ハーウェイ(家名)
 西欧財閥の盟主たる家。紋章は獅子。
 跡継ぎに対する教育は記憶野に直接焼き付けるなど、一般的な方法ではない。また情報処理に魔術理論を応用するなど、魔術との関わりも深いと思われる。


ハーウェイ財団(組織)
 レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイとユリウス・ベルキスク・ハーウェイの家。
 西欧財閥と同義。


ハーウェイの管理都市(用語)
 ハーウェイ財団(西欧財閥)により徹底した管理が布かれた都市。
 階級に応じた生活が保障されている、不安要素のない平穏な世界。ただしそれは裏を返せばどこにも行けず、未来も希望も幸せも無く人はただ生きているだけ、という見方ができる。
 資源は西欧財閥に管理され、人間の生死、人生、寿命に至るまで管理される。赤ん坊でさえ管理に従い平気で飢え死にさせる。


バーサーカー(サーヴァント)
 臥藤門司のサーヴァント。臥藤は彼女を神と崇めている。宝具は『ブルート・ディ・シェヴェスタァ』。
 真名はアルクェイド・ブリュンスタッド。吸血種の大本である真祖、その王族の生き残りであるらしい。吸血鬼としての側面も強いが、地球に宿る精霊の一種である。台風や地震などの自然現象の擬人化と捉えるのがもっともわかりやすい。ムーンセル・オートマトンによる創作である可能性も囁かれている。地球側の精霊であるため、ムーンセル・オートマトンでの活動は過度のストレスになるらしい。
 彼女は本来はバーサーカーに該当しないのだが、臥藤の勘違いでバーサーカーにされたため本来の力が発揮できていない。本来のクラスはバーサーカーではなくファニーヴァンプであり、本来のマスターは学生服の少年だとか。
 本来の能力を発揮していたら、主人公とそのサーヴァントでは到底太刀打ちできない力を持っている。容姿は遠野志貴と出会った当時のそれだが、臥藤の勘違いで魔眼がランクダウンしているせいか右目が赤、左目が紫のオッドアイになっている。
 この臥藤の勘違いというのは、自然現象と同位である真祖を人間が認識できるレベルに落としたものである神と捉えたこと、つまり本物を偽物にするということ。
 臥藤が消滅した後は正気に戻り、主人公らと言葉を交わしてから消滅せずに空間に穴を開けて立ち去った。なおその時は両目とも瞳は赤になっている。
 狐耳のキャスターとは同類のようなので気が合うのでは、と推測されている。

 ステータスは以下の通り。
 筋力:A+
 耐久:B
 敏捷:A
 魔力:C
 幸運:D

 保有スキルは以下の通り。
 バーサーカー化:A→C…パラメーターをランクアップさせるが、理性の大半を奪われる。しかしマスターの勘違いでうまくいっていない。
 魔眼:A→C…見たもの、見るものの魂を魅了する魔眼を所持しているようだが、マスターの勘違いでうまく機能していない。
 原初の一:EX→×…アルテミット・ワン。星からのバックアップを受けることで、敵対する相手より一段階上のスペックになるスキル。マスターの勘違いでまったく機能していない。


バーサーカー化(技能)
 バーサーカーのスキル。
 パラメーターをランクアップさせるが、理性の大半を奪われる。
 アルクェイド・ブリュンスタッドの場合はマスターの勘違いでうまくいっていない。

 A→C:バーサーカー(アルクェイド・ブリュンスタッド)。


バイパス(用語)
 →割込回路


破壊工作(技能)
 サーヴァントの技能。
 戦闘を行う前の準備段階で相手の戦力をそぎ落とす才能。トラップの達人。このスキルのランクが高ければ高いほど、英霊としての霊格は低下していく。

 A:アーチャー(ロビンフッド)。相手が進軍してくる前に六割近い兵力を戦闘不能に追い込むことも可能。


白衣の男(人名)
 ハッカー達の間で話題になっている人物。
 長時間ネット接続を続けていると出現し、穏やかな口調でユーザーに聖杯戦争への参戦を呼びかけるという。
 トワイス・H・ピースマンか。


ハック&クラック(組織)
 レジスタンスのうちの一組織。遠坂凛を特別技術顧問として雇っていた。
 バングラディッシュに本拠を置き、主に中東で活動していた。活動内容は新世代の侵入技術についての研究で、要するにムーンセル・オートマトンへの侵入技術の確立。ハック&クラックは機材を、遠坂凛は技術を提供しての共同研究を行っていた。
 月面のアカラベースで何者かが月面探査をしている事実を突き止めた後、西欧財閥の米英印共同軍によって本拠地が突き止められ、空爆によって崩壊した。この攻撃に先立ち、それを察知した遠坂凛から警告を受けていたが、自分達の命よりも機材とデータを重視したため逃げなかった。遠坂凛によればこの攻撃は月面探査の事実を突き止めたためではなく、ムーンセル・オートマトンへの侵入の手掛かりを得てしまったためであるとのこと。
 遠坂凛との3年間の共同研究で纏め上げたムーンセル・オートマトンへのログイン方法をネットワーク上に公開した。これは後に遠坂凛がFate/the Factの誌面に入口となるヒントを掲載したほか、レジスタンスの資金でUVD-ROMに情報の隠し場所にアクセスするためのキーを記録してばら撒かれた。


パラダイマライザー(用語)
 →平行変革機


半身半妖(用語)
 デミエルフ。
 詳細不明。



  


ビアフラ連邦(地名)
 2016年に建国されたアフリカ東南部の小国家。クローン売買シンジケートによる傀儡政権であるとの国際的な指摘がある。しかし北半球資源機構に参加してはいないものの資源採掘権を放棄しているため、北半球資源機構としても軍事介入をする大義名分がなく、実質上その効力を失っている国連も人道的な立場から攻撃することが出来ない。
 2030年代においてネットワークへの接続を拒否している国家の一つであり、厳しい情報管制が布かれている。また入国も難しいようで、Fate/the Factの記者は事実上密入国するしかないビアフラ連邦での取材を諦めている。


ファニーヴァンプ(クラス)
 アルクェイド・ブリュンスタッドの本来のクラス。
 このクラスで召喚されたとしたら、相手の血液を吸うブラッド・ドリンカー、体力を奪うライフ・イーター、電子マネーを消費させるファイナンス・クライシスなど、男を滅ぼす毒婦(ヴァンプ)として無邪気かつ天真爛漫に振舞うらしい。


ヒストリア(用語)
 →史実体系



  


ファミリア(用語/魔術)
 高度な電脳魔。


封印指定(用語)
 →国際協定404


Fate/the Fact(用語)
 雑誌。誌面を見る限り月刊誌と思われ、ページ数は目次によれば13ページほどと小規模。発行者はNetwalker.だが、西欧財閥による検閲と妨害を逃れるため連絡先は公表されていない。
 アングラ系の情報や国際協定404で発言を禁じられた事柄についての情報を発信している。2032年12月号の発売までに西欧財閥から651件の訴訟を受けている。
 2032年12月号には遠坂凛のインタビューが掲載されており、表紙にも遠坂凛の画像が使用されている。その画像には凛とハック&クラックが纏め上げたムーンセル・オートマトンへのログイン方法の隠し場所へのヒントが記されている(カップに書かれた『CHECK MY ROM!』という文があり、凛がばら撒いたUVD-ROMに記録された音声とディスクそのもののレーベル面を参照することを示唆している)。


フォトニック結晶(用語)
 ムーンセル・オートマトンの構成物質。
 光の屈折率が周期的に変化するナノ構造体で、光の伝導を制御可能。これを応用することで光そのものを媒体とする量子コンピュータの製造が可能になるとされる。
 地球上でも研究されているが、西欧財閥は1cm未満、アトラス院でさえ3cm未満の筐体を作るのが精一杯。
 例としては、異なる屈折率をもつ物質または穴を一定間隔で配置することで周期的な構造を作った結晶が挙げられる。これの周期的構造を持つ部分は光が通れないようになっており、周期的構造の欠陥部分(穴が空いていない、いわば縁の部分)に沿って光が進む。


