に満たず、その間に何百という死徒を処罰してきた。魔術協会の人外専門の換金屋がアルクェイドのファンなので純金や貴金属・宝石類を多く持っている。経済観念はしっかりしている。運転免許を持っているかは不明だが、自動車を運転することができる。
 AATMでは出会ったばかりの両儀式を『空の容れ物』だと看破した。
 『狙われたアーネンエルベ』では道に迷ってたまたま出会ったランサーにアーネンエルベまでの道案内を頼み、そのまま店に居座る。そこで粉末状から復活したケータイさんを見てキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグの手によるものだと看破し、ケータイさんと日比乃ひびきに対して『ところで、爺さん元気?』と訊ねている。
 騒動の後、別人のように感情の失せたひびきからケータイさんを渡され、それで何者かと通話する。その通話相手とは800年前、アルクェイドが生まれた頃に会った事があり、『朝も夜もない場所に引きこもっている』『どっちに付く気もない』『天涯孤独を決め込んでいる』『何か大切なものをなくした』『何もかも手に入れた』らしい。また性別は男性であり『最近は破目を外しすぎてバランスを取るのが難しい』『外はつまらないから出たくない』『食料の心配はない』とも言っている。彼がアルクェイドに自分を殺したいか訊ねると、アルクェイドはリスクとリターンがつりあわないから、そこにいる限り見逃してやるが出て来れば最優先で殺すと答えた。これらの事柄と、アルクェイドの『鍵穴洗って待ってなさい』という言葉には現在は南京錠の姿をしている死徒二十七祖の27位、コーバック・アルカトラスとの共通点が見出せる。
 TYPE-MOON Fes.では黒桐鮮花を遠野秋葉と見間違えた。その後、爆弾騒ぎが明らかになった後は集められたハッピーロビンのぬいぐるみストラップをライダーとともに会場外へ搬出し、空高く放り投げた。その後、蒼崎青子の魔弾を目撃した際はそれを撃ったのが高校生の青子だと見抜いていた。


アルゴンコイン(宝具・技能:Fate)
 金羊の皮。コルキスの秘宝で、とても高価。
 これ自体にさしたる能力はないが、地に放ると竜が現れるという。もとは金羊の皮を守護していた竜が、いつしか金羊の皮に呼ばれるものに成り代わった。
 精霊が宿っている。
 第五次聖杯戦争におけるキャスターが所有するが、彼女には竜召喚技能がないので使用不可。


ある財閥の総帥(人名/魔術師・死徒)
 久遠寺有珠が口にした人物。
 『精神的に繋がった、決して内部闘争しない商会を作りたいから』という理由で吸血鬼になったらしい。全社員の血を吸って完全に情報を共有するネットワークを構築しているという噂がある。
 ヴァレリー・フェルナンド・ヴァンデルシュタームことヴァン=フェムのことか。


ある死徒(人名/死徒)
 2017年4月15日の竹箒日記にて言及された人物。
 月姫に登場した死徒で、死徒二十七祖の一人と数えられている。月姫の世界では『ある出会い』を経て強力な死徒となるが、Fate世界ではその『ある出会い』自体がなかったために死徒にはなったものの祖の一人に数えられるほどの力は持たず、秘術も劣化したものとなっている。
 月姫に直接登場した死徒はネロ・カオス、ミハイル・ロア・バルダムヨォン、弓塚さつきの三名で、祖に数えられるのはネロとロアの二人。『出会い』が描かれているのは、アルクェイド・ブリュンスタッドと出会って策略により彼女に血を吸わせて死徒となったロアである。


アルズベリ(地名:the dark six)
 イギリスの片田舎にある工業地帯。中世の町並みと鉄筋コンクリートの工場が混ざり合った風景をしている。
 もとは過疎化によって滅びかけていたただの村だったがわずか十年でプラントを持つ工業地帯に変貌してしまった。その目的は死徒による牧場だが、あくまで人間の手だけで発展した。聖堂教会も魔術協会も地獄が開くと分かっていながら傍観してきたのは、あくまで人間の手によって正しく発展したからであり、彼らが手を出せるのは正しさが崩壊した後のみだからである。
 工業地帯建設に出資したのはV&Vインダストリィ。アルズベリの発展に出資したのはヴァン=フェム。


アルズベリ監察連盟(用語:the dark six)
 詳細不明。おそらくアルズベリの儀式を阻止する実行部隊のこと。リーダーはバルトメロイ・ローレライ。


アルズベリの儀式(用語:the dark six)
 詳細不明。白翼公トラフィム・オーテンロッゼが何十年とかけて用意してきた儀式で、これを阻止するための実行部隊にバルトメロイ・ローレライが参列する。なお事前に妨害工作は行われていないが、これは白翼公をおびき出して儀式中にこれを阻止し、無念の声を上げる吸血鬼どもの無様を見るため。


アルズベリ・バレステイン(用語)
 詳細不明。アルズベリの儀式のことだろうか。
 数十年前から進められてきた大儀式。魔術協会も聖堂教会も知りながら傍観し、あわよくば旨みを独占しようと監視しあっている。ちょっとした聖地となっている。
 死徒、魔術協会、聖堂教会のそれぞれが敵対しつつ参列し、アルトルージュ・ブリュンスタッドも参列するらしい。
 朱い月が定めたもので第六が関係しているらしく、メレム・ソロモンやグランスルグ・ブラックモアとしては成功してほしくはないようだ。しかしトラフィム・オーテンロッゼが主催するため万が一にも成功してしまう可能性がある。


アルトルージュ・ブリュンスタッド(人名/死徒)
 Altrouge Brunestud。
 死徒二十七祖の九位。死徒における吸血姫で実質的な死徒二十七祖の頂点。アルクェイド・ブリュンスタッドの姉といえる。プライミッツ・マーダーの持ち主。真祖と死徒の混血。血と契約の支配者。黒。
 外見は14歳の可憐な少女。普段はそう優れた能力も持たず、空想具現化も不可能。二段変身をする。プライミッツ・マーダーと白騎士、黒騎士を連れている。ガイアの怪物であるプライミッツ・マーダーを従えているために、ある意味では最強。
 ズェピア・エルトナム・オベローンと契約し、彼を現象にしてワラキア具現化の力を与えた。


アルラウネ(用語/魔術:スターリット・マーマレード)
 ロレンツ・トレンデルが作り、ハリエット・フリーゼが使う使い魔。ガルゲンメンラインと同様のものだが、こちらは戦闘用に調整を施した完成型であり、完全自律型。寄生型使い魔で、これをコアにして土塊からゴーレムを作り出す。


ALEXANDER THE GREAT(用語:Zero)
 ウェイバー・ベルベットが深山町の駅前の書店で立ち読みした本。征服王イスカンダルの伝記であり、洋書。


アロンダイト(宝具:Zero)
 →無毀なる湖光。


あんかけ焼きうどん(用語:魔法使いの夜)
 静希草十郎が作った料理。そのものずばり焼きうどんにあんかけをかけたもの。久遠寺有珠の感想は形容し辛いがわりとクセになる味。有珠も蒼崎青子もこれを気に入った。
 魔法使いの夜カフェで再現された。


暗黒翡翠拳(用語)
 一子相伝の洗脳空手。歌月十夜では瀬尾晶に借りた『エクソシスターシエル』に名前のみ登場。
 MELTY BLOODでは翡翠のゲージ300%技として登場。両手を回転させて謎のエネルギーを溜め込み、前方に放つメイド殺法。謎のエネルギーは日々の過酷な労働への不平不満が変換されたものと思われる。


アンゴルモノハンマー(用語:ネコアルク)
 2005年八の月に落ちると言われている破滅の大王。正体はネコアルクが電波キャッチでケンカをふっかけてしまった知らない星のアルティミットワン。


暗黒剣エビルパケシソード(用語)
 ケータイさんが変形したカレイドグリーンとカレイドオレンジの武器。ビームサーベルのようなもの。初登場時は暗黒剣エビルパケシソードだったが、すぐにジャスティスパケシソードに、次いでホーリーグローリーパケシソードに改名された。
 エネルギー源は二人の人間の心の絆。


暗殺大陸(兵器:ネコアルク)
 コードネーム、レッドラム・ランド・アイロン。
 某軍事大国がみんなに誇る誰も知らない秘密兵器。その正体は全長3000mもの超高高度爆撃機。核兵器をしのぐ次世代の戦略兵器として開発され、単体で宇宙飛行も可能。地上に現れたグレートキャッツビレッジを消去するため、その威容を白日の下にさらすことになる。
 艦長はマッコイシロヒゲ。彼は「GCV? ハハハ、あんなネコの額ほどの土地、たやすく燃やし尽くせるネ!」と意気揚々と出撃したのだが…
 この人類最悪の兵器とネコアルクとの空中戦はネコアルクTHE MOVIE最大の見せ場といえよう。


アンサラー(用語:hollow)
 後より出でて先に断つもの。バゼット・フラガ・マクレミッツが使用する宝具フラガラックの二つ名。発動の前にこれを詠唱する。


暗示(用語)
 リライト。ウィッシュとも。
 物事の捉え方を逸らすもの。よって本人が嫌がっていることはさせられない。土地そのものに暗示をかけることは魔術協会の魔術師でもうまくいかないが、シエルは可能。


アンソニー(人名:hollow)
 遠坂凛とルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトがノーリッジ学生寮で喧嘩になったときにオクタヴィア・レイランドが救援を求めた人物。


アンディ・ウォーホル(人名:氷室の天地)
 1928年8月6日〜1987年2月22日。
 アメリカの画家・版画家・芸術家。本名アンドリュー・ヴァーコラ。
 ペンシルベニア州ピッツバーグでチェコスロバキア移民の子として生まれる。父は1942年に死去し、その後は母のジュリア一人に育てられる。アルバイトをして地元の高校に通う。カーネギー工科大学に進学し広告芸術を学び1949年に卒業。
 1950年代、ニューヨークへ移り雑誌の広告やイラストを手がける。1952年には新聞広告美術の部門で『アート・ディレクターズ・クラブ賞』を受賞。
 1960年、コミックをモチーフに作品を制作するが、同じくコミックをモチーフにしたロイ・リキテンスタインの作品を見てこのテーマから手を引く。
 1961年、身近にあったスープ缶や紙幣をモチーフに作品を描く。これがポップアートの誕生とされる。1962年にはシルクスクリーン印刷で作品を量産するようになる。
 1964年からはニューヨークにファクトリーというスタジオを構える。ここでアート・ワーカーを雇い、シルクスクリーン印刷や靴、映画などを制作する。
 1968年6月3日、全男性抹殺団のメンバーだったバレリー・ソラナスに拳銃で狙撃される。
 1970年代から1980年代は社交界から依頼を受け、ポートレートのシルクスクリーンプリントを多数制作。1974年に初来日。1982年から1986年にかけては災害や神話をモチーフとした一連の作品を作成する。
 1987年2月21日、ニューヨークのコーネル医療センターで胆嚢手術を受けるが、翌日に容態が急変し心臓発作で死去。


アンドリア・モホロビチッチ(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦のカード。
 固有能力は地震を起こす『不連続面』。


アンドロメダ焼き(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが二年生の時の文化祭の屋台。


アンバーグラウンド(地名:Ladies in the water)
 遠野邸地下に設けられた琥珀の研究室兼商店。発見され次第完全装備の特殊部隊に襲撃される類の店。遠野邸内部からの扉は象がラインダンスを踊っても壊れない防爆扉。
 ファンシーなネオンライトと箒に乗った魔女の看板が目印。マジカルケミカルよろず取扱。営業時間は遠野秋葉の外出から帰宅まで。休業日は秋葉が一日中在宅の日。弓塚さつきの食事の手配をしているので、人間の血液も販売しているようである。


アンリ・マユ(用語:Fate)
 ゾロアスター教の最大の悪魔で、光明神アフラ・マズダと九千年間戦い続けるという悪性の容認者。
 とはいえ本来のアンリ・マユは神霊なので聖杯では召還できない。


アンリ・マユ(用語・サーヴァント)
 絶対悪。この世全ての悪。最も古き悪心。第三回聖杯戦争でアインツベルンが異国の経典を触媒にアヴェンジャーとして召還した、喚んではいけなかった反英雄。
 彼の本名であるが、彼がアンリ・マユとして祭り上げられた時点で呪術的に剥奪されてしまい、もはやこの世のどこにもその記録はない。名前を『遍く写し記す万象』から除外されたことで秩序からは自由になったが、それでも英霊と呼ばれるには力不足で、アインツベルンのサーヴァントだった頃は宝具も使えなかった。
 もとはゾロアスター教の小さな村落(小さいながらも完成した世界)のさして裕福ではないごく平凡な家に生まれ、歳の離れた兄弟がいた。魔術も神秘も知らない一般人だったが、ある日突然世界中の人間の善性を証明するためにアンリ・マユの名を着せられて世界中の罪悪を背負わされた。それから右目とのどを潰され手足の腱を切られ舌を引き抜かれ指を落とされ、絶対的な悪として蔑まれ拷問され続けた。そして彼は、『この世すべての悪』という真実の魔、救罪の反英雄となった。奉られてから数年は人々を恨んだが、結局は明確な誰かを恨むことはできず最後には人々を許した。その憎悪は感情ではなくもはや生態になっている。
 その後、彼の村には『悪心は山頂にありて、我々に魔を吹き込む』という言い伝えができた。
 英霊として扱われるがその力は本来の青年のものであり、第三回聖杯戦争でも序盤で敗北して聖杯に取り込まれた。
 敗北した英霊は人格をなくして万能の魔力として聖杯に取り込まれるのだが、アンリ・マユは周りが願って創り上げられたためにアンリ・マユであり続け、聖杯がその願いを受諾してしまった。結果、この世全ての悪としてのアンリ・マユが形になろうとしている、つまり第三魔法の成功例になりつつあるのだが、この受肉は第三魔法の完成ではなく、『人間たちを殺し尽す』という本来の属性によるもの。仮に受肉してこちらに出てきてしまった場合には六十億の人間を呪える宝具を備えたサーヴァントとなっていた。
 これが取り込まれたために、冬木の聖杯は悪性の力の渦になった。
 第五次聖杯戦争から第三次聖杯戦争の再現たる四日間に召還されたアヴェンジャーの人格は『この世すべての悪』から分かれたものではなく、『無が取り憑いた人間』、つまり衛宮士郎をモデルに形作ったもの。


アンリミテッドブレイドワークス(宝具・魔術:Fate)
 Unlimited Blade Works。無限の剣製。衛宮士郎と英霊エミヤの固有結界。とはいえ、衛宮士郎とエミヤの世界は異なる。
 全ての剣を形成する要素があり、オリジナルを見た事があれば容易く複製できる。ただし複製した武器はランクが一つ下がる。防具も複製可能だが、通常投影の二〜三倍の魔力を必要とする。なお結界形成時に用意されている武装は結界形成から維持まで魔力を消費し続ける。破壊されたものを新しく創造する、また結界形成時に存在しなかったものを作る場合は激しく魔力を消費する。
 一度複製した武具は結界内に登録され、固有結界を起動させずとも投影魔術として作り出せる。
 武器の『担い手』であるサーヴァントには多少厄介なだけだが、武器の『持ち主』であるギルガメッシュに対しては既に武器が用意されている分だけ有利で、天敵となる。


アンリミテッドモバイルワークス(固有結界:赤いケータイさん)
 赤いケータイさん状態のアーチャーの固有結界。登録簡単ゲーム遊び放題の不思議空間。
 赤いケータイさんの内部。空には四角い穴があり、そこからは赤いケータイさんのディスプレイを通して外の風景を見ることができる。赤いケータイさんは巨大化して妙にプルプルした状態で現れることができる。
 取り込まれた者の頭上にはパケット料金を示す数字が表示されており、その分だけ契約者に請求が行く。このパケット料金は、取り込んだ者を維持するために必要な魔力を筐体に貯蔵された魔力だけでは賄えないため、回線を通じて擬似魔力データをダウンロードし続けていることによる。この擬似魔力データは結果以内にゲームを出現させることでも消費される。結界内のゲームは100以上あるうえ課金(ポイント制)アイテムまである。釣りや麻雀、クイズ、窃盗ゲームなどのいわゆるソーシャルゲームのほか、ルーレットやモンスターハンターのようなゲーム、Fate/EXTRAのようなゲームまである様子。
 結界内には無数のフェイクに紛れて本物の赤いケータイさんがおり、その本物を倒すことで外に出ることができる。


アンリミテッド・レイズ・デッド(用語:hollow)
 無限の残骸。第三次聖杯戦争の再現たる四日間におけるアヴェンジャーのこと。



  


いいなづけ 17世紀ミラーノの物語(用語:氷室の天地)
 穂群原学園図書室の蔵書。アレッサンドロ・マンゾーニ著。


Eの食卓(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが2年生のときの夏ごろに予約受付中だったゲーム。


イヴェット・L・レーマン(人名/魔術師・事件簿)
 2003年11月頃に現代魔術科エルメロイ教室に編入した女性魔術師。本来の所属は鉱石科。ロード・エルメロイに対する自己紹介の際に堂々とメルアステアのスパイであると明かしているが、それ以前の仕事でドクター・ハートレスとの付き合いもあった。
 エルメロイ教室に所属した時点で(外見年齢は)16歳ほど、髪はピンクでロリータファッションを着ており、左目を眼帯で隠している。レーマンの魔術刻印はうなじに移殖されている。
 左目は生身の眼球ではなく、レーマン家の魔術で複製した鉱石による模造魔眼をはめ込んでいる。魔眼蒐集列車には少なくとも捜索用と思しき物と霊的感覚を強化すると思しき物、感情視、炎焼の四つの加工魔眼を持ち込んでいた。
 2003年11月末頃の魔眼オークションに参加した。魔眼オークションの常連ではあるが、魔眼蒐集列車から支配人が去ってからしばらく経った後に参加し始めたため支配人についてはよく知らない。魔眼蒐集列車がアインナッシュの仔の影響で停車を余儀なくされた際は歩いて霊脈を見つけ出して道標を打ち込む事を提案したカラボー・フランプトンに賛同し、グレイ、カラボー、メルヴィン・ウェインズとともにそれを実行した。その際には炎焼の加工魔眼を使用した。
 ロード・エルメロイU世らと付き合う裏でドクター・ハートレスにエルメロイU世らの情報を流しており、実質的に代理で落札するための資金提供を受けていたほか、落札した魔眼を移植の前に調査してよいという見返りを得ていた。そのため魔眼蒐集列車に危害を加えたドクター・ハートレスに加担したと看做されて、掠取の魔眼の四千万ドルでの落札は済んでいたため有効とされたが、泡影の魔眼については四億六千万ドルまで応札していたがオークションへの参加権を剥奪された。化野菱理にハートレスの協力者として拘束されるが、アインナッシュの仔の再出現に当たり協力の代わりに処分を軽減する司法取引を申し出て受理され、オルガマリー・アースミレイト・アニムスフィアの術式を補佐した。
 その後しばらく法政科によって取り調べを受けたが、ロード・エルメロイU世が退院した頃に解放された。


位階(用語)
 魔術協会が実力に応じて魔術師に与える階級。最上位は『王冠(グランド)』。


胃界教典(武装・俗称)
 死徒二十七祖の二十四位エル・ナハトの胃で作られたエル・ナハト本体の呼出端末でもある強力な召喚書。本体の二つ名でもある。埋葬機関の1と2がこれを持って動くと、事実上無敵である。


井垣(人名)
 穂群原学園の二年生(間桐桜と同級)で弓道部員。


怒の大学(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが二年生の年の11月頃に上映されていた映画。


生きている石(魔術:事件簿)
 イスタリ家に伝わる錬金術。下手な英霊の武具にも匹敵するとされる。
 術者の肉体に埋め込んで使うもの。主たる生物に融合して、呪文一つでその中身を作り変える。一個で体表の7%を覆う。これによって肉体が変化した紫の装甲はモース硬度にしてサファイアに匹敵する。これを凝集した槍の先端はダイヤモンドさえ凌駕し、イスタリ家で配合されている仕掛け馬での突撃ならば戦車の複合装甲さえ貫くとされる。またこれは単なる装甲ではなく、術者の筋力も大きく強化する。装甲は硬化するのみならず、絡め取るための軟化も可能。


イギリス(地名)
 妖精の時代から人間の時代に移行するにつれて世界の法則が書き換えられていったが、ブリテン島は島国という特質から物理法則の書き換えが遅れ、最も遅くまで神秘が残っていた。ただしその神秘もアーサー王の死によって終焉を迎えた。しかし、ブリタニアがいわば惑星の臍という重要な存在であることに変わりはない。そのため世界をひっくり返すための支点にもなりうるのだが、それを防ぐために世界を刺しているのが『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』である。また同様の理由で地脈が強く、イギリスでは魔術協会をはじめ多くの魔術師が工房を地下に構えている。
 かつてブリテンの王に選ばれる王には超常の力が与えられていたが、それは時代を下るごとに薄れており、ウーサー・ペンドラゴンが超常の力を授かった最後の王であった。


(地名)
 円蔵山の柳洞寺の裏にある、竜が棲むといわれる池。名称は不明。第五次聖杯戦争における聖杯降霊の地。
 バブル期に柳洞寺で放生会を行ったところ多種多様な生物が大量に放たれ、この池とその周辺が目茶目茶に狂うことになった。この放生会は2年で取り止めとなったが、生態系は回復していない。


射殺す百頭(宝具:Fate)
 ナインライブズ。
 英霊ヘラクレスが最も信頼する宝具。状況・対象によってカタチを変える万能宝具で、いわば『流派・射殺す百頭』。そのためどんな武器でも使用できる。 かつてヘラクレス不死身の九頭蛇ヒュドラを退治した宝具で、武器としては弓矢の形をしている。一つの武器というよりも一つの流派で、弓、剣、盾など様々な武器で発動できる。いかなる武器によって発動しようとも変わらない本質は『全ての攻撃が重なるほどの高速で放たれる9連撃』。
 この流派を生み出すきっかけになったのは何度首を断ち切ろうが蘇生する九頭の大蛇ヒュドラ殺しで、その際に弓で100頭同時殲滅を行った。以後はこの弓矢の能力を模した攻撃方法を大剣でも使用するに至る。
 第五次聖杯戦争において衛宮士郎が使用したものは対人用の射殺す百頭で、簡単に言えばハイスピードな九連撃。ヘラクレスがメインで使う射殺す百頭は対幻想種用のもので、ドラゴン型ホーミングレーザーを九発同時発射。これはおそらく撃ち下ろした剣からマルチにレーザーが広がるものと思われる。
 ただし第五回聖杯戦争ではヘラクレスはバーサーカーなので、使用できない。


イシス(用語:MELTY BLOOD)
 詳細不明。
 アトラス院に所属する錬金術師、あるいは部署と思われる。


小黄魚焼豆腐(用語:氷室の天地)
 イシモチと豆腐の煮込み。発音はxiao huang yu shao dou fu。
 2年生のときの家庭科調理実習で遠坂凛が作った料理。中華の中でも日本人の口に合うと言われる上海の家庭料理。


イスカンダル(人名/サーヴァント:Fate)
 →ライダー。


イスカンダルの聖遺物(用語)
 征服王イスカンダルを召喚する触媒となるもの。生前イスカンダルが着用していた外套の切れ端。
 第四次聖杯戦争に備えてケイネス・エルメロイ・アーチボルトが用意していたが、それを届けるよう頼まれたウェイバー・ベルベットが盗んで使用した。第四次聖杯戦争の後はウェイバーが厳重に保管しており、彼がロード・エルメロイU世となってからは時計塔本部にあるロードの私室の金庫に保管していた。2003年11月頃に第五次聖杯戦争に向けてスラーの現代魔術科の学術棟にあるロードの私室に移したところ、何者かに盗み出された。
 魔眼オークション三日目の深夜に黒幕であるドクター・ハートレスの正体と目的を暴いたことでロード・エルメロイU世に返還された。その後は証拠品として法政科の預かりとなったが、退院の日にロード・エルメロイU世に返還され、現代魔術科の私室にある机の中に仕舞われた。


イスタリ(家名:事件簿)
 錬金術の名門。伝わる錬金術は主に石を扱う(宝石魔術ではない)。
 ハイネ・イスタリが聖堂教会の修道士になったため、第二子のロザリンドに魔術刻印を移植したのだが、魔術刻印がロザリンドの生命力のほとんどを吸い取る様になってしまったためハイネを呼び戻して魔術刻印を再移植した。しかし魔術刻印自体が変調を来しており、ハイネの生命力を吸い取る様になっていたため、ハイネもあと数年の命と見立てられていた。


イスロー・セブナン(人名/魔術師:事件簿)
 マイオ・ブリシサン・クライネルスとともに幼いころからバイロン・バリュエレータ・イゼルマの黄金姫と白銀姫の製作に協力した魔術師。黄金姫と白銀姫のドレスを作った。月の塔に部屋があるほか、その地下にマイオと共用の臨時工房を用意されている。
 アトラム・ガリアスタが双貌塔を襲撃した際にはイノライ・バリュエレータ・アトロホルムこそがディアドラを殺したと推測したエステラ・バリュエレータ・イゼルマに連れられてマイオと共にイノライのもとに向かう。そこに駆け付けたロード・エルメロイU世に協力させられ、エステラに黄金姫の姿を投影する魔術に参加した。
 事件の後はバイロン、レジーナ、エステラとともに時計塔によって取り調べられている。


