155 新しい秩序 前編
 エリザベス・ウィラー博士の指揮下に置かれたスターゲイト基地。南極条約に反するとして人工冬眠に入ったジャック・オニール大佐の救出がほぼ不可能となってしまったことに憤るダニエル。カーターとティルクが何とか話をつけてオニールが改造した快速貨物船でハラに向かい、アスガードに助けを求めることになった。
 スターゲイト基地にはゴアウルド・カムルスからのメッセージが届き、条約締結のため貴族連盟全員との交渉を持ちかけられる。貨物船はハイパースペースを出たがハラは存在せず、かわりに存在したブラックホールにつかまって身動きが取れなくなってしまう。船体が崩壊し、あわや宇宙空間に吸い出されるというところで転送ビームによりトールの戦艦ダニエル・ジャクソンに転送された。
 トールにオニールを助けるよう要請するが、トールはレプリケーターの処分が完了するまで待ってくれと言う。しかしそのとき、レプリケーターの密集体が時空間膨張装置を応用してイベントホライズンを脱出した。しかも密集体の攻撃によりレプリケーターが侵入をされてしまい、それを掃討しに向かったカーターが密集体に転送されてしまう。
 トールは密集体がニュートロニウムを求めて惑星オーリラに向かったと推測してアスガード艦隊に迎撃を命じる。カーターは密集体の中でかつて騙してしまったレプリケーター人間のフィフス出会い、その憎悪のこもった精神攻撃を受ける。
 トールとティルクはレプリケーターをオーリラに向かわせないためハイパースペース内で接近・自爆を試みるが、逃げられてしまう。しかし連絡を受けたバルハラのアジールにより密集体は破壊された。おそらくカーターごと。
 一方地球ではウ、カムルス、アマテラスがハイパードライブエンジンとハタク建造のノウハウと引き換えに強引な条約を結ぼうとするが、ウィアー博士は見事なブラフでそれを退けた。が、あろうことか彼らは地球を試すためハタク艦隊を差し向けてきた。


156 新しい秩序 後編
 地球のそばにトールの戦艦ダニエル・ジャクソンが到着し、ダニエルと冬眠中のオニールを回収する。アスガードもほとんど解析できていないエンシェントの技術でレプリケーターに対抗する武器を開発するためだ。完成した武器はトールにすら構造も使い方もわからなかった。が、回収したレプリケーター人間が再起動したためとっさにオニールが照射するとブロックまで分解され、完全に不活性になった。
 地球に向かっていたハタク艦隊はバールに破壊された。ウィアー博士はバールと戦わせるため逮捕したウ、カムルス、アマテラスを解放するが、既に軍も支配地も奪われていたカムルスは亡命を希望する。
 レプリケーターごと破壊されたと思われていたカーターは不自然な夢を見ていた。ピートと一緒にモンタナで家畜を飼っているのだ。すぐにピートがフィフスであり、これが幻想であると看破するのだが、フィフスは激昂しながらも幻想に固執する。フィフスはカーターへの想いからカーターの肉体を保存し、心の中で結ばれようとしているのだ。
 カーターの生存を知ったオニールらは救出に向かうが、フィフスが現れてこれ以上自分たちを傷つければカーターを殺すと脅す。トールはオニールが作った武器の戦艦サイズの拡大改良版を製作しているのだが、それを察知したレプリケーターたちが脱出を試みる。
 カーターにいまだ感情や愛のことをよく知らないと諭されたフィフスはカーターを解放して脱出する。直後、トールにより残ったレプリケーターたちは一掃された。
 地球に戻り、完全に回復したオニールは准将に昇進し、スターゲイト基地の司令官に就任。カーターは少佐から中佐に昇進した。
 そのころ脱出したフィフスは、カーターに似せたレプリケーター人間を作り出していた……


159 アヴィダンの輪
 とある惑星のランド保護国にある博物館に展示されていたスターゲイトが突然作動し、プローブと続いてSG-1が現れた。その一月後、ランド保護国と冷戦関係にあるカレドニア連邦、ソーレン率いる第三勢力が複雑な勢力争いをしていることがわかり、ダニエルはどうにか彼らが破滅に向かうのを阻止しようとする。
 さらに二月後、ダニエルは見慣れぬ場所でレーダに介抱されて目を覚ました。敵の攻撃にあって仲間とはぐれたのだ。一方カーターとティルクはスターゲイトを確保したソーレンらに面会したが、ダニエルを探すこともプローブを飛ばすことも許されない。
 スターゲイトから現れたSGCに刺激を受けた原理主義勢力の暴動によりランドは内乱状態に突入し、ソーレンらに占拠されたミサイル基地をカレドニアが弾道ミサイルで攻撃、それに対してソーレンが他の基地から報復攻撃したことにより全面戦争に突入してしまったのだ。
 SG基地を訪れたソーレンはダニエルの捜索と引き換えの人道的支援を拒否し、かわりに武器の支援を要求する。自分たちと違う思想の持ち主を粛清してランド・カレドニア両国を征服しようというのだ。
 モニタリングしていた通信電波にようやくダニエルのものがヒットした。ダニエルは他の者にばれないようゴアウルド語を交え、何気ない日常会話を装って地上とスターゲイトの二方面同時攻撃を提案してきた。
 それに従い作戦が開始され、ソーレンは包囲された。ジャレドが素早く彼を射殺し、暴動は鎮圧された。
 しかし、ダニエルの表情は晴れない……