フォトニック深淵領域(用語)
 七天の聖杯の中枢のこと。


藤村大河(人名)
 月海原学園の教師役のNPC。
 明るく破天荒な主人公のクラス担任。必ず時間ギリギリに教室に到着し、ほぼ必ず教壇で転んで短時間ながら気絶する。
 親の知り合いの息子が一人暮らしをしているため、監督役としてよく訪問しており、そのことが生徒と同棲しているという噂になっている。彼女の料理はデータバグと判断されるレベル。
 彼女から依頼されるタイガークエストを達成することでインテリアを手に入れることができる。


ブルート・ディ・シェヴェスタァ(宝具)
 臥藤門司のサーヴァント、バーサーカー(アルクェイド・ブリュンスタッド)の宝具。
 正しくは宝具というよりも、地球の触覚である彼女が持つ周囲を地球環境化(テラフォーミング)するという特性のようなものである。そのため、月の法則に則ったムーンセル・オートマトンでは多大な重力負荷を引き起こす。つまり彼女の前ではムーンセル・オートマトンのルールによって再現されたサーヴァントや魔術師達は六倍の重力を受けることになるのである。



  


平行変革機(用語)
 パラダイマライザー。
 ラニ=[の人工心臓。アトラス院が作り上げたもの。
 素材はオパール。第五真説要素で作られており、魔術回路を臨界収束させることによる自爆機能が予め付与されている。その威力はアリーナを吹き飛ばすほど。なお、この心臓は生命維持に必要なものではなく、摘出されても死ぬことは無い。


ペギー(用語)
 ランルーが飼っていた小鳥。翼が折れて飛べなくなり、ランルーに食べられた。ランルーが最初に食べた愛した物である。


ヘブンズフィール・オンライン(用語)
 全世界で2000万人がプレイする仮想体験ゲームサービス。
 これに原作者の一人である小説家を模したキャラクターが出没すると言われており、運営会社はこれをNPCではないとしている。


ヘブンズフィール・オンラインの原作者の一人(人名)
 詳細不明。性別さえも不明。
 小説家で、ヘブンズフィール・オンラインの原作者の一人であるほか、『ムーン・プリンセス』も手掛ける。しかし『ムーン・プリンセス』の最新作を刊行することなく失踪して10年以上が経過しており、生死不明となっている。
 ヘブンズフィール・オンラインにこの人物を模したキャラクターが出没すると言われており、運営会社はこれをNPCではないとしている。



  


宝具(用語:Fate)
 サーヴァントをサーヴァントたらしめる絶対的な力にして英雄のシンボル。


保健室前のマスター(人名)
 一般的な男子生徒のアバターを使っている。
 一回戦は電脳酔いに苦しんでいたが、対戦相手が暗号鍵を揃えられなかったため不戦勝となった。二回戦を突破した。三回戦五日目には走ったり戦闘したりしても酔わないようになったが、それでもサーヴァントに引っ張りまわされた時には酔うらしい。
 三回戦を突破したが、四回戦で敗死した模様。


星の開拓者(技能)
 サーヴァントのスキル。人類史においてターニングポイントになった英雄に与えられる特殊スキル。あらゆる難航・難行が『不可能なまま』『実現可能な出来事』になる。

 EX…ライダー(フランシス・ドレイク)


星の頭脳体(用語)
 朱い月ではないが、朱い月に該当する存在。どこかに生きているという。



  


マイソロジ(用語)
 →神話体系


マイルーム(用語)
 システムサイドからマスターに一人一部屋与えられる戦いの拠点。マイルーム認証コードをインストールした携帯端末を2年B組の扉にかざすことで入室できる。情報の整理や戦いの準備の他、サーヴァントとの会話が行える。
 最初は殺風景なただの教室だが、タイガークエストの報酬としてもらえるインテリアを増やしていくことができる。


マイルーム認証コード(用語)
 マイルームに入るためのもの。携帯端末にインストールして使う。


魔眼(技能)
 バーサーカー(アルクェイド・ブリュンスタッド)のスキル。
 見たもの、見るものの魂を魅了する魔眼を所持しているようだが、マスターの勘違いでうまく機能していない。

 A→C:バーサーカー(アルクェイド・ブリュンスタッド)。


魔術(用語)
 2030年代においては何らかの要因で大源が枯渇しているため、魔術師たちはその力を完全に失い、旧き魔術(マギ)は細々と受け継がれているのみ。この時代における魔術とは、霊子虚構世界を管理するシステムに介入して世界の理を捻じ曲げることである。


魔術回路(用語)
 自らの魂をクオリアとして認識し、霊子化する素質。
 先天的な才能のため訓練で獲得できるものではなく、遺伝によって受け継がれる。魔術(マギ)の源である魔素(マナ)が枯渇した世界においてはハッカーやクラッカーといった人種にとってなくてはならない才能。魔術回路の数が多いほど電脳世界での活動に制限を受けることが少なくなる。
 大源が枯渇して古き魔術が使えなくなった後、魔術回路の新たな使用方法として編み出されたのがネット世界へのハッキングであって、それ自体は旧き魔術師のそれと全く同一のもの。


魔術協会(組織)
 大源の枯渇によって力を失い、西欧財閥、ひいては西欧財閥の後ろ盾を得た聖堂教会によって解体させられた。しかし西欧財閥の追跡を生き延びた魔術師たちは西欧財閥の支配が及ばない中東に逃れた。そうして魔術協会の再興を目指す者たちが集まって、西欧財閥に不満を持つ者たちと結束して解放戦線を結成する。


魔術師(用語)
 旧き魔術師。メイガスのこと。
 1970年に大源が枯渇してしまったため衰退し、2030年代では旧き魔術師は僅かしか残っていない。
 大源の枯渇によって力を失った魔術協会が西欧財閥とその後ろ盾を得た聖堂教会によって解体された後、その追跡から生き延びた魔術師たちは中東へ逃れた。そうした魔術師たちは魔術協会の再興を目指し、西欧財閥の支配に対する不満を持つ者たちと結束してレジスタンスを結成した。そのためレジスタンスの中核にはそういった魔術師たちが多くいる。
 レジスタンス側には魔術協会の再興を目指す腕利きの魔術師が何人もいるが、利害の一致から西欧財閥に手を貸す魔術師もいるらしい。そうした魔術師が障害になっているので、レジスタンスはなかなか戦いの突破口を開けずにいる。
 メイガスとウィザードの違いは行使する魔術が魔力を使った神秘か魂を量子化して電脳世界に干渉するかの違いだけであり、肉体的には何ら変わりがない。要するに肉体に備わった魔術回路の使い道を変えたというだけである。


魔術師(用語)
 新しい魔術師。ウィザードのこと。霊子ハッカーとも。魔術理論を基にした演算処理、霊子変換を身につけたハッカーのこと。
 生まれつき魔術回路を持っていることは旧き魔術師と同じだが、自らの魂を霊子化して電脳世界に直接干渉し、電脳世界の理を捻じ曲げるという魔術を行使する。この新しい魔術は霊子虚構世界を管理するシステムに対しても有効。
 何らかの登録制度があり、西欧財閥は登録していない魔術師を摘発・逮捕している。
 一般のハッカーは仮想空間に侵入する際はプログラムを組んでの間接介入をするが、霊子ハッカーは魂そのものをプログラム化して仮想世界へ直接介入する。このためあらゆる情報をダイレクトに摂取し即座に出力できるので、普通のハッカーとは比較にならない能力を持つ。ウィザードは霊子虚構世界では五感すべてで電脳空間を知覚できるが、これはムーンセル・オートマトンの処理能力あってのこと。
 超一流の霊子ハッカーともなると、アイテム情報を書き換えて大抵の物は作り出せる。優れた霊子ハッカーは現実の肉体を霊子体として忠実に再現することが可能。霊子虚構世界に限らず、霊子状態はいわば夢の中のようなものであり、この状態で睡眠を取っても通常は夢を見ることはない。
 魔術師は優秀な魔術回路そのものが生き続けて一人歩きを始めてしまうため、死後サイバーゴーストになりやすいと言われている。
 聖杯と地上ネットワークの間に誰でも接続可能な通信径路が成立された後、世界各地の名の知れたハッカー達が行方不明になり、程なくして大量のハッカーの死体が発見されるという報道があった。当初は西欧財閥によるテロかと思われたが、彼らのアクセスログの解析および司法解剖によって彼ら自身の電脳死であることが判明した。これと同時期にINQ-EXITのネットワーク検閲が強化され、ハッカー達が一斉検挙・摘発された。
 レジスタンス側には魔術協会の再興を目指す腕利きの魔術師が何人もいるが、利害の一致から西欧財閥に手を貸す魔術師もいるらしい。そうした魔術師が障害になっているので、レジスタンスはなかなか戦いの突破口を開けずにいる。
 メイガスとウィザードの違いは行使する魔術が魔力を使った神秘か魂を量子化して電脳世界に干渉するかの違いだけであり、肉体的には何ら変わりがない。要するに肉体に備わった魔術回路の使い道を変えたというだけである。