伊勢屋(地名:魔法使いの夜)
 三咲町にある煎餅屋と思われる。


イゼルマ(家名:事件簿)
 バリュエレータ家の正当な分家。血統はケルト系。
 イゼルマ家は代々『最も美しいヒト』を作る研究をしている。十代以上、数百年の歴史があり、歴史だけならばアーチボルト家よりも長いのだが、ずっとある一定以上に進めないでいた。2003年頃の当主はバイロン・バリュエレータ・イゼルマ。特に富豪というわけではない。
 イゼルマの術式は徹底して太陽と月の術式から成り立っている。黄金姫と白銀姫を作り上げるための術式は天体の運行を人体に取り込む事で、様々な生活リズムも天体の運行周期と一致させている。このため、地脈が強いイギリスにあって例外的に工房を高所に設けている。
 イゼルマによる黄金姫と白銀姫は互いを見る事でより高みに上る(美しいものを見た者は美しくなる)が、黄金姫と白銀姫はそれぞれが自分の姿を見ることはできない。そのため、一定段階からはその二人を間近で見続ける三人目が必要となる。その三人目が黄金姫及び白銀姫と同じ美を備える事でより高みに至るのだが、バイロンはその事に気付いていなかった。しかしおそらくは法政科の作為によってそれが成立する事となる。
 2003年の双貌塔イゼルマの事件の後、お披露目での詐欺や殺人などの不祥事によりイゼルマの領地は時計塔によって凍結された。


イゼルマの紅玉(魔術:事件簿)
 バイロン・バリュエレータ・イゼルマが使う魔力を帯びたシャボン玉の、おそらくは術式の名前。
 周囲の酸素を破壊するとともに相手の呼吸器を阻害する事で窒息せしめる。操作は自動的に行われる。フラット・エスカルドスには簡単に無力化された。


イタリアンレストラン銀の脚(地名:氷室の天地)
 冬木市郊外にある高級レストラン。氷室鐘の見立てでは、値は相当張るが間違いなくうまい。
 店名がトラサルディーではないので、蒔寺楓の『肩の肉がえぐれたり歯が生えかわるほどうまいんだろう』という予想は外れていると思われる。
 氷室が見つけた日のお勧め料理は『ポルコ・ロッソ(豚肉の赤ワイン煮)』と『カニベースのスープスパゲティ』。


異端とされた研究機関(組織:スターリット・マーマレード)
 聖堂教会により異端とされ、潜伏先の小さな村ごと消滅させられた。
 パララララ機関の事と思われる。


一工程(用語/魔術)
 シングルアクション。
 指差しや歯鳴らしなどの一動作による詠唱で、瞬間的に魔術を発動できる。指差しで起動するガンドや視ることで起動する魔眼が含まれる。必要時間は一秒以下。


苺塚(人名:魔法使いの夜)
 1989年3月に男性の姿に変身した周瀬律架が静希草十郎に名乗った偽名。


一小節(用語/魔術)
 ワンカウント。
 呪文を用いる詠唱で、どんなに早口で行っても最低一秒はかかる。これを二つ並べると二小節、三つで三小節とどんどん長くなっていき、当然一小節増えるごとに約一秒ずつ時間も延びていく。


偽り写し記す万象(宝具:hollow)
 ヴェルグ・アヴェスター。アヴェンジャーの宝具。受けた傷を相手に返す、最もシンプルな報復の呪い。よって攻撃を受けなければ攻撃できない。
 魂に傷を写すのでアヴェンジャーの傷が治らない限りその痛みは消えず、そのため痛みを受けるが傷は受けない。またアヴェンジャーの傷がなくなるわけではない。
 発動条件は一人の相手に一度きりの使用であり、呪いを行う術者が死亡していないこと。これさえ揃えば相手の魔力抵抗に関係なく成立する。なお、自動的なものではなく術者が発動させる呪術。


猪名川淳二(人名:氷室の天地)
 おそらく怪談が上手な芸能人。


乾有彦(人名)
 10月24日生まれ。B型。身長174p。体重62s。
 小学校時代の『プリン事件』からの遠野志貴のマブ。放浪癖があり、趣味はシーズン外の観光パックで逃避行。オカルト関係には滅法弱い。オレンジの髪、ラフな服装をした夜型人間。女好き。
 模範的なアウトローで、好き放題生きているが極力まっとうな方たちに迷惑をかけないように不良生活を満喫している。不良になりたいから悪ぶっているのではなく、好きな生き方が不良っぽかっただけ。志貴が周りの為に輪の外に出るのに対し、有彦は自分の為に輪の外に出る。
 刹那的な恋愛観を持ち、気に入った女は即口説くようで、女友達はたくさんいる。好感と愛情を区別しており、快楽としてのセックスと愛情としてのセックスを実践している。だが愛情としての行為はいまだ数回しかしていない。こういったことから女癖が悪いという噂があるが、遊び相手に対しても真摯に真面目に向き合うため、別れた女の子達からの評判はいい。別れても相手を幸せにするタイプ。
 数日だけシエルの元から逃げ出してきたセブンのマスター(仮)になったことがあるが、そのときセブンに欲情して襲いそうになった。
 両親と祖母は以前住んでいたマンションの倒壊事故で死亡しており、幼いころから姉の一子と二人暮しをしている。そのため成熟した人生観を持つ。


乾一子(人名)
 10月10日生まれ。A型。身長169p。体重50s。B86 W57 H85。
 乾有彦の姉。愛称はいちごさん。刹那的で退廃的な快楽主義者。煙草はマルボロライト。夜型人間であるという以外は謎。志貴と有彦が知るかぎりで一年ごとに職業が変わり、有彦でさえ職業すら知らない。有彦以上に自堕落でやりたいことだけをやるタイプだが、立派に自立したオトナの女性。普段着はいつものワイシャツとドレスしか持っていないという徹底ぶり。
 気に入った人に自分のお気に入りの小物を無理やり押し付ける、変わった愛情表現をするひと。何かいいことがあると志貴におみやげをくれる。
 恋愛に関しては実にずぼらで、面倒なことはみんな相手まかせにしていつもつまらなそうにしている。
 芸術家肌で、やりたいこと以外の行動はすべて面倒なことだと思っている。食事なんかもっと簡単にならないもんかねー、などとよく志貴にぼやいているとか。こんな不精な性格ながら、決めるときはびしっと決める。
 遠野志貴のことを有間と呼び、気に入っている。志貴は中学時代から乾家に入り浸っていたため、一子とも面識がある。というか頭の上がらない存在。


犬神(用語:氷室の天地)
 中国、四国、九州地方の農村地帯でいう憑き物。沖縄ではインガメという。
 突然人に憑く場合と代々家系に憑く犬神持ちとがあり、ほぼ狐憑きと同じ特徴が語られる。犬神に憑かれると様々な病気となり、発作を起こして犬の真似をするなどという。これは医者では治せず、呪術者に頼んで落としてもらう。徳島県では犬神に憑かれた者は驚くほど飯を食うようになり、死ぬとその身体に犬の歯型がついているという。また人間だけでなく牛馬に憑いたり、鋸に憑いて使い物にならなくすることもある。
 犬神持ちや犬神筋とは犬神がついた家系のことを言い、愛媛県では常に家族と同じ数の犬神がいるとされ、家族が増えると犬神も増える。犬神持ちの家系の者が嫁に出た場合は嫁ぎ先に憑いて行き、たちまち実家の犬神と同じ数になるという。犬神持ちの家族の者が他家の物を欲しいと思えば犬神がその家に行って品物を奪ったり、あるいはその家の者に憑いて病気にしたりする。
 犬神の正体は鼠の様な小動物とも、白黒斑の鼬の様な動物、赤と黒の斑がある掌に乗るほどの犬などとも言われる。愛媛県周桑郡での犬神は鼠の様なもので、家族には姿が見えるが他人には見えないという。不従順で時折家族の者にさえ噛み付くことがあるという。
 犬神の由来については、源頼政に退治された鵺の身体が四つに分かれて飛び散り、それが落ちた土地に犬神が生じたとか、弘法大師が猪避けに描いた絵の犬が飛び出て犬神になったなどの話がある。
 犬神の作り方は、飢えた犬を頭だけ出して地中に埋め、餓死寸前の時に食べ物をぎりぎり届かない場所に置いて犬が首を伸ばしたところで首を刎ね、その首または怨霊を祀り上げるというものや、多くの獰猛な犬を戦わせて勝ち残った一匹に魚を与え、犬の首を切り落として残った魚を食べるというものなどが伝えられている。
 2年生の時の文化祭における陸上部の出し物について氷室鐘、蒔寺楓、三枝由紀香が話し合っていたのを後ろから聞いていた沙条綾香が、フォアグラやキビヤックを作る話から犬神の作り方を連想して三人に聞かせた。


イヌシエル(人名:ネコアルク)
 イヌ精霊サイドの代行者。イヌ精霊たちの間では「イヌシエルに狙われて来期を迎えたカレー屋はない」と言われるほどのハンター。犬だけに狩猟は得意分野らしい。
 ネコアルクとは旧知の間柄らしいが、本人たちは頑なに関係を否定する。というか、本気で一秒後には忘れていそう。
 ネコアルク-THE MOVIE-はイヌ精霊との戦いを描いたものではないため活躍の機会はゼロのはずなのだが、映画を観終わった後はなぜかイヌシエルの勇姿が脳裏にこびりついて離れない。サブリミナル。
 なおサブリミナルは1980年代から1990年代前半までのアニメ作品ではお遊びとして用いられていたらしい。ちなみに現在では『見て気付かないものが無意識領域に届くはずがない』という意見が主流で、サブリミナルによる刷り込みは心理学的に有効と認められていないようだ。
 それでもサブリミナルを用いた番組やCMが禁止されたのは、サブリミナル効果が有効だと認められたからではなく倫理的に問題視されたからであるらしい。


イノライ・バリュエレータ・アトロホルム(人名/魔術師:事件簿)
 創造科の君主である魔術師。蒼崎橙子の師。2003年頃の時点では外見上は70代ほどの女性で、一人称は「オレ」。蒼崎橙子の師。蒼崎橙子の「君主とはご出世されましたね」という言葉から、橙子が師事していた頃はまだ君主ではなかったと思われる。砂を用いた魔術を使う。
 音楽はロックを、酒はウイスキーを好む。魔術師でありながら率先して現代の科学技術を楽しんでおり、双貌塔イゼルマの事件の頃(2003年頃)にはiPodを使用していた。君主よりも市井の絵描きになりたかったと言っているが、橙子が「先生の絵ばかりはご勘弁を」と発言しているのであまり一般的な評価に合致するような画風ではないと思われる。橙子が出奔した際に研究室に残していった煙草をわざわざ魔術で保護して保管していた。なお橙子が封印指定とされる際には意見を求められ、封印指定に推挙している。
 エルメロイ家に民主主義派閥に鞍替えするよう持ちかけており、その場合には庇護とロード・エルメロイU世が教鞭を執る条件付きで教室を一つ二つ譲ってもいいとしている。
 黄金姫と白銀姫のお披露目の後に黄金姫ディアドラ・バリュエレータ・イゼルマのバラバラ死体が発見された際にはそれを調査するライネス・エルメロイ・アーチゾルテを監視する役を買って出た。その後、泉へ向かうライネスとグレイを察知し、二人が自動人形と交戦している間に追いついてカリーナの死体を前に手に血を付着させたトリムマウを魔術で拘束する。アトラム・ガリアスタの襲撃を受けて事が終わってから双方を取り調べた方が都合がいいとして双貌塔を去ろうとしていたところを駆け付けた白銀姫エステラ・バリュエレータ・イゼルマにディアドラを殺した犯人ではないかと詰問され、去りたいなら自分を殺して行け、つまりディアドラを殺したにせよ殺せないにせよエステラを殺した犯人にならざるを得ない状況に追い込まれるが、そこに駆け付けたロード・エルメロイU世に割って入られた。ロード・エルメロイU世による一連の事件の解体の後にマイオによって引き起こされた橙子の魔物との戦いでは、ミック・グラジリエと共にエステラやバイロンを守った。
 彼女は長年足踏みしていたイゼルマがなぜ突然成果を出したのかを調べるためにアトラム・ガリアスタを泳がせており、彼の武力介入には干渉しないという約束を結んでいた。


茨木童子(用語:事件簿)
 英雄史大戦のカード。2003年12月頃までには発売されている。


イブン・アル・ハイサム(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが二年生の頃の文化祭の2年A組の出し物の一つ、最強偉人にラインナップされた。
 必殺技は『英知の結晶』。彼は光の屈折、影、日食、虹などの物理現象を解明する理論を発案し、またカメラや眼鏡の原型を作った人類史に残る光学の父である。この能力はそのカメラと眼鏡からレーザーを自在に発射するもの。
 投票の結果、対人攻撃力賞に輝く。


イマヒサ(人名:hollow)
 ギルガメッシュの取り巻き。ギルガメッシュの金ぴかの竿を褒め、アーチャーの竿をけなしたことでガリガリさんをおごってもらった。


イリヤスフィール症候群(用語:ネコアルク)
 世界を脅かした正体不明のウイルス。保菌者に噛まれることで感染するため、現代の吸血鬼病とも呼ばれている。症状が末期まで進んだ者をウェアキャットとも呼ぶ。
 感染した者は頭部に生体アンテナが生え、なんか全体的にまろやかになる。感染者同士の結びつきは異様に高く、ともすれば感染していない人間に激しい敵意を持ち、争いに発展することも少なくない。
 症状が進行するに従って人間離れした身体機能を発現させ、感染者を増やすために街を徘徊しだす。
 ネコアルク-THE MOVIE-はこのウイルスへのワクチンを巡る戦いといっても過言ではないだろう。
 病名はネコ嫌いで有名な独立小国の女王から取られている。


イリヤスフィール・フォン・アインツベルン(人名/ホムンクルス)
 Illyasviel von Einzbern。
 身長133p。体重34s。B61 W47 H62。
 ドイツ出身。無邪気ゆえに残酷。第五次聖杯戦争のマスターで、バーサーカーと契約する。魔術回路を人間にしたモノ。聖杯になるために作られたホムンクルス。
 アインツベルンを裏切って自分を捨てた(と思い込んでいる)衛宮切嗣と、その養子の衛宮士郎に復讐しようとする。精神的に幼いため、ヘタに怒らせると殺される危険がある。
 彼女の心臓が第五次聖杯戦争の聖杯の器となる。母アイリスフィールよりも洗練された聖杯の器であり、アイリスフィールが内臓に器を溶け込ませていただけだったのに対し、追加の魔術回路を外装として被せることにより肉体そのものを聖杯の器としている。聖杯の器としての容量はサーヴァント四人が限度で、それ以降は人間としての機能不全を起こしていく。その容量不足を補うためにいるのがリーズリットとセラ。
 ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルンと同型機のアイリスフィール・フォン・アインツベルンの卵子と衛宮切嗣の精子から生まれた娘。ホムンクルスの母胎から魔術師の精を受けて産み落とされた錬金魔術の集大成。第四次聖杯戦争の八年前に誕生した。第四次聖杯戦争の時点でセイバーと面識があった。
 第五次聖杯戦争においてセイバーが彼女に対して容赦なかったのは、アイリスフィールから娘の名前をしっかり聞いていなかったことと、彼女の外見年齢がアイリスフィールの娘にしては幼すぎることから、イリヤスフィールをアイリスフィールとは無縁のアインツベルン製ホムンクルスと認識したため。
 ホムンクルスでありながら人間であり、一段階上の高次生命でもある。ホムンクルスから見れば奇跡以外の何者でもない存在で、他のホムンクルスとは違い赤子から今の姿まで成長した。しかしアイリスフィールの胎内にいるときから魔術的な処置を受けていたため成長が極めて遅く、第二次性徴を前に止まってしまった。さほど長くは生きられない。
 生まれてから魔術を習ったのではなく、生まれつき魔術を習得している。彼女の魔術は理論を飛ばして結果を出すというもので、小規模な聖杯というか、彼女の望みが彼女の魔力で可能ならばその方法を知らなくても実現できる。
 令呪は人間としての機能がないインダストリアルなもの。イリヤスフィールの場合、令呪が即ち魔術回路であるため、魔力の生成は令呪起動と同義である。
 魔術師ではないため魔術師と比較するのは難しいが、サーヴァントを使役するマスターとしての能力は歴代のマスター中最高で、全身に刻まれた令呪とあいまって聖杯戦争の2ヶ月も前、聖杯がサーヴァントを呼び出す前にヘラクレスをバーサーカーとして召還し、聖杯のバックアップなしに現界させ、従えるほど。バーサーカーの召還には大聖杯に溜まっていた魔力を流用した上、アインツベルンならではのチート行為を併用したのだが、この成功はアハト翁でさえ予想外であったらしい。
 聖杯戦争のために来日し、冬木市郊外のアインツベルンの森に建つアインツベルン城でバーサーカーとリーゼリット、セラとともに暮らしている。
 辛いものと納豆と猫と寒いところが苦手。雪と衛宮士郎のエプロン姿が好き。同じ聖杯の器である間桐桜が嫌い。祖父直伝の間違った日本観を持つ。料理では卵焼きが得意だが、彼女がトーストを焼くとガリガリになる。衛宮切嗣と胡桃の冬芽探しをしていたとき、切嗣は普通の胡桃しか知らないイリヤを尻目にサワグルミやノグルミなどをカウントしていた。そのため胡桃の種類に詳しい。滅多に泳がないが水泳は得意中の得意で、その気になれば荒波の中でも泳げる。セラに教えたのはイリヤで、その過程で知識でしかなかった水泳が上達した。
 一日の半分は睡眠で、もう半分は優雅で出来ているらしい。イリヤにとっての睡眠とは人間にとっての睡眠ではなく、定期的な機能停止。
 大聖杯がある土地ならば非常に強い。髪で使い魔を作って戦闘に用いる。この術式は『天使の詩(エルゲンリート)』といい、形作る鳥の名前がシュトルヒリッター、コウノトリが撃ち出す弾がツェーレ(涙)、変形しての特攻がデーゲン(剣)という。
 大聖杯がある冬木ではトップランクの魔術師であるが、一流の魔術師ならば『自然の嬰児であればまずは地脈と個人を切り離そう』という対策を立てるので敵無しというわけではない。ケイネス・エルメロイ・アーチボルトや遠坂時臣であれば魔術戦でイリヤスフィールを撃破可能。遠坂凛であれば撃破は厳しいが、土地そのものを汚染する間桐桜であれば勝ちが見込めるらしい。
 衛宮邸に遊びに行くときは自分で自動車を運転してくる。その車とはメルセデス・ベンツェ300SLクーペ。
 まほうつかいの箱では無一文の藤村大河に誘われてアーネンエルベに入り、飲食をする。しかしイリヤスフィールも財布を忘れてきたために藤村が騒動を起こし、イリヤスフィールは自分は無関係だと藤村を切り捨てた。


イリヤスフィール・フォン・アインツベルン(人名)
 プリズマ☆イリヤの世界のイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。
 『沈黙のルビー アルマゲインパクト』では、街で偶然見つけた衛宮士郎と遠坂凛を追って美遊・エーデルフェルトとともにアーネンエルベに入り、隅っこに陣取る。そこから日比乃ひびきと桂木千鍵と一緒に美遊とマジカルルビーの読唇術で士郎と凛の会話を盗み聞きするのだが、途中からマジカルルビーによる士郎の言葉の中継がキャラ崩壊したせいで士郎が凛をアダルティに口説いていると信じ込んでしまい、世界の滅びを望んでしまう。
 世界の滅びを願ったことでその願望が隕石を静止衛星軌道から地表に垂直落下させる星呼びの儀として成就されてしまい、アーネンエルベを中心とした半径100メートル圏内が地図から消滅する危機に瀕する。その危機を回避するため、アーネンエルベの店内でひびきと千鍵の前で多元転身をした。その後、マジカルサファイアが次元の狭間に飲み込まれた美遊とひびき、千鍵もマジカルルビーとの仮契約による並列処理で転身する。
 隕石の軌道修正のため、イリヤスフィールへ他の三人が魔力供給を行う際にはマジカルルビーの性質から愛する人のことを想う必要があったのだが、ひびきだけは恋愛の愛ではなく、隣人愛的な愛しか考えられず、そのせいで軌道修正は失敗。世界の滅びを願った自分を責め、隕石への体当たりを繰り返した。
 なお、この星呼びの儀はもう少しパワーアップすれば朱い月のブリュンスタッドの月落としに迫るほどの大魔術。
 イリヤエ・ロボマエではターミネーター2を観て影響を受けた。
 入浴中にクラスカードを湯船に落として遠野秋葉とメカヒスイの戦闘状況下にある浴室に転移してしまい、誘導ミサイルを防ぐために多元転身して秋葉とともに逃げる。その後、琥珀の挑発に乗って琥珀が用意した地下への通路に踏み込もうとする秋葉を止め、ランサーのクラスカードを限定展開した突き穿つ死翔の槍で地下5層をぶち抜いた。
 その後、48体のメカヒスイに対してセイバーのクラスカードを限定展開して一気にそれらを破壊した。
 後日、美遊とマジカルルビーを伴って再びアーネンエルベに訪れた。


色の階位(用語)
 魔術協会が位階とは別に、特別な存在となった魔術師に与える称号。
 最高位は三原色である赤、青、黄。それに合成色である橙、紫、黒と続き、後になるほどランクが下がる。一色につき一人という決まりはなく、偉大な魔術師や特異な才能を持つ者には色の階位は惜しみなく与えられる。


因果線(用語/魔術)
 ライン。
 魔術師とその使い魔を繋ぐもの。これで結ばれた使い魔には主人の能力の一部が付与される。


飲血鬼(俗称)
 死徒二十七祖の十三位、ワラキアの夜(タタリ)の俗称。大量の血液を摂取することから。


淫虫(用語:Fate)
 間桐臓硯が飼っている蛭めいた虫。人間の血液、精液、骨髄を好む魔物。
 男にたかれば背骨を砕き、脳を吸って廃人にする。女にたかれば神経のみを侵すように変態し、人体の隅々まで触手を伸ばしてひたすらに精を貪り尽くす。
 淫虫は女の肌をその粘液で刺し、濡らし、肉ではなく精神、快楽中枢を高揚、崩壊させて飢えを満たす。女の肉は食わないが、その子宮が好物である。肉を好まない淫虫が子宮に至る道は一つである。脳神経を焼ききるほどの快楽を与えながら胎盤を食い尽くす。そのため、淫虫にたかられた女は心と体を完全に破壊される。
 間桐慎二はこれによって間桐桜の令呪から偽臣の書を作っていた。


インドカレーショップ・メシアン(地名)
 三咲町にあるシエル行きつけのカレーショップ。普通のカレーのほかにカレーパンもある。シェフはインド人のクキール・キーマタタール(仮名)さん。1988年には既に営業していた。
 雑居ビルに入っており、その一階は和食処・飯庵。


インドネシア仮面(人名:氷室の天地)
 衛宮士郎らが二年生の頃の球技大会におけるセパタクローの決勝戦に乱入しようとした謎の仮面の人物。正体は蒔寺楓。


インビジブル・エア(対人宝具・魔術)
 →風王結界。



  


ヴァジュラ(宝具:Fate)
 古代インド神話における雷神インドラの神格象徴の一つ。インドラはもともとアーリア人から伝わった現象で、ヴァジュラは正式にはヴィジャヤと呼ばれる。時代が仏教に移り変わった折に帝釈天と名を換えた彼の神格象徴も名を変えることになった。ヴァジュラとは仏教の神々が持つ金剛杵の意。
 ダディーチャ聖仙の骨を元に工芸の神トヴァシュトリが作ったとされる。またインドラの雷を具現化したものだという解釈もある。インドラは悪龍ヴリトラとの決戦でこの武器を使用し、ヴリトラを倒したと伝えられている。
 一度限りの射出宝具で、ダメージはB+に相当する。使用者の魔力に関係なくダメージ数値を出すお手軽兵装。


ヴァラドヴァージャ(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが二年生の頃の文化祭の2年A組の出し物の一つ、最強偉人にラインナップされた。
 現存しない幻の書物『ヤントラ・サルヴァスパ(機械装置の百科事典)』の著者とされる。この書物は全40章のうち1章を古代インドの伝承に現れる飛行装置ヴィマーナに割いている。
 必殺技は『ヴィマーナ』。
 ビジュアルは円盤に乗ったグレイタイプのエイリアン。