160 ニューゲーム
 ゲイトルームにカル戦士が侵入した。多くの衛兵やオニールが次々と撃ち倒されたが、辛くもティルクが撃退する。―――という、P7J-989でゲームキーパーが使っていた仮想現実シミュレーターを元にリー博士が作ったシミュレーターの実験を受けていたティルク。彼いわく、いまいちリアリティがないとのこと。
 そこでティルクが開発に協力することになる。だがチェアーの驚異的なまでの学習速度が不安を掻き立てる。ティルクがカル戦士の先回りをすればその後ろから撃ち、対抗武器までもが無効になってしまった。しかも本来のゲーム終了ラインであるカル戦士を倒してもリスタートしてしまう。
 そのせいでゲームにつながったままのティルクの肉体は急速に疲弊してゆく。彼がゲームを終了させるためレベル1に向かってもエレベーターが止まったのはもとのレベル28で、やはりリスタートされてしまう。ゲームの難易度はどんどん上がり続け、やがてティルクはプレイをあきらめてしまう。
 P7J-989の技術者に相談しても手の施しようがないとのことだ。六年前に装置に刷り込まれたティルクの性格では、どこかでゴアウルドには勝てないと思っていたのだろう。その窮状を見てオニールが『ジョイスティックでもついていれば私が横から割り込んでやるのに』と愚痴る。カーターがそれをヒントに、チェアーに含まれる2秒のタイムラグを利用した予知能力を持つ第二のプレイヤーをねじ込むことを思いつき、ダニエルがゲームに入った。
 あと一度のリスタートで現実のティルクが死ぬというところでダニエルが二秒の予知を活用し、ギリギリのところでサイラーに化けていたゴアウルドを射殺してゲームを終了した。


161 危険な隣人
 SG基地の外で生活を始めたティルク。だがとても正義感の強いティルクは目に付く揉め事に片っ端から首を突っ込んでしまう。
 そんな中ボーイフレンドのダグと喧嘩をしたクリスターにジャファの武術ロクネルを教えるなど関係を深めるティルクだが、突然クリスターはロクネルの稽古が出来なくなったという。ダグに暴力を振るわれているのだ。
 カーターはピートに指輪をプレゼントされる。しかしどうしていいかわからないカーターはそれを受け取ったものの、イエスともノートも返事をしていないのだという。
 ティルクはダグと別れたというクリスターから駆け落ちをしてくれと詰め寄られる。そしてSG基地にはケンドリック大佐からダグが死体で発見され、クリスターとティルクが行方不明だと報告が入る。現場の状況からティルクが殺したと推測され、ティルクは殺人と誘拐容疑で指名手配を受けた。
 ケンドリック大佐はタレコミによりティルクを逮捕し、SG基地へと護送するが、彼と一緒にいたはずのクリスターはいなくなっていた。ダニエルのPCに謎のポップアップが現れ、直後に電話がかかってくる。「送ったメッセージをエンシェント語からゴアウルド語に訳せ。そうすればティルクの無実を証明しよう」とのことだ。
 一方、カーターとピートは独自に調査を進める。ピートの現役刑事の観点から見るとダグの死に様には不自然な点があり、しかもティルクの部屋とダグの部屋の両方を監視できる部屋にはカメラの三脚の跡があった。
 解読を強制されたダニエルは謎の男と会い、連れ去られた。彼らはNIDの残党であるザ・トラストで、ティルクを監視していたのだ。クリスターがロクネルを使ってダグを殺すのを見ていたが、その死体を動かしてティルクに容疑がかかるよう細工までした。そしてクリスターを拉致したのだ。
 SGCとピートがザ・トラストのアジトに踏み込んだが一歩遅く、彼らはダニエルが解読したシンボルを送信し、転送リングで逃げた直後だった。
 ようやくカーターはピートに指輪の件について、イエスだと答えた。
 しかしティルクはまたSG基地での生活に戻ってしまった。


162 良心の天秤
 テレビ放送でアレック・コルソンという富豪が地球外知的生命体の存在とコンタクトの事実を24時間以内に公表せよと各国政府に要求してきた。もしもそれがなされないのならば、かわって自分が公表しようとも。
 無論SGCはそれを阻止しようとカーター中佐とダニエルを交渉に送るが、コルソンは証拠として衛星が撮影したアヌビス艦隊やプロメテウスの写真を見せる。そしてキッカリ24時間後、政府に黙殺されたコルソンは証拠を出す。なんとそれは、憔悴しきった一人のアスガードだった。トールによれば地球には現在アスガードはいないとのことだが……
 ダニエルらの調査によればあのアスガードは本物ではなかった。ペンタゴンがクローン技術開発援助のためコルソンのバイオテク研究所にアスガードのDNA配列のコピーを渡していたのだ。それをもとにコルソンが勝手にクローンを作ったが、肝心の精神をインストールしていないためカラッポなのだ。
 オニールが呼んだトールにより、クローン・アスガードとコンピュータなどは総て転送ビームで回収された。カーターはジュリア・ドノヴァンの番組に出演してコルソンの主張が事実無根であると証言する。その場にはトールが軍が開発した最先端ホログラムで作り出されたもののフリをして登場してそれを裏付ける。
 その頃コルソンが乗った自家用ジェットが何者かの破壊工作により不時着する。そのこともあってかカーターはオニールにコルソンに真実を告げてはどうかと進言する。オニールは大統領に進言しようと約束し、トールとともに転送ビームで消えていった。
 社で更なる公表を続けようとしていたコルソンが突然転送ビームによってSG基地に送られた。コルソンはカーターに連れられてP4X-650の新アルファ基地に行き、F-302に搭乗してコ・パイロットとして操縦する。一方地球ではボグラーがエイリアンやクローンに関するデータをコピーするなど不審な行動をとっていた。
 コルソンが地球に帰ると、エイリアン騒ぎは会社の財政難から目をそらすためのヤラセだというリークが入る。ボグラーが帳簿を改竄して健全な状況だと誤魔化していたのだが、ザ・トラストの脅迫により暴露したのだ。それから軍はザ・トラストからボグラーを守るために厳重な警護を実施したが、その甲斐なくボグラーは死んでしまう。浴室で首を吊ったのだ。
 その後、この件で社会的信用を失ったコルソンを気の毒に思った大統領は、コルソンの地球外逃亡を許可する。