マスター(用語)
 聖杯戦争に参加する魔術師のこと。総勢で128名おり、彼らにはそれぞれサーヴァントと三画の令呪が与えられる。
 ほぼ全員が似たような容姿なのはアクセスに使用したアバターが似たようなものだからで、遠坂凛や間桐慎二がそれらと一線を画す容姿をしているのはカスタムアバターを使用しているため。カスタムアバターを使用できるのは特に腕のよい魔術師に限られる。なおマスターの中には魔眼憑きもいる。
 霊子虚構世界への侵入当初はシステムサイドが用意した脚本に従い月海原学園の生徒として行動しているが、徐々に自分が何者であるかを思い出していく。そのきっかけは世界の違和感に気づくこと。マスターとして自分を取り戻す直前は世界が白くノイズがかかったように見える。
 マスターの中には聖杯戦争をただのゲームであり、敗退しても霊子虚構世界からの退場で済む、あるいは危なくなったら接続を断てば問題ないと考えている者もいる。


間桐桜(人名/NPC)
 運営用に作られたNPC。
 髪が床につくほど長く、制服の上に白衣を羽織って保健室に常駐している。戦いに臨む者たちにアイテムを分け与えてくれる。


間桐慎二(人名/魔術師)
 聖杯戦争のマスターの一人でライダーを従えている。
 制服の下に紫のシャツを着ているほか尻ポケットの財布にウォレットチェーンを二本付けており、制服自体はカスタムしていないがラフに着崩している。
 実年齢は8歳。間桐慎二という名前は聖杯戦争においてモデルになった人物の名前ではなく、彼の本名もしくはハンドルネームと思われる(パーソナルブログを間桐慎二の名前で使っているほか、聖杯戦争の参加者はみな本名を名乗っているため)。無神論者。
 現実ではアジア圏有数のクラッカーにしてゲームチャンプだが、何度か遠坂凛に煮え湯を飲まされたことがある。2029年東アジアオンラインゲーム選手権3位、2030年の世界ゲーム大会VAMPの優勝者。ゲーマーとしてのほか、フリーのクラッカーとしても悪名高い。ヴァーチャルスペースに居城を持っている。
 聖杯と地上システムとの通信径路が確立され、世界中の魔術師達が一斉に電脳死したのと時を同じくして彼も78時間連続で仮想空間にログインを続けたことで衰弱し、入院した。退院直後の2032年7月22日に更新された彼のパーソナルブログには『聖杯は僕のものになる』という記述があった。
 聖杯戦争では月海原学園2年A組の生徒で間桐桜の兄という役割を与えられた。端正な顔立ちで女子生徒に人気があるが、性格が捻じ曲がっているので男友達はほとんどいない。設定上は数年前から主人公と親しくしている。学園生活では弓道部に所属している設定だが、才能を恃んで練習はサボっている。学園生活で転校してきたレオナルド・ビスタリオ・ハーウェイにあからさまな敵意を抱いている。予選期間の終了直前まで自己を取り戻していなかった。
 アバターは基本のものに近いが、着崩した制服の下には紫のシャツを着用し、二本のウォレットチェーンを身に着けている。
 学園生活中に遠坂凛に言い寄ったが、どうやらベアナックルを喰らって振られた様子。本戦でも遠坂凛と張り合おうと会話をするが、その際にうっかりと「僕と、彼女の艦隊はまさに無敵」と自らのサーヴァントに関する情報を漏らしてしまう。その後も主人公に対して自らのサーヴァントを「海賊女」「エル・ドラゴ」と言ってしまうあたり、かなり口が軽い。ちなみにライダーは働くのに対価として金銭を要求しており、慎二はそれが一般的なことだと思っている。
 アリーナへの入り口に防壁を張って主人公がアリーナに入ることを妨害した。また図書館のファイルを削除することは叶わなかったが、アリーナに配置されるアイテムの数を増やす程度のハッキングはできる。
 聖杯戦争での敗北が即ち死であることを知らない。一回戦で主人公に敗北し、死亡した。
 サウンドドラマでは一回戦の対決の際に『敵サーヴァントの背後に回りその心臓を撃て』という令呪を使ったが、ライダーがセイバーを撃つ前にセイバーが黄金の鹿号でくすねていたライダーの銃でライダーを撃ったため、不発に終わる。


マトリクス(用語)
 有力な情報のこと。イベントやアリーナの遭遇戦で入手できる。


招き蕩う黄金劇場(宝具)
 アエストゥス・ドムス・アウレア。
 セイバー(ネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス)の宝具。
 生前、彼女がローマに建設した劇場を魔力により形成・再現したもの。彼女が自ら設計した劇場はドムス・アウレアと名付けられた。3ターンの間敵を絢爛たる黄金劇場に閉じ込め、弱体化させる。
 皇帝である前に自分を『楽神アポロンに匹敵する芸術家』『太陽神ソルに匹敵する戦車御者』と信じて疑わなかった彼女だけが為せる、固有結界とは似て非なる大魔術。自己の願望を達成させる絶対皇帝圏。
 ちなみに、生前に建設したこの劇場を開いた時、一度目は多くの観客が途中で退出してしまった。それに憤慨した彼女は二度目の公演では出入り口をすべて封鎖し、終演まで誰一人外に出さなかったという。


間目智識(人名/NPC)
 NPC。外見はショートヘアの少女型で制服は生徒会の証である黒でリボンは青、穿き物は黒タイツ。図書室のカウンター内にいる。
 小さな男の子に萌える趣味がある。交際している男性がいるが、男性側は既に醒めてしまっている様子。ちなみに相手は無職。


魔力(用語)
 魔術を行使するための燃料のようなもの。魔素。
 1970年に大源(マナ)は枯渇しているが、魔力自体はムーンセル・オートマトンが固有結界である月海原学園やアリーナなどを展開・維持するために用いているほか、アリーナの中には大源がある。
 遠坂凛の言葉から、霊子虚構世界での魔力とは即ちデータであると思われる。


マルチクラス(用語)
 →二属性持ち



  