ヴァレリー・フェルナンド・ヴァンデルシュターム(人名/死徒)
 ヴァン=フェムの本名。


ヴァン=フェム(人名/死徒)
 Van-Fem。
 死徒二十七祖の十四位。最古参の三人のうちの一人。魔術師上がりの死徒。財界の魔王。俗称、魔城のヴァン=フェム。本名ヴァレリー・フェルナンド・ヴァンデルシュターム。
 精巧さにかけるものの巨大な物を作ることにかけては最高の人形師。七大ゴーレム『魔城』を想像する。
 以前、白騎士フィナ=ヴラド・スヴェルテンと戦争になったおり第五城マトリを幽霊船団、パレードによって攻め落とされてからはアルトルージュ派を嫌っている。トラフィム・オーテンロッゼは古いといって離反し、トラフィムとの関係は最悪。
 人間社会に関心を持ち、第一次大戦後から吸血手段を用いずに勢力図を増やしていくという試みを始めた変わり者。世界有数の巨大財閥のトップであり、闇の世界ではなく財界に君臨する魔王と呼ばれる。ここ数百年の趣味はエコロジー。瑣末事を好む。地球環境を憂えたりするあたり、わりと俗人。
 この頃はモナコにビルを構え、週に一度はカジノ船で人々の挑戦を受けているのだとか。
 アルズベリを発展させるために出資した。


ヴィア・エクスプグナティオ(対軍宝具:Zero)
 →遥かなる蹂躙制覇。


ヴィヴィアン(人名:GoA)
 湖の乙女。アルトリア・ペンドラゴンに『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』を与えた。


ウィスプ(用語/魔術:魔法使いの夜)
 →鬼火


ウィッチクラフト(魔術)
 陰性の魔術。旧セイバー曰く『婉曲な嫌がらせ』。


ヴィマーナ(宝具:Zero)
 第四次聖杯戦争においてアーチャー(ギルガメッシュ)が使用した飛行宝具。黄金とエメラルドで形成された光り輝く舟。水銀を燃料とする太陽水晶によって太陽エネルギーを発生させて駆動し、思考と同じ速度で天を駆けるとされる。玉座は収納可能。操縦桿も玉座の手前に収納されているが、王の財宝の邪魔になるため使用していない。
 バーサーカーが強奪したF-15Jの追尾性の焼夷兵器にまで凶悪化したフレアによって撃墜された。
 ヴィマーナとはバビロンから散逸したあとに古代インドの二大叙事詩『ラーマーヤナ』『マハーバーラタ』に記述されている名称であるため、本来の名称ではない可能性がある。


ウイルスバスター(用語:MBAA)
 琥珀がまききゅーX廃棄用に作ったもの。メカヒスイが滅菌用に搭載している。


ウインチェスター事件(用語:hollow)
 遠坂凛が時計塔に行くにあたり貫禄をつけるために、アインツベルン城の三階で宝石剣キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグのミニチュアのミニチュアである平行世界からの波を観測するペンダントを作ろうとした際に大失敗して起きた事件。凛はそのままでは封印指定を受けかねないのでねじれを直すため自ら時計塔に行った。
 それは武器として加工していない特異点を解放したもので、厳密には『冬木市で起こりうる可能性がすべて引き寄せられた世界』になりかけた。実際には不思議の国のアリスよろしく童話のような命を賭けた迷路城脱出ゲームだった。
 色々な童話や寓話と溶け合ったアインツベルン城から脱出するというもので、男女一組のカップルになって童話をなぞらえることで脱出できるのだが、衛宮士郎だけはそのルールに気付かずに真面目に脱出を図ったらしい。
 それにより間桐桜に借金してまでそろえた資料や機材もすべてパーになった。イリヤスフィール・フォン・アインツベルン曰く命があるだけでも化物とのことだが、凛は通帳を見て完全に生ける屍と化した。
 その後、十月になってもアインツベルン城の三階は危険らしい。
 なお、ネーミングのもとはウィンチェスター邸からきている。これは稀代の名銃といわれたウィンチェスターライフルの原型を作ったオリバー・F・ウィンチェスターの息子ウィリアム・ワート・ウィンチェスターの夫人であるサラ・パーディー・ウィンチェスターが、ウィンチェスターライフルで殺された人々の怨念から逃れるため(封じるためともいわれている)その屋敷に無秩序な増改築を繰り返したもの。
 39年間絶え間なく増改築を繰り返され、サラが死去した1922年にようやく建築が終了した。最初は八部屋だったが、最終的には160部屋、2000枚のドア、10000以上の窓を備えた迷宮になっていた。
 現在は観光地となっているが、地図を持ったガイドがいないと確実に迷う上に、構造や建具の配置が滅茶苦茶であるため非常に危険である。


ウーサー・ペンドラゴン(人名)
 ブリテン島の加護を得た最後の王。聖人君子というわけではなく、彼は彼で卑王ヴォーティガーンと同じくらい問題を抱えていた。人間離れした王であったが、あくまで人間の範疇内で優れた王であった。そのため、時代の王にはそもそも人間ではない者を用意しようと考え、マーリンとともに概念受胎という魔術によって竜の化身であるアルトリアを作り出した。
 卑王ヴォーティガーンとの戦いに敗れて死亡した。


ウェイバー・ベルベット(人名/魔術師)
 Waver Velvet。
 身長157cm。体重50kg。血液型B。10月3日生まれ。第四次聖杯戦争の時点で19歳。
 第四次聖杯戦争におけるライダーのマスター。令呪は右手の甲に現れた。英語しか喋れない。推察と要点の整理が得意。パズル全般と推理小説が好きで腕力が苦手。自分が天敵。大男が嫌い。
 ベルベット家の三代目で、家系で初めて本気で魔道の探求に乗り出した。しかし母親は魔術師社会のヒエラルキーを鬱陶しく思っていた節があり、息子が本格的な師について魔術の教導を受けることに難色を示していた。しかしウェイバーが魔術に傾ける愛顧は強く、両親が病没した途端に家財一式を擲って入学資金を捻出し、裸一貫で時計塔に乗り込む。
 魔術の腕前はどこまでも平凡だが、ほとんど独学で魔術を学び時計塔に招聘された自分を時計塔開闢以来の天才だと思い込んでいた。そのため構想に三年、執筆に一年をかけた論文『新世紀に問う魔導の道』をケイネス・エルメロイ・アーチボルトに提出したのだが、斜め読みしただけで破り捨てられた。
 時計塔での苦労と挫折に腹を立て、己の力を証明するためロード・エルメロイ宛に送られてきた征服王イスカンダルの聖遺物を盗んで聖杯戦争に参加した。なお、第四次聖杯戦争に参加するための費用と渡航のためのチケットは『面白い話を聞かせてくれるなら金でも何でも出す』と公言していたメルヴィン・ウェインズから借りた。冬木市に乗り込んだはいいもののサーヴァントシステムについてよくわかっておらず、サーヴァントを通常の使い魔の延長と思い込んでいた。サーヴァント召喚の場所は冬木市深山町の雑木林の奥の空き地。サーヴァント召喚の際には昂奮のあまり射精しそうになった。
 幼い頃から本を手にすると時間を忘れる気質で、テクストを読み解いて把握する能力については誰にも負けないという自負がある。だが時計塔では調べ物に便利な見習い司書としてこき使われるだけだった。速読ができる。
 魔術を実践する素養はないが、研究者としての観察力・洞察力には際立った才能がある。ランナーで喩えるなら、脚力はからきしだが理想の走行フォームを思い描くことは出来るというようなもの。選手にはなれないが、コーチとしてはその才覚を遺憾なく発揮できる。
 誰にも顧みられることもなく、物心ついて以来賞賛を受けたことはなかった。それだからこそ、第四次聖杯戦争においてライダーに師のケイネス・エルメロイ・アーチボルトよりも自らの主に相応しいと認められたことがとても嬉しかった。
 第四次聖杯戦争中に契約していたライダーの過去を夢に見て、あまりにも雄大で強大なライダーと未熟な自分の格差に悩み始めた。だがライダーは彼が自分の小ささを自覚していることが即ち覇道の芽吹きである、よってウェイバーとの契約は快いと言い放った。
 キャスター戦後のライダーの極度の消耗に丸一日経って気付き、栄養ドリンクや鰻玉丼を摂ってライダーの召喚場所でひたすら寝るという方法で魔力を与え、回復させた。
 聖杯問答からの帰りにコペンハーゲンからワインを強奪した犯人を捜す藤村大河と出会っている。この時は日本語が通じないため、ライダーの通訳で会話をしていた。大河に付き合って下着泥棒の摘発と子犬を飼い主に返した後、進路などに悩んでいると言う大河に『教師が合っているのではないか』と言った。その後、大河に暗示をかけて帰宅させた。ライダーが略奪したワインについては、ロンドンから匿名で高級ワインの樽をダース単位で届けることで埋め合わせた。
 第四次聖杯戦争の二週間で自分がいかにちっぽけであるかを思い知り、三画の令呪を一度に使いライダーに『最後まで勝ち抜け』『聖杯を掴め』『世界を掴め』と命じて自由にする。だがライダーはその行き過ぎた卑下を『マスターでなくなっても朋友であることに違いない』と一蹴し、ともに決戦に臨む。
 アーチャーとの最終決戦の際に征服王イスカンダルの臣下となり、その夢を後世に伝える務めを負う。ライダーの敗北後、アーチャーに『ライダーのマスターか』と問われるが『イスカンダルの臣下だ』と答え、並びに『忠臣ならば王の仇を討つ義務があるのでは』と問われるも『生きろと命じられた』と不屈の精神を以て答える。その姿はギルガメッシュを以てして「忠道、大儀である」と言わしめた。
 第四次聖杯戦争終結後、旅をする資金を溜めるためマッケンジー邸に逗留したままアルバイトを始める。それからライダーが買ったきり手付かずのままだったアドミラブル大戦略Wをプレイした。以後はそのまま時計塔に戻らずインドからペルシャを辿り、マケドニアに向かう旅をした。この旅の途上、荷物を鞄ごと盗まれたり、現地のギャングと争いになって魔術を使って逃げ出したりと、何度も死にそうな目に遭ったとのこと。ギリシャではおそらく時計塔に属していない現地の管理者に挨拶した際に、時計塔の魔術師が珍しいからと何人かの子息に魔術を教えることになった。
 時計塔に生還した後は帰国途中で稼いだ外貨混じりの金でメルヴィンからの借金を返済し、同時に主を失ったエルメロイ教室を買い取るための借金を申し出る。その条件として、メルヴィンとウェイバーは友人であるという事にされた。なお、この時の借金は後にライネスが買い取って一本化している。以後は必須単位を修めて三級講師となり、没落したエルメロイ派の復興に尽力し、エルメロイ教室を率いる。彼にとって雑で分かりにくい授業をする方が困難であったため、付いて来れる者だけが付いて来ればよいというスタンスの時計塔にあって異様に分かりやすく実践的な授業をする。それが時計塔に居場所のなかった新世代の間で話題になり、広まっていった。また、権力闘争に敗れた講師たちを説得して登壇させることで多角的な教育体制まで確立した。
 そうしてエルメロイ教室を三年間存続させた彼はライネス・エルメロイ・アーチゾルテに拉致され、半ば強制的にロード・エルメロイU世を襲名させられた。この時にアーチゾルテ家が背負わされたエルメロイ学派の借金の肩代わりとエルメロイの源流刻印の修復、ライネスの家庭教師になることも約束させられている。
 『RPG的に言うと』という前提ではあるが、MPはケイネス・エルメロイ・アーチボルトの3000に対して5しかない。もっともこの『MP』は、成熟した魔術師一人分の魔力量が25程度、第五次聖杯戦争当時に龍洞に溜まっていた魔力が1000程度ということを考えれば、単純に魔力量とイコールではないと思われる。魔術の心得のないグレン・マッケンジーに対する暗示さえ満足にかけられず、第四次聖杯戦争中にその暗示が解けてしまった。


ウェイバー・ベルベットの祖母(人名:魔術師)
 魔術師の家系であるベルベット家の初代。
 魔術師といっても、さる魔術師の愛人としてピロートークついでに初歩魔術を習ったに過ぎない。


ウェイバー・ベルベットの母親(人名:魔術師)
 魔術師の家系であるベルベット家の二代目。
 初代である彼女の母はさる魔術師の愛人としてピロートークついでに初歩魔術を習ったに過ぎず、二代目となった彼女も「ママの思い出を大事にしよう」程度の覚悟で秘蹟を継承したため、本気で魔導の探求に乗り出したのは息子であるウェイバーの代から。そのため魔術回路の数も魔術刻印の質も、ともにお粗末極まりない。
 魔術師社会のヒエラルキーを鬱陶しく思っていた節があり、息子が本格的な師について魔術の教導を受けることに難色を示していた。
 ウェイバーが15歳になる以前に病没。


ウェインズ(家名/魔術師:事件簿)
 トランベリオ家に連なる名家。表社会ではロンドンに百貨店などを経営しており、かなり裕福。
 エルメロイ派の破損した源流刻印を預かっており、五十年計画で調律している。この五十年計画で再生するのはウェインズ以外では困難なハイペースとされる。またこれとは別にベルベット家の魔術刻印をメルヴィン・ウェインズが個人的に預かっている。


ヴェステル弦楯騎士団(組織)
 ヴェステル弦槍騎士団とも。
 リーズバイフェ・ストリンドヴァリが団長を務めた聖堂教会の騎士団。MELTY BLOODの三年前(Actress Againの四年前)のタタリに挑んで壊滅した。


ヴェステル弦槍騎士団(組織)
 →ヴェステル弦楯騎士団


上姉様めくり中パンチ(用語:AATM)
 ステンノの技。


ヴェルグ・アヴェスター(宝具:hollow)
 偽り写し記す万象。アヴェンジャーの宝具。受けた傷を相手に返す、最もシンプルな報復の呪い。よって攻撃を受けなければ攻撃できない。
 魂に傷を写すのでアヴェンジャーの傷が治らない限りその痛みは消えず、そのため痛みを受けるが傷は受けない。またアヴェンジャーの傷がなくなるわけではない。
 発動条件は一人の相手に一度きりの使用であり、呪いを行う術者が死亡していないこと。これさえ揃えば相手の魔力抵抗に関係なく成立する。なお、自動的なものではなく術者が発動させる呪術。


ヴェルデ(地名:Fate)
 新都の川沿いにある喫茶店。メニューには日本語訳もついているが、値段はかなり高い。第五次聖杯戦争の一年後には閉店し、跡地には映画館ができている。


ヴェルデ(地名:hollow)
 駅前にある新都最大の百貨店。書店、日用品店、衣料品店、食品店、模型店、アミューズメント施設、レストランなどが入っている。
 地下の食品売り場の隅の軽食スペースが柳洞一成のお気に入り。


ウォータープルーフパック(用語:Ladies in the water)
 琥珀特製の防水パック。水溶性である超日焼け止めに塗り重ねることで水中でも落ちなくなる。屋内で開封することは危険なので使用は必ず屋外で、しかも周囲に人がいないことを確認してからでなければならない。
 価格は超日焼け止めとウォータープルーフパックのセット二人分でリーズバイフェ・ストリンドヴァリの一週間分の給金。これでも大いにまけた額。


ウォータープルーフパックを落とす薬(用語:Ladies in the water)
 琥珀特製のウォータープルーフパックを落とすために必要な薬。これは毒ではなく舐めても平気だが、衝撃を与えるとプラズマを伴い爆発する。


魚達(地名:魔法使いの夜)
 うおたつ。
 三咲町の商店街にある鮮魚店。静希草十郎がアルバイトをしている。


ヴォーティガーン(人名:GoA)
 卑王ヴォーティガーン。七王国時代ブリタニアのブリテン人諸侯。ブリテンから生じ、ブリテンを滅ぼさんと生まれた白い竜の化身。もとは小さな部族の王だったが、竜の血を飲むことで人間ではなくなり、ブリテン島の意思、分身となった。竜そのものに変身する事もできる。光を飲み込む力を持ち、アーサー王との戦いではガウェインの『転輪する勝利の剣(ガラティーン)』の光を飲み込み、アーサー王の『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』の光の大半をも飲み込んだ。
 サクソン人を招き入れ、ブリテン島を混乱に叩き込んだ。要塞都市ロンディニウムを落とし、ウーサー・ペンドラゴンを倒した。
 アルトリア及びガウェインと戦った際には二人の聖剣の光を飲み込み、竜に変身して圧倒するも、アルトリアの『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』に心臓を貫かれて死亡した。


ヴォールメン・ハイドラグラム(礼装:Zero)
 →月霊髄液。


WAR WORLD Z(用語:氷室の天地)
 氷室鐘が所有する小説。ゾンビもの。
 氷室が読んだあと、三枝由紀香に貸し出されて彼女と弟たちが読んだ。読みたがっていた蒔寺楓に貸し出されたかは不明。
 装丁や内容など、マックス・ブルックス著『WOLD WAR Z』に酷似している。これはゾンビ戦争後の国連戦後委員会報告書を編纂するに当たり、その取材に当たった一人の委員が自分の原稿の半分(主に内面に踏み込んだ部分)が削除されていることに憤り、その原稿を元にまとめた多くの人々から聴取した回想談となっている。


牛股(人名)
 穂群原学園2年D組の生徒。なんだか死狂いな漫画のような人物。球技大会では出崎、藤木とともにセパタクローに出場し、三位だったが2-Aチームと2-Cチームが乱闘で失格になったため繰上げ優勝。


鰻玉丼弁当(用語:Zero)
 コンビニ弁当の一種。第四次聖杯戦争中にウェイバー・ベルベットが購入した。


雨生(家名:Zero)
 うりゅう。かつての魔術師の家系。現在では子孫にすら忘れ去られていたが、魔術回路がなくなったわけではない。土蔵に慶応九年に記された聖杯戦争に関する古文書があった。


雨生龍之介(人名:Zero)
 うりゅう りゅうのすけ。
 身長174cm。体重65kg。血液型B。1月31日生まれ。
 軽妙なトークと証拠隠滅が特技。退屈が好きで家族愛が苦手。
 明朗快活。他人の心情の機微をよく読みつつも細かいことには拘らず、常にポジティブで建設的。失敗にめげず、持ち前の探究心と好奇心の旺盛さで人生を精一杯に楽しむ好青年。ただし趣味は拷問、殺人、死体遺棄。夜の街では洒脱で剽軽、それでいてどこか謎めいた居住まいから醸し出す余裕と威厳は魅力となって女性を惑わした。その成果を彼は酒の肴の感覚で愉しみ、本当に気に入った女性については血みどろの肉塊に変えてしまうこともしばしばだった。
 第四次聖杯戦争の頃、冬木市を恐怖に陥れた猟奇殺人鬼であり、第四次聖杯戦争におけるキャスターのマスター。令呪は右手の甲に現れた。連続殺人鬼としての異名は『冬木の悪魔』。キャスターを敬意を込めて『旦那』と呼ぶ。学生時代に漢書を齧ったことがある。
 倫理観を全く持ち合わせていない破綻者。『死』というものを知りたかったがために殺人鬼になり、人を殺す際にはその『死』を時には半日以上もかけて徹底的に堪能する。そのためスプラッター映画を軽蔑していた。普段はしゃべるのも億劫なほどだが、血を見ると、そして死に瀕した者の前に立つと人が変わったように饒舌になる。キャスターと意思疎通が成立していることから、Aランク相当の精神汚染スキルを持っていると思われる。キャスターとは価値観が似通っているように見えるが、物事の捉え方やその深さが全く違う。しかしあまりに違うため、一周回って逆に気が合っていた。もしあと少し価値観が似通っていたらキャスターは龍之介を殺していただろう。
 別段幼少期に性格を歪ませるようなトラウマがあったわけでもなく、彼の悪性は持って生まれたものというほかない。同様に悪性を持って生まれながらも既存の道徳観念を受け付けられた言峰綺礼とは違い、道徳観念を持たない彼は自らの欲求を満たすことに何の躊躇も忌避も抱かなかった。
 動物番組で豹を見てその優雅な身のこなしに魅せられてから豹のイメージを自意識として持ち合わせるようになり、必ず衣服のどこかに豹柄をあしらうようになった。また琥珀色の猫目石の指輪と本物の豹の牙のペンダントも常に持ち歩いていた。第四次聖杯戦争中に着用していた豹柄は靴。
 動物愛好家でサファリパークや自然科学系の特番などが大好き。ただし残虐行為の対象として愛でるのはヒト科ヒト目に限られる。鮫や肉食獣には憧れはするものの生まれ変わりたいとまでは思っていない。なぜなら人間を狩る上で最も巧みなハンターは人間だからである。
 神を信じているが、それはごく一般的な宗教観ではなく、『世界の書き手』としての神であり、彼にとっては涜神も礼賛も等しく崇拝である。
 第四次聖杯戦争の五年前に姉を殺害し、家人にも放棄された土蔵の中に隠したのが最初の殺人。キャスターを召喚する以前で既に42人も殺害しておきながら龍之介は一度として捜査線上に上がらず、警察の捜査は全て迷宮入りのまま、一部についてはそもそも殺人事件として立件すらされていない。計画性皆無の快楽殺人鬼でありながら証拠隠滅と操作攪乱の手際は卓越しており、プロの暗殺者になれば伝説的存在になれたかもしれない逸材である。だが当人は趣味と実益に一線を引く主義だったため、犠牲者の金品にも一切手をつけることなく、平素は地味なアルバイトを転転として生計を立てていた。
 姉の死体を隠した実家の土蔵で慶応九年に記された聖杯戦争に関する古文書を見つけ、それに従った儀式殺人を思い立つ。三回までは被害者の血液が尽きたために魔法陣を描くことが出来ずに失敗したが、四回目で四人家族のうち三人を殺害したことで魔法陣を描くことに成功し、しかも適当に呪文を詠唱していた彼自身忘れ去られた魔術師の血統に連なる者だったためにキャスターを召喚し、わけも分からぬ間に契約する。彼にとっては青髭と名乗るキャスターの殺人の美学に惚れ込んだためであった。
 キャスター召喚の場所は冬木市内の住宅街にある家のリビングルーム。
 第四次聖杯戦争中にはキャスターの助力により人体を使った工作を以前よりものびのびと行っていた。だがマスターでありながらあまりにもおおっぴらに誘拐、殺人を行ったために監督役の言峰璃正により他のマスターに対して龍之介とキャスターの粛清が命じられた。
 キャスターが大海魔を召還した際に未遠川の川縁で群集たちとともにそれを見物していたが、その最中に衛宮切嗣の狙撃により死亡。腹を撃たれたときに探していたモノを見つけ、笑って死んだ。


雨生龍之介の姉(人名:Zero)
 第四次聖杯戦争の五年前に龍之介によって殺害され、遺体は土蔵に隠された。



  


エアバスA300(用語:Zero)
 エアバス・インダストリー社が開発した旅客機。双発のワイドボディ旅客機で、300とは客席数を表している。1972年10月28日に初飛行。3メンクルー機。
 原型機であるA300B1が二機造られ、それをもとに量産機のA300B2が、続いて航続距離延長型のA300B4が造られた。さらにA310の技術を取り入れたA300B4-600(通称A300-600)が造られたが、一般的にA300と呼ばれないので本項では割愛する。
 A300B1は220kNの推力を得られるゼネラル・エレクトリックCF6-50Aエンジンを搭載したもの。最大離陸重量132,000kg、座席数259。
 A300B2は227kNおよび236kNの推力を得られるゼネラル・エレクトリックCF6かプラット・アンド・ホイットニーJT9Dエンジンを搭載したもの。全幅44.84m、全長53.62m、全高16.53m、乗客数最大345名、最大巡航速度848km/h、航続距離1,850km。
 A300B4はB2の航続距離延長型。全幅44.84m、全長53.62m、全高16.53m、乗客数最大345名、最大離陸重量165,147kg、最大巡航速度848km/h、航続距離4,070km。
 オッド・ボルザークがパリ発ニューヨーク意味のこれに搭乗しており、ナタリア・カミンスキーがボルザークを殺したが、ボルザークの死徒蜂によって乗客乗員の全てが食屍鬼となってしまい、衛宮切嗣によってナタリアごと撃墜された。


エイイチロー版サジョーアーヤカ(用語)
 ネコ二十七キャットの第十六位。


永久機関ともいえる生命種(用語:月姫)
 深海に棲息している。
 ネロ・カオスの言葉によれば複数おり、知性を持っていない。ミハイル・ロア・バルダムヨォンの記憶によれば、それは海月などの群体。自らの体を食料とし、それを糧に繁殖する。古くなった細胞は栄養となり、新しい細胞を作る。ただしこれは知性という余分な機能を持たないがための永久機関であり、知性を持たないでいいというのならそれは死をもって永遠とすることと何ら変わりないというのがロアの考え。


映写機の猫(用語/魔術:事件簿)
 蒼崎橙子が用いる魔術。
 空の境界で使っていたのと同様の猫の影を映写するものだが、オレンジ色の鞄ではなくおそらくイゼルマが用意した映写機を用いて双貌塔で作られた鳥型の使い魔から映写している。
 フラット・エスカルドスに対して使用したが、割って入ったグレイと戦っている間にフラットが本体の所在を見抜き、グレイによって破壊された。