163 愛とプライド
 ブレイタクとともにイシタとの会合から帰還したティルクは「最も信じていた者に裏切られた!」と怒り心頭。ブレイタクによれば彼の息子ライアクが恋に落ちて結婚を急いでいるのだという。オニールは卓球をしながら詳しい話を聞こうとするが、ティルクはラリーどころか球をオニールにぶつけながら一方的に得点を重ねる。とにかく、ライアクとその恋人が出会ったのは三日前で、ティルクは自分に何の相談も無かったことに怒っているのだ。
 突然イシタが現れてハクティルが危機に瀕していると言う。モロクの寺院に仕える女官と密会する約束だったが、現れなかったのだ。すぐに逃げるべきだとわかっているが、ハクティルのような理想的な星はそうはないのだ。そこでハクティルの戦士たちは新たな惑星に移住するまでの間、SG基地に一時避難をすることになった。
 ライアクも恋人のカリンとともに現れ、熱々ぶりを見せつけながらSG基地で結婚式を挙げるという。さらにブレイタクはライアクとカリンの式を自分が司ると言い出す。ティルクとイシタはライアクのことで話し合うが、ティルクはやがて家族と大義の板挟みになるだろうと言い、イシタは戦士は同士が傍にいてこそ強くなると言う。その論戦はやがてゴアウルドとの戦いに及ぶ。イシタらハクティルの戦士はあくまでもモロクを倒すことを優先し、ティルクらジャファレジスタンスは長期的視野を持ってゴアウルドを根絶しようとしている。それからティルクは部屋に閉じこもってしまった。
 ライアクとカリンは何千年も続く結婚の儀式の一部のせいで仲違いする。ライアクとカリンはそれぞれの思いをブレイタクとイシタに吐露する。しかし碌な戦闘経験もない彼らはティルクの想いを理解することが出来ない。
 ティルクたちはモロクに仕える反乱じゃあとの会合に出席し、その席でアロンがゴアウルドに反乱する時だと主張し、イシタが賛同する。だがティルクは兄弟姉妹全員を自由にするためにも今少し待つべきだと反対する。その直後、モロクのジャファの攻撃を受ける。ティルク、イシタ、アロンは辛うじて逃げたが、ゲイトが確保されていて撤退もできず、しかも命の綱であるトレトニンまで失ってしまった。そして翌朝、イシタがモロクに囚われてしまう。
 ティルクは信用できないアロンを気絶させてエネルギーガンを奪い、墜落したUAVからトレトニンを回収するが、ジャファの待ち伏せにあう。それを救ったのはアロンだった。彼の助けを得てモロクを殺し、ティルクはイシタを救出した。
 その後、和解したライアクとカリンは晴れて結婚する。もちろんティルクも祝福した。イシタたちは新たな星に移るが、その別れ際ティルクに新たな戦いがすぐに始まると言い残して行った。


164 放たれたVX兵器
 深夜直のハリマンたちがちょっと後ろを向いた間にスターゲイトが消えた。調査を進めると、二日前ケビン・ハートキンス博士がスターゲイトに触れた瞬間に異常な波長が計測されていたことがわかる。そのハートキンス博士は目下行方不明だ。おそらくハートキンスがマーキングビーコンを仕掛け、ザ・トラストが転送ビームで盗んだのだろう。
 カーターとダニエルはチームを率いてビーコンシグナルが発信されている場所へ乗り込む。そこにゲイトはなかったが、VXミサイルと数十万人を殺す量の神経ガスがあった。直後の銃撃戦で神経ガスの容器が割れるが、なぜかなんともない。後に分析すると、それはトクラと共同開発したゴアウルド・キラーだった。その上そこで捕まえた男はエリア51のIDカードを持っていた。
 ティルクは輸送船を借りるためP4S-161に戻ったが、マゼル以外のレジスタンスは死んでいた。ザ・トラストがゴアウルドにゴアウルド・キラーを用いた全面攻撃を仕掛けているのだ。だが地球での調査を知らないピアース大佐やジャファらはトクラがやったと思い込む。
 カーターとダニエルはエリア51に向かうが成果はなし。しかしブリックステイル博士がザ・トラストのホスキンスと連絡を取る現場を押さえることができた。そこでホスキンスが持つ装置を奪ったカーターはゴアウルドのアルケシュにビームで転送され、拘束されてしまう。そこには大量のVXミサイルとスターゲイトがあった。
 ティルクとマゼルはトクラとコンタクトを取るため、リスクを承知でバールの支配地であるP3S-114に向かう。首尾よく捕まってザリンに引見された二人。しかしザ・トラストのアルケシュから発射されたゴアウルド・キラーによって腹に幼生がいないティルクを除いた全員が死亡してしまう。
 ブリックステイルの協力によりダニエルは単身母艦に乗り込んでステルスモードを破壊、プロメテウスがそれを発見する。そこにティルクがゲイトから現れてホスキンスを射殺。ハイパードライブが起動したことを知ったカーターたちはビーコンシグナルをプロメテウスに送信、寸でのところで脱出に成功した。
 しかしアルケシュはザ・トラストの手に落ち、ゴアウルド・キラーは少なくとも6発以上がアルケシュに残ったままだった。