ムーンセル・オートマトン(用語)
 2032年に月面で発見された物体。実際には月そのものである。
 量子コンピュータを魔術的概念で実現させた神の自動書記装置。地球を監視し、余さず記録し、保存する霊子の頭脳。月の眼、神の自動書記、異文明の遺せしアーティファクト。
 魂の錬鉄場であり、古来より多くの魔術師たちを招き入れてきた熾天の檻である。魔術師たちはこうも呼ぶ、あらゆる人類、あらゆる人間の願いを叶えるに足る、万能の記録装置。この世全てを解き明かす最後の奇跡、七天の聖杯(セブンスヘブン・アートグラフ)と。
 遥かな過去から一瞬も休む事なく、地球上の全ての生命、全ての生体、歴史、思想、魂に至るまで、地球の全てを記録し続けている。全地球の記録にして設計図。七つの階層を持つ神の遺物。それゆえに奇跡の聖杯、この世の全てを解き明かす七天の聖杯と呼ばれる。
 観測者に知性があってはその主観によって観測結果が歪められてしまうため、ムーンセル・オートマトンに意識や知性といったものはない。観測し、記録する中で何度か知性が生まれかけたが、ムーンセル・オートマトンは自らそれを解体して観客であり続けた。
 これを構成する技術は人類のそれとはあまりに異質であり、発見当時も、2032年現在でも、おそらくは未来でも解析することはできない。これを作った存在については、間目智識によれば人間の思考形態では理解することはおろか認識することもほとんど不可能。
 擬似的な霊子コンピュータであり、およそ1ナノ秒ごとに全地球上を走査し、その走査結果を自らのデータベースに蓄積している。この情報処理能力は2032年に現存するスーパーコンピュータが石を並べて計算しているように思えるほど。
 西欧財閥による発見後、全地球上の検閲システムに対しムーンセル・オートマトンからのハッキングがなされ、2秒と経たずに全世界のシステムとムーンセル・オートマトンの間に通信経路が成立、ログイン手段さえあれば誰でもログイン可能な状態となった。これほどの動作をわずか2秒でこなしたことから、超高性能の擬似知能を備えていると思われる。ハッキングは西欧財閥管理下の静止衛星を経由したものと考えられている。なおこの時に観測不能ギリギリの極短時間に過ぎないが、全世界のネットワーク上に大量の接続元不明のトラフィックが発生したことで多くのネットワークサービスがダウンするという事態が起きた。これは聖杯から地上ネットワークへの逆アクセスだったのではないかというレポートがニュースサイトを瞬間的に賑わせたが、その直後に検閲が入ったためかそれらのニュースは一斉に削除された。
 材質自体は地球上にもある物質であるが、人類文明では考えられないほど巨大な(全長3000km)フォトニック純結晶を利用して作られた光を媒介にした演算・記憶回路。つまり情報どころか情報を管理する筐さえも光で構成された高次元のシステム。地球上の全ての資源を使っても釣り合わない規格外のスーパーコンピュータである。この事実が判明した時に『その構造ならば全てを記録できる』と認められた。なおこの事実を発見したのはアトラス院。これが動作を開始した時期は不明だが、構成物質は月よりも古く46億年前に構成されたと考えられている(月の誕生は45億5000万年前)。
 これがハーウェイ以外の者の手に渡ったら無用の混乱が起きると判断した西欧財閥により、物理的な到達手段を封じるために宇宙開発が制限された。しかし人類は昔から物理的のみならず精神的・霊的にムーンセル・オートマトンに招かれていた。
 ムーンセル・オートマトンが聖杯と呼ばれるようになったのは一世紀前から。本来はただの観測機であり自ら全能であることを拒んでいる。しかし観測機である以上、観測者が観測することによって初めて事象は確定するというハイゼンベルグの不確定性原理は避けられず、つまり観測していないものは確定していないということで、ならばより完全な記録のために観測できないもの(起こり得た可能性)も記録しなければならなかった。ムーンセル・オートマトンが備えた演算装置はそのためのもので、膨大な演算能力を過去認識と未来予知に充てている。起こりえた可能性を選択することで使用者の望むように事象を書き換えることができる。ムーンセル・オートマトンのこの演算機能と情報を使えば、全人類規模の戦争を引き起こすことも可能。
 冬木の聖杯が膨大な魔力によって勝者の願いを叶える『願望機』だったのに対して、ムーンセル・オートマトンは詰まるところ電算機でしかない。なので願いを叶えるのではなく、厳密には蓄積されたシミュレートサンプルの中から使い手が望む未来を現実にするための方法を得るというもの。確実に現実を使い手の望む方向に導けるが、それには時間がかかる。
 聖杯戦争の勝者のみがその保管された未来予知に辿り着くことができる。しかし聖杯戦争が主人公の勝利に終わったあと、主人公が聖杯に赴く途上でシステムNPCの権限では把握できない事態が発生した。それはおそらくトワイス・H・ピースマンの出現あるいは介入であろう。
 なお巨大なフォトニック結晶(つまりムーンセル・オートマトン)がアカラベースの探査隊によって発見されたあと、西欧財閥はこのフォトニック結晶を国際協定404の封印指定に定められた。つまり北半球資源機構加盟国の市民は月について発言することすら禁止されているのである。
 ムーンセル・オートマトンのサーヴァントシステムは地上の聖杯のそれの完全コピーだが、仮想空間とはいえ同時に100体以上のサーヴァントを運用できるのはムーンセル・・オートマトンならでは。ムーンセルによって再現されたサーヴァントは最終的にはマスターよりもムーンセルを守らなければならないという誓約が課せられる。
 霊子虚構世界から聖杯に至るためには闘技場に行くのと同じエレベータを使うが、降りる階数ははるかに深い。
 聖杯戦争の勝者となり、トワイスを打倒してフォトニック深淵領域に至った主人公によって、魔術師でも接触できないほど厳重に封印された。


ムーン・プリンセス(用語)
 ヘブンズフィール・オンラインの原作者の一人である小説家の作品。ゲームファンから熱望されていたという事と『最新作を刊行』という記述から、ゲームもしくは小説、あるいはブランド名と思われる。


無辜の怪物(技能)
 サーヴァントのスキル。ドラキュラのことで、ヴラド三世の固有スキルと思われる。
 生前の行いから生まれたイメージによって過去や在り方をねじ曲げられた怪物の名で、能力や姿が変貌してしまう。このスキルは外すことができない。

 A…ランサー(ヴラド三世)


無敵艦隊(用語)
 大航海時代におけるスペイン海軍の異名。Armada Invencibleの訳。1000トン級以上の大型艦100隻以上を主軸とし、合計6万5千人からなる英国征服艦隊。スペインを『太陽の沈まぬ国』と言わしめた無敵の艦隊である。無敵艦隊という呼称はこれを壊滅させたイングランド人が皮肉を込めて付けた。
 が、フランシス・ドレイク提督をライダーのサーヴァントとして引き当てた間桐慎二はドレイクは無敵艦隊を打ち破った側であるにもかかわらず彼女の艦隊を無敵艦隊と称している。
 1588年7月21日から同30日までのアルマダの戦いで、メディナ・シドニア公アロンソ・ペレス・デ・グスマンを総司令官、フアン・マルティネス・レカルデを副司令官とする無敵艦隊と、チャールズ・ハワード・エフィンガムを総司令官、フランシス・ドレイクを副司令官とするイギリス海軍が激突。イギリス海軍の8隻の火船攻撃などによりスペイン海軍は敗走し、スペイン衰退の予兆となった。


无二打(宝具)
 アサシン(李書文)の宝具。
 李書文の剛打は牽制やフェイントに放ったものでさえ一撃で敵の命を奪うに足るものであった。『李書文に二の打ち要らず(神槍无二打)』と言われ、无二打はそんな彼の称号が形になったものである。无二打は正確には宝具ではなく、武術の真髄。
 達人である李書文の頸力が優れているのは言うまでもないが、一説によると彼によって命を絶たれた者たちのほとんどは内臓の破壊ではなく現在で言うショック死の状態であったらしい。気を心身に巡らせ、全身に、そして周囲の空間に自身の気を満たして完全に自分の領域を形作り、そこに敵を包み込む。これがいわゆる『気で呑む』ということである。気で呑まれた者は一部の感覚が眩惑されて緊張状態になる。この状態で神経に直接衝撃を打ち込まれると迷走神経反射によって心臓が停止する。即ちショック死に至る。



  


(用語)
 ありすの遊び場と思われる。



  


役割(用語)
 →クラス



  


UVD(用語)
 2032年に流通している記録メディア。UVD-R、UVD-ROMといった規格がある。サイズは12cmディスクで、書き込み速度は等倍から256倍、容量は16テラバイト。


猶予期間(用語)
 モラトリアム。
 聖杯戦争で対戦相手の決定から対戦までの一週間の期間のこと。この間に暗号鍵の取得や敵陣営の情報収集、自己の鍛錬などが行われる。


揺らぎ(用語)
 アリーナの揺らぎ。アリーナを形成しているブロックとブロックの間にあるもので、ムーンセル・オートマトンが霊子虚構世界を創る際にできた不手際。世界の亀裂や境界と言える。
 揺らぎにはその階層には本来ないはずの情報や処理されていない霊子といった残留魔力(ノイズ)が漏れている。
 然るべき礼装を用いれば揺らぎと接続して情報を入手できるが、その際には使用者の脳にかなりの負荷(生身ならば意識の断絶、魔術回路が無い者ならば死に至るほど)がかかる。