詠唱(用語・魔術)
 魔術を起動させるための動作。呪文を唱えるだけではなく、身振り手振りといった動作も含まれる。
 詠唱の中でも呪文は特に術者や流派ごとのアレンジの自由度が高く、守るべき法則さえ押さえておけばあとは自分の使いやすいようにアレンジできる。
 一工程(シングルアクション)は指差しや歯鳴らしなどの一動作、または魔力を通すだけの詠唱で、瞬間的に魔術を発動できる。指差しで起動するガンドや視ることで起動する魔眼が含まれる。必要時間は一秒以下。
 一つの事柄を自身の中で固定化する一小節は呪文を用いる詠唱で、どんなに早口で行っても最低一秒はかかる。これを二つ並べると二小節、三つで三小節とどんどん長くなっていき、当然一小節増えるごとに約一秒ずつ時間も延びていく。
 遠坂凛の『Es ist gros, Es ist klein』(身体の軽量化と重力調整)が一小節であり、アイリスフィール・フォン・アインツベルンの『shape ist Leben』(針金使用)が二小節であることから、小節とは文章の長短ではないと思われる。衛宮士郎、アーチャーの詠唱は五小節以上のほとんど瞬間契約に近い長詠唱。
 瞬間契約(テンカウント)瞬間契約は本来ならば何時間もかかる契約を簡易的に成立させるもの。詠唱としては十小節以上を行うことになるため、瞬間契約といっても十秒ほどはかかる。
 魔術を引き出すための最低限の韻を踏んでいれば細部の味付けは術者によって異なり、長く詠唱するほうがより深く自己暗示をかけられるので威力は増大する。
 身体に刻み付けた魔術の性能に差はないが、詠唱でどれだけ自己の中の魔術を引き出すかによって効果に差が出る。
 高速神言はそれ自体が“神言”であるので詠唱の括りにとらわれないが、敢えて適用するなら大規模な魔術を一小節で発動できるうえ、その一小節は一工程と同じかより早い。
 大規模な魔術になると魔術式の起動に儀式や契約が必要となるが、こうなると無数の工程や小節を含むため詠唱としては扱わない。


H・P・ラヴクラフト(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが二年生の頃の文化祭の2年A組の出し物の一つ、最強偉人にラインナップされた。
 アメリカの小説家、詩人。生前は評価が低く、刊行された単行本は『インスマスを覆う影』だけであった。そのため文章添削の仕事をしていたのだが、ラヴクラフトが大幅に手を入れた結果、元の作品とはかけ離れたものになることもあった。死後に文通仲間であったオーガスト・ダーレスがアーカム・ハウスを立ち上げ、そこから彼の作品が出版されたことで再評価される。今日では怪奇・幻想文学の巨匠とされている。
 幼少期に母が彼の好むものばかり与えたためかかなりの偏食家で、チーズとチョコレート、アイスクリームが好きで海産物が嫌いだった。この海産物への嫌悪が、彼の作品に登場する怪物のイメージに影響を与えたと言われている。
 死後はフィリップス一族の墓碑に名が刻まれたが、彼個人の墓碑は建てられなかった。そのため1977年にファンが彼個人の墓碑を購入した。その墓碑には神意(Providence)と彼が愛したロードアイランド州プロヴィデンスをかけて『I am Providence』と刻まれている。
 なお、神話作品ではしばしば事実を小説の形にして発表することで警告を発していたとされ、死後にユゴスの黴(ミ=ゴ)の外科手術により脳を摘出して保存容器に移し、宇宙を旅しているとも、盟友であるアトランティスの高僧クラーカッシュ・トン(クラーク・アシュトン・スミスの変名)とともに本質の塩から甦って暮らしているともされている。
 必殺技は『ウィアード・テイルズ』と『ラヴクラフト・スクール』。前者はラヴクラフトが寄稿していた怪奇小説専門のパルプ雑誌に由来している。後者はラヴクラフトと文通によって交流していた作家たちが互いに設定やガジェットを共有したり、批評しあったりしたグループのことである。効果はシェアード・ワールドである『神話』に関わったすべての偉人を新旧問わず無限に連続召喚できるというもの。
 なお、螺湮城教本=ルルイエ異本はオーガスト・ダーレスの作品が初出であるが、ラヴクラフトもこの魔導書を扱った作品を著している。


詠鳥庵(地名:氷室の天地)
 エイドリアン、ではなく、えいちょうあん。
 蒔寺楓の実家である老舗呉服店の屋号。冬木市随一の豪商で、基本は呉服屋だが骨董も扱っている。詠鳥庵にある最も高価な骨董は蛇の自在置物で、非売品だが価格は一千万円を下らない。これは甲冑師の作らしく、名はないが明珍派のものと推定される。広大な敷地と相当数の従業員を抱えている。なぜか墓石のパンフレットも備えている。
 蔵には近付いただけで三枝由紀香が昏倒するほど怨念やマナといったよくないモノが濃密に立ち込めている。また蔵の中では様々な怪奇現象が起きるため、蒔寺楓は蔵に近寄りたがらない。しかし蒔寺らが二年生の冬に行った整理の際に氷室鐘が沙条綾香から押し付けられた瓶にそういった『よくないモノ』が八割方吸い込まれた。
 ゲーム機は居間にある。
 瀬戸内で海賊をしていた祖先が鳥の詠に導かれて呉服屋に転じたことが由縁。先祖の行いの報いか祟られており、家屋の長い廊下が夏になると雨も降っていないのにたまに濡れる事がある。そんなこともあって蒔寺楓は怖い話が大の苦手。
 なお鳥の詠とは以下の様なもの。

 かいぞくの
 るてんもおわり
 いくせいそう。
 てんからきたりて
 つげしとり。
 しまからしまへ
 るろうのはてには
 えいちょうあん。


英雄(用語)
 偉大な功績をあげた者。真偽問わず、伝承の中で活躍し確固たる存在となった超人。
 自らの力のみで英雄になる方法と、世界(阿頼耶識)と契約してその力を借り受けてなる方法がある。前者ならば死後も何者にも囚われることはないが、後者ならば死後、抑止力として行使される英霊になる。前者でも英霊にはなるが、抑止力として行使されることはない。


英雄王の鎧(武装)
 英雄王ギルガメッシュの黄金の甲冑。『宝具の原典』から生み出した、金に飽かした最強装備。


英雄史大戦(用語:氷室の天地)
 世界中の英雄、偉人、悪漢で闘うオンラインカードアーケードゲーム。シミュレーションゲームではなく、実際にカードを手で動かして戦うアクションゲーム。プレイヤーは任意で5枚のICカードで自軍を編成してテーブル型読み取り筐体の上に乗せて操作し、敵陣を攻略するのが目的。
 後にDC3で家庭用ゲーム機版が発売される。美綴綾子が購入したDXパックは、専用マットの上で操作用擬似カードを動かし、テレビに付けたカメラが擬似カードの動きをキャッチしてゲームに反映するという方法で、アーケード版と同じ操作感覚を実現している。家庭用ゲーム版では通信対戦が可能で、ボイスチャットにも対応している。国や地域ごとの区分はされていないようで、美綴邸からイギリス在住のロンドン☆スターとマッチングができた。
 カードは接近戦で戦うウォリア、射撃系のアーチャー、乗り物に乗って戦うライダーの三種の兵種に分かれる。これらは三竦みの関係にあり、ウォリアはライダーの『突進』を『迎撃』出来るがアーチャーの『遠射』は防げない。ライダーは『突進』でアーチャーの『遠射』をものともしないがウォリアの『迎撃』には負ける。アーチャーは足の遅いウォリアを一方的に『遠射』で攻撃できるがライダーの『突進』には敵わない。この相性はカードが離れている間のみ有効で、カードが接近すると純粋な能力戦になり数値が高いほうが勝つ。数値が低いカードでも『固有能力』による一発逆転も可能だが、固有能力を使うには戦っているうちに溜まっていく『士気値』が必要になる。
 アクションゲームである以上、カードの動かし方が戦況を大きく左右する。突撃は相手に重なりきると乱戦になるが、ライダーは相手カードの角を削るように浅く突撃すれば一撃必殺になり、突撃判定のまま一方的に攻撃を続けられる。また相手のウォリアが迎撃を出した瞬間に相手カードの直前で突撃を止めることで乱戦に持ち込んだり、敵前でリズミカルにウォリアのカードを振ることで発動する連続槍撃という迎撃を発動したりすることもできる。攻城戦についても攻城ラインに浅くカードを刺しておくことで敵の動きに即応することができる。
 史実では戦闘に縁がなかった人物でもゲーム的にいずれかの兵種に割り振られている。


英雄史大戦完全攻略読本(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦の攻略本。
 美綴綾子が所有しているものは沙条綾香に貸与された。


英霊(用語)
 人間の守護精霊。人間から輩出された優れた霊格。生前偉大な功績をあげ、死後においてなお信仰の対象となった英雄がなるモノ。輪廻の輪を外れて一段階上に昇華したモノ。死後に霊格を昇華させ、精霊、聖霊と同格になった者。
 “人間を守る”力としては最高位で、分類は亡霊ではなく精霊、悪魔、天使に近い。ただし、精霊とは違い中身も人々の理想で編まれている。
 英霊は時間軸を離れた存在で、あらゆる時代に召還され、あらゆる時代から召還される。英霊には伝説上のもの、実在したもの、観測されなかったものがある。真偽は関係なく、伝説としての確かな知名度と信仰があれば具現化する。英霊になった時点で自由意思を失い、ただの力のようなものになっている。
 霊体であるために完成しており、英霊になってからの記憶や召還された後の記憶は持ち得ず、成長もしない。ただし、召還された分身から送られてくる情報は保存される。それは最初からすべての記録が順不同で保存されているようなもの。サーヴァントを構成する情報(魂)はサーヴァントが死亡すると英霊の座の本体に還り、本体は本を読むようにそのサーヴァントの記録を知ることができる。英霊の座についた時点で、その英霊は抑止の対象が何であるかを知ることになる。英霊の知識や記憶は召喚される世界に合わせて英霊の座がアジャストしているため、千里眼を持った英霊が並行世界を観測しても記憶の混乱が起きることはない。冬木の大聖杯が『向こう側』への門を開く仕組みは、死亡したサーヴァントを小聖杯に貯蔵しておき、一定量以上溜まった時点でその情報が座に還るのを利用するというもの。
 英霊本体を召還できるのは『世界』のみであり、冬木の聖杯戦争で召還されるのはそのコピー(分身)である。
 近代兵器をメインとする者は英霊のカテゴリーには含まれにくい。これは近代兵器は強力ではあるが、鍛えれば誰にでも使える物であるためであり、たった一人の存在になりづらいため。近代兵器に身を包んだ英霊がいたとしても、英霊として扱われるのは『鍛えれば誰でもなれるエキスパート』たる所有者ではなく『その時代で最も優れた兵器』そのものが英霊として祭り上げられる。もっともこの場合には兵器そのものに魂が宿らなくてはならない。
 人が英霊に成るためには、自力で大きな功績を打ち立てて英雄になってから死ぬ以外に、世界と『死後に英霊になるかわりにこの世で英雄にしてもらう』契約をすることで成れる。信仰が薄いもの、世界との契約によって英雄になったものは“守護者”という大きな分類に含まれ、意思のない“抑止力”として行使される。Fate/stay nightに登場する中ではエミヤのみが守護者であり、他の英霊たちは神性が高い、星寄りの存在になっているなどの理由で守護者に取り込まれずに済んでいる。
 守護者には自由意志などなく、ただ“力”として扱われる。人の世を護るために『世界を滅ぼす要因』が発生した場合にのみ呼び出され、これを消滅させる殲滅兵器。人間は自らの業によって滅ぶため、消滅させる『要因』とは人間である。つまり呼び出された土地にいる全ての人間を殺すことで人間全体を救うのである。
 守護者ではない英霊は単純に構成の人々に力を貸す伝承として扱われ、星寄りになった英霊は人間とは相容れないため、神霊、精霊の類となる。
 偶然で呼び出されることはなく、召還者と英霊の間には必ず物質的な縁が必要になる。その触媒は必ず召還者側になければならないわけではなく、英霊エミヤのように英霊側にある場合もある。
 英霊の力を利用する術式は英霊召還のほかにも口寄せや交霊術といったものが存在するが、それらは基本的に英霊の力の一端を借り受けるものに過ぎず、正史の世界では生前の人格を持った英霊をそのまま召還する現象は冬木の聖杯戦争でしかありえない。術式として存在しても冬木の大聖杯でなければそれほどの術式は受け入れられない。サーヴァントに限らず、英霊は全盛期の姿で召還される。ただし何らかの強力な呪いないし本人の執着がある場合は死の直前の姿で現れることがある。
 人間でも令呪を10画近く消費すれば英霊にダメージを与えることができる。


英霊の座(用語)
 輪廻の輪を外れて一段階上に昇華し、精霊や聖霊と同格になったモノが存在する座。英霊の座は時系列を外れた座標であり、その世界では発生しない英霊も座には存在する。同じ理由で未だ誕生していない英雄も存在する。英霊の座には自力で英雄となる以外にも抑止力と契約して一時的に英雄になり、死後に仮初めの英霊となる事で至れる。
 英霊の座と抑止力は別の物である。英霊の座にあるものは人によって召喚され使役されることはあるが、守護者ではない。アラヤの抑止力と契約して英雄になった者が死後に守護者となって永遠に人間のために使役され続けるのである。アーサー王=アルトリアは生前の功績により既に英雄になっていたため、そのまま死亡しても英霊にはなるが守護者になる事はないはずだった。だが自分の業績を否定するためにアラヤの抑止力と契約を交わしたため、聖杯を手に入れた場合には守護者になってしまう状態にあった。
 英霊の知識や記憶は召喚される世界に合わせて英霊の座がアジャストしているため、千里眼を持った英霊が並行世界を観測しても記憶の混乱が起きることはない。


エウメネス(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦のカード。
 武:2、防:8。固有能力は特定範囲を封鎖する『鳥籠』。


エウリュアレ(人名:hollow)
 身長134cm。体重30kg。
 『遠く飛ぶもの』を意味するゴルゴン三姉妹の次女。物語はデュラス(レズ文学)が好き。
 自由奔放な性格、屈託のない仕草、こぼれるほどの笑顔、無垢な言動、どれをとっても理想の少女といわれた女神で、彼女に名を呼ばれただけで男は余りの名誉に身を震わせ、命を賭した守護を約束したという。とことん甘えて男をその気にさせてくれる『可愛い少女』。綺麗なもの、可愛らしいものを無条件に惜しみなく愛し、醜いものを無条件に嫌う。
 が、匿名希望の妹に言わせれば究極の気分屋で、しかもズルいところがあり、黙っていれば怒られない、バレなければイカサマじゃないという考えを持っている。しかも後でちょっと自己嫌悪に陥る、小悪魔小心次姉。ステンノと違い臆病で小心な面があり、大人として成長しているメドゥーサに八つ当たりする事もあった。ライダーの『黙っていれば怒られない』『バレなきゃイカサマじゃない、けどちょっと自己嫌悪』という小心者なところは彼女の影響。
 ステンノとともにメドゥーサの血が好物。
 メドゥーサのような怪力も魔眼もなく、ただ不老不死であるだけのか弱い少女。男たちの憧れが具現化したもので、戦う力はなく、一人では飢えてしまい、誰かの手を借りねば生きられない。愛されることだけに特化した女神で、それ以外はお茶を淹れるだけで息が上がるなど、全くの無能。
 ステンノとエウリュアレは末女メドゥーサとは違いよく人間を好み、島に訪れた男たちを歓迎し、癒し、新たな冒険に送り出した。が、その実人間という生き物を愛しているのではなく気に入った人間たちが自分たちの言葉に翻弄され、困惑して破滅するのを眺めるのが三度の飯より好きだった。
 その実体は無理難題をふっかけて人間たちが右往左往するのを愉しむ、まさに悪魔のような女神。男好きというよりは人間好きで、人間という生き物を愛しているのではなく、人間が慌てたり困ったりジタバタするのを見るのが好き。そのため人間を超越した気になっている英雄などは大嫌い。
 ステンノとエウリュアレは名前と性格を除き細胞のひとつ、髪の一本まで永遠に同一の存在であり、以心伝心を超えたお互いがお互いを感じあう共同体である。そのため、互いを呼ぶときは『私』と呼ぶ。
 後にメドゥーサは形のない島に攻めてくる人間たちを殺すことに歓喜を覚えるようになり、怪物として成長していった。そしてメドゥーサではなく怪物になってしまったときにステンノとエウリュアレは自ら怪物に身を捧げ、命を絶った。
 AATMではステンノとともにライダーを探してアーネンエルベに訪れる。ライダーは入れ違いに退店していたが、そこで見つけた男に二人で絡んだ挙句ボコボコにする。


AIM-7(武装:Zero)
 航空自衛隊築城基地(航空総隊西部航空方面隊第8航空団第304飛行隊)所属のディアボロTが搭載していた兵装。通称はスパロー。1946年にアメリカ海軍が開発を開始し、1948年にはAAM-N-2スパローTとして計画がまとめられたが、当時の電子技術の限界から初期生産品は1951年の生産開始から1953年の実験まで一度も目標に命中することはなかった。
 1956年からは改良されたAAM-N-2が実戦部隊に配備されるようになったが、それでも命中を期待できるのは大型で速度の遅い戦略爆撃機くらいのものだった。
 ベトナム戦争ではF-4ファントムの主兵装として運用されたが、熱帯気候における電子機器の信頼性の低下、米海軍の作業員の粗末な扱いによる破損、満足に点検をしなかったこと、攻撃対象が小型高速の戦闘機であったこと、米海軍のF-4が味方のF-4を誤撃墜したことによる目視外戦闘の禁止などにより命中率は一割程度だった。
 湾岸戦争ではベトナム戦争の教訓や電子機器の発達により高い命中率を誇り、イラク軍機を多数撃墜した。
 第四次聖杯戦争においてバーサーカーに奪われた航空自衛隊築城基地(航空総隊西部航空方面隊第8航空団第304飛行隊)所属のF-15J(ディアボロT)がこれを4発携行していた。

 AIM-7A
 誘導方式:ビームライディング

 AIM-7B
 試作のみ。

 AIM-7C
 誘導方式:セミアクティヴ・レーダー

 AIM-7D
 詳細不明。

 AIM-7E
 誘導方式:セミアクティヴ・レーダー
 全長:3.66m
 胴体直径:20.3cm
 発射重量:205kg
 速度:マッハ3.7
 射程:44km
 弾頭:39kg連続ロッド

 AIM-7F
 誘導方式:セミアクティヴ・レーダー
 全長:3.66m
 胴体直径:20.3cm
 発射重量:230kg
 速度:マッハ4
 射程:44〜70km
 弾頭:39kg爆風破片型

 AIM-7M
 誘導方式:セミアクティヴ・レーダー
 全長:3.66m
 胴体直径:20.3cm
 発射重量:230kg
 速度:マッハ2.5
 射程:45km
 弾頭:39kg爆風破片型

 AIM-7P
 誘導方式:セミアクティヴ・レーダー
 弾頭:39kg爆風破片型

 AIM-7R
 誘導方式:セミアクティヴ・レーダー+赤外線
 弾頭:39kg爆風破片型
 開発中止。


AIM-9(武装:Zero)
 航空自衛隊築城基地(航空総隊西部航空方面隊第8航空団第304飛行隊)所属のディアボロTが搭載していた兵装。通称はサイドワインダー。1940年代にフィルコ、ゼネラル・エレクトリック、レイセオンによって開発が開始され、現在生産はレイセオンが一括して行っている。
 AIM-9Lより前のモデルは排気熱を感知して追尾するものであったため敵後方からのロックオンしかできず、また単に高温のものを追尾するためフレアの散布や太陽に向って飛ぶことで回避される可能性が高かった。だがL型以降では空気摩擦の熱を捉えるため全方位からのロックオンが可能となり、フレアによって回避される可能性も少なくなった。
 現在米軍では大きく改良を加えたAIM-9Xサイドワインダー2000が配備されている。主な改良点は誘導方式を画像赤外線にすることでフレアをほぼ無効化、発射後ロックオン(LOAL:Lock On After Launch)が可能、射程の増加(一説には40kmとも)、推力偏向ノズルによる機動性向上、ヘルメットを使用してロックオンするシステム(JHMCS:Joint Helmet Mounted Cueing System)により真横の目標をロックオンすることが可能、というもの。
 航空自衛隊はAAM-9Lを導入している。
 第四次聖杯戦争においてバーサーカーに奪われた航空自衛隊築城基地(航空総隊西部航空方面隊第8航空団第304飛行隊)所属のF-15J(ディアボロT)がこれを4発携行していた。

 AIM-9A
 プロトタイプ。詳細不明。

 AIM-9B
 誘導方式:パッシヴ赤外線
 全長:2.83m
 胴体直径:12.7cm
 発射重量:70kg
 速度:マッハ1.7
 射程:4.8km
 弾頭:4.5kg爆風破片型

 AIM-9C
 誘導方式:セミアクティヴ・レーダー
 全長:2.83m
 胴体直径:12.7cm
 発射重量:70kg
 速度:マッハ1.7
 射程:15km
 弾頭:22kg爆風破片型

 AIM-9D
 誘導方式:パッシヴ赤外線
 全長:2.87m
 胴体直径:12.7cm
 発射重量:88kg
 速度:マッハ2.5
 射程:18km
 弾頭:11kg爆風破片型

 AIM-9E
 誘導方式:パッシヴ赤外線
 全長:3.00m
 胴体直径:12.7cm
 発射重量:74kg
 速度:マッハ2.5
 射程:4.2km
 弾頭:4.5kg爆風破片型

 AIM-9G
 E型の海軍向けモデル。このモデルからミサイルシーカーとキャリアの搭載レーダーが連動するようになった。

 AIM-9H(海軍仕様)
 誘導方式:パッシヴ赤外線
 全長:2.87m
 胴体直径:12.7cm
 発射重量:84kg
 速度:マッハ2.4
 射程:17.7km
 弾頭:11kg爆風破片型

 AIM-9J
 誘導方式:パッシヴ赤外線
 全長:3.05m
 胴体直径:12.7cm
 発射重量:77kg
 速度:マッハ2.5
 射程:18km
 弾頭:4.5kg爆風破片型

 AIM-9N
 B型とE型の仕様変更型。

 AAM-9L/M
 誘導方式:パッシヴ赤外線
 全長:2.87m
 胴体直径:12.7cm
 発射重量:88.7kg
 速度:マッハ2.5
 射程:16km以上
 弾頭:9.4kg爆風破片型

 AIM-9R(海軍向け・開発中止)
 誘導方式:可視光CCD
 全長:2.87m
 胴体直径:12.7cm
 発射重量:88.7kg
 射程:16km以上
 弾頭:9.4kg爆風破片型

 AIM-9P
 誘導方式:パッシヴ赤外線
 全長:3.05m
 胴体直径:12.7cm
 発射重量:77kg
 速度:マッハ2.5
 射程:16km以上
 弾頭:12kg爆風破片型

 AIM-9Xサイドワインダー
 誘導方式:画像赤外線
 全長:3.02m
 胴体直径:12.7cm
 発射重量:85.3kg
 速度:マッハ3
 射程:20km以上
 弾頭:9.4kg爆風破片型


AN/PVS04暗視スコープ(用語:Zero)
 衛宮切嗣が使用したワルサーWA2000狙撃銃に装備された暗視スコープ。本来ならば技術漏洩を防ぐために国外輸出を禁止された米軍の最新鋭装備であった。
 月明かりの下ならば600ヤード、星明りだけでも400ヤードの視界を倍率3.6倍で捕捉する。


AKフィールド(用語:イリヤエ・ロボマエ)
 アンチ紅赤朱フィールド。
 メカヒスイシリーズに搭載された機能で、遠野秋葉の略奪を遮断する。
 個人用のパーソナルAKフィールドも存在する。


A氏(人名:hollow)
 二十歳になったばかりの学生で、内向的な性格で引きこもりがちながら高級志向。新都玄木坂四番地、蝉菜マンション十一階二号室に春先に入居した。
 隣人の××家の一家心中をドア越しに無視した。その後、死んだはずの娘の*♯がドアを叩く音に悩まされて、ドアを開けて確かめた彼の前には*♯の死体が――
 という美綴綾子の怪談の登場人物。しかしモデルとなった青年は実在し、一家心中の一ヵ月後に行方不明になり捜索願が出された。


エースウォンバット(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが2年生のときの夏ごろに予約受付中だったゲーム。


エーテライト(武装:MELTY BLOOD)
 正式にはエーテル・ライト。
 エルトナム家に伝わる第五架空元素(エーテル)を編んで作られたミクロン単位のモノフィラメント。本来は医療用に開発された擬似神経。生物に接触すると神経とリンクして擬似神経となる。脳髄からは情報を、魂の設計図である霊子からは思考法則を偽造する。また、肉体を操ることも可能。だがそのためには対象の理性・本能といった数々のプロテクトを突破しなくてはならず、使いこなせるのは才能ある者かエルトナムの者だけである。
 相手の思考を読むという機能よりも『知識・経験を共有・複写する』という事柄こそが脅威といえ、エーテライトは非人道的かつ悪魔的な『相手の人生の獲得』としてアトラス院でも忌避されているエルトナム独特の技法である。
 他者の情報中枢への侵入は他者の常識への浸透と同意であり、自己の世界が発達するとハッキングできなくなる。そのためにその使い手であるシオン・エルトナム・アトラシアは自我が希薄。
 その場所の記憶を読み取ることもできる。
 武器としては鞭のように使用することができる。火力不足ではあるが、相手の思考を読み行動を縛るエーテライトは対人戦闘に用いるには一級品。


エーテル(用語)
 魔術協会において第五架空元素。すべての物質の素。魔力とも呼ばれるが、マナでもオドでもない。
 四大の要素に溶け合い、形を成す為に必要な媒介とされる。単体ではカタチはなく、しかしこれがなくては魔術が成立しない要素。
 魔術師の属性として扱う場合は『空』である。


エーテル(用語)
 第六架空元素?