165 レプリ・カーター
 スターゲイトを通して四ヶ月前に無効になったカーター中佐のIDシグナルとテキストメッセージが送られてきた。調査のため折り返しプローブを送ってみると、そこにはカーターがいた。フィフスが作ったレプリ・カーターだ。
 彼女は自分を破壊して欲しいと頼んできた。カーターはレプリ・カーターから情報を引き出すため、アルファ基地で会うことにする。レプリ・カーターが言うには、既にフィフスはディスラプターへの対抗策を講じてレプリ・カーター以外のレプリケイターには無効になっているらしい。
 レプリ・カーターはそのほかのことはまったく喋らない。フィフスには賛同できないが仲間を裏切ることはできないと。そこで早く自分を殺せとティルクに詰め寄るが、カーターはそれを止めてレプリ・カーターにフィフスになにをされたか教えろてくれと頼む。
 それからカーターはレプリケイターの破壊に手を貸すことはできないと拒むレプリ・カーターを説得し、ディスラプターの改良を手伝ってくれと頼む。無論カーターは情報を引き出したらレプリ・カーターを破壊するつもりだが、気持ちが揺らいでもいる。しかしレプリ・カーターは断ち切ったと言っていた亜空間リンクでフィフスと会話をしていたのだ。
 レプリ・カーターはディスラプターの改良を手伝うことに同意する。しかしその途中でフィフスがアルファ基地に向かっていることがわかる。その直後にディスラプターを無効化する暗号を手に入れることに成功、それをもとにディスラプターのプログラムを書き換えることに成功する。
 フィフスが接近し、アルファ基地の撤収が始まるとレプリ・カーターはディスラプター衛星のスイッチを入れる。いまだアップロードが終わっていないのに、それでフィフスの船はばらばらになってしまった。
 ディスラプターは無効ではなかった。レプリ・カーターはフィフスとカーターの双方を利用してディスラプターを無効化したのだ。
 レプリ・カーターはアルファ基地のシステムをダウンさせ、スターゲイトで逃走した。


166 プロメテウスの受難
 口論を続けるダニエルとジャックのもとにハモンド中将が訪れ、ダニエルをアトランティスに誘う。オニールの抗議もむなしくハモンド中将はダニエルとウォルター・ハリマン軍曹を連れて行った。連絡の途絶えたアトランティス探検隊捜索の指揮官はなんとハモンド中将自身だ。
 目的地に向けて順調に航行を続けるプロメテウスだが、途中で遭難信号を発しているアルケシュと破壊された輸送船を発見する。拿捕するためSG-3がアルケシュに乗り込んだが、入れ替わりに侵入してきたカル戦士によって逆にプロメテウスを乗っ取られてしまう。プロメテウスは動けないアルケシュを遺して去って行った。
 アルケシュでは修理のためのクリスタルを取りに、生命維持装置が停止した輸送船にハモンド将軍が自ら向かう。朦朧とする意識の中でどうにかクリスタルを回収した将軍はレイノルズらに助けられ、辛うじて一命を取り留める。
 なお呼吸が止まっていたため人工呼吸をしなくてはいけなかったのだが、レイノルズ大佐は心底嫌がっていた。将軍が自力で息を吹き返したときは本当に嬉しそうだった。
 唯一プロメテウスに残ったダニエルはカル戦士の正体がバーラという名のただの女性であることを知り、なんとか彼女を制圧する。しかし彼女がセットした自動操縦によってアルケシュが追いつく寸前にハイパードライブを起動してどこかへ去って行った。バーラが言うには、種族の生き残りを助けるためにプロメテウスが必要らしい。
 目的地に着いたため、ダニエルは指定された地点にプロメテウスを着陸させて外に出た。そこには避難民などおらず、兵器用のナクアダを持った密輸業者がいた。バーラは拿捕した宇宙船と引き換えにナクアダを手に入れるつもりだったのだ。
 そこにデスグライダー編隊が現れて攻撃を開始する。シールドがダウンし、ハイパードライブも使用できない。あわやというときにアルケシュが現れてデスグライダーや他のアルケシュを次々と撃墜してゆく。ハリマンが嬉々として操縦するアルケシュだ。
 プロメテウスに戻ったクルーはアルケシュを牽引して地球への帰途に就く。しかし収容していたバーラはアルケシュを奪って逃げていった。
 またしてもプロメテウスはドックに逆戻り、長い長い修理期間に入ることとなる。


167 王様万歳!
 バールと支配階級の戦争が最終局面に突入した。バステットとオロクンは死亡、モリガンは降伏、禹とアマテラスは最後の抵抗を試みているという。中には逃亡先の星を探している者もおり、かつて見捨てた星を隠れ家にしようとしている。地球への関係は薄いように感じるが、実はメイボーンを移住させた星がかつてアレスが支配した星だったのだ。トクラは自分たちのことで手一杯のため、自分たちで助けるしかない。
 惑星に到着したSG-1はボウガンで武装した住民たちに包囲され、村へと連行される。そこではメイボーンがアーカン王と名乗って君臨していた。メイボーンに連れられて遺跡に向かうとそこにはエンシェント語で未来を含めた惑星の歴史が刻まれた石碑があった。メイボーンはこれを解読して王になったのだ。ダニエルが解読を続けたところ、エンシェントがタイムマシンを用いて記録したと思われる。
 ティルクがタイムマシンを搭載したエンシェントの宇宙船を発見し、それを起動するために一時エンシェントになりかけたオニール准将が惑星に呼ばれるも、起動は難航する。起動を諦めて爆破を試みたとき、住民たちが彼らを包囲する。住民たちは彼らなりにメイボーンを守りたがっているのだ。メイボーンは予言の種を明かして王を退こうとするが、住民らの信頼は絶大で、却って戦意を高めてしまう。
 ティルクとダニエルがゲイトを確保しようとするが、一足先にアレスのジャファが到着する。一人の住民のせいで予言のことが露見してしまう。ティルクとダニエルがジャファに捕まったが、すんでのところで宇宙船の起動に成功して単機でアレスの母艦を撃墜する。
 地球に戻る誘いを断り、メイボーンは星に残るという。なんでも『妻たち』がどうとか……