ユリウス・ベルキスク・ハーウェイ(人名)
 霊子虚構世界のシステムのキャラクタープロフィールをハックして葛木と名を偽って月海原学園に入り、教師として振舞っていた。葛木としては生活指導を担当する数学教師だが、授業では社会科の領分に脱線することがある。
 ハーウェイ家の黒い蠍と渾名される、反乱分子対策の長。要するにハーウェイに対する反乱分子を確実に始末する暗殺者。レジスタンスの幹部を何人も殺している。レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイの腹違いの兄。ハーウェイの跡継ぎとして必要なものを持って生まれなかった。庶子であるため、父親のことは旦那様と呼び使用人の如く仕えている。
 老化速度は常人の二倍、寿命は最長で25年と予測される。
 レオナルドに従っており、聖杯戦争の予選では遠坂凛やラニ=[などの情報をレオナルドに提供したり、中庭の噴水で生徒数名を殺害したりしていた。その他にも通り魔的にマスターを殺したり、本戦三日目でも何人ものマスターを殺したりしていた。ただし殺人を快楽しているわけではなく、あくまで仕事として捉えている。レオナルドに対する感情もそれと似ており、別段弟に対する愛情はなく仕事である、と発言していた。しかし愛を求めているのではないかと指摘されると動揺する。
 実際のところ、彼にとってハーウェイや聖杯などどうでもよかった。レオナルドを守ってくれという、不要ですらない、生きる価値が無いと言われた彼の名を呼んだただ一人の女、アリシアの頼みだった。その頼みは、ユリウス自身がアリシアを暗殺したときに伝えられた。以来、ユリウスはアリシアの願いを叶えようとする自分にのみ意義を見出す。
 ラニ=[がエルトナムに作り出されたアトラスのホムンクルスであることを知っている。またなぜかラニ=[と戦闘になった際には本気を出していなかった。
 四回戦一日目に視聴覚室から遠坂凛とラニ=[がアリーナで戦っているところに介入しようとしたが、強力なファイアウォールに阻まれて映写機でその光景を覗くに止まった。視聴覚室の出入りには獅子の襟章を使用している。こうした介入については獅子の襟章を用いたハーウェイのクラウドコンピュータのバックアップを受けてのものであり、ユリウス自身が高いハッキング技術を持っていたわけではない。
 五回戦で主人公と対戦する。その1日目にアリーナでサーヴァントのみを狙い襲撃をかける。これはその場で倒すのではなく、魔術回路を乱してマスターからの魔力の受信を妨害し、サーヴァントを魔力切れで消滅させる狙いがあった。しかし翌日になってもシステムからの勝ち名乗りがないため再びアリーナで襲うが、ラニ=[もしくは遠坂凛による強制転送で主人公たちが脱出したため未遂に終わる。3日目にはついに校内で襲おうとするも、言峰に制止されたためアリーナに場所を移して待ち構えることとなる。ここでは六回戦で遊ばれたら厄介だということでアサシンの好きなようにさせ、結果としてシステムの介入により戦闘は中断された。
 五回戦で主人公に敗れる。その時に冷徹さを失い『まだ死ねない』とデリートに抗うが、抵抗むなしく消滅した。しかしムーンセル・オートマトンに解体される寸前に主人公の正体を知り、そして主人公に対する疑問、この時代の命運を握るのは今を生きる人間であり、過去の人間の再現である主人公にだけは倒されるわけには行かないという感情によりサイバーゴーストとなって、七回戦で主人公を殺してレオナルドを王にするという目的を果たして役目を終えるため、主人公に立ちはだかる。
 生前からかサイバーゴーストになった後かは不明だが、サイバーゴーストとして復活した際の左腕は別のマスターの腕を令呪ごと継いだもの。その腕の元の持主のサーヴァントはバーサーカーであったらしく、アサシンはバーサーカーとの二属性持ち(マルチクラス)となっていた。生前のアバターはコートの前を閉じて髪を下ろしているが、サイバーゴースト化したアバターはコートの前を開いて総髪にしている。
 再び主人公に倒され、胸のうちを吐露して二度目の死を迎えた。



  


ライダー(サーヴァント)
 間桐慎二と契約しているサーヴァント。胸元が大きく開いた衣裳と顔に走った大きな傷が特徴的な女性。豪快で色気があるが、恐ろしく冷酷な面もある。トリッキーな体捌きと二挺拳銃で戦う。
 真名はフランシス・ドレイク。宝具は『黄金鹿と嵐の夜(ゴールデンワイルドハント)』。
 世界一周を成し遂げ、6トンもの香料を始めとするその収益と世界周航で得られた詳細な地図により大英帝国が大航海時代の覇者となる道を切り開いた人物。彼女がもたらした財と地図は当時の世界の覇者であったスペインと戦うだけの艦隊をそろえる資金となり、東インド会社を設立させる基盤となった。その後、無敵艦隊との決戦時には英国艦隊副司令官として戦場に赴いてこれを葬り、太陽の沈まぬ国スペインを事実上瓦解させた。
 これによりドレイクはスペイン人から悪魔(エルドラゴ)と呼ばれることとなる。またイギリスでは冥界(アヴァロン、海の彼方)から帰還し、英国に勝利を約束する存在となったため、未来の王・アーサー王と同一視されることもあった。
 享楽主義者で、善人も悪党も区別しない。とにかく派手好きで、私生活も戦争も嵐のように吹きすさんだ後何も残らないような刹那的快楽を好む。サーヴァントとしての彼女はマスターである慎二を小馬鹿にした態度を取っているが、これは慎二を軽んじているのではなく、主が悪党なら自分も悪党として楽しもうというスタンスを取っているため。ちなみに慎二の魔力量では弾丸の補充もままならない。
 金銀財宝を好むが、永遠に続く財ではなく『花火のように消えてゆく財』を愛しており、本人は盛大に費消するために金貨を集めるのだ、と言っている。それゆえ、使い切れぬ財宝を象徴する英雄王や永遠を定義する狐耳のキャスターとは相容れない。極め付けにはマスターである慎二に対し、労働の対価として金銭を要求している。あくまでも副官かつ商人であり、命令以上の事はしない。やる気を出させる=金を積むのは主人の役目と割り切っている。
 彼女は生(人生、人間としての意義、誇り)に執着するのではなく、死(万人共通の没落)を良しとした。
 53歳で疫病に倒れるが、死の直前に錯乱して病床で鎧を着ようとするなどの奇行が見られた。
 サウンドドラマでは二挺拳銃の他にカトラス刀も使用しているが、このカトラスは慎二にさえ開帳していなかった。またアリーナ内でのトレジャーハンティングの際には不可視状態の黄金の鹿号に乗船して移動していた。一回戦の対決の際には『敵サーヴァントの背後に回りその心臓を撃て』という令呪を受けたが、ライダーが撃つ直前にセイバーが黄金の鹿号でくすねていたライダーの銃でライダーを撃ったため不発に終わる。

 ステータスは以下の通り。
 筋力:D
 耐久:C
 敏捷:B
 魔力:E
 幸運:EX

 保有スキルは以下の通り。
 対魔力:D…一工程による魔術行使を無効化する。魔力避けのアミュレット程度の対魔力。
 嵐の航海者:A+…船と認識されるものを駆る才能。集団のリーダーとしての能力も必要となるため、軍略、カリスマの効果も兼ね備えた特殊スキル。
 星の開拓者:EX…人類史においてターニングポイントになった英雄に与えられる特殊スキル。あらゆる難航・難行が『不可能なまま』『実現可能な出来事』になる。