エーテル塊(用語)
 水粘土。本来は地水火風のいずれかを成すエーテルが不出来な術者によって四大のいずれにもならず、成りそこないとして実体化したもの。
 どんなに手を加えても、どんなに強い魔力で括っても一日でもとの塊に戻ってしまう材質。とても魔力の通りがいい。
 これにはいかなる使い道もない。ある意味で無を作るようなもの。こう言うと魔法のようだが、エーテル塊はそも第一魔法の――――


エーデルフェルト(家名)
 湖の国(フィンランド)に居を構える宝石魔術の大家で、ガンドの名手を多く輩出する。鉱石を計る天秤。
 魔術特性は“姉妹”、つまり本来は忌み嫌われるが、後継者が二人いるということである。これが『天秤』の由来である。一族に伝わる特性は『転換』。転換の特性を用いた宝石魔術を得意とする。ルネサンス期の成り上がり。
 フィンランド人でありながら詠唱は英語を用いている。ロード・エルメロイU世の見立てではエーデルフェルトの宝石魔術は北欧圏の魔術に近い。自らの血液や体液で宝石を染色し、魔力の流動に宝石という媒体を使った特殊なルーン魔術と言えるらしい。詠唱に英語を用いているのも似た事情からとの事。貴族であるが傭兵のような家訓を持ち、争いごとには喜んで顔を出しておいしいところをかっさらう『地上で最も優美なハイエナ』と恐れられている。
 第三次聖杯戦争に参加した姉妹(姉)が先代の当主だが、第五次聖杯戦争の直前(2003年頃)には先代が半ば引退しており、娘のルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトがあちこちに顔を出している。時計塔では民主主義のトランベリオ派に属している。
 第三次聖杯戦争に当時の当主姉妹が参加したが、彼女らは尋常ではないほど仲が悪く、仲間割れをして早々に退場した。それが原因で日本人、とりわけ遠坂家を毛嫌いしている。なお、その当主姉妹のうち妹は戦死、姉は何とか生還した。


エーデルフェルト姉妹(人名/魔術師)
 第三次聖杯戦争に参加したエーデルフェルトの先代党首姉妹。尋常ではないほど仲が悪く、仲間割れをして早々に退場した。それが原因でエーデルフェルトは日本人、とりわけ遠坂家を毛嫌いしている。なお、その当主姉妹のうち妹は戦死、姉は何とか生還した。
 彼女らがアインツベルンへのあてつけとして森の中に建てた、現在は幽霊洋館と呼ばれている洋館すらほとんど同じものを姉は深山町に、妹は新都に別々に建てた。現在、その洋館そのものは魔術協会に委譲されている。というか、その双子姉妹はよその戦場に出かけては洋館を建てていた。
 第三次聖杯戦争の再現たる四日間によれば、彼女らはセイバー(四日間の中でバゼット・フラガ・マクレミッツが見た姿はアルトリア・ペンドラゴン)をそれぞれ善悪の両面から召還していた。つまりセイバーのクラスのサーヴァントが二人いたということ。また四日間の中では姉妹の容姿はそれぞれ遠坂凛と間桐桜にそっくりであった。


エーテル・ライト(武装:MELTY BLOOD)
 エーテライトの正式名称。


駅前の書店(地名:Zero)
 店名不明。深山町の駅前にある書店。移民の多い土地柄か、洋書コーナーには観光ガイドとペーパーバックだけではなく、小規模ながらそれなりの品揃えがある。
 第四次聖杯戦争中にウェイバー・ベルベットがALEXANDER THE GREATという本を立ち読みした。


駅前パーク(地名)
 新都を代表する歓楽街。駅前という格好の立地条件にあり、ブティックやボウリング場など、遊ぶ場所には事欠かない。海浜公園に並ぶデートスポットで、ここの店は平日休日を問わず開店時間から賑わいを見せる。
 吸殻やゴミのポイ捨ては条例で禁止されており、違反者には罰金が科せられる。


エクスカリバー(対城宝具)
 →約束された勝利の剣。


エクスカリバー(対城宝具:Fate)
 黒化したセイバーの宝具。
 →約束された勝利の剣。


エクストリームアイロニング(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが二年生の年の穂群原学園の体育祭での特別三枠に採用される可能性があるとして蒔寺楓が出した。
 人里離れた場所でアイロン台を広げて服にアイロンを掛けるエクストリームスポーツ。このスポーツのプレイヤーはアイロニストと呼ばれる。
 行う場所としては、クライミングを伴う山の斜面や、森、カヌーの上、スキーやスノーボードの最中、大きな銅像の頂上、大通りの真ん中、スキューバ・ダイビングをしながらなどがある。
 極限状態の場所で平然とアイロン台を出し、涼しい顔でアイロンがけを行う事が基本原則であり、衣服のシワを伸ばすというアイロンがけ本来の目的は重要視されない。その為、アイロンがけに適さない環境でも行われる。


エクスペリエンス・コハッキー(用語)
 ネコ二十七キャットの第十三位。


エクター(人名)
 ウーサー・ペンドラゴンに仕えた忠実な老騎士。ケイの父。マーリンからアルトリアを預かり養子として育てた。厳格な性格で、アルトリアに対しては丁重な態度で接しつつもアルトリアが自分を父と呼ぶことは決して許さなかった。
 初期はエクトルと表記されていたが、GoAでエクターに改められた。


SSP(用語:氷室の天地)
 ゲーム機。


エスカルドス(家名/魔術師:事件簿)
 モナコ公国に所在する魔術師の一族。魔術師としては古い一族だが、魔術回路も鍛えた魔術も凡庸だった。


エステラ・バリュエレータ・イゼルマ(人名/魔術師:事件簿)
 バイロン・バリュエレータ・イゼルマの娘にしてバイロンが作り上げた白銀姫。遺伝的な問題で視力を失っている。バイロンの娘であるが、後継者というよりは作品であるため魔術刻印を受け継いではいない。
 自分たちの美がもしかすると根源に至るかもしれない、つまり時計塔によって封印指定がなされるかもしれないと危惧し、ライネス・エルメロイ・アーチゾルテを利用してイゼルマからの脱出を計画する。ただし本気で他の派閥に身を預けて亡命するつもりはなく、イゼルマの術式がすでに破綻している事を明らかにするためディアドラの死体を暴露し、更にイゼルマやバリュエレータの中だけで事を済ます事が出来ないように他の派閥の魔術師を巻き込むのが狙いだった。
 ディアドラの姿になったカリーナがライネスとグレイに追われた時は蒼崎橙子がバイロンに預けた人形を操作して足止めをした。その後、イノライ・バリュエレータ・アトロホルムがディアドラ・バリュエレータ・イゼルマを殺した犯人であると推測し、マイオ・ブリシサン・クライネルスとイスロー・セブナンの協力を得て双貌塔を去ろうとしていたイノライを詰問する。その際に去るのならば自分を殺して行けと言い、ディアドラを殺したにせよ殺していないにせよ自分を殺した犯人であることを背負わせようとするが、そこにロード・エルメロイU世が割って入った。そこでロード・エルメロイU世によってイゼルマとアトラムの戦闘を止めるため、エステラの肉体をきっかけにして彼女に被せるように黄金姫の姿を投影される。
 ロード・エルメロイU世による一連の事件の解体の後にマイオによって引き起こされた橙子の魔物との戦いでは、人形を操作して援護をする。本来は最終的にこの人形を使ってバイロンとともに自決するつもりであった。
 事件の後はバイロン、レジーナ、イスローとともに時計塔によって取り調べられている。


エト(用語:歌月十夜)
 ネロ・カオスの混沌の獣。喋る鹿。鹿島神宮出身。必殺技は立体忍者活劇。


エト(用語:GoA)
 エクターの愛馬。


江戸前屋(地名)
 マウント深山商店街にある和菓子屋。タイヤキは一つ80円。大判焼のレパートリーにカスタード、チーズ、チョコレートはない。


エドワード・ブルワー・リットン(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが二年生の頃の文化祭の2年A組の出し物の一つ、最強偉人にラインナップされた。
 初代リットン男爵、小説家、劇作家、政治家。リットン調査団の団長として有名なヴィクター・ブルワー=リットンは彼の孫である。
 必殺技は『ペンは剣よりも強し』。


NKホール(地名:魔法使いの夜)
 1989年の秋にリデルリドルがコンサートを行う予定だった会場。
 おそらく千葉県浦安市にあった東京ベイNKホールのこと。1988年11月30日開業、2005年7月30日閉館。2001年のディズニーリゾートライン線開通まではJR舞浜駅からバスを利用するか2kmほど歩くしかないという交通の便が悪い立地だった。『NK』は所有者の日本火災海上保険に由来している。後に運営は第一生命保険に引き継がれたが、第一生命保険の経営合理化策の一環として閉館となり、2013年12月24日に株式会社オリエンタルランドに周囲の土地とともに売却された。オリエンタルランドはこの用地をホテルとして開発する予定であるとされ、2016年までに解体されることが決定している。


NG秋葉(用語)
 ネコ二十七キャットの第二十五位。


エヌマ・エリシュ(対界宝具・技能:Fate)
 天地乖離す開闢の星。乖離剣・エアによる空間切断。厳密にはエアの最大出力時の名称で、宝具はエア。
 圧縮され鬩ぎ合う風圧の断層は、擬似的な時空断層となる。約束された勝利の剣と同等か、それ以上の出力を持つ“世界を切り裂いた”剣である。
 対粛清ACか、同レベルのダメージによる相殺でなければ防げない攻撃数値。筋力×20のダメージだが、ランダムで魔力の数値もプラスされる。最大ダメージは4000だが、宝物庫の宝具のバックアップによってはさらに跳ね上がる。


えびキャッチャー(用語:氷室の天地)
 GAME CLUB SAGEにあるゲーム機。UFOキャッチャーの要領で生きた海老を獲るもの。


F空港(地名:Zero)
 冬木市の最寄空港。


F-15C(武装・Zero)
 本項では断りのない限りアメリカ合衆国で運用されている機体について記述する。
 F-15の公式愛称はイーグルで、アメリカ空軍や航空自衛隊ではこのパイロットを特に『イーグルドライバー』と称し、最高のパイロットとして尊敬されている。
 F-15に搭載されたレーダーは初のパルスドップラーレーダーで、これにより低高度で飛行している目標を発見することができる。初めはAN/APG-63が搭載されていたが、E型向けに開発されたAN/APG-70が戦闘機仕様のF-15にも搭載された。これは2発のAMRAAMを異なった目標に向けて発射できるTWSという機能が追加されている。またこのレーダーのNCTRという目標認識機能により目標の機種が判断できるが、これの詳細は未だに機密である。ただしこれは目標とほぼ正面にいなければ判別できない。
 なおAN/APG-70は製造が終了しており、後継はAPG-63 V1である。アラスカに装備されている18機にのみAPG-63 V2が搭載されている。E型の多くはAPG-70を装備しているが、後期型ではAPG-63 (V)1を装備しており、これは戦闘機向けのものにいくつかの空対地レーダーモードが追加されている。
 開発当時にはきわめて革新的な技術が多用されており、特にコクピットは重要である。それまでの戦闘機は戦闘中にパイロットが計器を見るためには下を向かなければならなかったが、F-15では同世代機では初めてという装備を多数備えることで下を見る必要を最小限に抑えている。代表的なものはHUD(Head Up Display:コクピット正面の透過型ディスプレイ)やHOTAS(Hands On Throttle And Stick:手はスロットルや操縦桿を握ったまま)で、前者は目標と自機の重要な情報を表示し、後者はスロットルや操縦桿に多くのスイッチを備えて手を放すことなく操作できるようにしたものである。
 HUDの下にはその操作パネルや敵味方識別装置、通信装置操作パネルがあり、その右側には戦術電子戦システムの脅威警報画面、左側にはレーダーのスコープがある。計器盤の中央には基本的な飛行計器がまとめられているが、高度や速度といった重要な情報はHUDにも表示される。計器盤の右側にはエンジン関連の計器があり、左側には兵装操作パネルがある。戦闘中にはそれほど必要ではない機体のシステムや通信装置、航法装置の操作パネルはパイロットの左右のコンソールに配されている。
 MSIPUでは兵装操作パネルが大型の多目的画面に変更され、各種情報を表示できるようにされた。中でも重要なものが状況表示装置で、他のイーグルやAWACSなどの情報源からのデータにより完全な戦術画面を表示できる。
 F-15Eのコクピットはまったくの別物となっている。前席には3台、後席のWSO(兵装システム士官)席には4台の大型の多機能表示装置が並んでおり、各画面には機体のチェックリスト、航法データ、移動地図、赤外線センサーからの画像、パイロットのHUD画面、パッチマップなど、別々の画像を表示できる。
 エンジン技術はアポロ宇宙計画からもたらされたもので、オーギュメンター型ターボファンと呼ばれる形式のエンジンは少ない燃料消費で大きな推力を生み出すことができる。なお大韓民国向けのF-15Kとシンガポール向けのF-15SGはゼネラル・エレクトリックF100エンジンを装備している。航空自衛隊が装備している機体のエンジンは石川島播磨重工業(現IHI)がライセンス生産した。エンジンは一基ずつチタン製のキールで覆われており、どちらかが被弾・破損してももう片方に影響を及ぼさないようになっている。
 大型のエアインテークは上下二段階で可変し、これによりあらゆる速度でも、また大迎え角飛行時でも最適な空気流入量を確保することができる。
 機内燃料タンクは胴体内と主翼内に設けられており、胴体内のタンクには耐火性が持たされている。C/D/E型では胴体側面にコンフォーマル型燃料タンクを装備でき、また本体下と主翼下のパイロンにドロップタンクを計3本装備することが可能。ちなみにE型のコンフォーマルタンクには3箇所のハードポイントを持つ長いパイロンが一つと、小さな3つのパイロンが縦に並んでいる。
 電子機器用の搭載ラックはレーダーとコクピットの間に設けられており、追加のシステムはコクピット後方に収められている。ちなみに複座のD型では後席を設けるために戦術電子戦システムを撤去しているため、C型に比べて電子戦能力に劣る。これはA型とB型でも同様である。
 油圧で作動する操縦翼面は、主翼の簡素な補助翼とフラップ、垂直安定板の二枚の方向舵、全遊動式の水平安定板である。胴体背中には大きな引込み式のエアブレーキが、胴体下部にはアレスティングフックが備えられている。降着装置は油圧により前方に振り上げて引き込まれ、車輪のカーボンブレーキにはアンチスキッドシステムが備えられている。
 ハードポイントはA/B/C/D型ではエンジントランク角に四箇所、主翼下に四箇所である。E型では主翼下と胴体下のパイロンに加えてコンフォーマルタンクに左右合計で十二箇所あり、さらに通常のパイロンに各種パイロンを組み合わせることで驚くほど柔軟な兵器運用が可能となっている。
 F-15CはF-15Aの改良型で、B型の改良型であるD型とともに戦闘行動半径の拡大というアメリカ空軍の要望にこたえるべく開発された。だが搭載電子機器のアップグレードによってより高性能な戦闘機として熟成されていった。またC/D型には1989年から多段階能力向上計画(MSIP)Uが実施され、1985年6月にF-15C MSIPUが初飛行を行った。なおMSIPUの内容はレーダーの換装、アナログコンピュータから高性能なデジタルコンピュータへの換装、コックピット正面計器パネルをMFD(AN/AWG-20)に変更、AIM-9Xに対応した機器の追加、LINK16JTIDSへの対応など。
 製造はミズーリ州セントルイスのマクダネル・ダグラス社(現ボーイング社)の工場で、1979年から1985年まで合計で481機が製造された。アメリカ空軍、イスラエル空軍、サウジアラビア王立空軍が運用している。
 言峰璃正が撃墜された航空自衛隊のF-15J二機の代わりとして時計塔のコネクションを通じて中東の武器商人に手配したものはおそらくイスラエル空軍のテル・ノフ基地の第106飛行隊か第148飛行隊、あるいはサウジアラビア王立空軍のタイフ基地の第5飛行隊かカミス・ムシャイト基地の第6飛行隊、ダーラン基地の第13飛行隊か第34飛行隊、アル・ハージ基地の第42飛行隊のいずれかに所属したものと思われる。
 戦闘機は極めて厳重な管理下におかれているため、武器商人が手配したと思われるもっとも有力なのは以下の二機であろう。
 ・レバノン戦争(イスラエル軍呼称ではガリラヤの平和作戦)におけるベカー渓谷の戦いでMiG-21が発射したR-60M(AA-8)に被弾し、基地に無事帰還した(シリア軍は撃墜を主張している)が、その後廃棄されたか修復されたかは不明となっているイスラエル国防軍のF-15。
 ・訓練中にA-4スカイホークと衝突して右翼を完全に失いながらも基地に帰還し、後に修復され作戦機として再就役したとされているが定かではないイスラエル国防軍のF-15(ただしF-15B)。

 主なA型からの改良点は以下の通り。
 能力改良余地のスペースを燃料タンクとして燃料搭載量をA型の6572リットルから7836リットルに向上。胴体側部に密着させるコンフォーマル型燃料タンク(FASTパック)の携行能力が付与され、これは片方で2839リットルの搭載が可能。
 射出座席をゼロ-ゼロ能力(高度・速度ともにゼロの状態でも脱出できる能力)を持つACESU(発達能力射出座席U)に換装。
 増加した重量に対応するための降着装置の強化。
 無線機器(UHF)の追加。
 機体構造部材の強化。

 諸元
 任務:単座の航空優勢戦闘機
 初飛行:1969年2月26日
 パワープラント:プラット&ホイットニー F100-PW-100 ターボファン2基(初期生産機)またはF100-PW-220(1985年11月以降)
 レーダー:ヒューズ(現レイセオン)AN/APG-63 PSPまたはAN/APG-70(1989年以降)
 全幅:13.05m
 全長:19.43m
 全高:5.63m
 水平安定板幅:8.61m
 主翼面積:56.48u
 ホイールスペース:5.42m
 ホイールトラック:2.75m
 運用自重:12,793kg
 通常離陸自重:20,244kg
 最大離陸重量:30,844kg
 機内最大燃料重量:6,103kg
 機外最大燃料重量:9,818kg
 最大兵装搭載量:10,705kg
 最大速度(高高度):2,655km/h
 経済巡航速度:917km/h
 実用上昇限度:18,290m
 フェリー航続距離(CFT搭載時):5,745km
 フェリー航続距離(CFT非搭載時):4,633km
 戦闘行動半径(迎撃ミッション時):1,967km
 航続時間:5時間15分

 兵装
 M61A1 ヴァルカン砲(6砲身回転式機関砲/口径:20mm/弾数:512(940)発/弾倉:中央胴体内のドラム/設置位置:右舷主翼付け根)
 AIM-7M スパロー(誘導方式:セミアクティヴ・レーダー誘導/全長:3.66m/胴体直径:20.3cm/発射重量:230kg/速度:マッハ2.5/射程:45km/弾頭:39kg爆風破片型)
 AIM-9M サイドワインダー(誘導方式:パッシヴ赤外線/全長:2.87 m/胴体直径:12.7cm/発射重量:88.7kg/速度:マッハ2.5/射程:16km以上/弾頭:9.4 kg爆風破片型)
 AIM-9X サイドワインダー2000(誘導方式:赤外線画像方式/全長:3.02 m/胴体直径:12.7cm/発射重量:85.3kg/射程:40km以上/弾頭:9.4 kg爆風破片型)
 AIM-120  AMRAAM(誘導方式:慣性+アクティヴ・レーダー/全長:3.65m/胴体直径:17.8cm/発射重量:156.5 kg/速度:マッハ4/射程:55km/弾頭:22kg指向性破片型)

 自由落下兵器
 Mk 82(クラス:500lb(227kg))
 Mk 83(クラス:1,000lb(454kg))
 Mk 84(クラス:2,000lb(907kg))
 CBU-59(Mk 20)(クラス:クラスター爆弾)
 CBU-87(クラス:クラスター爆弾)
 CBU-89(クラス:クラスター爆弾)

 滑空爆弾
 GBU-15(クラス:2,000lb(907kg)/誘導装置:電子光学または画像赤外線/弾頭:Mk 82またはBLU-109/B)

 ペイヴウェイ・レーザー誘導爆弾
 GBU-10(クラス:2,000lb(907kg)/誘導装置:ペイヴウェイU/弾体:Mk 84またはBLU-109/B)
 GBU-12(クラス:500lb(227kg)/誘導装置:ペイヴウェイU/弾体:Mk 82)
 GBU-24(クラス:2,000lb(907kg)/誘導装置:ペイヴウェイV/弾体:Mk 84またはBLU-109/B)
 GBU-28(クラス:推定2,020 kg)/誘導装置:ペイヴウェイV/弾体:BLU-113/B)

 その他の精密誘導兵器
 AGM-65 マヴェリック(重量:670lb(304kg)/誘導装置:赤外線)


F-15J(武装:Zero)
 F-15Cブロック26をベースに日本向けの改修を施したモデル。
 1974年に提出された来年度予算案にF-104J/DJおよびF-4EJの後継機である第三次F-X調査費が盛り込まれ、翌1975年に13機あった候補をグラマン(現ノースロップ・グラマン)F-14トムキャット、マクダネル・ダグラス(現ボーイング)F-15イーグル、ゼネラル・ダイナミクスF-16ファイティングファルコン、ノースロップ(現ノースロップ・グラマン)YF-17コブラ、ダッソー ミラージュF1、サーブ37ビゲン、トーネードIDSの7機種まで絞り込んだ。
 1976年にF-14、F-15、F-16の3機種に絞り込み、熾烈な売り込み合戦の末に(そうでなくともF-15が優勢だったが)F-15の導入が決定した。この導入計画をアメリカでは『ピースイーグル計画』と呼称した。
 F-15Jは1978年度予算で初めて調達され、1980年7月にマクダネル・ダグラス社のセントルイス工場で完成した機体の引渡しが行われた。10月にエドワード空軍基地で29回の検査を受け、一旦アメリカ空軍に返されて1981年3月1日に米軍パイロットによって嘉手納基地に空輸された。だがその時点で航空自衛隊のパイロットの訓練が終了していなかったため3月27日に岐阜基地に空輸される。この時点で機体から米軍のマークが消され、日の丸が描き込まれた。
 最初の二機(02-8801/802)は三菱重工業にて再組み立てが行われた。ライセンス生産時には図面がフィート・インチ法からメートル法に書き換えられた。
 諸元はほぼF-15Cと同じだが、仕様上の相違点として自動警戒管制組織(BADGE)とE-2Cホークアイから迎撃管制を受けるための高速データリンク装置(日立製作所製J/ASW-10)が追加されている点、コンピュータの一部が供与されなかったため国産でまかなっている点、アメリカから戦術電子戦システム(AN/ALQ-135)がライセンスされなかったために国産の戦術電子戦システム(三菱電機製J/ALQ-8)を搭載している点がある。なお国産のJ/ALQ-8の性能は(比較試験されたことがないため真偽は不明だが)オリジナルと同等か、やや優れているといわれている。
 レーダー警報装置(三菱電機製J/APR-4)と後方警戒装置(三菱電機製J/APQ-1)も国産である。
 導入時にはアジア周辺諸国に脅威を与えるとして空中受油装置は撤去されたが、現在では再び装備されている。C/D型にあった対地攻撃能力はJ/DJ型においては削除されているが、対地攻撃装備は保有しているため改修を行えば対地攻撃能力の復活は可能。
 生産はライセンス方式で三菱重工業が主契約企業として請け負い、愛知県小牧市の工場でJ型を173機、DJ型を28機生産したが、最初期のF-15J(30機)とF-15DJ(12機)はアメリカ合衆国ミズーリ州セントルイスのマクダネル・ダグラス社の工場で生産して輸入(J型02-8801/502、DJ型12-8051〜52-8062)、または日本国内でノックダウン生産(J型12-8803〜22-8810、DJ型82-8063〜92-8070)である。
 エンジンは石川島播磨重工業(現IHI)がライセンス生産したもので、F100-IHI-220Eはプラット&ホイットニーF100-PW-220に独自の改良を施したもの。これはデジタル制御が可能。
 なおF-15導入国でライセンス生産を許されたのは日本のみである。
 2007年現在までに事故などでJ型を7機、DJ型を3機損耗している。
 作中では哨戒任務に就いていた築城基地(おそらく第304飛行隊所属)のF-15J二機(コールサインはディアボロT・ディアボロU)が冬木市警察からの災害派遣要請を受けて未遠川河口の偵察任務に移行するが、ディアボロUはキャスターが召喚した海魔に食われ、ディアボロTはバーサーカーに乗っ取られたあと未遠川に墜落した。なおディアボロTについては20mmヴァルカン砲がゼネラル・エレクトリック製との記述があるので最初期に生産されたものと思われる(が、ライセンス生産のJM61A1であっても開発元だけを記述した可能性も高い)。
 上記二機の代替としてF-15Cが手配され、隙を見て差異部品を交換してJ型に化けさせることになったが、そこまでのことになると航空自衛隊はもちろん防衛庁、三菱重工業、石川島播磨重工業、日立製作所、三菱電機など、国内だけでもかなり広い範囲に亘る情報統制が必要となっただろう。
 導入された時期によって複数のバリエーションがある。以下、現在存在するバリエーションのみ、もっとも大まかな分類で紹介する。