168 一触即発!米露開戦?
 いつも通り大量のビールなどを買い込んで帰宅したオニールは自宅に何者かが侵入していることを察知して銃を構えて家に入る。そこにいたのはSGCの宿敵たるロバート・キンゼイだった。彼は副大統領職を追われて捨てられたザ・トラストを潰すなら手を貸すという。
 キンゼイの話ではザ・トラストはロシアの国防大臣キセレフ将軍との会談のセッティングをキンゼイに依頼してきたのだ。さすがのキンゼイでもこの脅威を看過することはできず、オニールにタレ込んできたのだ。事実、ザ・トラストはアメリカの主権に対する重大な脅威となっている。
 カメラとマイクを装着したキンゼイがザ・トラストとの会談に臨む。電波が切れたことでチームが突入するが、彼らは転送ビームで逃げたあとだった。プロメテウスの発進し、カーターはステルス状態のアルケシュが発するノイズを探知する作業に入る。ダニエルはモスクワに飛び、チェホフ大佐の右腕のボロンコバ大尉に会うことになった。
 その最中、ロシアが国防態勢のレベルを上げ、それに対応してアメリカもデフコン3(戦闘配置)を発令する。ボロンコバとともにキセレフ大将に会いに行く途中でダニエルがシェルノフシェフ大佐に拘束されてしまう。その理由はゴアウルドに寄生されたキンゼイがキセレフを暗殺しようとしたからだ。
 元凶がゴアウルドに寄生されたザ・トラストだと知ったチェホフ大佐はアメリカ政府要人全員の検査を要求するが、オニールは拒否。さらに中国までもが警戒レベルを上げた。依然高まり続ける脅威に対し、オニールは防衛体制をデフコン2(深刻な敵対行為があると見做し、核弾頭を装填する)に上げた。
 チェホフ大佐の阻止行動に気付いたキセレフの命によりキンゼイとダニエルが襲われるが、間一髪でプロメテウスに転送されて事なきを得る。だが、ロシアはそれによりダニエルが寄生されていると確信し、全面的な戦争準備に入ってしまった。それに対抗し、アメリカもデフコン1(瞬時に戦争が勃発するかもしれない)に突入した。
 ザ・トラストはステルス状態からプロメテウスに攻撃を開始し、その隙に営巣に入れたキンゼイが逃げ出す。
 カーターはシェルノフシェフがゴアウルドで、既にキセレフも寄生されていることを見破り、ミハイロフロシア大統領にその事実を伝達するがミハイロフの優柔不断から決断が遅れ、軍の統制を失いかける。プロメテウスから脱出したキンゼイはザ・トラストの仲間をゴアウルドのお得意の猜疑心から射殺する。そのためアルケシュの動きが止まり、その隙にプロメテウスによって撃墜された。
 通信が切れたためオニールは開戦を覚悟するが、偵察衛星からの情報でロシアの核ミサイルサイロのハッチが閉じられた事を知る。全面核戦争は回避されたのだ。


169 理髪師ジョーの奇妙な夢
 カーターと電話をするオニール。そこに拳銃を持った挙動不審な男が踏み込んできて『俺の人生はあんたにブチ壊された!』と叫ぶ。
 七年前、彼――ジョーはガレージセールを訪れていた。そこで奇妙な石のような小物を手にした途端にSG基地のヴィジョンが視えた。よくわからないながらも彼はそれを購入した。理髪の仕事の直後にそれに触れると、今度はクロレルが石棺から現れるヴィジョンが視えた。
 彼は既にスターゲイトプログラムについて時系列に従って多くを知り、家族や客にそのことを話すも互いによくできたフィクションと思っていた。しかしジョーは空軍に照会し、ジャック・オニールが実在すると知る。それから一年後、オニールがアスガードの惑星を訪ねるところまで話が進む。
 既に理髪店の名物のようになっていたが、町の中ではそれを嫌がる人もいるらしい。そのため彼の妻シャーリーンはそれを本にすることを勧め、ジョーはそれに従い熱心に執筆を続けた。しかしニューヨークの出版社に原稿を送付するもことごとく没。そしてさらに三年後、ワームホールエクストリームという番組が放送され、彼はそれが自分のスターゲイトの盗作だと思い込む。実際はスターゲイトプログラムと関わった異星人が原案を思いついたのだが。
 ワームホールエクストリームを訴えるつもりだったが同番組はスターゲイトプログラムのカムフラージュ目的だったこともあり、一話限りで打ち切られてしまった。客もいい加減ジョーの話にうんざりし、理髪店から客足は遠のいていった。そのためシャーリーンは執筆を永遠にやめるように言うが、ジョーは聞かない。ジョーはこの話が現実であると感付いているのだ。
 シャーリーンが捨てた石を必死で探した彼はダニエルが死んだことを涙を流して悲しみ、高みの存在となっていたことに狂喜した。既に彼はスターゲイトの話にのめり込み過ぎていて、自分の生活をおろそかにしていたため、シャーリーンは彼を精神病者扱いしてアンディとともに家を出て行ってしまう。さらに店員のゴーディも他の店の面接を受けていた。
 さらに二年後、彼はスターゲイトプログラムに関する事実を収集するが、シャーリーンは聞く耳を持たない。終に彼は家まで売り払う羽目になってしまった。
 そして現在。ジョーはモデルガンを手にオニールの家に踏み込んだ。オニールは彼の必死な話を聞き、スターゲイト基地に彼を連れて行く。
 調査の結果、ジョーはオニールと同じエンシェントの遺伝子を持つこと、彼の持つ石はパラレルワールドに通じる鏡があったP3R-233にあったものと二つでセットであることが分かる。石はエンシェントの精神的な力を用いる長距離通信装置で、かつてオニールがそれに触ったことでスイッチが入ったのだ。そして装置が置かれている保管庫の真下にあるブリーフィングルームで報告書を書いていたためにそれがジョーに流れた。無論ジョーの生活もオニールに流れていたのだが、驚くことにオニールは七年間もそれを気にすることなく面白がって生活していたのだ。
 ジョーとその家族のアフターケアのため、オニールはシャーリーンと会って事情を話した。