ラニ=[(人名/錬金術師)
 バーサーカーのマスター。純正な人間ではなく、アトラス院の錬金術師に鋳造されたホムンクルス。
 アトラス院により新世代の魔術回路を人工的に埋め込まれ、霊子ハッカーとしての能力を最大限に引き出されている。聖杯を獲得するために作られた彼女には、師である錬金術師に従うこと以外何も知らない。そのため羞恥心を始めとする感情が欠落していて、下着全般をつけていない。
 正確にはラニ=[の師であるエルトナムが錬金術師であり、ラニ=[はその従者。ラニ=[は自身を道具と看做しているが、彼女を生み出した師はラニ=[を人間として育てた。しかしラニ=[の師はラニ=[に魂を入れることができなかったと言っている。ただしこの魂とは要するに感情・心といった意味であると思われる。聖杯戦争参戦に当たり、師から赤原礼装を与えられている。
 彼女の心臓は第五真説要素でできた平行変革機であり、魔術回路を臨界収束させることによる自爆機能が予め付与されている。その威力はアリーナを吹き飛ばすほど。彼女の心肺は生身ではなく、オパールでできている。なお、この心臓は生命維持に必要なものではなく、摘出されても死ぬことは無い。
 聖杯戦争の予選ではかなり早期に自己を取り戻していた。中庭から月海原学園に対し破壊を前提にした接触を図る。
 占星術を能くする。師の言葉から人間というものの在り方を探るため、ひたすら人を見ている。マスターとしての能力は遠坂凛に劣る。
 ダン・ブラックモアの星を教えてほしいと主人公に同盟を申し出て、ブラックモアの遺物を持ってきてくれと頼む。主人公が回収してきた遺物と星を見てブラックモアのサーヴァントであるアーチャーについて主人公に語った。以降も主人公の星が他者のそれとは違うことから、協力的な態度を取る。
 購買部にいる男子生徒の言葉から、購買部でカレーパンを食べていたと思われる。
 四回戦一日目にアリーナで遠坂凛と戦っており、その光景は視聴覚室に設置された映写機に映し出されていた。この映写機はユリウス・ベルキスク・ハーウェイによるものと思われる。凛に敵わないと見るや師からの『入手が叶わぬ場合、月と共に自壊せよ』という命令に則り、令呪を加えた己の魔術回路の臨界収束による自爆をしようとする。
 主人公がラニ=[を救うことを選ぶと、アリーナに闖入した主人公を攻撃しようとするバーサーカーを制止するがバーサーカーは止まらず、セイバーがバーサーカーを引き付けている隙にランサーに心臓を貫かれ摘出された。その後主人公の強制退去に巻き込まれる形でアリーナを離脱する。その際にバーサーカーは爆発する心臓と主人公らの間に割って入り盾となることで消滅した。
 その後はシステムサイドからも存在を黙認されるマスターでも消滅すべき敗者でもない特例的存在となる。師から与えられた役目を台無しにした主人公に対し拒絶の態度を示していたが、何度か対話するうちに自分と主人公が似た存在だと思い打ち解けていく。当初はホムンクルスの存在意義として任務に臨んでいたが、主人公と交流してからは主人公と一緒に帰還するために人として任務を達しようとする。
 自己の正体がわからないことで悩む主人公に対し、主人公は本体とのリンクが切れた状態なのではないかと推測し、そのリンクを復旧する手伝いを申し出る。
 師が与えられなかった感情を主人公との交流を通して見出し、その返礼として主人公の手助けをするようになる。やがて五回戦では師の『人形に過ぎないラニ=[の命を大切に思う人を見つけなさい。その時こそラニ=[という器に魂が宿る』という言葉に従い、主人公を主と見定めた(ただし主人公の提案で主から友達に変更)。
 五回戦2日目に主人公と自分の携帯端末をリンクさせる。ユリウス・ベルキスク・ハーウェイの襲撃で魔術回路を乱されたサーヴァントを診て、一時的に自分から魔力を送ることを思いつく。これはアリーナに割込回路のバイパスを仕掛けることでルートを作り、その上で主人公とサーヴァントの契約にラニ=[を割り込ませるプログラムを書き加えるもの。プログラムの追加はマスターとサーヴァント双方について行う必要があり、おそらくは唇と唇の接触によるものと思われる。サーヴァントとの儀式は間桐桜さえ追い出した保健室で行い、その際に侵入者に対するかなり凶悪なトラップを仕掛けていた。
 2日目に割込回路を仕掛けている主人公がユリウスに襲われた際に強制転送を実行したが、この時に主人公のデータに接触し、肉体がないことを知る。4日目にそのことを主人公に伝え、生命を持たない主人公は聖杯戦争を勝ち抜いても他のマスターのように報われる可能性が極めて低いが、それでも戦いを続けるのかを問うた。
 主人公が戦いを降りないことを知ると、ユリウスのサーヴァントの透明化を破るため、三種の術炉(装具に反応するもの、魔術に呼応するもの、相手の気の流れに感応するもの)を作る。
 5日目には確実に透明化を見破るため、主人公にアリーナで待ち伏せさせ、自分が単独でユリウスをアリーナに追い込む作戦を立てる。
 六回戦3日目では主人公のためにエジプト料理の弁当を作るが、普通に料理したのではなく錬金術で練成した(と言ってはいるが、指は傷だらけなため普通に料理したのかもしれない)。教室で主人公と一緒に食べようとしたが、そこに凛が中華料理の弁当を引っさげて登場し、次々に主人公に食べさせたため機嫌を損ねて席を立ってしまう。しかし夕方になって彼女を見つけた主人公が言葉を尽くして謝り、『またいつかラニ=[の弁当を食べる』と約束することを条件に謝罪を受け入れた。
 4日目には師から与えられた切り札の赤原礼装を主人公に譲渡し、主人公が赤原礼装の承認を受けるために強大なエネミーを探すことのバックアップをする。さらに対戦者が使っている人形のサーヴァント能力を弱体化させる抗防御結界術式を主人公に譲渡するが、これは凛と対戦することを見越して対クー・フーリン用のものを用意していた。
 七回戦では、レオナルドのサーヴァントであるガウェインの特殊スキルを破るため、主人公とレオナルドが戦っている最中に視聴覚室からムーンセルをハッキングし、アリーナの証明を消灯させる。
 聖杯戦争終結後は、もう離れたくないと聖杯への道に同行する。主人公がトワイス・H・ピースマンを打倒して七天の聖杯の中枢に赴く時、トワイスと同じく不正なデータである主人公もまた分解されてしまうと知りながらも、人間らしい笑顔で送り出した。
 主人公の願いによって地上に帰還し、主人公が分解される前に送ったメールでそのオリジナルとなった患者の存在を知る。


ランサー(サーヴァント)
 遠坂凛と契約したサーヴァント。真名はクー・フーリン。宝具は『刺し穿つ死棘の槍』。実力ではラニ[のバーサーカーと同等。凛によって耐久にブーストがかけられているが、代償として戦闘続行のランクがダウンしている。
 光の神ルーとアルスターの王コノールの妹デビテラの間に生まれた半神半人の英雄。幼名をセタンタといい、幼い頃から『この子は英雄として生きる』と予言されていた。ある時豪商クランの家を守る番犬を誤って殺してしまい、その償いとして『この犬に子供があるのなら自分が育て、同じように強く忠実な番犬にする。それまではこの身が貴方を守り通そう』と誓った。このことから『クランの猛犬』を意味するクー・フーリンと呼ばれるようになる。
 長じてさらに力を増した彼はアルスター王を守る赤枝の騎士団の一員に迎えられる。ある女性と結ばれるための条件として影の国に赴き、そこで魔女スカサハに気に入られて数々の魔術と体術を会得した。スカサハの下でその一番弟子を争った剣士フェルグスとの間に生まれた友情は対等に戦える相手がいなかった彼にとって唯一のものだったのだろう。スカサハの武術をすべて会得し、その証として魔槍術ゲイ・ボルクを手に入れた彼は影の国を後にした。
 しかし敵軍の女王メイヴによって次々にゲッシュを破らされ、最後には親友フェルグスと戦わされ、最後の戦いでは倒れたまま果てることをよしとせず柱に体を縛り付けて絶命するまで戦い続けた。これが後に赤枝の騎士たちに不退転の証とされたルーン、四枝の川瀬(アトゴウラ)である。
 主人公がラニ[を助けることを選ぶと、セイバーがバーサーカーを引き付けている隙にラニ[の心臓を投擲したゲイ・ボルクで摘出する。その際にラニ[側に残されたゲイ・ボルクは爆発に巻き込まれて消滅したと思われるが、その際にもランサーはゲイ・ボルクをその手に握っていた。
 六回戦二日目ではアリーナに入った直後の主人公をアリーナの外である学園からルーンを使って攻撃した。その威力はムーンセル・オートマトンの自動修復が追いつかないほどのものだったが、意図してか何らかの原因があったのか攻撃は外れた。その後しばらくして主人公たちから離脱。六回戦の決戦において主人公に敗れ、消滅した。
 主人公が凛を救うことを選ぶと凛らが脱出する間を稼ぐため、バーサーカーに右半身を破壊されながらもラニ[の心臓を穿ち、爆発に巻き込まれて消滅した。