 Pre-MSIP
 1981年から1984年までに導入された機体。主な特徴はAIM-120やAAM-4などの新型ミサイルに未対応であること、計器の多くがアナログ式であること、チャフ/フレアディスペンサーが装備されていないこと。なおチャフ/フレアディスペンサーは1983年に納入された機体から装備された。
 J型801から898まで、DJ型051から061の108機が該当する(欠番除く)。

 J-MSIP(Japan Multi-Stage Improvement Program:日本版多段階能力向上計画)
 1985年以降に調達された機体。J型899号機以降、DJ型063号機以降が該当。主な特徴は以下の通り。
 セントラルコンピュータの処理能力向上とAAM-4への対応を目的とした兵器管制装置のアップグレードに対応するための電気配線の追加。
 セントラルコンピュータをIBM製AP-1からAP-1Rに変更。
 兵装コントロールパネルをアナログ式からディスプレイ式に変更。
 J型42-8944以降、DJ型52-8088以降はエンジンをF100-IHI-220Eに変更。
 J型62-8958以降にJ/APQ-1後方警戒装置を追加。
 このうちエンジンの換装と後方警戒装置の追加はIRAN入りしたPre-MSIP機にも適応されている。

 F-15近代化改修
 J-MSIP機(J型53機:899から965、DJ型36機:063から098)を対象とした近代化計画で、形態一型と形態二型に分けられる。
 平成17〜21年度対象の中期防衛力整備計画では、期間内までに26機(形態二型を含む)を量産改修することが盛り込まれた。計画では約90機を改修して4個飛行隊を整備する事となっており、目標では2009年度に改修F-15(形態一型)による最初の飛行隊を結成する予定である。航空雑誌でF-15J改と呼ばれるものである。
 2007年現在では形態一型が12-8928号機、形態二型が32-8942号機の合計二機のみが存在する。

 形態一型
 1997年に三菱重工業を主契約企業としてシステム設計に着手、1998年に細部設計、1999年に一部機材の購入を開始、2000年にレーダー、セントラルコンピュータ等の主要機材を購入し、2002年に試改修作業が開始されて三菱へF-15J改修初号機(12-8928)が引き渡された。2003年7月24日に初飛行、10月21日に再納入され、飛行開発実験団で技術的追認を行った。量産改修は18〜20機程度(予算状況に応じる)に施される予定で、2004年に量産2機の予算を初めて取得し、2005年に4機、2006年に2機の予算取得が行われたが、2007年はF-2支援戦闘機の一括取得のために見送られた。
 主な特徴は以下の通り。
 セントラルコンピュータをロッキード・マーチン製のVHSICに再換装。
 レーダーをAPG-63(V)1に換装。
 通信システムの近代化。
 AAM-4/4改の運用能力獲得。
 空調設備と電気系統の改良。
 発電機の換装。

 形態二型
 形態二型改修作業は2002年に開始された。試改修機は32-8942で、2007年3月8日に再納入され、飛行開発実験団の実用試験を経て一連の試改修事業は終了する。約70機が改修されたあと形態一型も形態二型に再改修される予定。
 形態一型の改修点に加え、以下のものも追加される。
 射出座席の改良。
 統合電子戦システムとNATO標準の戦術データリンク(JTIDS)の搭載。
 開発中のIRST(赤外線捜索追尾装置)の搭載。
 AAM-5の運用能力獲得。
 チャフ/フレアディスペンサーをAN/ALE-45JからAN/ALE-47に換装。

 諸元
 任務:単座の航空優勢戦闘機
 初飛行:1980年6月4日
 パワープラント:F100-PW(IHI)-100 ターボファン2基(Pre-MSIP機)またはF100-IHI -220E(改良型:F-15J 42-8944以降およびF-15DJ 52-8088以降、並びにIRAN入りしたPre-MSIP機)
 レーダー:ヒューズ(現レイセオン)AN/APG-63(J-MSIP以前)またはAN/APG-63(V)1(近代化改修形態一型以降)
 最大出力:6,654kg(アフターバーナー使用時10,809kg)×2基(F100-IHI -220Eは6,520kg(アフターバーナー使用時10,640kg)×2基)
 全幅:13.05m
 全長:19.43m
 全高:5.63m
 水平安定板幅:8.61m
 主翼面積:56.48u
 ホイールスペース:5.42m
 ホイールトラック:2.75m
 自重:13,757 kg
 最大全備重量:約25,000kg
 最大離陸重量:30,600kg
 最大速度:約マッハ2.5
 最大巡航速度:約マッハ2.3
 実用上昇限度:19,697 m
 絶対上昇限度:30.480m
 航続距離:4,630km
 離陸距離:600m
 着陸距離:1,202m

 兵装
 M61A1(輸入・ノックダウン生産機/ゼネラル・エレクトリック製)またはJM61A1(ライセンス生産機/日本特殊金属、現在は住友重機械工業がM61A1をライセンス生産したもの) ヴァルカン砲(6砲身回転式機関砲/口径:20mm/弾数:940(950、512)発/弾倉:中央胴体内のドラム/設置位置:右舷主翼付け根)
 AIM-7M スパロー(誘導方式:セミアクティヴ・レーダー誘導/全長:3.66m/胴体直径:20.3cm/発射重量:230kg/速度:マッハ2.5/射程:45km/弾頭:39kg爆風破片型)
 AIM-9M サイドワインダー(誘導方式:パッシヴ赤外線/全長:2.87 m/胴体直径:12.7cm/発射重量:88.7kg/速度:マッハ2.5/射程:16km以上/弾頭:9.4 kg爆風破片型)
 AAM-3 90式空対空誘導弾(誘導方式:パッシヴ赤外線/全長:3.1m/胴体直径:12.7 cm/発射重量:91 kg/射程:13km/弾頭:指向性弾頭)
 AAM-4 99式空対空誘導弾(誘導方式:慣性+アクティヴ・レーダー/全長:3.667m/胴体直径:20.3cm/発射重量:222kg/速度:マッハ4-5/射程:非公開(おそらく100km前後))
 AAM-5 04式空対空誘導弾(誘導方式:パッシヴ赤外線/全長:2.86 m/胴体直径:12.6 cm/発射重量:83.9 kg/速度:マッハ3/射程:35km)

 自由落下兵器
 Mk 82(クラス:500lb(227kg))
 CBU-87(クラス:クラスター爆弾)


衛宮(家名)
 魔術師の家系。代々時間操作について魔術探求を継承してきた。


エミヤ(用語・人名:Fate)
 第五回聖杯戦争におけるアーチャーの真名。錬鉄の英雄。衛宮士郎が世界と契約して英雄・英霊になったもの。正英雄でも反英雄でもない。人助けそのものを報酬に人助けをしていた。元になった衛宮士郎とはかけ離れた人物、世界に二羽しかいない、種は同じでも違ってしまった存在。衛宮士郎の記憶は既にない。
 災害時に目の前の数百人の命を救うため、現世で目に見えるだけの命を救うため、死後は英霊としてもっと多くの命を救うために世界と契約して英雄になった。必死に戦争を終結させたが、戦争の首謀者の汚名を着せられて絞首刑に処される。
 より多くの人々を救えると信じて英霊になったものの実際は自滅する人間の掃除屋になったに過ぎず、より多くの人間を殺し続けることになってしまった。そして、自らの理想に反して何度も人間の自滅を見せられるうちに狂ってしまった。そのために半ば八つ当たりでかつての自分を殺すことだけを希望にして存在し続けた。
 その強さは才能によるものではなく、自分の持っているものをただひたすらに鍛え上げたもの。
 遠坂凛が触媒もなしに彼を召還できたのは、エミヤのほうに触媒があったから。つまり、ランサーに殺された衛宮士郎を助けたときに使われた凛のペンダントを彼が生涯持ち続けたため。


衛宮切嗣(人名/魔術師)
 えみや きりつぐ。
 身長175cm。体重67kg。血液型AB。11月11日生まれ。
 衛宮家五代継承者。衛宮矩賢の息子。衛宮士郎の養父でイリヤスフィール・フォン・アインツベルンの父親。第四次聖杯戦争におけるセイバーのマスターで、その生き残り。近代武装を良しとしない魔術師世界において、平気でタブーを犯す『魔術師殺し』の異名を持っていた。衛宮の魔術刻印は背中にある。令呪は右手の甲に顕現した。
 射撃と破壊工作が得意で効率が好き。家族愛が苦手でセイバーが天敵。目的のためには手段を選ばないという言葉の体現者。世界平和を願う夢想家でありながら、その実現においては冷酷非情のリアリスト。あらゆる人間を愛し、あらゆる人間を殺す覚悟を決めた男。その心に葛藤はなく、しかし悲しみを捨てきれない。
 人生のあらゆる局面において女性を惹きつけ、なおかつ惹きつけられた女性を悉く不幸な末路に追いやっている呪いのような男。このジンクスを打ち破った女性は藤村大河ただ一人である。また藤村大河は切嗣の初恋の女性シャーレイに似ていたため、必要以上に甘やかしてしまった。第四次聖杯戦争の後は大河の剣道の稽古に付き合っていた。魔術師として行動するとき以外は極度のフェミニストで、幼い士郎に『女の子は泣かせないコト、後で損するからね』と言い聞かせていたとか。第四次聖杯戦争のために冬木市に向かう前は本国のアインツベルンの森ではイリヤスフィールと胡桃の冬芽探しをして遊んでいた。日本にいるときは湯たんぽを愛用していたようだ。
 面倒を見るべき誰かがいればアクティブになるが、根がダメ人間なので自分一人だけならとことん出不精になる。愛する者がいないとトコトン暗黒面に落ちていき、果てはキラーマシーンと化す物騒な人。後の衛宮士郎と同じく、自分が幸福であることに苦痛を感じてしまう。正義の味方という人間を超越した理想を追いながらも、自身はどこまでも人間だった。もともと喫煙者だったが、アインツベルンに招かれてからは吸い慣れた銘柄が手に入らないことと母子への心遣いから吸わなくなった。しかし聖杯戦争のために冬木市を訪れてからは再び吸うようになった。
 属性の大別は『火』と『土』の二重属性、詳細(起源)は『切断』と『結合』の複合属性。切断と結合というのは破壊と修復ではない。というのも、『切断』した糸を『結合』した場合には結び目の部分がもとよりも太くなるため。また彼は一応は手先が器用だが、複雑な機械を修理しようと手を加えれば加えるだけ壊れていく。
 彼は礼装を作製するにあたり『切断』と『結合』という特異な起源を最大限に活用した。両脇腹の第十二肋骨を摘出して擂り潰し、霊的加工で凝縮して66発の銃弾に芯材として封入して魔弾とした。
 魔術師一般の見方でいえば久宇舞弥の師匠に当たるが、彼としては戦う術を教えただけであり、切嗣にとって舞弥は忠実な部下だった。舞弥自身、己を切嗣の部品と割り切っていた。舞弥を本格的に助手として以来、呪的処理を施した彼女の頭髪を一本小指の皮下に埋め込んでいた。これは舞弥の魔術回路が極端に停滞した場合、つまり瀕死の状態になった場合に頭髪が燃焼して危機を告げるというものである。逆に舞弥の指には切嗣の頭髪が埋め込まれていた。また舞弥とは一般的な見方で言えば愛人関係にあったが、当人たちにその自覚はない。
 もとはフリーランスの魔術師。銃器を好み、固有時制御という特殊な魔術を習得していた。だが魔術を探求のためではなく手段として習得したため他の魔術師のようにそれに固執することはなく完全に道具として割り切り、近代科学で置換できるものは全てテクノロジーを頼りとする。そのためテクノロジーを軽視するアインツベルンの居城に電話線と発電機を導入するよう申し入れたときにはユーブスタクハイト・フォン・アインツベルンと一悶着あった。魔術師として異端であるのと同様にガンスリンガーとしても異端で、彼が使う銃器は一般に実用性が低いとされている。
 魔術師として魔術師を知るが故に魔術師らしからぬ手段で魔術師を殺す。その方法は狙撃や毒殺はもとより、公衆の面前での爆殺、搭乗した旅客機ごと撃墜などというものまで多岐にわたる。かつて無差別テロ事件として報道された大惨事がただ一人の魔術師を標的とした切嗣の犯行では、という推測もある。これは確証こそないが、数々の証拠によれば信憑性は高い。結界突破は一般的な魔術師よりもはるかに早くでき、その手際は正攻法では一年がかりでも切り崩せないであろう遠坂邸の結界を三時間弱で破るほど。これほどの技前を持つ理由は、切嗣がただ術理の陥穽を見破り貶めることのみを突き詰めてきた魔術師殺しだからである。
 さまざまな破壊技術の一環として爆破解体の技術を持っている。第四次聖杯戦争において、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトが工房を構えた冬木ハイアット・ホテルを爆破解体した。その際に遠隔操作使用に改造したタンクローリーを一台隠匿していた。ごく普通の、一般論を逸脱した魔術師はテクノロジーを軽視する傾向が強いため通常兵器を用いるが、一般論を逸脱した魔術師の常識をさらに逸脱した魔術師に対しては魔術礼装であるトンプソン・コンテンダーと魔弾を用いる。また魔術回路の状態をサーマル映像から読み取ることができる。
 マスターとしての適性はノーマルだが、『敵対する魔術師を殺す』ことにかけては折り紙付き。多くの殺し屋が数年がかりで身に付ける『指先を心と切り離したまま動かす』覚悟を最初から持ち合わせていた。魔術協会に属さないはぐれ者のヒットマンだったが、上層部は彼をいろいろと便利に使っていた。例えるなら聖堂教会における代行者だが、よりたちが悪い。聖堂教会と対立したこともあり、要注意人物として扱われていた。魔術師殺しの傍ら、世界中の紛争地帯に戦況が最も激化した時期に出向いて傭兵のようなことをしていたらしい。またそれらのプロジェクトは常に複数を同時に実行していたと思われる。そういった実績をアインツベルンに買われてマスターとして雇われる。バゼット・フラガ・マクレミッツが封印指定の任についたときは前線から退いていた。
 彼は凄まじく容赦のない行動とは裏腹に本人は平和を願っており、多くの人間が平和に暮らせるために必要な犠牲を殺していた。いわば反英雄の在り方である。衛宮士郎は切嗣を『正義の味方』として憧れたが、切嗣本人はその憧れをごく初期に喪失し、ついには正義というものを呪うようになる。だがそこに至るまでの犠牲を無駄にしたくないという一心から深みにはまっていった。この後ろ向きな態度ゆえに同姓の英霊エミヤに比べ『正義の味方』としての格は大いに劣る。
 幼時に住んでいたアリマゴ島では通いの使用人のシャーレイに想いを寄せていた。シャーレイが矩賢の試薬によって死徒化した夜にナタリア・カミンスキーと出会い、矩賢を射殺。以後数年間ナタリアについて魔術を学びながら魔術師狩りをした。なお衛宮の魔術刻印はナタリアが魔術協会と交渉して引き出した、残り滓ともいえる二割未満を継承した。だが魔術を研究対象ではなく手段として用いる切嗣にはそれで充分であった。
 彼が敵を称して『厄介』というときには敵を疎んではいても対処や勝算は八割方完成している。だが『危険』という評価は衛宮切嗣という男が本気で牙を剥くべき相手に対してのみ贈られる。言峰綺礼は『危険』の評価を受けた。
 第四次聖杯戦争の8年前にアインツベルンに招かれ、アイリスフィール・フォン・アインツベルンと一子イリヤスフィールを設ける。アインツベルンによってもたらされた聖杯という万能の釜に救済を見出した彼は、以後はそれまで行っていた正義の味方としての活動をやめ、育児と聖杯戦争への布石を続けた。
 アイリスフィール・フォン・アインツベルンと初めて出会ったのは第四次聖杯戦争の9年前で、アイリスフィールは羊水槽の中で眠っていた。完成したアイリスフィールと対面した時に、最終的に犠牲になる聖杯の器に人としての命を持たせたことに嫌悪感を抱き、それがアイリスフィールへの反発となって表れた。アイリスフィールに戦場において身を守る機能、つまり戦闘能力があるとは思えないと発言し、それによってアイリスフィール(人としての自我を持ったホムンクルス)を聖杯の器として用いることを不適切であるとユーブスタクハイト・フォン・アインツベルンに判断させようとしたが、ユーブスタクハイトは逆に彼女を吹雪の森の中に全裸で放置して独力で生存させることでアイリスフィールの機能を証明してみせた。この際は死にかけて気を失っているアイリスフィールを救助し、彼女に生きることに喜びを感じ、それを損なうものに対して怒り、抵抗することが闘争の根幹であると教えた。この時まで彼女の個体名を知らなかったが、この際に初めてアイリスフィールという名前を教えられた。
 このアイリスフィールの教育の最中、それまでに教えた知識をもとに彼女がそう判断するなら、アインツベルンから逃がして当たり前の人生を送らせると提案した。ただしこの時、あくまでアイリスフィールが意思を持たない道具ではなく意思を持った人間として、闘争に臨む初期衝動を獲得するために調整を施しているのだと表現した。この提案に対しアイリスフィールは既に愛によって戦うことを決めており、その愛の源として切嗣を見定めた。
 聖杯戦争のために本国のアインツベルン城の礼拝堂でアインツベルンに与えられた聖剣の鞘を触媒にセイバーを召還、契約した。セイバーを召喚してからは彼女をひたすら無視し、聖杯戦争でもセイバーにアイリスフィールを守らせ、自分とは別行動を取らせた。これはアルトリアに過酷な王という役目を押し付けた人々への憤りからであろう、とアイリスフィールは推測した。アイリスフィールを娶り、イリヤスフィールが生まれてからは『喪うもの』を得てしまったため、第四次聖杯戦争において冷徹な殺し屋に徹するだけでも相当の無理を強いられていた。セイバーへの拒絶も、自分を保つだけで精一杯であったからでもある。
 別行動は能力的にも性格的にも真っ向勝負を前提とした戦士であるセイバーと、策謀を巡らす暗殺者である自分との相性が最悪であることから導かれる運用方法であった。なおアイリスフィールをセイバーのパートナーとしたのは彼女たちが互いに敬意を交わす間柄となっていたことに加え、アイリスフィール自身が聖杯の降霊に絶対不可欠な聖杯の器であったためである。
 第四次聖杯戦争の三年前にも下見のため冬木市を訪れていた。Fate/Zeroの発表前までは第四次聖杯戦争の際にはアイリスフィールとイリヤスフィールを国に残してきたとされていたが、実際にはアイリスフィールを冬木市に連れて来ており、アイリスフィールは冬木で命を落とした。第四次聖杯戦争のための来日に際してはアイリスフィールとセイバーとは別行動を取って旅客便を乗り継いで大阪国際空港で入国し、そこから冬木市へは鉄道を使った。
 第四次聖杯戦争ではケイネス・エルメロイ・アーチボルトを殺すために宿泊していた冬木ハイアット・ホテルを爆破解体する、婚約者のソラウ・ヌァザレ・ソフィアリを人質にとる、自己強制証文を用いた詐術でサーヴァントを自害させた上で射殺するなど、凄まじい戦いをした。アイリスフィールを深山町での拠点として購入しておいた衛宮邸に移してから一度面会に訪れ、そのときにアイリスフィールから『全て遠き理想郷』を託された。
 拉致されたアイリスフィールを探して間桐邸と遠坂邸に侵入し、時臣の脱落と言峰綺礼の再起を確信。即座に冬木教会を急襲したが、既に言峰は別の場所に移った後だった。この時点でアイリスフィールの生命は喪われたと判断して捜索を断念し、夫としてではなく聖杯を求めるマスターとして戦いに臨む。この後は言峰が柳洞寺で聖杯の降霊を行うと踏んで柳洞寺を新たな拠点とした。
 冬木市民会館地下一階の大道具倉庫で言峰綺礼と戦う。言峰により心肺を完全に破壊されたが、全て遠き理想郷の治癒能力により蘇生。それからは振り返しを無視して固有時制御を連続使用する。ただし全て遠き理想郷がもたらすのはあくまで治癒であり、振り返しによる激痛はそのまま切嗣を襲う。
 言峰との戦闘中に真上のコンサートホールに現れた聖杯から溢れ出した泥が床スラブを貫通し、切嗣と言峰はそれを満身に浴びた。切嗣は泥と接し、聖杯の内側でアイリスフィールの人格を被った『この世全ての悪』と対話して聖杯の『殺戮を以て願いを叶える』という正体を知る。切嗣のほうが言峰よりわずかに先に意識を取り戻し、切嗣に不要なら自分に譲れと言う言峰の心臓を背後から撃ち抜く。
 その後、セイバーに残り二画の令呪で聖杯の破壊を命じた。第四次聖杯戦争終結後、焼け野原で唯一生き残っていた瀕死の士郎に聖剣の鞘を埋め込んで蘇生させ、後に養子として迎える。
 この世全ての悪と接触したことで肉体を蝕まれ、衰弱した。手足は萎え、目は霞み、魔術回路は八割方の機能を失って半病人同然だった。
 士郎を助けてから、助ける際に使った魔術が強すぎたから薬で調整するという理由で魔術的に調合した薬を服用させていた。しかしこれはその後の切嗣の言葉からその通りの効能の物ではなく、惨劇の記憶を薄れさせるためのものと思われる。粘り強く魔術を教えて欲しいと懇願する士郎をどうすべきか悩み、ある日藤村に剣道と刀に例えて相談する。結果、『教えなければ変な方向で学んでしまうだろうから、基礎さえ無視した使い物にならない出鱈目を教える』という回答を得て、その日の夜に士郎に魔術を教えた。この際に士郎が魔術師ではなく魔術使いになるよう導くため、『魔術は自分の為ではなく他人のために使うように』と諭した。
 士郎と生活するようになってから旅行と称して幾度となく国外に出ていた(冬木の港から貨物船に身を潜めて出国していた)が、実際はイリヤスフィールを助けるためアインツベルンの所領に赴いていた。しかしユーブスタクハイト・フォン・アインツベルンは森の結界を開こうとはせず、魔術回路の大部分の機能を失った切嗣には結界を破ることも出来なかったため、イリヤスフィールの救出は成らなかった。
 士郎が料理は和食に重点を置くと宣言した際は『たまにはハンバーグとかも食べたい』と言い、士郎から『いい歳して子供舌』と馬鹿にされた。
 第四次聖杯戦争から持ち越した爆薬をやりくりし、数年がかりで数箇所の地脈に手を加えて円蔵山に流れ込むレイラインの一部に『瘤』が発生するよう細工を施した。これはマナが堆積し、30年から40年の間には破裂してごく局地的な大地震を円蔵山直下に引き起こし、大聖杯が設置されている龍洞を崩落させるというもの。これは第五次聖杯戦争を防ぐための措置だったが、切嗣の目論見とは違い、第四次聖杯戦争が中途半端に終結したため僅か10年で第五次聖杯戦争が勃発してしまった。
 第五次聖杯戦争の五年前に、第四次聖杯戦争で受けた『この世全ての悪』がもとで死亡。享年34歳。彼の墓は柳洞寺の裏の墓地にある。が、衛宮士郎がそこを訪れることはなく、藤村大河がその手入れをしている。