170 銀河大戦争 前編
 支配階級の生き残り禹皇帝のもとにバールの使者が訪れて降伏を勧告する。そこにカーターが現れ、禹を刺殺した。レプリ・カーターだったのだ。
 ティルクとブレイタクはカーターとダニエルをオブザーバーにジャファの作戦としてアマテラスの艦隊に奇襲攻撃を仕掛ける作戦を実行していた。そこに一隻のハタクが接近し、強力な兵器で攻撃してきた。こちらの兵装は通用せず、転送リングで直下の惑星に下りようとしたが、リングルームからはレプリケーターがあふれてきた。それに応戦しているうちにダニエルが転送ビームでどこかへ連れ去られてしまった。
 SG基地を訪れたジェイコブからレプリケーターがゴアウルドに総攻撃をかけ、ゴアウルドがそれを阻止できなかった場合銀河は数週間でレプリケーターの手に落ちると伝えられた。帰還したカーターからはレプリカーターがダニエルの持つエンシェントの情報を吸い出そうとしていると伝えられた。
 またバールは数千のジャファレジスタンスを赦して再びゴアウルドに忠誠を誓わせたというが、それでも劣勢に変わりはない。ジャファたちはレプリケーターを見た事がなく、神に叛いたことへの神罰と捉えているのだ。アスガードによるディスラプターの改良も遅々として進んでいない。そこでティルクとブレイタクはジャファの聖地であるダカラの寺院を占拠しようとする。
 トールとカーターはレプリカーターの残骸の細胞を復活させて亜空間接続を再開させ、そこからディスラプターを無効にした暗号の情報を獲得しようとする。百万分の一秒の亜空間接続を数百回繰り返し、ようやく暗号を解読してディスラプターを復活させた。その試射のため手頃な目標に攻撃をかけるが、レプリケーターは一発撃たれただけでそれを無効にするように進化した。二人は撤退したが、侵入していたレプリケーターによりキーシステムが作動しなくなった。そのためトールはカーターをSG基地に送還し、自分はできる限り船を地球から遠ざけようとする。
 バールはSG基地にホログラム通信を入れ、レプリケーターを打倒するため手を組もうと申し出る。だがオニールはティルクらの作戦を成功させるためそれを断る。その後バールは何者かに謁見し、相手を陛下と呼んだ。それはアヌビス。バールはアヌビスに仕えていたのだ。
 ティルクとブレイタクはジャファレジスタンスを説得し、ダカラの寺院を攻略することを承諾させた。ティルクらは小規模な艦隊でダカラを占拠した。しかしアヌビスはそれを予定通りと言い、全軍にレジスタンスを皆殺しにしろと命じる。
 レプリカーターに意識を読まれているダニエルの前にオーマデサラが現れ、必要な情報を引き出したら殺される、そのときには選択に迫られると言う。だがダニエルはそれがオーマではないと看破。しかしレプリカーターは既に情報を手に入れたという。彼女が見つけたのはダカラの寺院。なんとそれはエンシェントの遺跡なのだ。
 バールが再びSG基地に連絡を入れ、ダカラに眠る兵器を破壊してくれと依頼する。ダカラの兵器はレプリカーターを破壊できるが、他のすべての生命体をも破壊してしまうのだという。アヌビスはどんな衝撃にも耐えられるが、バールはそうではないのだ。