 ステータスは以下の通り。
 筋力:B
 耐久:A
 敏捷:A
 魔力:C
 幸運:D

 保有スキルは以下の通り。
 対魔力:C…第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。
 戦闘続行:A→C…窮地における生命力の強さ。瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。マスターにより耐久値がブーストされたためか、一時的にランクダウンしている。
 神性:B…神霊適性を持つかどうかの値。


ランサー(サーヴァント)
 ランルーと契約するサーヴァント。捏造された英霊で、真名はヴラド三世。宝具は『串刺城塞(カズィクル・ベイ)』。
 黒い鎧と肩を覆うマントを纏っており、左半身は返り血に染まっている。言動の端々から狂気を滲ませており、マスターであるランルーを妻と呼んで信仰のような愛情を捧げている。これは『愛したものしか食べられない』というランルーの愛の行動原理と道徳の間で葛藤し、結局は食べることができず拒食に陥った彼女にいわば道徳に対する殉教心を見出しているから。
 常に高揚した喋り方だが、『怪物』という語を聞くと暗く冷静になり、次いで激昂する。この歪んだ性格が生前からの物か、英霊となってから改変されたものかは不明。
 ルーマニア史に名高い英雄。ワラキア独立を堅持した、キリスト教世界の盾とまで言われた高潔な武人である。『ドラキュラ』というのはワラキア公ヴラド三世が愛用した通称に過ぎず、正しくはグラディスラウス・ドラクリヤという。立場上は東ローマ帝国によって任ぜられた公爵であるため、ローマ式の署名をしていた。これは彼の父であるヴラド二世が神聖ローマ皇帝ジギスムントが創設した24人からなるドラゴン騎士団の一員であり、自らを竜公(ドラクル)と名乗っていたため、子を意味するaを末尾につけたドラクリヤ、つまりドラキュラとなった。
 トルコ軍からワラキアを守るため、国土を荒廃させた自国の貴族たちを粛清し、敵対するトルコ兵2万人を串刺し刑に処したが、その厳罰主義により貴族たちに背かれた。そしてワラキア貴族たちによる暗殺により生涯を終えた。享年46。
 彼の最大の串刺しとして知られるのが1462年のトルコ侵略に対する防衛戦争である。彼は15万のトルコ軍に対し1万の軍で立ち向かうために焦土戦術とゲリラ戦を指示し、民衆をカルパチア山脈に逃がして首都ブカレストを空にしたうえでトルコ軍を迎え撃った。この時ブカレストの周囲には長さ3km、幅1kmの野原に2万を超えるトルコ兵の串刺し死体が配置されていた。この異様な光景と異臭によって勇猛なトルコ兵は士気を挫かれ、征服者と呼ばれたメフメト二世でさえ『私はどんな人間も恐ろしくないが、悪魔だけは別だ』と言って軍を退いたという。この時のトラウマから、オスマントルコ帝国が後にワラキアを占領してからも自治は認め続けたとされる。
 残虐で合理的、広い視野を持つ武人だが理解者に恵まれず裏切りによる失望の中で人生を終えたのがヴラド三世という人物である。
 妻は結婚初夜に勢い余って殺害してしまい、自国の貴族に暗殺されて死んだことで信仰を失ってしまった。彼にとって愛とは死、死こそが愛である。そのため、出会った主人公とそのサーヴァントの美しさに魅了され、無性に殺したくなった。
 四回戦で主人公に敗れた後、それまでの狂気とは打って変わって冷静な態度になる。ランサーのことを『死んでしまうなら哀しいけれど食べないといけない』と言うランルーに対し『貴女に愛される資格がない』と言い、ランルーの魂にはまだ救いの余地がある、ランルーの魂は煉獄へ、自分は地獄に落ちる定めと言って消滅した。
 サウンドドラマでは何者かにマスターを殺害され、その死に際の祈りが令呪となって発動したために予選会場で宝具の解放を含めた暴走を繰り広げ、セイバー(ガウェイン)の『転輪する勝利の剣』で倒された。もっとも倒されずとも、数分も放置すればシステムにより削除されるはずだったらしい。

 ステータスは以下の通り。
 筋力:B
 耐久:A
 敏捷:E
 魔力:A
 幸運:D

 保有スキルは以下の通り。
 信仰の加護:A+++
 戦闘続行:A
 無辜の怪物:A


ランルー(人名)
 遠坂凛を助けた場合の主人公の四回戦の対戦相手。女性。背が高く痩せぎす。仮面で隠されていて見ることはできないが、素顔はかなりの美人らしい。
 ピエロ風の衣装に仮面という、ハンバーガーショップの陽気なマスコットのような恰好をしているが、かなり陰気な雰囲気。このコスチュームは『レンレンバーガー』のマスコットキャラクターとのことだが、公式のものではなく店の色に合わせてオーダーメイドした世界に一着の物。まともな会話は成り立たない。ランサーのことを公爵と呼んでいる。
 過食にして拒食。真に愛した者しか口にできない。愛した者しか食べられないという行き過ぎた愛の行動原理を持ちながら、道徳との狭間で葛藤し、結局は食べることができずに拒食症に陥っている。最初に食べた『愛したもの』は翼が折れて飛べなくなった小鳥のペギー。その後、両親や周囲の人々、自身の赤ん坊まで食べたらしい。しかしそうして愛した物を食べつくしたため、食べる物がなくなってしまった。そのため聖杯に『世界中のみんなのことを好きになる』ように願う。
 食べ物は大切に思っており、毒がなければ何でも食べられるし、食べられるものは大切なゴハンだと言っている。
 四回戦一日目にアリーナで主人公たちと鉢合わせするが、その場で戦おうとするランサーを食欲が湧かないと言って制し、戦闘を回避した。決戦で主人公に敗れ、消滅した。聖杯戦争では敗者は消滅するため、霊子虚構世界では一度も愛した物を食べることはできなかった。
 サウンドドラマでは予選期間終了直前におそらくユリウス・ベルキスク・ハーウェイに殺害された。死に際の祈りが令呪となって発動したためにランサーは暴走してしまった。



  


リアルライフ(用語)
 出会い系仮想コミュニケーションサービス。
 運営はインリン・ラボ。2025年にサービスを開始し、延べ3500万人が利用した。利用料金の高さでも知られ、利用者の年齢層と既婚率の高さから『セカンド・ワイフ』と言われることもある。
 これに出没するジェシカ・ヒルトンという人物は2025年のサービス開始から2032年現在まで、仮想空間内のありとあらゆる場所、時間において目撃されており、まるで24時間365日ずっと仮想空間に存在している様だとの噂がある。運営会社が用意したNPCという説があるが、運営会社はNPCではないとしている。


柳洞一成(人名/NPC)
 NPC。
 月海原学園の生徒会長。2年C組。学園生活のうちは生徒たちを規律正しく導くため、校門に立って遅刻者が出ないよう取り締まっている。


霊子(用語)
 りょうし。
 魂、モノの本質、クオリアをデータ化したもの。第三の宇宙を構成する要素。端的に言えば霊魂とでも言うべき概念だが、元素を結合させている『存在の雛形』と言い換えることも出来る。形而上の概念をデータとして形にしたものであり、エネルギーを持った情報、生命を得たデータと考えていい。
 魂の霊子化は研究途上の技術であり、単一の魂を霊子化するにはクラウド化された演算サービスを用いても凄まじい処理能力とメモリ領域を要求される。しかしそれらのステップを簡略化して意思の力だけで自らの魂を霊子化する技術も存在するとされる。魂の霊子化には特別な才能が必要となる。