衛宮切嗣の母(人名)
 詳細不明。
 切嗣を産んですぐに魔術協会からの追っ手により落命。当時生まれて間もなかった衛宮切嗣は彼女の記憶がない。


衛宮士郎(人名/魔術師)
 えみや しろう。
 身長167cm。体重58kg。
 第五回聖杯戦争におけるセイバーのマスター。剣製に特化した魔術師。令呪は『剣』を象徴している。穂群原学園2年C組。hollow ataraxiaの頃は無事進級して3年C組。
 家事に並々ならぬ才能を持つ。家庭料理(中でも和食)が得意で、おいしい食事を作るには材料をケチらない。日本茶も紅茶もコーヒーも平等に好きだが、日本茶びいきではある。梅昆布茶が苦手。酒はコペンハーゲンからたまに貰ってくるのだが、酒は得意ではないので舐める程度。
 ゲームセンターの雰囲気が苦手。合コンは苦手だがわりと好き。歯医者にかかったことはない。英語が苦手。工作に没頭する性格。魔術の師は遠坂凛、剣術の師はセイバー。遠野志貴とはアーチャーとランサーばりに仲が悪い。二年生までの進路目標は法政方面だった。
 Fateの登場人物のなかではセイバー、バーサーカー、ランサーに次ぐ大食い。彼曰く『朝食を消化できない胃なんて武道家失格だ』とか。そのせいで間桐桜は体重計を気にしている。小学生の頃から料理が得意で、小学生の頃に既に水羊羹を作っていた。その頃から藤村大河が大量に食べていたことと切嗣の健康を考え、和食に重点を置いていった。
 彼の価値観には『自分を優先する』ということがない、というよりも大火災から唯一生き残ってしまったために自分を優先する資格がないと思っている。人助けはその見返りを求めるのではなく『人助け』そのものを報酬としている歪んだ価値観の持ち主。衛宮切嗣の遺志を継いで正義の味方に憧れているが、小数を切り捨て多数を救うという反英雄であった切嗣とは違い、自分を切り捨てて他者を救うという在り方。大切な目標以外には興味を持たない、持てないという頑固というか遊びのない性格。目に見える範囲の不幸や不平等を正そうと努力するが、かといって無条件で助けるわけではなく、本人がそれを打破することに意義があると判断した場合は陰ながら見守る。
 備品の修理や作業を頼まれればほとんど断ることなく行うため、偽校務員、文連の修繕担当、弓道部の掃除機、穂群原のブラウニーなどといったあだ名がある。一年から三年まで、プール開き前のプール清掃をずっと手伝っていた。
 弓道部に在籍したが、一年生の夏に退部した。在籍中に的を外したのは一度きりで、それも射る前から『外れる』と分かっていたという。弓道部を辞めたのはアルバイト中に右肩を骨折し、肌に火傷の痕が残ったため。怪我自体は大したことはなかったのだが、慎二が火傷の痕のあるやつが礼射をするのは見苦しいのでは、と指摘し、ちょうどアルバイトも忙しい時期であったため退部した。
 年頃の男子が生理的に欲する類の本はアルバイト先から貰うことができる。そして秘蔵の逸品は私室の奥深くに隠されており、その手前には意図しないカムフラージュとして間桐慎二が置いていった写真集が隠してある。
 穂群原学園二年生のときの球技大会では柳洞一成、間桐慎二と組んでセパタクローに参加した。決勝に進出したが、氷室鐘、沙条綾香、美綴綾子の2年A組チームと対戦した際に一成が嫌がらせじみた集中攻撃を受けたことで乱闘を起こし、A組チームとともに失格になった。
 『全て遠き理想郷』の効果で後天的に起源、ひいては魔術特性が『剣』に変わっている。
 切嗣の養子になってから二年ほど無理を言い続けてようやく弟子入りし、魔術師になるも使える魔術は固有結界のみ。それも魔力不足でバックアップがなければ起動も維持もできない。他にも『強化』と『投影』を使えるが、それは固有結界『無限の剣製』から漏れたものに過ぎない。強化を応用して木の枝から弓を作る、破れたサッカーボールを修復するなど、物体の形を変えることができる。第五次聖杯戦争に参加する前の強化の成功率は0.1%を切っていた。魔術に関する知識は切嗣がほとんど教えずに他界したため、ほぼ持ち合わせていない。もしも切嗣から本格的に魔術の指導を受けていたら、起源弾の投影が可能だったかもしれない(三田誠がこの旨の発言をし、奈須きのこはそれを否定していない)。切嗣から魔術を教わった最初の日に切嗣が口にした「トレース」「スイッチを入れる」という言葉から「トレース・オン」の呪文を考案したものと思われる。
 また外見のみの複製にとどまる剣以外の投影だが、それを初見で贋作と見抜ける者はほとんどいない。構成で調べる術者ならばまず見抜けず、霊媒系の術者でも違和感に気付くくらい。時計塔でもいわくつきのものしか霊媒科にいかないため、ばれる確率はきわめて低い。
 凛ルートのように固有結界『無限の剣製』を促成で修得しなかった場合に普通に修行して身につけようとすると、基本に10年、使いこなせるようになるのにあと10年かかる。ほかに物の構造・設計を把握することに特化している(構造把握の魔術)。
 8年間続けている魔術の鍛錬は何か明確な目的や楽しみのためにしているのではなく、魔術を身に付ければいずれは誰かの為になると思ってのこと。魔術師としては見習いの域を出ないが、魔術使いとしてならスペシャリストの一人として数えられ、最終的には『魔術師殺し』衛宮切嗣の全盛期と同じくらいの評価を受ける。数値で表すならシエルを100として士郎は10(限定条件下ならば40)。体内に27の魔術回路を持つが、それは作ったものを使わなかったために放棄され、通常の神経が魔術回路になっている。本人はそれを知らず、鍛錬のときは死の危険を犯して魔術回路を作ることから始めていた。なお強化のために起動する魔術回路は1〜4程度。
 本当の両親は新都に住んでいた一般人で、前回の聖杯戦争の折に言峰綺礼が引き起こした大火災によって死亡。本人もそのときに瀕死の重傷を負うが衛宮切嗣に聖剣の鞘を埋め込まれて蘇生。切嗣の養子になってからは切嗣が魔術で調合した薬を服用し続けていた。これは切嗣が士郎を救うために使った魔術が強すぎたためこの薬で調整するという理由だったが、その後の切嗣の言葉からおそらくは惨劇の記憶を薄れさせるためのものと思われる。
 穂群原学園入学前に通っていた学校は桜と同じところで、凛と柳洞一成が通っていた学校とは別の学校。間桐慎二と出会ったのは中学二年生の十月ごろで、士郎が文化祭の看板を三年生の設計通りに一晩で作り直す羽目になったとき。それを一晩中眺めていた慎二が「ふーん。おまえ馬鹿だけど、いい仕事するじゃん」と笑ったのが始まり。士郎が弓道を始めた頃から疎遠になっていたが、穂群原学園の三年生になった頃からはまた元の鞘に納まりつつある。
 セイバーを召還する前から『約束された勝利の剣』の夢を見ていたのは、聖杯戦争が準備段階に入りアルトリアの召還が確定したため、士郎の体内にある『全て遠き理想郷』に魔力が通るようになり、深層意識にあった剣のイメージがより表面化したため。
 夜の穂群原学園で行われていたアーチャーとランサーの戦闘を目撃し、ランサーに殺される。だが遠坂凛がとっておきの宝石を使って蘇生させた。そのときの宝石を生涯お守りとして持っていた。ランサーに襲われたときに体内の聖剣の鞘が触媒となり、第四次聖杯戦争の際にアイリスフィール・フォン・アインツベルンがセイバーの手を借りて魔法陣を刻んだ土蔵でセイバーを召還した。セイバーと契約してからは聖剣の鞘が活性化し、ほぼ不死身となる。ただしエクスカリバーでつけられた傷は治癒しない。
 『全て遠き理想郷』の効果によって肉体的な損傷はすぐに修復されるが、これは一度筋肉を刀身に変換して穴の開いた部分を剣で縫い付けるという回りくどい過程を経る。よって、大怪我を負った際に士郎の身体が剣になったように見えるのは幻覚ではなく、実際に一度剣になっているのである。
 衛宮士郎はFateのどのルートにおいても英霊エミヤにはならないし、どのルートにおいてもなる可能性がある。尤も、可能性は限りなくゼロに近い。
 桜ルートでは士郎の肉体は聖杯でも復元できないほど完全に死んだが、イリヤスフィールが不完全な第三魔法によって魂を蘇生させ、まだ何物でもない素体を与えることで復活させた。これは霊体や意識を他人の脳に流し込んで操作するなどといったものではなく、第三魔法で具現化された魂に人間としての機能を持つ肉体を与えたということ。魂に肉体を与えることで肉体は完全に魂のカタチに作り直されるのだ。ただしイリヤスフィールの第三魔法が不完全だったため以後半年は試行錯誤の連続で、結局は間桐にあった書物を魔術協会に売り払った金で蒼崎橙子が作った素体を購入し、とりあえずは落ち着いた。
 この状態はあっちの世界で無敵状態の魂が運動機能の端末である肉体を操作しているというものだが、かといって無敵かといえばそうではなく、成長もすれば寿命もあるし、殺されれば死ぬ。これは魂は肉体がなければこの世界に留まれないが、肉体に宿ると魂を肉体で再現するかわりに肉体に固定されるため。要するにマスターなしでも活動できる、人間と同じく生きて死ぬサーヴァントのような状態。
 ただし蒼崎橙子の魔術回路が士郎のそれよりも少ないためか魔力の通りは悪い。どうやらこの状態の士郎は素体の良い点は魂による塗り替えのため元の士郎なみになるが、元の士郎より劣った点はそのまま残るらしい。
 第五次聖杯戦争の勝者だが、聖杯は使わなかった。また聖杯戦争終結後も令呪がひとつ残っている。『無』に取り憑かれて(というよりも同化されて)おり、そのため第三次聖杯戦争の再現たる四日間の中の冬木教会などでは衛宮士郎としてではなくアンリマユとしての側面が大きくなっている。第五次聖杯戦争後の四月くらいから遠坂凛と付き合っているが、傍目にはハーレム状態である。
 PS2版ではセイバーが元の時代に帰って行った後、彼女を追い続けてついには待ち続けていたセイバーと再会している。
 まほうつかいの箱では謎の電話に呼び出され、無銭飲食をしてしまったイリヤスフィール・フォン・アインツベルンと藤村大河の飲食代金を払うためにアーネンエルベに入店した。
 TYPE-MOON Fes.に参加した際は1日目で出番が終わっていたが、2日目はマーチャンダイズの品出しなどの手伝いをしていた。会場内を自由に動けることに目を付けた鮮花に協力を頼まれ、蒼崎橙子に届けられた脅迫状に関する調査に手を貸す。パシフィコ横浜の地下に存在しないはずの魔法使いの夜御一行様の楽屋を発見し、火薬の匂いとロスト・ロビン・ロンドの口調で記された脅迫状を発見した直後にカレン・オルテンシアに捕縛され、舞台上のキャットウォークに吊るされた。事件解決後は凛と桜の両方と交際しているという事を聞いた遠坂時臣に厳しく問い詰められる。その時に一旦は許されたものの、姓が衛宮であると知った時臣に襲撃された。
 仮に遠野志貴と戦った場合は投影した宝具を片っ端から殺されてしまうために敗北する可能性が極めて高いが、これは戦闘後に志貴がオーバーフローで自滅するほどに直死の魔眼を駆使した場合である。また士郎がエクスカリバーのような魔力放出が可能であった場合には話が違ってくる。
 バゼット・フラガ・マクレミッツと戦った場合には、彼女は対魔術師戦に特化したプロフェッショナルであり技術・経験・戦術のすべてで士郎を上回っているため、自分を最大まで鍛錬・運用している(電撃姫編集部による仮定では投影、投影した宝具の真名開放、壊れた幻想、固有結界、射殺す百頭使用可能、フラガラックにより固有結界と真名開放は不可とされており、奈須きのこ氏のチェックではそれらは否定されていない)状態でも不利は動かない。
 魔術を用いない純粋な喧嘩においては、それぞれの試合形式ではその専門家に譲るものの、『どっちが根を上げるかが勝負みたいな喧嘩』では穂群原学園最強と目される。


衛宮邸(地名)
 曰くつきのために買い手がつかなかったものを衛宮切嗣が買い取った屋敷で、当時は純和風だった。第四次聖杯戦争中に購入し、アイリスフィール・フォン・アインツベルンの拠点とした。切嗣が購入したときは築90年ほど経過していた上かなりの長期間にわたって放置されていたらしく、尋常ではなく寂れていた。込み入った由来があったらしく、契約に際して地元の暴力団(おそらく藤村組)と一悶着起こしかかった。元の持ち主は藤村大河の祖父(おそらく藤村雷画)。
 第四次聖杯戦争終結後に住める程度に手直しをして切嗣と士郎が住み始めた。
 敵意を持ったモノが侵入すると警報が鳴る結界が施されている。無節操な増築のため、配置がごちゃごちゃしている。基本的に和風住宅だが、離れの客間は洋室。
 衛宮士郎の鍛錬の場となっている土蔵は内側にしか錠がなく、その中には強化に失敗した士郎が気晴らしで投影したものが転がっている。またそこにパソコンの一台や二台はあるが使用されてはいない。また藤村大河が藤村組から持ち出してきた的屋の道具も大量に詰め込まれている。
 セイバーとライダーは本邸の和室を気に入り、遠坂凛と間桐桜は離れの洋室を気に入った。十月頃には桜が連休や週末を衛宮邸で過ごすようになった。イリヤスフィール・フォン・アインツベルンはいつもいるわけではなく、食事時にひょっこり現れる。セイバーとライダーの部屋はその造りから二階にあると思われる。が、明らかに廊下のシーンでは一階である。士郎の部屋はグラフィックから推測するに四畳半か六畳。使っていない部屋の一つは秘密裡にセラに改造され、潜伏のための部屋となっている。
 風呂にはセイバー・遠坂凛・間桐桜・イリヤスフィール・藤村大河・ライダーらそれぞれのシャンプー類があるために混沌としている。
 朝食は六時半から。間桐桜や藤村大河らがここで朝食と夕食を摂ることが多く、食費は折半となっている。食事は当番、あるいは分担で作るが、洗濯に関しては士郎の家事分担からは外れている。藤村組のおすそ分けで季節ごとに相当な量の果物が届く。DVDなどは導入されていない。
 土蔵は第四次聖杯戦争においてアイリスフィールが工房としており、その床にはサーヴァント召喚用と思われる紋様が刻まれていて、切嗣は士郎が土蔵に入ることを禁じていた。hollowではイリヤスフィールが第四次聖杯戦争の際にここの土蔵でサーヴァントを召喚したらしいと言っているが、その魔法陣は実際は召喚陣ではなく、アイリスフィールの指図によりセイバーが敷設したアイリスフィールが休息するための領域。


衛宮邸(地名:Zero)
 アリマゴ島のジャングルの中にあった衛宮矩賢の隠棲地。周囲に結界が張られている。かつて神を祀る社があったとされる場所に建てられており、不吉な場所だとして島民たちは近付きたがらなかった。矩賢と切嗣はここに一年ほど住んだ。


衛宮矩賢(人名/魔術師:Zero)
 えみや のりかた。
 衛宮切嗣の父親。
 封印指定を受けた魔術師。体内、あるいは小因果の時間操作に特化した家伝の魔術を四代目という比較的浅い世代において封印指定の域にまで昇華させた天才。
 世界に干渉されない固有結界の内側において時間の流れを加速あるいは停滞させるのが衛宮家の魔術だが、矩賢はこれを突き詰めて抵抗がほぼゼロに等しくなるほど極小に縮めた結界の中で時間流を無限に加速させ、宇宙の終焉を観測することでその先にあるはずの根源に至ろうと企んでいた。アプローチが良かったため理論と研究はかなり有望なところまで到達していたが、成し遂げるための才能に恵まれてはいなかった。実験を完遂するためには数百年の期間が必要とされたため、研究期間を稼ぐ目的で死徒化の研究も始めた。
 20年以上に亘って魔術協会の追跡を躱し続け、最後は南国の小島に身を潜めていた。彼の妻は魔術協会からの追っ手によって命を落としている。晩年はアリマゴ島で屋敷からは一歩も出ずに薬品による死徒化を研究していた。しかし助手のシャーレイがその試薬によって死徒化したことから始まる騒動のうちに切嗣によって射殺された。
 衛宮の魔術刻印は魔術協会によって矩賢の遺骸から回収され、重要な箇所を協会が押さえた上で残り滓ともいえる二割未満を切嗣が継承した。


M61A1(武装/用語:Zero)
 M61A1ヴァルカン砲。口径20mmの銃身を6砲身ひとまとめにし、回転式で射撃を行う。なおヴァルカン砲という名称はM61についてのみ使われる。
 1946年にアメリカ陸軍の兵器研究・開発部がガトリング式機関銃の威力を増す研究を行い、その結果20mm砲身を使ったT171が完成。これが1956年にアメリカ陸軍と空軍で制式採用されてM61ヴァルカン砲となり、現在ではアメリカ海軍でも戦闘機の標準装備機関砲となっている。
 日本特殊金属、ならびに現在生産している住友重機械工業がライセンス生産したものはJM61A1となる。
 M61は最大で毎分7,200発の発射率能力を有しているが、通常は4,000発または6,000発の発射率が選択できるようにされており、F-15も同様。F-15においては右主翼付根前縁に1門固定装備しており、中央胴体内のドラムに最大で512発の弾薬を携行できる。ただし弾薬の携行量は940発や950発といった情報もある。作中では発射率が毎分12,000発、携行弾薬量が940発となっている。発射率の向上はバーサーカーの魔力によるものだろうか。
 第四次聖杯戦争におけるバーサーカーがランサーの破魔の紅薔薇によって魔力を遮断された(=制御を失った)ディアボロTから弾薬ドラムごと抜き出して使用した。


L.H.O.O.Q.(用語:氷室の天地)
 1919年制作のマルセル・デュシャンのレディ・メイド作品。エラショオキューと読む。
 レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』にひげを描いただけのもの。


エリートネコ部隊(用語:MELTY BLOOD・ネコアルク)
 アバドンフォースの別名。


エリス・ワトソン(人名:zero)
 ELISE WATOSON。
 第四次聖杯戦争の際にセイバーが使用したパスポートに記載されていた名前。
 1979年9月21日生まれ、女性、アメリカ国籍、出生地はロサンゼルス州ニューオーリンズとなっている。パスポートの発行年月は1995年8月で、有効期限は2005年7月まで。


エルキドゥ(対人宝具)
 天の鎖。ギルガメッシュが好んで使用する宝具。かつてウルクを七年間飢饉に陥れた“天の牡牛”を捕縛した鎖で、ギルガメッシュがエア以上に信頼する宝具。
 能力は“神を律する”もの。捕縛した対象の神性が高ければ高いほど硬度を増す宝具で、数少ない対神兵装といえる。ただし、神性の無い者にとってはただの頑丈なだけの鎖に過ぎない。


エルゲンリート(魔術)
 →天使の詩


エルダータイトル(用語)
 →神代連盟


エルトナム(家名:MELTY BLOOD)
 Eltnam。
 錬金術の名門たる没落貴族。エーテライトを開発し使いこなすために恐れられ、かつ蔑まれる。
 没落したのは3代前の当主のズェピア・エルトナム・オベローンが原因。


エル・ナハト(人名/死徒・魔術師)
 El Nahat。
 死徒二十七祖の二十四位。経歴不明。胃界教典と呼ばれるアーティファクト。屈折とも表現される特異な吸血鬼。
 一対一ならばほぼ確実に相手を消去する特異能力を有するが、そのたびに自身の身も死滅し、蘇生に数十年を要するため、現在は胃のみが教会によって鏡張りの部屋に封印中。
 彼の胃で作った本体の呼び出し端末でもある召喚書の『胃界教典』は対死徒用の切り札とされ、稀に埋葬機関の手によって運用される。それを埋葬機関の1と2が携えて動く場合、事実上無敵。


エルメロイ(組織)
 El-Melloi。
 魔術協会の12の名門の一つ。名門アーチボルト家に属する学派。ケイネス・エルメロイ・アーチボルトの死後、12家中12位まで衰微している。
 ケイネスがエルメロイ学派の当主に就任する前は本家であるアーチボルトの他にも有力な派閥があったが、常に権謀術数と足の引っ張り合いを繰り返す集団だった。膨大な財産、人材、霊地、魔術礼装を蓄えていたが、アーチボルト家当主ケイネス・エルメロイ・アーチボルトの死後にライバルはもとよりアーチボルト家が抑えていた分家筋にまで奪い去られ、分家は分裂。残されたエルメロイの家名と天文学的な額の負債を抱えて没落寸前にまで衰微したが、当時魔術師見習いとして所属していたウェイバー・ベルベットの尽力によりある程度までは復興している。
 没落した際にアーチゾルテよりも上位の家が軒並み離反したり距離を取ったりしたため、次代のエルメロイ家の当主はかなり下位であったアーチゾルテ家の娘、ライネス・エルメロイ・アーチゾルテである。彼女はアーチボルト家を立て直した功績と、もとを正せばおまえが悪いんだから一生私に仕えよ、ということでウェイバー・ベルベットにエルメロイU世の名を与えた。現当主はロード・エルメロイU世ことウェイバー・ベルベットで、分家であるアーチゾルテ家のライネスが次期当主となっている。エルメロイの魔術刻印はケイネスの遺体から摘出されてライネスに移植されているが、現存しているのは事件簿一巻の記述によれば二割強ほど、事件簿二巻の記述によれば回収できた源流刻印は一割ほどでしかない。
 派閥は貴族主義のバルトメロイ派に属している。しかし現代魔術学部の君主となり新世代を率いてエルメロイ教室を主宰している現在はむしろトランベリオの民主主義派閥に近い性格になっているため、貴族主義派閥の首魁であるバルトメロイからはあまり良く思われていない。
 ケイネスの時代までは鉱石学科の君主だったが、ケイネスの死後はメルアステア(メルアステア家そのものか、中立主義のメルアステア派かは不明)に乗っ取られた。またケイネス個人は降霊科の君主の娘ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリとの結婚を取り付けた事で降霊科の一級講師の座も得ていた。2003年頃にはロード・エルメロイU世によってエルメロイは新興の現代魔術科の君主となっている。
 2003年の双貌塔イゼルマの事件で結果的にイゼルマ家を失墜させることでバリュエレータに大打撃を与えたため、貴族たちからの評判が大きく上がりエルメロイの借金についても大幅に有利な融資を得る事が出来た。


エルメロイ教室(用語)
 エルメロイ学派の教室。
 ケイネス・エルメロイ・アーチボルトの死後は正式な学派も決まらず見捨てられていたが、三級講師となったウェイバー・ベルベットの講義は異様に分かりやすく実践的だったため、時計塔で居場所のなかった新世代たちの間で話題となり広まっていった。さらに権力争いに敗れた講師たちを何人も説得して登壇させ、これまでにない多角的な教育体制を実現させた。この頃は正式に学科は決まっていなかったが、実質的に現代魔術の講義をしていた。
 ロード・エルメロイU世が現代魔術学部の君主になってからも様々な学部で助っ人のように講義をやらされているため、エルメロイ教室は現代魔術学部に留まらない影響力を持っている。


エルメロイの源流刻印(用語/魔術:事件簿)
 エルメロイ家が継承してきた魔術刻印。
 魔術刻印については事件簿一巻で『二割強』、源流刻印については事件簿二巻で『一割程度』が回収されたとされている。源流刻印は調律師による修復では最低でも三世代以上はかかる。


エレイシア(人名/人間・死徒)
 シエルの本名。フランス人の父と東洋人の母のハーフ。パン屋の娘。ロアの転生体。
 16歳前後でロアとして覚醒し、フランスの片田舎の町を丸ごと死都にしてアルクェイドに滅ぼされる。『死徒から人間に戻ったモノ』の標本として教会に保管されるが、滅ぼされてから3年後に蘇生。異端として1ヶ月間処刑され続けえる。後にシエルという洗礼名で埋葬機関に加入した。
 シエルになった後も、死徒としてのエレイシアは歌月十夜における志貴にとっての七夜志貴のような潜在人格として存在する。


エロ学派(用語)
 エロガッパ。


エンキドゥ(人名)
 ギルガメッシュの親友。
 もともとはギルガメッシュの圧政を聞き届けた女神アルルが作った神造の者で、ギルガメッシュと対決するために送り込まれたが、程なくしてお互いを認め合い協力しながら国を治めた。そうしてウルクはかつてない繁栄を誇り、ギルガメッシュは最も優れた王として地上のあらゆる財を手中に収めることになる。この後、女神イシュタルに求婚されたギルガメッシュがこれを断るとイシュタルは天の牡牛を解き放つが二人はこれを退けた。最後にはイシュタルは神々に訴え、創造主である神に逆らえないエンキドゥを衰弱死させてしまう。
 こうして親友であるエンキドゥでさえ死ぬということをまざまざと見せ付けられたギルガメッシュは冥界へと旅立ち、不老不死の薬を手に入れることになる。


炎焼の加工魔眼(用語/魔術:事件簿)
 イヴェット・L・レーマンが魔眼蒐集列車で用いていた、宝石で模造した加工魔眼。ルビーで作られている。効果はあまり長くは持続しない。


炎焼の魔眼(用語)
 視界に入ったものに自然発火現象を引き起こす魔眼。炎焼の魔眼は制御に癖がある場合がままある。
 2003年の魔眼オークションに出品された物はメルヴィン・ウェインズが一千万ドルで落札した。しかし(別の炎焼の魔眼を保有しており、それを使ったのでなければ)アインナッシュの仔の再出現に当たって魔眼大投射に使用されて焼き切れた。