171 銀河大戦争 後編
 SGCはバールの言を受けてダカラの兵器を捜索することを決定。カーターとジェイコブがダカラを訪れ、石碑に刻まれた古いエンシェント文字の解読を始めた。だが解読結果は支離滅裂なもので、まったく意味不明。だがところどころの文字を上下反転すると閃き、その石碑が一種の組み合わせ錠だと気付いた。
 レプリカーターはどうしても覗けなかったダニエルの中のエンシェントの知識を探るため、ダニエルに協力を求める。ダニエルがそれを断ると無理やりに情報を覗いたのだが、それは人間の処理能力をはるかに超えていたためダニエルにはまったく理解できない。しかしレプリカーターもダニエルの抵抗により意識に侵入することはできない。
 ティルクらはハタク五隻、アルケシュ八隻、デスグライダー十個編隊という戦力でバール艦隊からダカラを防衛するため、戦力を各所に分散して配置した。バール艦隊がダカラのそばまで接近したが、ティルクの話術により進軍を停止する。その隙にカーターとジェイコブが錠をあけて兵器を発見する。それの基本原理はエネルギー波を使ってあらゆる物質の基本分子構造を破壊するもので、ジェイコブはディスラプターとの相似点を見つけ、カーターはディスラプターに応用できないかと思いつく。
 時間稼ぎも限界となったためバール艦隊は攻撃を開始、レジスタンス艦隊は亜光速エンジンのみで離脱。バールはできるだけ兵器を破壊する時間を稼ぐためダカラを措いてレジスタンス艦隊を追うように下命した。
 カーターらはディスラプターへの応用の糸口を見つけたが、改良できたとしてもレプリケーターはすぐにその波長に適応してしまうため一度にすべてのレプリケーターに対して攻撃しなければならない。それにはスターゲイトネットワークで同時にすべてのゲイトにダイヤルする必要があるのだが、それにはバールの協力が必要だ。
 SG基地のゲイトが突然ダイヤルされ、無線信号によりコンピュータが乗っ取られた。強制的にあけられたアイリスからは大量のレプリケーターが現れ、オニールは退避命令を発令し自爆シークエンスを開始しようとする。だが自爆システムは既にレプリケーターが占拠しており起動は不可能。そこでオニールは退避後に核で基地ごと吹き飛ばすことを決断した。それは即座に大統領に伝えられ、非常事態宣言が発令されてシャイヤン山の周囲500平方キロメートルの住民に避難命令が出され、10キロトンの核の使用許可が出た。しかしサイラーらが取り残されてしまい、オニールらが救助に向かう。
 地球を襲ったレプリケーターは止めることができない。さらにレプリケーター艦隊がバール艦隊を攻撃し始めた。しかもバールの助けを得てのディスラプターの改良は難航している。その上オニールらは核発射時間までに脱出するのが困難となってしまった。ついにはダカラにレプリケーター艦が着陸し、遺跡に侵攻し始めた。
 だがギリギリのところでダニエルがレプリカーターからレプリケーターの制御を奪い取り、その動きを止めた。しかしそのあまりの数ゆえに意識を集中するだけで精一杯となったダニエルをレプリカーターが貫いた。
 兵器とディスラプターの誤差が0.76となったところで強行発射。そのエネルギー波はスターゲイトネットワークを通じ銀河中に広まった。レプリカーターの艦も例外ではなく、一瞬にして最小単位まで分解されていった。それと同時にバールの旗艦で自由ジャファが蜂起し、バールを包囲。バールは転送ビームで何処かへ逃れたが、『神』が尻尾を巻いて逃げ出したことは銀河中のジャファにとって衝撃だった。
 トールは意識を艦のコンピュータに退避して無事だった。しかも今度の体は老化しないらしい。しかしダニエルはいつまで待っても帰還することはなかった。


172 ほつれた糸
 あれから一週間、ダニエルからは連絡すらない。カーターもオニールも、対応は違えど心配で気が気でない。
 ダニエルは両親の葬儀のあと祖父に連れられて行ったカフェにいた。高みの存在の溜まり場のようでオーマデサラがウェイトレスをしており、そこにいたジムという男から『ジャクソン未定のまま』『アヌビス ダカラ奪還を計画』などの記事が載った新聞をもらう。そこにいるのはやはり高みの存在であり、外れ者のジム、オーマデサラ、まだ選んでいないダニエルは無視されている。そしてルールどおりに彼らは下界に手出しするつもりはない。
 オニールはあまりに強力なエンシェントの兵器の破壊を主張するが、ジャファレジスタンスはそれを拒否する。彼らにとってその兵器は自由の象徴であり、今後も兵器が自由を保障すると信じているからだ。
 カーターはピートをSG基地に呼び、ジェイコブと面会させた。そのあとカーターとジェイコブは食事をともにしたが、どうも様子がおかしい。その後オニールの家を訪ね、ピートと結婚すべきか迷っていると打ち明ける。そのときSGCから電話が入り、ジェイコブが倒れたと伝えられる。
 ジェイコブいわく、セルマクが死にかけているという。トクラの共生体は宿主を助けてから死ぬのだが、それには残った気力と体力を振り絞らねばならない。本来ならセルマクは数週間前に死んでいたはずなのだが、ジェイコブが頼んでそれを止めたのだ。そしてダカラの装置を動かした直後にセルマクは昏睡状態に陥り、もう限界を迎えている。ということはつまりジェイコブもともに死ぬということだ。
「愛してるよ」
 カーターにそう言い残して、ジェイコブ・カーターは永遠の眠りに就いた。
 カーターはジェイコブの言葉によって規則に縛られるのをやめ、ピートと別れた。
 ダニエルはジムからオーマデサラが騙されてアヌビスの昇天に手を貸したことを聞かされた。アザーズがアヌビスを下界に戻したのだが、ゴアウルドとして得られる知識・力以外を使わないと誓わせて下界まで落とさなかった。これはアヌビスを信用したというよりもオーマデサラへの罰なのだ。ダニエルはオーマデサラも無関係の人々も充分に苦しんだ、もういいだろうと主張するが、他の高みの存在は無視を続ける。
 そこにジムが現れ、あからさまにオーマデサラの古傷に塩を塗るような言葉を投げつける。そして明かした。オーマデサラが自分の昇天に力を貸したと。ジムはアヌビスなのだ。ダカラの守備艦隊はアヌビス艦隊に敗れ、ブレイタクらの救援も間に合わず兵器はアヌビスの手に落ちた。
 直後、オーマデサラが立ち上がった。彼女はアヌビスに立ち向かうと逃げる間も与えずに一つとなり、どこかへと消え去った。さすがにこれには無視を続けていたアザーズも目を奪われていた。
 その頃下界では地球に接続されていたワームホールが消え、カル戦士の動きが乱れた。アヌビスは消えたのだ。それによりダカラの奪還は成功した。
 その後のミーティングでは高みに昇ったダニエルが手を貸してくれたという結論に至ったが、そのときどこからかダニエルの声が響いた。オニールがブリーフィングルームの壁の向こうを見るとそこにダニエルがいた……ことはいたのだが案の定裸で、オニールに渡されたSGCの旗を腰に巻いて現れた。
 それからカーターはオニールとともに釣りを楽しんでいた。後ろからはダニエルとティルクも竿とクーラーボックスを手に歩いてくる。
「この池、魚はいないんでしょ?」
「かもな」