霊子虚構世界(用語)
 りょうしきょこうせかい。
 第三虚構世界。Serial Phantasm略してSE.RA.PHとも。
 細菌から人間に至るまで、何兆、何京もの生命の記憶が保存されている。
 ムーンセル・オートマトンの表層世界。いわば電脳世界だが、スーパーコンピュータや有機ネットワークなどのものとはそれこそ桁が違う。通常の電脳世界では英霊の再現をしようとすれば一体でも即座にリソースを使い果たしてシステムダウンするのだが、それが霊子虚構世界では100体以上が存在している。そのうえ極めて精巧なNPCの作りこみや世界そのもののモデリングなども一般的な電脳世界の比ではない。
 これにアクセスできるのは魔術師(ウィザード)だけ。ムーンセル・オートマトンは自らに接触できる人々(=霊子ハッカー)に対してこれへのアクセスを許可した。これに入場する際にはあらゆる記憶が削除され、修正された記憶が返却される。
 入場時に記憶を消され月海原学園の一生徒として日常を送るが、その中で四日間のタイムリミットまでに自我を呼び起こし自分を取り戻した者だけがマスターとして聖杯戦争本戦に参加する。この予選通過者には本来の記憶が返却される。予選を通過できなかった者は精神の死を迎える。
 腕が確かな霊子ハッカーならば侵入はたやすいが、脱出できるのは聖杯戦争に勝ち抜いたただ一人だけ。聖杯戦争のルール上、敗北すると霊子化した魂ごとデリートされる。
 ほぼ全員が似たような容姿なのはアクセスに使用したアバターが似たようなものだからで、遠坂凛や間桐慎二がそれらと一線を画す容姿をしているのはカスタムアバターを使用しているため。カスタムアバターを使用できるのは特に腕のよい魔術師に限られる。
 中にはいわゆる3D酔いをするマスターもいる。


霊子体(用語)
 霊子によって再現された肉体のこと。
 現実の肉体を再現するためには肉体と魂そのものの霊子が不可欠であり、通常の人間には極めて難易度が高くコストがかかりすぎる作業になるため、霊子を用いた仮想空間サービスの多くは予め用意されたアバターを操ることで意識体験を提供する。しかし優れた霊子ハッカーは自らの肉体を霊子体として構成することが出来る。霊子体による仮想世界での意識体験は現実世界と区別がつかないほどリアルなものになる。


霊子ダイブ(用語)
 霊子ハッカーが電脳世界に入ること。理論的には霊子ダイブは夢と同じカテゴリ。よって霊子ダイブをしている状態では夢を見ることはない。


霊子ハッカー(用語)
 りょうしハッカー。
 エルトナムの錬金術師が称する、エーテライトを介して人の記憶を読む霊子ハッカーとは意味合いが異なる。
 いわゆる新しい魔術師のこと。自らの魂を霊子化して電脳世界に直接干渉が出来るハッカーを霊子ハッカーと呼ぶ。
 →魔術師


凛のペンダント(用語)
 遠坂凛が持つ礼装。
 宝石をあしらったペンダントで、これを持っていると残留魔力に接続できる禁制の品。



  


ルーン(用語/魔術)
 西欧で汎用的に使われる簡略呪文(クイックコード)。北欧に伝わる魔術系統。
 力ある文字を石に刻むことで様々な神秘を引き起こす。古くから使われていたものだが、現代では時代遅れといわれ、失われている。



  


令呪(用語)
 サーヴァントを制御するもの。オリジナルの聖杯戦争と同じく三画である。
 勝者でも敗者でもないイレギュラーな存在の令呪はくすんだ灰色になる。


礼装(用語)
 所謂装備品。これからコードキャストが得られる。


レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ(人名/魔術師)
 セイバー(ガウェイン)を従えるマスター。西欧財閥次期当主にして世界有数の財力を持つハーウェイ財団の御曹司。
 予選での役割は突然月海原学園に転入してきた転校生。月海原学園への転入の翌日、英語の授業中に突然教室を出て行った。しかしそれ以前から自己を取り戻していたと思われる。制服は色こそ特別な赤だが、チーフとタイを付け加えている他のデザインは一般生徒と変わりはない。
 世界の王となるための英才教育を受けてきた、生まれながらのエリート。それゆえ本来ならば前線に出ることなどありえない。強力な魔術回路を持っている。
 ユリウス・ベルキスク・ハーウェイの腹違いの弟。ハーウェイが積み上げてきた歴史の集大成といえる器で、生まれたときからハーウェイの次期当主と定められている。ハーウェイの一族の協議によりレオナルドが適任と結論付けられ、聖杯戦争に参加する。人の冗談で笑ったことがない。
 貧困や争いをなくすため、徹底した管理と秩序を以って完全なる平等を確立する、つまり争いの原因である欠乏をなくすことを目標としている。人間を救うためにはまず人間を捨てなければならないと考えており、同時に現状の自分では人間を救う支配者にはなれないと理解しているため、聖杯の力を持ってそれを成し遂げようと考えている。
 西欧財閥の徹底した管理体制に多大な自信を持っており、ハーウェイの管理体制が停滞に見えることは理解しているが、これが人類にとって最善であるという理解を広げていきたいと考えている。さらに管理される羊になれないのならばその人間は死んでほしいとさえ考えている。一応は西欧財閥の管理を受諾するのであれば受け入れるつもりはあるものの、アジア圏の六割は人類にとって不要であると断じている。
 ラニ=[がアトラス院の最高傑作と言われるホムンクルスであると知っている。
 本戦では常にサーヴァントを実体化させているのみならず、平然とその真名を口に出している。これは情報の重要性を知らないためではなく、明かせるものは全て明かした上で勝利するという意志の現れである。
 主人公に対してはその他大勢の一人として丁重に接してきたが、五回戦でユリウスを破ったことでようやく一個の敵として認識するようになる。ただしそれは兄を殺したことからくる憎悪ではなく、単に脅威となりうる存在と認めたに過ぎない。七回戦にもなると主人公との戦いに特別なものを感じるようになる。そして主人公に敗北したことで初めて敗北の先にある恐れや反発、奮起などといった感情を体験し、それが王道には必要だったのだと認めて消滅した。
 サウンドドラマでは予選期間終了直前に暴走したランサー(ヴラド三世)を前に自己を取り戻したマスターたちがサーヴァントの情報が漏れることを恐れて手を出さなかった中、躊躇せず討伐をガウェインに命じた。


レジスタンス(組織)
 解放戦線とも。
 西欧財閥の支配に抵抗する組織。統一された組織ではなく、世界に点在し独自に抵抗活動を行う大小さまざまな組織の総称。このうちハック&クラックは西欧財閥の米英印合同軍による空爆を受けて壊滅した。
 当然ながら圧倒的物量を誇る西欧財閥に対しては装備や武力、財力、人員の数では遥かに及ばない。しかし西欧財閥にはいない遠坂凛のような突出した人材がぽつぽつと居るので、優れた魔術師を使ってネットからの電子戦という形でゲリラ戦を挑んでいる。とはいえそうした情報戦だけでは西欧財閥ほどの大組織が崩壊するはずもなく、損害の多寡は知れている。そのため、世界の構造を根底から覆せる聖杯を求めて聖杯戦争に遠坂凛を送り込んだ。
 中東からインド北部、中国東海岸にかけては西欧財閥の影響が薄く、レジスタンスの勢力が強い。
 魔術協会が西欧財閥と聖堂教会によって解体された後、追跡を生き延びた魔術師たちが中東に逃れ、魔術協会の再興を目指して西欧財閥の支配に不満を持つ者たちと結束して発足した。レジスタンスの中核はそうした魔術師たちである。


錬金術(用語/魔術)
 アルケミー。
 事象・物質の変換を行う魔術の一派。


錬金術師(用語/魔術師)
 錬金術を用いる者。
 呪文、というよりも符丁が風変わり。


レンレンバーガー(用語)
 ハンバーガーショップと思われる。
 ランルーはこの店の色に合わせたコスチュームを着用している。



  


ロジウラ!(用語)
 少年サンディーの人気作品。


ロジックカンサー(用語)
 →概念武装



  


割込回路(用語)
 バイパス。
 外形は黒い立方体。アリーナに仕掛けることでアリーナ(聖杯)から術者への魔力の流れを作り出すことができる。
 防壁を迂回するため、防壁が弱い箇所に仕掛ける必要がある。
 五回戦で主人公のサーヴァントを消滅から救う為にラニ[もしくは遠坂凛が使用する。これでアリーナから術者へ魔力の流れを作り、術者から主人公のサーヴァントに魔力を補給した。



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