円蔵山(地名)
 冬木市の深山町の西のはずれにある、冬木市でもっとも強力な霊脈。中腹に柳洞寺が建っている。遠坂邸と並ぶ地脈の中心で、辺り一帯の命脈が集まる。ここの地下にある龍洞に大聖杯が設置されている。桜ルートの後に龍洞が陥没したのだが、その理由はアンリ・マユの消滅ではなく遠坂凛が好き勝手に暴れたから。
 遠坂の管理地である冬木の中でも重要な場所なので、凛はたまに柳洞寺裏の池や大空洞を見回っている。
 霊脈としてはあまりにも強力すぎるため、次代の術師を育成する生活の場としては危険すぎる。
 桜ルートのように凛が大暴れしなくとも衛宮切嗣の仕掛けによって龍洞の崩落自体は起こるようだ。


円卓(用語:GoA)
 キャメロットにあった円形テーブル。もとは英雄たちの証、絆を示す魔術礼装だったものをキャメロット用に作り直したもの。キャメロット城の礎でもあり、城を固定する柱のような役割を持っている。


エンハウンス(人名/死徒)
 Enhance。
 死徒二十七祖の十八位。復讐騎。主であった死徒を殺して十八位の座に着いた、祖に成ったばかりの死徒。ゆえにエンハンス(片刃)ソードと蔑まれる。
 吸血鬼としてはハンパで他の祖のような超抜的な固有能力もない。不老不死である死徒達はみな安穏としているが、彼はきわめてヒトに近いので執念深い。他の派閥とは争わないという規律を破って他の二十七祖を狩ろうとしている。何事にも消極的な死徒の中にあって、二十七祖随一の精神力と行動力が彼の特殊能力ともいえる。
 彼が死徒を狩るというのは他の死徒がいうそれとは意味合いが違う。他の死徒の場合はあくまで娯楽としての戦いであり、派閥内に限られるため親を殺しても派閥は残る。だがエンハウンスの場合は親のみならず血族を皆殺しにし、領地を焼き滅ぼす。つまり吸血鬼という存在そのものを狩るのだ。
 先代の祖から譲り受けた(奪い取った)魔剣アヴェンジャーと教会で作り上げた銃(聖葬砲典)で戦う。ヒトの部分が残っているため魔剣を振るうたびに右手の神経が破壊され、死徒であるがゆえに聖葬砲典を使うたびに左手は腐ってゆく。
 ちなみに聖葬砲典はショットガンで、メンテナンスをするのは某重火器フェチの彼女。
 一説には月姫2で殺人貴とともに死徒を倒すという。鳥とも虫の足ともつかない羽を生やして飛ぶことができる。


エンブリオ(用語/魔術:魔法使いの夜)
 →魔術卵


Emperor(用語:Zero)
 4。達成。
 魔力の煌きによる狼煙。魔術師にとっての共通認識と思われる。


延命の魔術(魔術)
 詳細不明。文字通り延命を目的とするものと思われる。これを用いれば数百から数千年を生きることができる。



  


王冠(用語)
 グランド。魔術協会における階位で、最上位にあたる。冠位とも。
 死徒二十七祖の二十位、メレム・ソロモンの二つ名でもある。


黄金姫(用語:事件簿)
 白銀姫とともに、イゼルマ家が作り上げる人体の美を体現した存在。第五次聖杯戦争の直前(2003年)の黄金姫はディアドラ・バリュエレータ・イゼルマ。


黄金律(技能:Fate)
 サーヴァントの能力。身体の黄金比ではなく人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。
 A:大富豪でもやっていける金ピカぶり。一生金には困らない。


王の凱旋(用語)
 ロード・オブ・バビロン。子ギルが覚えた花札のこと。


王の軍勢(対軍宝具:Zero)
 アイオニオン・ヘタイロイ。
 第四次聖杯戦争におけるライダーの宝具である固有結界。ランクEX対軍宝具。独立サーヴァントの連続召喚。心象世界は灼熱の太陽が照りつける、視野を遮るものは何もない荒野。
 『かつて偉大なるイスカンダルと轡を並べし勇者』という同じ出自を誇る英霊――つまりイスカンダルとともに駆けた英傑たちをそれぞれサーヴァントとして召喚するもの。この中ではイスカンダルの愛馬ブケファラスまでもが召喚される。
 死してなおイスカンダルに忠誠を誓い、君主と共に英霊化した近衛兵団を独立サーヴァントとして現界させる。召喚されるのはいずれもマスター不在のサーヴァントだが、それぞれがE-ランク相当の単独行動スキルを保有し、最大30ターンに及ぶ現界が可能。独立サーヴァントは結界外でも活動可能。
 征服王イスカンダルの功績は偉大だが彼自身の武力が秀でていたわけではないため、この軍勢の中にはイスカンダルよりも強い英霊がちらほらいる。独立サーヴァントとして召還されるが、大聖杯ではなくライダーの能力によって召還されるため、冬木の聖杯戦争におけるサーヴァントのように特定のクラスを割り振られることはなく、ライダーの能力の限界によって宝具を具現化することはできない。そのため、ライダーの提案の通りイスカンダル率いるこの数万の軍勢と、ギルガメッシュが持つ無尽蔵の宝具の組み合わせは最高に相性が良い。また共に召喚される兵士たちは英雄でこそあれ英霊ではないため、超能力などはない。しかしそれでも化け物みたいに強い。
 魔術師ではないライダーが固有結界を使えるのは、これによって呼び出されるすべての英霊の心象風景だからである。よって詠唱も必要としない。これを展開・維持する魔力は呼び出される英霊すべての魔力の総和である。いわば宝具の域に達した『絆』である。
 100メートル程度の範囲内でならば、結界内に取り込んだ対象を任意の地点に放り出すことができる。
 規模の割に燃費はいい。というのも軍勢はイスカンダルが召喚するというよりも勝手に押しかけてくるようなもので、全員が総出で結界を維持するためである。だがそもそも座にいる軍勢に呼びかけて結界を発動させるのはライダー一人であるため、魔力消費はとんでもなく大きい。
 軍勢を一気にそろえるには固有結界を展開せねばならないが、一騎を具現化させるのみならば通常空間でも許容される。


王の財宝(対人宝具)
 ゲート・オブ・バビロン。ランクE〜A++、対人宝具。第四回聖杯戦争におけるアーチャーことギルガメッシュの宝具。
 黄金の都に繋がる鍵剣。空間を繋げて宝物庫の中にある道具を自由に取り出せる。使用者の財があるほどに強力になる。
 また、この宝物庫に納められている武器はギルガメッシュが生前に集めた『すべての宝具の原型』である。ちなみに宝物庫に収められている宝物はなにも武器だけというわけではなく、ギルガメッシュが宝と認識するものは全て収蔵されているとのこと。酒器や美酒など多種多様な財が収められており、中には視肉もある。
 ランクがE〜A++と幅広いのは、これが蔵に収められた財宝のランクであるため。


大江戸温泉(地名:氷室の天地)
 お台場にあると思われる温泉施設。沙条綾香が修学旅行三日目の自由行動のときに利用した。


大釜派の魔女術(用語/魔術:事件簿)
 ウィッチクラフトの一種。
 化学と魔術が近しかった時代の代物。ロード・エルメロイU世が使った、血痕に残存する魔力の濃度を調べて死亡時刻を推定する手法がこれに属するものらしい。


仰木(人名:Zero)
 航空自衛官。階級は一等空尉。TACネーム不明(作戦中もTACネームではなく本名で呼称していたため)。築城基地の第304飛行隊に所属し、ディアボロTというコールサインを割り当てられたF-15Jに搭乗した。
 冬木市警察の災害派遣要請により領海哨戒任務から未遠川河口の偵察任務に移行したが、大海魔を攻撃しようとしたところで機体をバーサーカーに奪われ、ギルガメッシュのヴィマーナとのドグファイトにおける大G機動で内臓破裂により死亡。


オーディン(神霊)
 北欧の主神。大神宣言(グングニル)という槍を持つ。


オーバーロード(用語:月姫)
 死徒二十七祖の番外位、ミハイル・ロア・バルダムヨォンの固有結界。過負荷。魔力の過給機の役割を果たす。


オーラ(用語:Fate)
 ギルガメッシュは王気と書いてオーラと読む。


オーロラ三人娘(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが二年生の頃の球技大会における氷室鐘、沙条綾香、美綴綾子による2年A組セパタクローチームの名称案。


大脇(人名:hollow)
 穂群原学園弓道部員。女子。


岡倉天心(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが二年生の頃の文化祭の2年A組の出し物の一つ、最強偉人にラインナップされた。
 天心とは、心臓のあたりに『天』と読める手術跡があることから名乗ったという。ビジュアルは完全に豪鬼。
 必殺技は『瞬獄殺』。


オカルトハンマー(武装)
 概念武装。奈須きのこ氏の自画像であるお化けきのこが持っているハンマー。異世界への扉を開けたりミニカーを大きくしたりする。


沖田(地名:魔法使いの夜)
 三咲市にある金物屋。


オクタヴィア・レイランド(人名:hollow)
 魔術協会のノーリッジ学生寮の受付嬢。200X年八月八日に遠坂凛とルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトがかち合った事件に立ち会った。『ですの』という語尾が特徴的。


お好み焼き・鍾馗(地名:Zero)
 新都にあるお好み焼き屋。第四次聖杯戦争におけるライダーはここで食事をしたことがあるらしく、モダン焼きは絶品だと評した。
 他に判明しているメニューは海鮮広島焼き、海鮮鉄板焼き。飲み物はネーポン(250円)、ホットネーポン(500円)、ミスパレード(250円)、コーラー(100円)。
 世紀末覇者焼きというとんでもないメニューがある。五重塔焼きというメニューがあったが、不評のため1か月もせずにお品書きから消えた。


お好み焼き丼(用語:Fate)
 藤村大河が作った夕食。本人はかに玉丼を作ったつもりだったが、根本的に作り方が間違っていたため大失敗。藤村組の若衆たちに『おっきな玉子焼きをつくる』と言ったところ、小麦粉やら何やらをくれた上に間違った作り方を教えたらしい。
 セイバーの感想は『いくら私でも、さすがにこれは食べにくい』。


お好み焼き与一(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが2年生の時の文化祭での弓道部の出し物であるお好み焼きの屋台。判明しているメニューは『ぶた玉』と『モダンMIX全部のせ』。


おしゃべり双子(用語/魔術:魔法使いの夜)
 久遠寺有珠のプロイキッシャーの一つ。
 器物ではなく、生物でもなく、魔術回路によって動くクリーチャーでもない。材料はカスタネットとホッチキス。本体はサイコロで、出た目によって違う姿に変身する。1の目で人間、2の目で計量用の重し、3の目でペンギン、5の目で鍋の蓋(ラウンドシールド)、6の目で豚。4の目はやり直し。ただしズルをしないと6の目以外は出ず、有珠は6の目しか出したことがない。
 トゥィードルディーとトゥィードルダムがあり、騒がしい方がトゥィードルディーでうるさい方がトゥィードルダム。
 人間社会に毒されているため、魔術が効きやすいのが欠点。


オシリス(用語:MELTY BLOOD)
 詳細不明。
 アトラス院に所属する錬金術師、あるいは部署と思われる。


オシリス改(用語:路地裏ピラミッドナイト)
 シオン・エルトナム・アトラシアが製作した工事ロボットにして錬金術ロボット。モデルはオシリスの砂で、機能を工事に限定したもの。シオンが製作したばかりだが、琥珀曰く10年来のペンフレンド。ピラミッドの玄室にいる。ダメと野望でキラキラ地球会会長。
 人類が存在したことを記録する慰霊碑たるオシリスの砂を核にしているため、巨大な保管庫としてピラミッドを建設する。最終目的は寸分違わぬ文明社会のジオラマであり、そのジオラマは原寸大である。無茶な工期に対応するため自己改造をしたため、このような暴走状態に陥った。大きな帽子を被っているが、それはバッテリーである。
 シオンによるクリエイター権限が無効化されており、ロールバックや強制停止が不可能になっている。戦闘能力は皆無に等しいが、玄室内では戦闘ルールを任意に設定できる。
 充電装置である玄室を破壊されたことで機能を制圧され、一晩でピラミッドを解体、町を元通りにした。
 錬金術ロボットであるため、何事かを為すには対価が必要。


オシリスの砂(死徒・錬金術師:MBAA)
 DUST OF OSIRIS。
 死徒二十七祖の13位。タタリの夜の後継者。タタリから生まれた次世代のタタリ。冥界を実現させるタタリ。霊長を救う最後のアトラス。未来を変革する演算機。冥界の鳥。オシリスの砂の体は生きていた最後の人類、五十七億目の死者である。
 生き延びるために血を必要とせず、そもそも生き延びるという選択をしない彼女は二十七祖であるが吸血鬼ではない。これが消えることでタタリという現象は完全に消滅する。ミハイル・ロア・バルダムヨォン曰く『底抜けの間抜け』。感情は既にない。
 人間であった頃の名はシオン・エルトナム・アトラシア。ワラキアに飲まれた『人間のシオン(魂)』がタタリの中で倒錯した時間を経由してアトラシア(アトラス院長)として完成し、タタリの機能を制圧してワラキアの夜よりも上位に移動したもの。なので『吸血鬼化したシオン』である吸血鬼シオン(Vシオン)とは別物。統一言語を使用することができる。
 ズェピア・エルトナム・オベローンに言わせるなら人間の娯楽を知らないまま成長したシオン。結果、『どうせ滅びるのだから滅びた後のことを考えよう』という結論、つまり滅びは避けられないのでできるだけ早く滅びを迎え、人類の歴史が完全に停止した後にその全てを記録し、永劫に欠損・磨耗しない記録媒体を残すという救罪方法に至る。だがこの理想はアルクェイド・ブリュンスタッドに言わせれば千年遅い、古い“一”の考え。またその記録媒体である霊子演算機ヘルメスの稼動には全人類の血液から練成した賢者の石が必要。
 しかし暴走アルクェイドによればこの『一切をゼロにして死を癒す』というアプローチは既に試されたもの。
 三咲町における二度目のタタリ(ワラキアの夜の一年後)の主。あと一歩で第六法に届いたタタリを再演し、その結末だけを修正すること(第六法の成立)が目的。そのための要因および防衛機構の一端としてリーズバイフェ・ストリンドヴァリを再構成する。
 オシリスの砂が行う二度目のタタリは一度目のタタリである『幻影の夏』の再演であるため、一般人は正しい時間に残し、ワラキアの夜に関わる者達のみをタタリの中に取り込んでいる。要するにワラキアの夜に関わる者達が一年前にタイムスリップするようなもの。この規模の魔術式を使うとスタンティアがやってこないとも限らない。
 オシリスの砂によるタタリでは砂が流れるような雑音が発生するが、これは無数の断末魔の悲鳴である。オシリスの砂が現す風景は全てが砂に還った、星の終焉。この砂漠は心象風景ではなく、本当に世界が滅び去った後の光景だが、空想具現化ではなくオシリスの砂が演算し運び込んだ『切り取られた未来』。これは魔術理論・世界卵そのもの。


オダノブ(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが2年生のときの夏ごろに予約受付中だったゲーム。


小樽ギア(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが2年生のときの夏ごろに予約受付中だったゲーム。


オッド・ボルザーク(人名/魔術師:Zero)
 魔蜂使い。限定的な死徒化に成功し、使い魔である死徒蜂の毒針を媒介にして配下の食屍鬼を増やすという危険極まりない魔術師。
 顔を変え、偽の身分を使って一般人に成り済まして長く消息を絶っていたが、パリ発ニューヨーク行きのエアバスA300の機内でナタリア・カミンスキーに殺された。だが残った死徒蜂が乗客を刺し、結果として被害の拡大を防ぐためにナタリアごとエアバスA300は衛宮切嗣によって撃墜された。


オド(用語/魔術)
 小源。魔力のうち、魔術師の体内で生成されるものを指す。


(人名:AATM)
 何事も一人でこなしてきた。日本に来たのは数年ぶりで、目的はセールスじみた雑務。それは始まってしまえば三日ほどで片付くものだったが、一日早く来日したため時間が余り、知人の紹介でアーネンエルベに訪れる。
 アーネンエルベではライダーに絡まれ、さらにその後はステンノとエウリュアレに絡まれる。
 またアルクェイド・ブリュンスタッド、セイバー、両儀式の最強ヒロイン決定戦の出題者ともなった。一日かけて出した結論は三人で談笑していたときが一番輝いていた、というもの。より細かく言うと、アルクェイドは淑女らしさを、セイバーは自由奔放さを、式は素直さを付け足すと文句のないアイドルだ、とのこと。
 なんだかライダーと会ったことがあるような気がしている。昔はヘタレだったらしい。
 ちなみにステンノとエウリュアレによってもたらされた凄い額の支払いはカードで済ませ、魔術協会秋葉原支部会議費代で領収書を受け取った。
 アーネンエルベを出た後、マッケンジー邸に挨拶に向かった。
 本名は
ウェイバー・ベルベット(ネタバレ禁止とのことなので反転)。


鬼火(用語/魔術:魔法使いの夜)
 ウィスプ。予め設置しておき、何らかの切っ掛けで点灯するもの。


己が栄光の為でなく(対人宝具:Zero)
 フォー・サムワンズ・グロウリー。
 第四次聖杯戦争におけるバーサーカーの宝具。自らのステータスを隠蔽する能力。
 総身に黒い霧を纏い、容姿やステータスを隠蔽する。本来ならば任意の人物の外見を模倣して敵の目を欺くという宝具能力だが、狂化したため『変身』から『偽装』に劣化している。この偽装能力はマスターとして与えられる透視力をも阻む。
 ランスロットは多くの冒険において変装で正体を隠したまま勝利の栄誉を勝ち取っており、その故事の具現としての能力である。


おまえもネコミミになれ(用語:ネコアルク)
 ネコアルク-THE MOVIE-のキャッチコピーにも使用された台詞。
 普段は猫アルクが好む挨拶だが、劇場版のラストで最後の人類となった主人公が大ボス相手に皮肉を込めて言い切るシーンは劇場版最大の見せ場だろう。死闘を潜り抜けた主人公は満身創痍のまま妖刀三味線丸を背に構えて大ボスに立ち向かうのである。
 二時間かけた決め台詞がコレか。


檻髪(用語・能力)
 遠野秋葉の能力名。射程・視界による略奪呪界。秋葉は視認した生物から熱(生命力)を奪う“略奪”の混血だが、その最大出力時の状態のこと。
 秋葉の略奪は視認することで発動するが、霊視を可能とする者にはその過程は赤い糸のようなものが巻きつき、赤く焦がしているように視える。これを最大限――対象のみならず対象を含む地域全体を赤い糸で覆い、脱出不可能にした状態が檻髪。
 髪が紅く反転して伸びるのだが普通の目には視えず、また触れることもできない。いわば秋葉の力がその髪の延長の形をしているだけであり、能力者である秋葉も魔眼憑きでないために視認することは不可能。『略奪』の触媒としてだけではなく、本来の髪とともに自在に操ることができる。
 霊的な防御力を持たない一般人には絶対的な攻撃法だが、アルクェイド・ブリュンスタッドのように霊格が桁違いの相手には『世界中に蜘蛛の巣が張っていてうざい』程度の妨害にしかならない。感応者のバックアップがあればアルクェイドを縛り付ける程度の束縛はできるかもしれない。


オルガマリー・アースミレイト・アニムスフィア(人名/魔術師:事件簿)
 天体科の君主の娘。2003年11月末頃の時点で11〜12歳ほど。
 マリスビリー・アニムスフィアから冬木の大聖杯が使い物にならないとだけ聞いていたため、冬木の聖杯戦争は何かの仕掛けで英霊召還は可能としているが願望機となるような超抜級の物ではないのだと考えていた。
 魔眼オークションに付き人のトリシャ・フェローズを同伴して参加した。魔眼オークションに参加した理由はトリシャが虹の魔眼が出品されることを視たため。乗車して二日目の朝食後にロード・エルメロイU世のもとを訪れ、虹の魔眼が出品されたら応札してアニムスフィアが落札する協力をするよう持ちかけた。
 2003年の時点で魔術刻印の一部は既に移植されている。魔術の腕前についてはかなりなものであるようだが、洞察力は年齢相応に未熟なようで、ロード・エルメロイU世が第五次聖杯戦争に出場したいのは第四次聖杯戦争の雪辱を果たすためだと思っていた。
 二日目の夕方にトリシャの首なし死体が見つかった際には疑心暗鬼になって激昂しカラボー・フランプトンに魔弾を撃ったが、あっさりと黒鍵で打ち消されたうえで失神させられた。その後、アニムスフィアの娘ではなくオルガマリー個人としてロード・エルメロイU世に説得され、彼に協力する。
 魔眼オークションでは泡影の魔眼に一億五千万ドルまで応札した。アインナッシュの仔の再出現に当たっては結界を張ろうとする化野菱理を止め、イヴェット・L・レーマンとジャンマリオ・スピネッラ、メルヴィン・ウェインズのサポートを受けて大魔術を発動し、アインナッシュの仔に応戦した。
 事件の後はアニムスフィアが借りを作るわけにはいかないからと、ロード・エルメロイU世とグレイの治療のために貴重な秘薬を追加で提供し、事件についても口添えした。


オルガマリー・アースミレイト・アニムスフィアの礼装(用語/魔術:事件簿)
 オルガマリー・アースミレイト・アニムスフィアが魔眼オークションに持ち込んでいた礼装。
 レンズや歯車を組み合わせた掌大の機器で、映写機のようにアニムスフィアが作っている疑似環境モデルの実験作を投影する。あくまで幻像であるため霊脈や霊地の確認にしか使えない。


ORT(用語/アリストテレス・死徒)
 オルト。死徒二十七祖の五位。タイプ・マアキュリー。水星(?)のアルティミット・ワンであるが、5000年ほど先に地球に到着してしまった。なお地球が発信したSOSサインを受信する最強種ではない。
 全長40メートルほどの宇宙生物。外見は巨大な蜘蛛に酷似する。
 西暦以前に南米に落下した突然変異種らしい。攻性生物として次元違いの能力を誇る。無謀にも捕獲に来た前五位の祖を秒殺、後に吸血能力を持つことが判明し、祖として扱われる。単純に実力でいえば現在世界最強。地球で戦う限り弱点は無いとされる。死の概念がないため直死の魔眼でも殺すことはできず、物理的に破壊するしかない。
 地上のいかなる材質よりも硬く、柔らかで、気温差に耐え、鋭いという外皮に覆われている。
 侵食固有結界(固有結界に似た能力)『水晶渓谷』を数千年にわたり展開しているという。水晶渓谷は彼が存在するだけでそこを彼の住んでいた環境に変化させるというものであり、要するに異界秩序による地球の物理法則の改竄である。


オルフェウス(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦のカード。
 武:3、防:5。固有能力は攻城の速度と力が2倍になる『歌唱力』。固有能力が『アポローンの竪琴』のものもあり、複数種類あると思われる。


オルロック・シザームンド(人名/魔術師:事件簿)
 蝶魔術の重鎮。骨と皮ばかりに痩せこけて車椅子を使っている老人で、少年に車椅子を押させている。
 かつて剥離城アドラでゲリュオン・アッシュボーンと共に研究をしていたが、後にゲリュオンを殺害している。ゲリュオンを殺害した理由は、懸想したゲリュオンの妻をアッシュボーンの獣に作り替えられたからと思われる。
 冬木市の第四次聖杯戦争にケイネス・エルメロイ・アーチボルトとウェイバー・ベルベットが参加し、ケイネスがそこで戦死したことを知っている。
 第五次聖杯戦争の直前の9月に剥離城アドラに招かれる。エルメロイの魔術刻印が破損していると見当を付け、アッシュボーンの秘法を得るためロード・エルメロイU世と協力する。その際にシザームンドの魔術刻印も限界に来ている事を明かし、アッシュボーンの秘法が一人にしか使えないのならば自分が貰い受けるが、複数人に使えるのならば先にエルメロイU世が使ってよいという条件を付けた。与えられた天使名はNanael。
 ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトが剥離城アドラの工房としての機能を乗っ取ろうとして防衛機構が発動した際に現れたアッシュボーンの獣に殺害された。しかし殺害されたのはいわば古い肉体の方で、記憶と人格を転写した新しい肉体である少年の方は生き残った。
 同伴している少年はオルロックの血と精液で作ったホムンクルスで、蝶魔術を応用して少しずつ魔術刻印と共に記憶と人格を転写していた。しかしアッシュボーンの獣に襲われた際に残りを一気に行う破目になったため、一割ほどを欠損し残りも半ばは機能停止したままになった。
 グレイが時任次郎坊清玄とアッシュボーンの獣を打倒した後、ロード・エルメロイU世がアッシュボーンの獣の呪いで足止めされている数秒の間に次郎坊に独鈷で刺される。ゲリュオンの妻との不倫やゲリュオンを殺したことをロード・エルメロイU世に告白すると老人の姿に戻り、人の姿に戻ったアッシュボーンの獣を抱いて死亡した。
 Fate/strange Fakeに登場したヴェルナー・シザームンドとの関係は不明(そもそも世界が別である)。


お●は直角(用語:氷室の天地)
 2年生のときのインターハイ予選二回戦でコースからトイレに向けて直角に方向転換したことで付けられた蒔寺楓の異名。


隠形鬼(用語:事件簿)
 英雄史大戦のカード。2003年12月頃までには発売されている。


怨天大聖(用語)
 アンリマユのこと。




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