173 時をかけるSG-1 前編
 新たな宇宙船ダイダロスの説明を受けるダニエル・ジャクソンのもとにキャサリン・ラングフォードの死が伝えられた。彼女の葬儀のあと、弔辞を読んだダニエルにキャサリンの姪のサブリナ・ゴスリングがラーの眼のペンダントが渡された。さらにSG基地には彼女のコレクションの全てが届けられていた。なんとその中にはゼロポイントモジュールに関わる重大な手がかりが含まれていた。
 それに基づき衛星でギザ台地を調査したが、ZPMのエネルギーサインはなかった。あるいはラーが去る時に持って行ったのかもしれない。そこでダニエルはタイムマシンで紀元前3000年のエジプトに盗みに行くことを提案する。
 エリア51で誰も起動できなかったタイムマシンをオニールがいとも簡単に操縦し、四人は紀元前3000年のエジプトに時間移動した。そこで出会ったサラティスとカデプらとともにラーの寺院に貢物を捧げるという名目で潜入を果たし、ホーラスに化けたティルクが難なくZPMを手に入れる。
 しかしステルスを起動しておいたタイムマシンが発見され、包囲されていた。機体は見えなかったが、砂嵐のせいで砂がくっついていたのだ。そこでダニエルは第一王朝の墓にZPMを埋めて未来で発掘させることで送ろうと提案する。
 変わってしまった現在。移民を相手に英語を教えていたダニエルのもとに空軍士官が訪れた。ワシントンDCの航空宇宙局本部で威勢良く一人で愚痴っていた民間人となったカーターのもとにも空軍士官が訪れた。ボートでくつろぐオニールのもとにもサミュエルズらが訪れた。が、オニールは逃げた。
 スターゲイト基地でハモンド将軍がダニエルとカーターに事情を説明する。それによれば第一王朝の墓からビデオカメラが発見され、その記録にダニエルたちが映っていたからだ。しかしもとの歴史とは微妙に異なっており、もしも異なっているならばスターゲイトとタイムマシンを用いて歴史を修正してくれと言っている。
 しかし肝腎のスターゲイトは発見されておらず、その蓋である銘版だけが見つかった。ダニエルの解読ではラーがゲイトを持って行ったのだ。ダニエルとカーターはオニールを誘いに行くも、彼はまったく聞く耳を持たない。
 アルファゲイトの捜索はなかなか進まないが、タイムマシンは発掘された。マッケイがそれで何度もダイヤルしたが何も起きないと言っていたことからカーターとダニエルは南極に埋まっているアルファゲイトの位置を特定し、ゲイトは無事に発掘された。
 しかし、ハモンド将軍は軍事訓練を受けていないことを理由にダニエルとカーターの派遣を論外と切り捨てた。


174 時をかけるSG-1 後編
 SG基地に話すら聞かなかったオニールが現れた。かつての部下であるコワルスキー少佐が呼んだからだ。タイムマシンの照明とダイヤルコンピュータを復帰させ、ダニエルとカーターの指示に従ってオニールが起動させた。
 ダニエルとカーターはオニールの口添えで同行を許可されたが、タイムマシンとしての使用は禁止された。ゲイトシップ1と命名されたタイムマシンはチューラクに到着し、隠密偵察行動を開始した。
 が、集落に向かって歩いているとゴアウルドの閃光手榴弾が投げ込まれ、抵抗する間もなく投獄されてしまう。そこに現れたのはアポフィスの親衛隊長をしているティルク。ダニエルはティルクに引き立てられ、アポフィスによる拷問を受ける。ティルクはダニエルが持ってきたビデオで本来のティルクの話を聞くが、苦痛に満ちた表情で彼らに協力はできないと告げた。しかし彼らの装備品は返してくれた。
 首尾よく脱出した彼らの前にティルクが現れ、ダニエルを射殺した。ダニエルにはスパイとなるゴアウルドが寄生させられ、ハタク艦隊が地球に向けて進撃を開始したとの事。その瞬間ダニエルが起き上がり、隊員の一人を射殺した。ダニエルを射殺するも、多数のジャファが襲ってき、退却間際というところでコワルスキーが殺された。
 なんとかゲイトシップ1は離陸したものの、二機のデスグライダーに追撃を受け、ゲイトもまたジャファに確保されている。そこでゲイトシップ1は5000年前に遡って追撃を振り切り、そのまま地球にゲイトトラベルした。
 そこで住民と接触したのだが、なぜか彼らは英語を話せる上オニールたちのことも知っていた。5年前に本来のSG-1と出会い、サラティスが殺された後に蜂起したのだ。その計画は失敗し、途中でダニエル以外のSG-1も処刑されたという。
 ダニエルが現れて彼らに説明をする。本来起こるはずの蜂起ならば加わっても歴史に変化はないだろうと思ったが、拙速にすぎたため失敗。以後はダニエルとカデプが地下活動に徹しているのだ。それを聞いたカーターはダニエルがこれから書くはずの銘版のこととギザにゲイトがなかったことを告げる。つまり、ラーが撤退するときにゲイトを持ち去らなくすればいいのだ。
 地下武器庫をあちこちに作り、仲間も2000人ほどいる。ゲイトシップ1のステルス装置を使い、奴隷たちの武装蜂起に呼応してゲイトを盗めばいい。が、肝腎のステルス装置が故障している上現在の戦術ではラーの目をゲイトから逸らすことができない。しかも運悪くジャファの巡回にあい、ゲイトシップ1が集中攻撃を受けてしまう。
 そこにティルクとジャファが駆けつけ、ゴアウルドは偽りの神だと説得する。無論彼らが聞く耳を持つわけもなかったが、周り中に奴隷たちが武器を持って現れた。
 そして武装蜂起は成功。ZPMとゲイトを確保したおかげでタイムラインは本来のものに戻り、しかもZPMまで手に入れることができた。変わったことといえば、魚が一匹もいないはずのオニールの家の池に魚がいることくらいだろう。

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